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魔女の噛み痕 マリーの帰郷
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【夢物語の終着点】
瀟洒と呼ぶにふさわしい、優雅な調べで目を覚ました。
「……ふわぁ」
壬生 由貴奈
はあくびを噛み殺し、二度瞬きをする。
辺りを見回すと、見慣れない光景が広がっていた。
楽団が古典派楽曲を奏で、きらびやかに着飾った男女がステップを踏む。壁際の卓に並べられた皿には豪勢な料理がずらりと並び、グラスをトレイに乗せた薄衣の女性が人々の間を器用にくぐり抜けてゆく。
宮廷。舞踏会。そんな言葉が由貴奈の脳裏へ浮かぶ。
「?」
ふと胸元を見下ろして、由貴奈は自身もまた見たこともないような、美麗なドレスを纏っていることに気づいた。
「何をぼうっとしてるのよ。あなたも楽しんだら?」
目もくらむような光沢を放つソファに、由貴奈は腰かけている。
隣で黄金色の飲み物を口へ含んだ美しい女性が何者であるか、すぐにも察することができた。
「レッドヒル・マリー……」
「あなたまだ若いじゃないの。女学生かしら? でもね、時の流れは容赦を知らないわよ。あっという間、本当にね。後悔の無いよう、時間は有効に活用しなきゃ。呆けている暇など無くてよ」
腰まで届く長い黒髪。金刺繍の施された蝙蝠柄の振袖を身に着けている。二十代の半ばから三十代といったところだろうか。彼女もまた若いが、どこか円熟した、芬々たる魅惑を振りまく女だった。
由貴奈は目を細め、ソファへ深く背を預ける。一つ息を吐き出し、言った。
「あ、そう。じゃ、成功したんだねぇ」
「クーラシン王と私の夢想域を引き剥がすってあなたの最後の試みは、見事にね。おかげで祝宴にも、くふふ。王座は空席のままというわけ」
グラスを傾けて指し示した拍子に、黄金色の酒がこぼれて振袖を濡らしたが、気にするそぶりはない。
仏教色が色濃く反映された王宮の最奥、玉座と思しき豪奢な椅子には確かに、腰かける者の姿は無かった。
舞踏会には数え切れないほどの人々が見てとれ、思い思いに祝いの時を過ごしている。その中には、由貴奈の見知った顔もちらほらと見受けられた。
手を取り踊る、
一条 紗矢香
と
楢木 春彦
。
新田 亮
は
新田 樹
に振り回され、
白 真白
は
日向 透
にエスコートされながらしゃなりとベルベットの上を歩む。
工藤 来夢
は英雄たる
香月 良衣
を外連味たっぷりに描き上げ、
志波 武道
は拍手喝采だ。
高杉 かよう
と
響 蒼留人
は競い合って料理を平らげ、
化神 小次郎
は
御剣 刀
、
史越 奈津樹
らとお勧めのメニューについて意見交換をしている。
壁の花は
朝鳥 さゆる
。大人びた瞳で、あるいは何かを狙うように鋭く、人々を見据えている。
スピカ・フォーツ
と
鷹司 凜太郎
の姿は無い。どこかで二人きり、滴るように濃密な時を過ごしていることだろう。
「それで?」
向かい合ったソファへ、純白のタキシードに身を包んだ
八神 修
と、トレイに山盛りのスイーツを積んだ
椿 美咲紀
がやってきて腰を下ろした。
「うあーん美味しそうなのです! いっただっきま~す」
「……ここが終着点。それは分かった。これからどうするつもりなんだ」
「そうそう、そうれふよ!」
クリームがたっぷりのデザートを口に含みながら、美咲紀はフォークをずいと突きつけた。
「悪夢はもう終わり! なら、あなたはどうするつもりなんです?」
修の目は険しい。由貴奈は飄々と、涼しげに彼女を見つめている。
レッドヒル・マリーは黒髪をさらとかきあげ、紅を差した唇から淡い吐息を漏らす。
「明朝の船で発つわ。帰るの。ようやく帰れるの……あの島へ」
隠せぬ郷愁が、女の顔を染めていた。
「本当に。本当にくだらない、ひとひらの価値すらない忌むべき島だと、そう思っていた。あなたたちにとっては、どうかしらね? 分からないけれど。でも、今はただ、帰りたい。その後どうするかなんて、考えてもいないのよ。私としたことが。レッドヒル・マリーなんて呼ばれた、この私がね……」
「あんたはさ。うちらの行動を、身勝手な怒りと笑ったよね」
グラスを手に取り、あおる。由貴奈の瞳にはもう青い光は宿っていないが、それは冷たく澄んでいた。
「けど、あんたの身勝手で人が死んだ。うちを守ろうとして死んだ人もいたよ。あんた、このまま終わりって、そんなわけにいくかなぁ?」
「生き延びたなら、償うべきだ。そうだろう? レッドヒル・マリー」
事は儚き夢に留まらない。惨憺たる結末の発端は紛れもなく、タユタラの都、そしてガラウルガレン神秘大学における無法と殺戮にあったのだ。
賢王クーラシンの野望が介在したとて、狂気の源流は彼女自身にあったのだ。
「そう……ね。悪いことをした。心からそう思うわ。あなたたちにも」
グラスを置き、小さくつぶやいた彼女の面持ちは、いくらか神妙なものに見えた。
「償えというなら償うわ。けど今は、何も考えられないのよ。分かるでしょう……? やっと解放されたのよ。私は帰る。あの島へ、ああ、やっと……」
彼女を彼女たらしめてきた傲慢はなりを潜め、か弱き淑女めいて肩を震わせる。ようやく叶う帰郷へ思いを馳せる、ただそれだけのちっぽけな女に見えた。
誰もが彼女を、それ以上に責めることができなかった。レッドヒル・マリーの名を持つ魔女にはまるで相応しくない、幼気な少女のように紅潮する頬に、二の句が継げなかった。
「じゃ、最後に……さ」
代わりにでも、と言うべきか。由貴奈は彼女へ尋ねる。
「あんたの本名くらいは、知っておきたかったよ」
「私の? くふっ。真名などもはや隠すべくもない。必要ないものね、いいわ」
す、と小さく息を吸い込み、告げる。
「単純なことよ。レッドヒル・マリーは、リヒャルトが私に贈った愛称。いいこと、本当の名前はね、赤坂 真理……」
そう。
どこかで危うく保たれていた均衡が破れたのは、その瞬間だった。
「……子?」
振袖の胸から突き出した血濡れの刃を見下ろし、しばし呆然と眺めた後に、やがて彼女は目を見開いた。
「お……ご、お、あ、が、あおおおおおおァ!?」
「ダメだ!! ソフィア!!」
伸ばした修の手は、届かない。
ずるり。ソファだと思い込んでいたものは単なる影であり、成り代わるように姿を現したソフィア・マクマスターは、背中へ突き入れた長剣もそのまま、肩越しに囁いた。
「……伝えたはず。あなたに。ここが終着点と……レッドヒル・マリー」
「がばッ、ごァ、ごの、クサレがァ……!!」
舞踏会だと思い込んでいたものは投影される映像の類であり、風景は溶け落ち、結局のところ残されるのは、闇だけだ。
美咲紀の手に皿やフォークはなく、身に着けているのはきらびやかなドレスでもない。悪夢へ迷い込んだ時と変わらぬ装いで問う。
「ソフィアさん、何をするのです……!?」
「魔術など忘却の彼方へと手放すと? 故郷で慎ましやかな贖罪の日々を送ると……? この女が?」
弧を描き頬を裂くソフィアの古傷が鋭利に歪み、抑えがたく嘲笑を浮かべる。
「空々しい」
「このッ、腐れ尼公風情が、この私にっ!! レッドヒル・マリーに、傷を!! ふざけるんじゃないわよ!!」
「稀代の魔術の才。飽くなき探求心。諦めると? 半生を費やしてきた魔術を捨て去ると? 否。あなたは繰り返す。ほとぼりが冷めたとばかり、再び世に厄災を撒き散らす……私が許しはしません。神と父の名において」
長剣を抉ると、耳をつんざく絶叫が迸った。
もはや差し伸べる手もない。分かっていたのだろう。
「俺たちは……貴女も一緒に。そう思っていたんだ。本当に……」
「そうなのですよ! ソフィアさんも一緒に!」
「……ごめんなさい。けれど……」
ソフィアは噴き上がる赤い飛沫の向こうで、彼らにだけは、柔和に微笑んで見せた。
「ありがとう」
修は複雑な面持ちで眉を寄せ、美咲紀は瞳を伏せる。
由貴奈は。
「…………」
「シモーヌ・デュボアは一つ、失策を犯しました。魔女を封ずる魔術の行使に、ガラウルガレン神秘大学の記憶を依り代とした。結果、魔女に閉じた夢想域のループを破るきっかけを与えてしまった……私は違います。この闇は私の心。ここには過去も無い。未来も無い。始まりも終わりもない空虚の檻。あなたが爪を立てる余地など一つとて……」
「い、いや……いやよ。いやァッ!! た、助けて……帰りたいの、あの島に、由貴奈!! ねえ、同郷のよしみでしょう!? 助けて、お願いよ!! 由貴奈!? あなた、早く、この、お前っ……」
魔女の顔が苦悶と憤怒で歪んでいくのを、由貴奈は眺めていた。
静かに、超然として。
「いい加減に……学べよっ、このガキ!! 私の魔術のいかに高尚たるかっ、理解しろよ!! お前らに私を見捨てる権利があるとでも思ってるの、ええ!? 私は稀代の魔女よ、私の積み上げてきた魔術の粋が失われることの世の損失をっ、この、この低能どもがっ、さっさと私を助けろ愚図のメスガキがっ!!」
「……あんたは。どこまで行っても、レッドヒル・マリーなんだねぇ」
沈んでゆく。ずぶずぶと、闇へ。
「ま、覚えといてあげるよぉ。あんたの名前くらいはさ……」
「い、いやっ! 待って、やめっ……帰るの!! 私っ、帰るの、あの島に!! や、やだ、お願っ、もういやよ……いやよ、くそっ、私が何をしたっていうのよ、クソがっ!! クズどもを実験台にしたくらいで、何で私がこんな目に!? ちくしょう、お前ら分かってない、あんたたちのどうしようもないクズ命を束にしたって、私の人生の百分の一の価値もあるものか!! このっ、早く助け、いや……いやだあああああア!!」
ソフィアの剣に貫かれ、囚われた魔女は、沈んでゆく。
逃れる術無き、円環成す檻へと。
「そうっ、そうだわ、聞いて!! ねえ、まだ試してない魔術があるの!! あなたに真っ先に施してあげる、そうよ、あれを使えば永遠の命さえ手に入るじゃないの!! どうして気づかなかったのかしら、くふふっ、あれさえあれば私を邪魔するクソはいなくなるじゃないの!! ああっ、そうよ!! 永久に、永劫に、魔術の深淵を探究し続けられるじゃないのよおおおおおおォ…………!!」」
波間へ落ちた小石のように波紋を一つ残して、魔女は永劫の闇へ消えた。
ソフィアも、魔女も。その姿が二度と再び、浮かび上がることは無かった。
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3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
ホラー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年02月21日
参加申し込みの期限
2018年02月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年02月28日 11時00分
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