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海と歌とキャンプと
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――神嶋センパイ、俺と楽しい協奏しましょ?
『ねこじまキャンプ』のチラシと出演者申し込み用紙を掲げ、
綴 柚枝
はそう言って人懐こい犬のように笑った。
――折角良い音だせるのにさ、聴き手のこと全く考えてない感じ
誰だ、と剣呑に問おうが、
――コンクールでも知ってたんだけど、前々から勿体ないなーって思ってたんだよね
うるさい、と邪険に扱おうが、
――音が迷子になってる
柚枝は意に介さなかった。自身のヴァイオリンの音を不躾に批評されて不機嫌な顔をする
神嶋 征一郎
に、もう一度『ねこじまキャンプ』のチラシを突き付ける。
――そうだ、今度の野外音楽フェス、センパイも一緒にやりましょー!
断る、と言下に拒んでも一向に構わず、半ば無理やりに勧誘された挙句、征一郎は自分のヴァイオリンを手に『ねこじまキャンプ』の舞台裏に立っている。
「仮面ー、ハイこれ!」
ペストマスクに派手な装飾のシルクハット、フリルの揺れる濃緑の燕尾服の胸元には白い薔薇。ヴァイオリンを奏でるだけにしては派手で幻想的な衣装を纏った柚枝が喜々として金の縁取りの蒼い仮面を差し出してくる。
『誰ソ彼コンツェルト』。それが今回の即興ユニットの名らしかった。
「……自分も仮面で弾けと?」
それどころか、舞台衣装じみた濃紺の軍服まで用意されている。
「派手なのは御免だ」
文句を言う征一郎にはやっぱり構わず、柚枝は手早く衣装を着せかける。慣れた手つきのスタッフにも手伝われてしまえば、征一郎に抗う術はなかった。
「今回限りだ」
不承不承、柚枝に言われるままの衣装を身に着けながら、征一郎は息を吐く。
今日になるまで、協奏相手である柚枝の演奏は目にしてきている。初めは柚枝が誰かも分からなかったが、
――ネットに動画投稿してるから!
言われるままに調べてみれば、ペストマスクに顔を隠し『P』と名乗る柚枝の動画はすぐに見つかった。奇抜な見た目にハイテンションなキャラ、そのくせ演奏のレベルは高い。一部界隈で『ペストマスクの人』として知られる彼の演奏を、
(自分の音楽とは傾向が違うが腕はまぁ確かという所だな)
征一郎は冷静に断じる。毛色の違うことが少しは刺激になった。彼に対する評はその程度。
彼自身のことよりも、彼に言われた言葉の方が、今は気になっている。
(聴き手の事……)
忘れてはいなかった。元より、『観客を笑顔にしたいから』という一念でもって演奏をしてきた。そのはずだった。
忘れては、いなかった。
けれど、音を如何に自己解釈するか。
如何に表現するか。
如何に己が技量を高めるか。
如何に良き音を奏でるか――
いつしか、そのことばかりに重点を置くようになっていた。だから柚枝の手厳しい言葉に反論ができなかった。それもあって引きずられるようなかたちで『ねこじまキャンプ』に参加することとなってしまった。
(聴き手……)
その言葉に一番に思い浮かんだのは、家族ではなく、優しい亜麻色の髪の少女。
(結城日和)
一瞬で心を満たす少女の笑顔と名に、征一郎は戸惑う。己が戸惑ったことに、また戸惑う。
彼女は、音を楽しむことを思い出させてくれた存在で、それだけのはず。
(それだけ……な筈)
それ以上の特別な想いはないはず。
そもそも、誰かを特別に想うことなど今までになかった。本当の恋など、知る由もなかった。
脳裏を満たす少女の面影を、けれど征一郎は強靭な意志を振り払う。今は、演奏を前にしている。
(聴き手のことを考えていないと言ったな)
ならば、今日の演奏で応えてやるまで。
仮面をつけていることもあり、誰も寄せ付けぬほど鬼気迫る様子を見せる征一郎の隣、柚枝は衣装のどこからか取り出した携帯電話の画面を眺めてひとり楽し気に笑う。
画面には、パソコン部の後輩たちが送ってくれた応援メッセージと、ゆるキャラスタンプ。
「っし!」
俄然やる気もわいてきた。『がんばるゼ!』と飛び跳ねるスタンプに代えてニャインで送り返す。
「『黄昏』さん、お願いしまーす!」
イベントスタッフの声に応え、柚枝は仮面を被り直す。衣装の具合を確かめ、意気揚々と背筋を伸ばしてステージへの階段を登る。途中で足を止め、ステージの光を逆光に振り返って笑う。
「それじゃ、楽しみましょ、神嶋センパイ」
「……望むところだ」
協奏というよりも決闘に赴くような眼差しを柚枝に向けて後、征一郎は海の匂いのする風を胸に送り込む。仮面を確かめ、軍服の襟を正し、
「ToiToiToi」
小さく呟くのは願掛けの呪文。元は魔物を祓う呪いで、転じて誰かの幸運や幸せを願うおまじない。
舞台に、立つ。
拍手と歓声に迎えられ、眩しいライトと宵の海を背に『誰ソ彼コンツェルト』のふたりは客席に向けて一礼をした。
愛用のヴァイオリン『オリアス』を頬に押し当てる。深海色の瞳を伏せ、弦を引く。夜を始めようとする空に向け、夜を迎えようとする人々に向け、はじめに響かせるは、黄昏を彷彿とさせる旋律。
例えば、水底の泡沫の顛末。
例えば、夕陽を背景に電車で帰路に赴く彼女と語らった思い出。
心を揺り動かせられた記憶を思い浮かべ、音に乗せる。
幻想的で蠱惑的でありながら、どこまでもノスタルジックで正統派で、ゆったりと澄み切って流れる、まるで清水の如きクラシックの導入は、
――不意に。
景色がくるりと裏返るように、エレキヴァイオリンのアップテンポな楽曲に切り替わる。
突然の変調は、けれど否が応にも客席を盛り上がらせた。おお、と沸く聴衆に向け、『ペストマスクの人』はロックアレンジの派手な音を響かせる。それは明日への不安を切り裂き期待に変える、幻想的で楽し気で、激しい音色。
エレキヴァイオリンを奏でながら、柚枝はステージを所狭しと駆ける。ステップに合わせた手拍子を要求し、応じてもらえればその音に合わせてリズムの音を速めて行く。
早く速く疾く、もっと早く。速度がどれだけ上がっても、柚枝の音は乱れない。熱の籠った音を弾く柚枝の瞳は、仮面の奥で光を強める。
音楽は、柚枝にとっての自己表現の方法であり、人を楽しませるツールでもある。
たくさんの人を楽しませたくて、たくさんの練習を重ねてきた。揺るがぬ技術の上にあってこそ、奇抜さは魅力になる。人に楽しんでもらえるからこそ、
(俺は輝く)
人を惹きつけ離さぬ熱を放ち、危いほどに爛々と光を放つ柚枝の背後、巌の如く動かず、征一郎は跳ね回る柚枝の主旋律と並走する。決して邪魔せぬ対旋律は、けれど暴れる主旋律の対であるからこそ静かに蒼い焔を燃やす。柚枝の音がどれほど速くなろうとも一糸乱れずオクターブ下の音を重ね、柚枝の音の熱を支えて更に情熱的に燃え上がらせる。
音が弾む。
蒼い静謐の海の底からぎらぎらと燃え盛る黄金の太陽が昇り、冷たい水に数多の虹を生み出し、――やがて、すべてが黄昏の色となる。荒々しくも熱い朱緋と静かに燃える宵蒼の色が、異なる曲調を持つふたりの音楽が、調和し鎮まる。
フェードアウトの余韻に、客席は静まり返った。
息を弾ませ汗を滴らせ、『誰ソ彼コンツェルト』のふたりが深く一礼して初めて、忘れていた息を取り戻したかのように客席に拍手が沸いた。
「……綴」
全身に喝采を浴びて、征一郎は柚枝の名を初めて口にする。
「綴との協奏は悪くなかった」
掠れた声で言われ、柚枝は破顔する。
「センパイも出来るじゃないですか、こういう演奏」
「ひゃあ……」
舞台袖に立ち尽くして、
結城 日和
は息を殺す。
(あのふたりの後かぁ……)
胸がどきどきする。目の前がくらくらする。
それもこれも、先に舞台に立ったふたりの物凄い演奏を、舞台袖で、ほとんど傍らで聴いてしまったからだ。
ふたりの音楽に圧倒されると共、身体が熱を帯びる。
(遠く及ばないけど、……)
でも、と思えるのがきっと、音楽の力なのだろう。
今は一刻も早く音楽を奏でたかった。
(私は私の精一杯を!)
知らずぎゅっと固くなる肩を、舞台から帰って来た征一郎がすれ違いざまに軽く叩いた。振り返る日和に、演奏の熱を熾火のように滾らせた蒼い瞳が見る。
言葉はなくとも、それで充分な気がした。
舞台に日和の名が呼ばれる。
自身のヴァイオリンを手に、日和はステージへと飛び出した。
レトロな衣装の裾を翻し、ステージの真ん中でくるりとターンする。ふわりと翻るスカートの裾をちょこんと持ち上げ、お転婆なお姫さまのように軽やかに一礼し、――弾くのは、人気バンドの曲を自分なりにヴァイオリン曲へとアレンジしたもの。
お淑やかそうな少女が爆ぜるように奏で始めた音楽に、客席から驚いたような拍手があがった。
長く伸ばした亜麻色の髪を楽し気に躍らせ弾ませ、少女は舞うように音を鳴らす。
(楽しいなぁ)
弾き始めてみれば、思うのはそればかり。
聞いてくれている人に響けばいいと願うばかり。
(やっぱり演奏するのは楽しい……!)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年03月05日
参加申し込みの期限
2018年03月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年03月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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