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布団の中で丸くなっているのかと最初は思った。
それくらい温かかった。
(あとなんかいいにおい)
ぼんやりと瞼を開きながら、
御剣 刀
はそう思う。甘いような、女の子のにおい。何気なく伸ばした手にふわりと触れる、柔らかくもしなやかに指先を押し返す、
「な、何……何だ? え?」
何だ、と言いつつそれが何か分かっていて条件反射とどさくさまぎれに揉もうとして、
「な、何? 何なの?」
鋭い声と掌に払いのけられた。
「ごめん、何が何だか、」
強かにぶたれた手を慌ててどけようとして、今度は別の誰かのぷにっと柔らかいナニカに触れた。驚いたような息遣いと共、小さな掌が手に触れる。
「ごっ、ごめん、ゴメンナサイっ」
たぶんお腹か腰に触れたのだと思いつつ、刀は暗闇に満ちる女の子たちの目眩がするくらい甘い匂いに心当たりがあることに気づいた。柔らかいながらも華奢な腰の感覚にも、鍛え上げながらもきちんと柔らかな胸の感覚にも、やっぱり覚えがある。
(これはあれだ)
高校生男子の本能として思う。
(今俺は間違いなく幸運な事態に陥っている、ありがとうございます!)
いつもは大抵厄介事ばかり巻き起こす神魂ではあるけれど、今ばかりは力いっぱい、この状況をもたらした神魂にお礼を言おう。
(……そうだ)
今ばかりではなかった。今までだって、神魂は色んな『幸運な事態』をもたらしてもくれた。
(エッチなハプニングがいっぱいありました……)
女の子ふたりに左右からほとんど押し潰されながら、刀は心の中で手を合わせる。普段は隠してはいるものの、剣の道一筋ではあるものの、実はムッツリ助平であることは否めない。そうは言っても年頃の男子、普段から一番身近に感じている女子ふたりと狭くて暗い箱の中に閉じ込められてしまえば、うっかりあんなこともこんなことも考えてしまうというもの。ついでに以前起きたり起こしてしまったりしたあんなことやこんなことも思い返してしまうというもの。
(不可! 抗力! です!)
心の中で言い訳しつつ、罪悪感がないわけではない。何となくそわそわしてしまう。
「海と千歳か」
そわそわを誤魔化して、同じ箱の中にぎゅうぎゅうに詰め込まれてしまった
小山内 海
と
橘 千歳
、ふたりの女子の名を呼ぶ。
「やっぱり、刀君ね」
ほんの少しの動揺と怒りと、それから安堵まじりの声で千歳が息を吐く。
「なんだろう、この押し饅頭状態……」
げんなりと呟く千歳の手を、小さくて温かな指が掴んだ。
「海ちゃん?」
問えば、開いた掌に、小さな指が文字を書く。
『うん』
『うみだよ』
千歳と刀の掌にそれぞれ文字を書き、幼い頃に病気で声を失った少女は小柄な身体を一層小さく縮こまらせた。そうしたところで、どうやっても身体のどこかしらが隣の刀に触れる。刀に触れている千歳の身体にも触れる。
『しんこんのしわざ?』
「そうね」
「だな」
海の言葉に千歳と刀は揃って顎を引く。
「俺たちなら大丈夫」
僅かに落ちる沈黙を振り払ったのは、刀の力強い声だった。掌に触れる海の指を掴み、手探りに千歳の手を掴み、刀は暗闇に笑う。
「今までだって力を合わせて乗り越えてきただろう?」
握りしめた掌を握り返してくれるふたりの少女の指のぬくもりに力を得て、刀は堂々と宣言する。
「何でもどんとこい! だろ?」
刀は力強く言い放った途端に、海と千歳はその言葉に頷いた途端に、この箱から解放されるためのたったひとつの方法を悟った。
『互いに秘密を告白する』。
「あー、」
思わず天を仰ごうとして、刀は箱を構成する硬い壁に頭を打ち付けた。うおお、と唸りつつ、刀はふたりには見えないと分かっていながら挙手する。
「じゃあ俺」
暗闇にふたりぶんの視線を感じつつ、刀は話す。
「俺は今、今までにあったエッチなハプニングを思い出してました」
「……まぁ、刀君のは秘密じゃないよね、それ?」
海が頷く気配がする。ムッツリ助平が完全にばれていることに刀はもう一度天を仰ごうとしてまた頭をぶつけた。
「……千歳と海の感触から思い出してました」
千歳に怒られそうだから黙っていようとしていた秘密を白状する。
『あいて、わたしたち?』
「あっ、はい、海さんの言う通りです。仕方ないんです、男なら正常なんです」
ムッツリ助平はうなだれて黙り込んだ。
「私たちが知らないところでもやってるなら確かに問題だけど……」
刀が肩を落とす気配を読み、どうにか慰めようと言いかけて、千歳はやっぱり黙り込む。言葉の途中で気づいた。
「いや、知ってても問題ね」
「ごもっともです」
ゴメンナサイ、と素直に謝る刀の可愛らしさに、刀に好意を抱く女子ふたりは刀を挟んでくすくすと笑い合う。
「つ、次っ」
息も絶え絶えに呻く刀に、じゃあ、と海がふたりの手を取った。
(秘密……そうだなぁ)
『さいきん、しょうじょまんがにはまってること』
(かな?)
「それが秘密なのか?」
「少女漫画……?」
不思議そうな刀の掌には『そう』、と一言。同じく不思議そうな千歳の手には、
『刀のこといえないかもだけど』
こっそりと書き込む。どんなに声を潜めても聞こえてしまう狭い箱の中で、この筆談の方法はふたりきりで話すためにとても有効かもしれない。そう思って小さく笑う。
『さいきんのはけっこうかげき』
「そうなの?」
『というかエッチ』
「エッ……」
千歳は慌てて声を呑みこむ。みるみる頬に熱が上るのを感じながら、千歳は傍らの刀の気配を読む。
海が破廉恥な少女漫画を好んで読んでいると知ったら、このムッツリはどんな顔をするだろう。
『こんどいっしょによむ?』
「えっ、……えっと、あの……ええ、そう、ね」
ムッツリはムッツリらしく、やっぱり真顔のままなのだろうか。それとも我慢できずにこくりと頷いて色んなことを想像したりするのだろうか。
(エッチな少女漫画にハマっている海……)
刀の心の呟きが聞こえたような気がして、千歳は自分でも分からないままにちょっとむくれた。
『おすすめ、おしえてあげる』
「ちょっ、……海ちゃん、海ちゃん……!」
暗闇をいいことに悪戯っぽく続ける海の手を握りしめる。弾みで海と千歳に両側から抱き着かれる格好になった刀が、うう、とも、むぐう、とも言えない苦しいような嬉しいような声を上げた。
不可抗力とは言え幸せそうな刀に真面目な怒りを覚え、ひとこと言ってやろうとしてから、千歳はふと黙り込んだ。
『秘密を言わなければ出られない』。
親しいふたりと閉じ込められたから良かったけれど、もしもそうではない、例えば全く知らないひとと閉じ込められてしまったりしたらきっととても困っていただろう。何かの罰なのかもしれないと思ってしまったかもしれない。
(もしもこれが、罰なのだとしたら)
ふたりのぬくもりに触れながら、千歳は眼を伏せる。触れているからこそ、考えてしまう。
もしも、神魂が誰かに罰を与えるためにこんな事態をもたらしているのだとしたら。
(罰を与えられるべきなのは、私)
そう考えると止まらなくなった。神魂がどういうもので、どういう理屈で寝子島に影響を及ぼしているのか、正しく知るものはきっと居まい。けれどこんな箱の中に閉じ込められてしまうには何か理由があるはずで、それはきっと、『神さま』が『わるいこと』をした者に下す天罰だったりもするのかもしれない。もしかするとそうなのかもしれない。だとしたら、
(きっとこれは私のせいだ)
自分の欲に負けて、いけないことをしてしまった。そのために大切なふたりを巻き込んでしまった。
生真面目な千歳はそう思い込む。自分を追い込む。
「ごめんね、刀君、海ちゃん……」
事態をひとりで抱え込んで自分で自分を追い詰めた挙句、千歳はほとんど涙声でふたりに謝る。
こんなことになったのが自分のせいだと知れば、ふたりはどんな顔をするだろう。怒るだろうか、呆れるだろうか。
(……ううん)
分かっている。ふたりはきっと、そんなことはしない。これが千歳のせいだと知っても、刀は大丈夫だと励ましてくれる。海は優しく手を握ってくれる。
ずっと一緒にいろんなことを経験してきた。いろんな事件も乗り越えて来た。
刀が最初に口にした通り、
(三人なら、大丈夫)
魔法の呪文を心の中で唱えてみる。そうして、告白する。
「私が校則違反なんてするから、だからきっとこんなことに」
「校則違反?」
生真面目な風紀委員の口から出たとは思えぬ台詞に、刀が素っ頓狂な声をあげた。海が千歳の掌に大きなハテナマークを書き込む。
「実は、」
千歳はそっと声を潜める。
「今スマートフォンアプリでぬっこ育てってゲームにハマっているの」
重大な秘密をばらしてしまう気がして、声が掠れた。千歳は罪を告白する勇気を振り絞る。
『しってる』
海の文字に千歳は頷く。刀は不思議そうに黙ったまま。
あのね、と千歳はうつむく。纏った衣服のポケットにスマホが入っていないかと、動かし難い手をもそもそと動かしてみるけれど、
「うひゃっ」
「ご、ごめんね」
刀のどこかくすぐったい箇所に触ってしまったらしい。スマホも見つけられず、千歳は肩を落とす。
「画面の中の家に猫グッズとか設置すると猫が集まって来て住み始めるのよ」
日本家屋の縁側に普通のお家の庭先、お菓子の家に西部劇の家、色んなシチュエーションだって設定できる。そこに設置できるグッズも、ぬいぐるみに土鍋にもこもこクッション、数え切れないくらいたくさんある。
それから、もちろん猫も。
スマホ画面の中に住むかわいい猫たちを思い出して、千歳は思わずちらりと笑った。
一番のお気に入りなぶち模様のショートテイルの子は今日も来ているだろうか。いつもみたいに毛糸玉に抱き着いて遊んでいるだろうか。
こげ茶のスコティッシュフォールドの子に、凛々しいソマリの子、愛嬌があって可愛いアメショの子。みんなみんな、とっても可愛いのだ。一日にどれだけ眺めていても飽きないのだ。
『ちとせちゃん?』
うっかりゲームの猫たちのことに意識を飛ばしてしまっていたことに気づいて、千歳は慌てて咳払いをする。で、と何事もなかったかのように続ける。
「その猫の子たちには定期的に餌をあげないといけないのね」
お徳用カリカリに高級カリカリ、猫缶にマグロ缶、餌にだってたくさん種類がある。猫缶とマグロ缶は課金アイテムでもあるけれど、なんといっても猫たちの食いつきがいい。珍しい猫が来てくれたりもする。ときには『たからもの』だってもらえたりするのだ。
(ぶち模様ちゃんがたからものを持って来てくれたときは嬉しかったな……)
ともすればすぐにバーチャル猫たちのことを考えてしまう頭を必死に切り替え、千歳は続ける。
「ところが私、今日の朝寝過ごしちゃって餌をあげる時間がなかったのよ」
いつもは寝る前に一度、朝いちばんに一度、布団の中でアプリを起動して遊ぶ。
(もしかして、それもいけなかった……?!)
そもそも寝坊の原因も、布団の中でぬっこ集めをしてしまったからだ。画面の中でもふもふと動く猫たちを眺めたり写真を撮ったり名前を付けたりしてしまっていたからだ。
ますますしょんぼりと肩を丸め、千歳は小さな声で告白する。
「そしたら、二時限目の授業中に猫たちからお腹が空いたニャってメッセージがね……」
「千歳」
不意に刀が大真面目な声で話を遮った。ぎくりと瞬く千歳に、真剣な声で刀は告げる。
「もう一回言って」
「お腹が空いたニャ……?」
「うん」
こくり、と刀が頷く気配がした。それきり口を閉ざす刀に首を傾げつつ、千歳は息を吐く。
「授業中のスマホの使用が校則違反になるのはわかっていたし、我慢しようと思ったのよ」
でも、できなかった。だって猫たちがお腹を空かせている。お腹が空いたニャと悲しい声で鳴いている。
「ここから出れたら先生にすべて自白するわ。授業中にこっそりスマホゲームをしてしまいましたって」
きっととても叱られる。生徒の規範を護るべき風紀委員が何事かとこってり絞られてしまう。
「停学とかにはならないとは思うけど……」
考えれば考えるほど悲観的になってくる。声が沈んでくる。それなのに、
「っ、……く、くく」
刀が噴き出す直前の声を我慢している。海が小さく身体を震わせている。
「……って、ねぇ、ちょっと」
千歳が不満げに言った途端、刀が堪えきれずに爆笑し始めた。暗闇で分からないものの、海もきっと顔中で笑っている。
「なんで笑ってるの?」
「いや、」
思わず声が尖った。しまった、とでも言いたげに刀が笑い声を納める。
「別にいいんじゃない? 千歳が猫好きなの知ってるし、仕方ないよ、うん」
それでもくすくすと笑みを零しながら、刀は少し苦労しながら手を動かした。
「誰だって欲望に負けることはある。どんまいどんまい」
肩を抱くようにぱたぱたと軽く叩かれ、千歳は黙する。
『だいじょうぶ』
「それくらいで何か言われるなら、刀なんてもう退学になっちゃってる」
海が掌に書き込む文字を読み上げて、千歳はいつの間にか力の籠っていた眉間から力をぬいた。くすり、笑ってしまう。
「……確かに、刀君がまだ学校にいられるんなら大丈夫かな……」
「そうそう、俺なんか普通に授業サボっているし、その俺が退学になってないんだから全然大丈夫、……って」
いや、と千歳と刀の声が被った。
「それはそれでどうかと思うけど……」
「これひどくね?」
ふたり同時に言ってから、ふたり同時に笑い声をたてる。
笑いながら、千歳は心から安堵する。箱の中に閉じ込められたのが自分のせいなのかは分からないけれど、
(そうね、)
何があっても、この三人なら大丈夫。
心からそう思う。
『ぬっこあつめ、わたしもやってる』
「えっ、海ちゃんもやってるの?」
『みけのこがすき。ふれんどとうろくしようね』
「うん、フレンド登録しよっか」
お互いの家を訪ねることが出来るようになるフレンド登録について盛り上がる女子ふたりに挟まれつつ、刀は自分もやってみようかなとぼんやり考える。
お互いの秘密は無事に打ち明け終えた。ほどなくここからは出られるだろうけれど、
(でも、もう少しだけ)
できればもうちょっとだけ、この幸運な事態を堪能していたい気持ちがないでもない。
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シルバーシナリオ(150)
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3人まで
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日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年02月07日
参加申し込みの期限
2018年02月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年02月14日 11時00分
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