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【夢想域最深奥】
何もかもがぼやけて遠い。
身体が重い。例えば光届かぬ深海に落とされたなら、こんな感覚だろうか。
灯台下暗しとも言う。最も近しい夢の最奥ともなれば、案外ままならぬものなのかもしれない。
「それにしたって、暗いわね」
目は慣れてきたはずだが、
一条 紗矢香
の眼前に広がる暗闇は重くのしかかる海水のごとく揺らめくのみで、何も見えはしない。
「春彦? いないの? ここにも……」
試しに幼馴染の名を呼んでみるが、当然のように返答は無い。
「どうしたら……いいのかしら」
夢境を編纂し、時空に綻びを穿つ。その試みは正しく、力求む賢王の無意識は紗矢香をここへ引き入れたのだろう。
だが……何も。何も見えはしない。
しかし、歩むことはできた。
「行くしかないわね」
足元すらひどく覚束ないが、進むことはできる。
紗矢香は歩き始めた。
「春彦……また無茶をして、酷い怪我をしてなきゃいいけど。もしズタボロになってたりしたら、承知しないわよ……!」
時の感覚が曖昧だ。紗矢香の意識もぼやけている。
疲労も、渇きも空腹も無いが、たどるべき目的も無い。何も見えない。
暗闇。ひたすらに続く、先の見えない暗闇が。延々と。
「…………」
紗矢香は無に支配されていく。
しかし、歩く足だけは止めなかった。
何時間経っただろう。
いや、何日経ったのだろう?
いや……本当にその程度だろうか。自分はもう、何年もこうして歩き続けているのではないだろうか。
この先何十年、何百年、歩き続けなければならないのだろうか。
……何のために?
何故、自分が?
この、暗闇の中を?
誰かを探していたのだと思う。おぼろげに、それだけは覚えている。
だが、一体誰だったろうか。
あまりにも間延びした時の中で、顔も名前も忘れてしまったが、きっと大切な誰かであったように思う。
だから、歩き続けているのだろうか。
忘れてしまえばいいのに。完全にこの闇と一体化し、最後に残ったこの自意識など投げ捨てて、溶けてしまえば楽になれるのに。
光が。
「…………?」
何か。闇の中、ちらと、何かが。
青い光が、見えた。
こんな夢を見た。
吾は赤子であったが、夢を見ることができた。
暗く深い紫が満ちている。そやつは珊瑚棚に腰かけ、吾を招いていた。
手を招いているのだと思いきや、そやつの頭頂には蛸や烏賊、あるいは磯巾着のごとき触腕が生えうねり、吾を招いているのだった。赤子の吾は蛸も烏賊も磯巾着もまだ目にしたことが無かったが、後に思えばそれはそうしたものであった。
肌は真白く薄衣のごとく透き通り、はらわたが収まっている様子が見て取れた。
そやつは言葉を口にしなかった。赤子の吾もまた言葉を持たなかったが、そやつが口を開くことはなかった。
代わりに、吾はそやつとの精神の感応を体感した。意思というものは形が無く、故に却って赤子の吾にこそ通ずるものがあった。
そやつは嘆きに暮れていた。帰れぬのだと。
かつて暮らした深淵への郷愁を捨て去ることはできぬのだと。
螺旋成すくちなわに乗り旅をしてきたが、民らは乗り換えのたび浮上し、今や郷里は手の届かぬ遠き果てとなってしまった。
帰りたい。還りたい。
そやつを夢に見たのは一度切りであったが、いつしかそやつの郷愁を、吾もまた遥けき故郷への憧憬と抱くようになった。
正しくそれは、天啓であったのだ。
「ああ。どうも。お疲れさまです、先輩」
「……あら」
たどりついた光は、
史越 奈津樹
の瞳が発する青い輝きだった。
座り込んだ奈津樹の腹には拳大の穴が開き、止め処なく噴き出す奔流が闇の中へ赤黒い流れを形作っているが、彼は涼やかな顔で言った。
「ようこそ、玉座へ。俺はこの通り、ちょっと動けないので……後、お願いできますか」
かざした手の示す先。
紗矢香の目の前に、奇怪な物が佇んでいた。
「へえ。なるほどね。これが賢王クーラシンの本体、というわけね」
「多分、そんな感じです」
脈打つ肥大化した脳髄。見る限り、そのようなものだ。
歪みのない正方形に形作られた真紅の檻に押し込められ、脳は牢を破り更なる膨張を図ろうとしてか、絶え間なく脈動を続けている。
「武器が必要なら、そこに。ちょっと借りるといいんじゃないかな、それ」
奈津樹の言葉に従い足元を見やれば、そこには誰かが倒れ伏している。
地には刃を引き潰した日本刀が突き立っている。
御剣 刀
だった。
紗矢香は、借りるわね、と言い置いてから刃引き刀の柄に手を添え、引き抜く。ずしりとした心地よい重みを確かめると、歩を進める。
何十年、何百年もの長き時を、無心に歩き続けてきた。あるいはそうと思えただけで、ほんの一瞬に過ぎない時間であったのかもしれないが、どこか感慨深い思いが紗矢香の胸には満ちた。
終わる。悪夢が、終わる。
「止めよ!!」
檻の中に囚われた何者かが、膨れ上がる脳髄に押し潰されんとしながらも、紗矢香へと叫ぶ。
まだ年若い、少年と言ってもいい年頃の、きらびやかに着飾った男だった。
「王殺しの大罪がいかほどの重きであるか、理解できぬ下愚でもあるまい! 即刻剣を収めよ!!」
「あら。お久しぶりね、王様。実際に会うのは初めてだけれど」
意に介さず、紗矢香は足を止めない。彼女の瞳もまた青く染まり、輝きは氷のように凍てついていた。
引きずる刃引き刀がかき鳴らす乾いた金音が、男の顔色を朱く染めてゆく。わななき震える両手で檻を握り、唾を吐き散らす。
「余は天与の王ぞ、余は……常世の王なるぞ! 否! 余は常世を統べし、神と成らん!! 神殺しの咎を負うか!? 天が貴様に下す誅罰の苦悶は如何ほどであろうな!! 道理も悟らぬ痴れ者が、剣を収めよと……!!」
「一つ。言っとくと……」
王族を名乗るには口汚く吐き散らす男を遮り、奈津樹は首だけを紗矢香に向け、つまらなさそうに告げた。
「俺は彼と繋がってる。分かってるんだ。この夢境を構成しているのは、彼とレッドヒル・マリーの夢だ。でも主導権は彼。操っているのは……楢木先輩を縊り殺しましたよ、そいつ」
構える。切っ先を檻の中へ向けた。
聞くまでもなくそうするつもりではあったが、握り締めた拳が白むほどには力がこもった。
「そう……また、殺したのね」
「待て!! 王たる者の責は其方にも理解できよう、余もまた必死であるのだ。民を導かねばならぬ、栄光浄土へ誘わねばならぬ、それが王の務めよ! そうであろうが!? 其方とて、事此処に至りしは世の理を解すべし……」
「黙りなさい」
落ち着いた面持ちとは裏腹に、紗矢香は切っ先が怒りに震えぬよう抑えねばならなかった。
叫ぶ男の声も、もはや聞こえはしない。どうせつまらぬ妄言だろう。
「黙りなさい……天与の王? 笑わせないで。あなたは王様になんて、相応しくは無いわ」
図らずも、それは刃引き刀の主たる刀が、愚王へ届けんとした言葉だった。
腕を突き出す。滑り込む刃が、ぷつりと繋がりを断つ。柄を捻じり、抉る。噴き上がる脳漿と血が紗矢香を濡らしたが、一度たりと瞳は閉じず、青い輝きは増すばかり。
迸る声なき絶叫が、闇を引き裂いてゆく。
やがて満ちた光が、紗矢香を、奈津樹を、刀を純白に染め上げ、彼らの意識までもさらっていった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
前回シナリオ
魔女の咬み痕 腫都タユタラ
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
ホラー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年02月21日
参加申し込みの期限
2018年02月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年02月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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