this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
in the box
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
…
9
つぎへ >>
瞬きを繰り返す。
それでも視界を暗く覆う闇に首を傾げようとして、こめかみを硬いナニカにぶつけた。
「いてて、」
むーっと眉をしかめつつ、ぶつけたところを手でさすろうとして、腕が動かないことに気が付いた。柔らかくて温かなものが腕によりかかっている。片方が冷たくて硬い壁のようなものであるだけに、反対の腕に触れるそれはとてもとても、
「なんだ!?」
頭から直通で素っ頓狂な声が飛び出してしまった。しまった、と壁側にある手で口を押えようとして、その手も壁だか天井だかにぶつける。反射的に伸ばそうとした足も壁に打ち付け、
卯木 衛
は暗闇にちょっぴり怒った顔をした。どうにも窮屈で狭苦しい空間に、誰かと二人で閉じ込められてしまっているらしい。
もそもそと隣の誰かが身じろぎをする。この状況にあって未だにのんびりとした寝息を立ててこちらに無防備に寄りかかってきている誰かに声を掛けようとして、気づいた。
(って、)
寝息に聞き覚えがある。
腕に触れるこの体温を、頬に触れる相手の髪のこの柔らかさを、知っている。
(もしかしてこれ由貴奈さんか!?)
思い至った瞬間に心臓が跳ね上がった。体温も呼吸の速度も跳ね上がった。隣で眠っているのは、好きで好きで大好きな綺麗なひと、
壬生 由貴奈
だ。
(うおお)
触れあっている場所が全体的に柔らかい。
額に頬に触れる髪がくすぐったい。
そもそも髪が触れる間近に、下手をすれば吐息が触れる位置に、大好きなひとの顔がある。肩や腕に、足にも、すごく、ものすごく柔らかなものが、
(どこの部位とかは意識しちゃいけねえぞ俺!)
とりあえず指一本動かしてなるものかと決意する。どちらがどちらの体温なのかもわからなくなるほどに肌が密着しているけれど、
(紳士! 今日の俺は超絶紳士!)
自分で自分に言い聞かせる。触れあっていることを意識しないように頑張って努めて、紳士で大人な対応もできるんですよと由貴奈さんに知ってもらわなくては。
(いやでもいい匂いがする……)
言い聞かせた端から紳士は狼に変化しかける。
(この箱めっちゃいい匂いする)
こくりと喉が上下する。
「ゆ、……由貴奈、さん……」
「……うーちゃん?」
眠っていると思い込んでいた由貴奈の囁き声を、思っていたよりも近くに聞いた。思わずぎくり、身を跳ねさせた途端、ごつんと頭を天井だか壁だかに手酷くぶつけて衛は呻く。
「うち家で寝てたはずなんだけどねぇ……」
夢かな、と呟く由貴奈の、いつもとそう変わらないおっとりとした声音に、衛はずっとうるさいままの心臓を抑えようと小さく深呼吸する。
(静まれ心臓、)
これじゃ由貴奈さんの声もまともに聞こえねえぞ。
「暗いとこ怖かったり窮屈だったりしませんか?」
「んー……」
「狭かったら遠慮なく伸ばしてくれていいですからね」
究極に紳士的に言ったはずなのに、由貴奈はどこか悪戯っぽいような笑い声を零した。笑い声と共、空気が動く。甘いような女の子の香が鼻をくすぐる。微かに動いた由貴奈の腕がさっきより強く腕に触れる。どうやら曲げていた足をほんの少しだけ伸ばしたらしいと知るよりも先、うなじに血が昇る。もうどうしようもなく顔に熱がこもる。
このひとはどうしてこんなに柔らかくていい匂いがするのだろう。
「……真っ暗だからある程度は仕方ないけど、あんまり触り過ぎないようにね?」
「ハイ」
本当は、狭くて暗いのを言い訳にもっとくっついてしまいたかった。
本当の本当は、抱きすくめて、身体全部を押し付け合ってしまいたかった。
「ま、うちは大丈夫だよぉ。気を遣ってくれてありがと」
いつもと同じ声音で、なんだか大人の余裕で微笑むふたつ年上の恋人に、衛は忠犬の仕草でもう一度頷く。
(暗くて良かった)
少しでも明るければ、真っ赤で、それからきっと少なからず不満な表情を見られてしまっていた。
(ヒミツを言ったらここから出られるんだよな)
ここが箱のようなナニカの中であると知覚したときから、箱を出る方法は何故だか頭の中にある。
(出ちゃうのか……いや、出るんだけど)
これが夢なのかそうでないのかも分からないものの、すぐに出てしまうのもなんだかもったいない気がした。だってこのひとといつもずっと一緒に居られているわけではない。
自分は高校生で、彼女は大学生。逢おうと思えば逢えるけれど、それだっていつでもというわけにはいかない。時間だって限られている。
「んー、秘密、秘密かぁ……」
傍らに衛の強張った肩のあたりを感じながら、由貴奈はぽつりと零す。
目が覚めた次の瞬間から、この箱を出る方法は頭の中にある。これが夢なのか現実なのか、はたまた神魂の影響を受けたナニカなのかは今のところ判別はつけられていないけれど、出られる方法が提示されているのはありがたい。
隣でほとんど正座せんばかりの雰囲気を醸し出している恋人を見遣る。暗闇であっても伝わってくる彼の真直ぐさは、眩しいような心地よいような、不思議な感覚がする。
(昔起きた事……)
こどもじみた熱を放つ年下の恋人の肩に額を寄せる。いくつか話したことがないわけではないけれど、
(……あんまり人に語るべきものじゃないね)
それに、昔の事には大抵自分の中で片を付けている。思い出して誰かに甘えたくなることがないわけではないけれど、今は誰の同情も慰めも必要としていない。
(それじゃ割かし最近の出来事……)
それも色々とあったけれど、秘密と言えそうなものは思い当たらない。
「……うーちゃんは何かあるー?」
問うた途端、少年の肩がぎくりと震えた。
「今までヒミツにしてたんですけど」
今から嘘を吐きますよ、そういう口調で衛は芝居じみて声を潜める。
「俺、実は結構狼なんですよ」
言いながら我慢が効かず、自称狼は先にクスクスと笑い始めてしまう。
「へぇ、うーちゃん狼なんだー」
狼になり切れない狼宣言は適当に受け流す。見えないまでも、自称狼はしょんぼりと肩を落とした。光の当たり方に寄っては優しい黄昏の金色にも見える前髪の下、蒲公英のように鮮やかな黄金色の瞳を伏せる恋人の横顔が思い浮かんで、
「でも、」
由貴奈は思わず笑みを零す。
「うーちゃんは狼よりかはわんこっぽいよぉ」
ふふふ、と零れてしまった笑みが止まらず、由貴奈は瞳を細める。
「確かに待てはできる狼ですけどぉ」
むくれた声でぼやいていたかと思うと、自称狼は忠犬じみて隣でじっとさせていた手をもぞもぞと動かし始めた。手探りに主の手を探り当て、そうっとそうっと、振りほどかれるのを恐れるように指を絡める。由貴奈が不思議そうに様子を伺っていれば、持ち上げられた掌は頬より柔らかなものに触れた。掌に感じる熱い息に、それが衛の唇だと、掌にキスをされたのだと知る。
「ほら、ね?」
尻尾さえ振りかねぬ調子で、おそらくは半分楽し気に半分自身も動揺した顔をしているだろう衛の指を、由貴奈は逃すまいと握り返した。咄嗟に戸惑って逃げそうな素振りさえしようとする狼の手を胸元に抱き寄せる。
「じゃあ、当分は待てとお座りになっちゃうかもだねぇ」
由貴奈が挑むように囁けば、狼は言葉に詰まった。更に重ねて、さらりと付け加えてみる。
「うちの秘密はー……あぁ、一年生のとき付き合ってた人いたよぉ」
「え゛っ!?」
紳士的な狼の仮面が一気に剥がれた。
「そそそうなんですか!?」
どんな秘密を聞かされても動揺すまいと決めていたのに、あっさりと狼狽えてしまってから、衛は真っ暗闇に傍らの由貴奈を見つめる。見えないまでも、このひとはとても綺麗だ。見えていれば、きっとなおさら。
笑顔は可愛いし、優しいし、ご飯もお菓子も美味しいし、
(モテてもおかしくないけど……)
恋人がいたとしてもおかしくないのは、考えてみれば確かではあるのだけれど、考えてしまうと胸が苦しくなる。
(……何か、)
今はもうその恋人は恋人ではないのだと頭では理解していながらも、由貴奈を恋人としていた誰かに嫉妬してしまいそうになる。
「……うそだけど」
「……って嘘だったんですか」
苦しかった胸が一息に楽になった。
握りしめた衛の手がふわりと緩む。それどころか強張っていた全身から力がぬける。
「うーちゃん」
「はい?」
かわいいねえ、と言いかけて、やめた。代わりに大好きな彼氏の手をぎゅっと胸に抱きしめる。
狭くて暗い箱の中で、自分は今、何がしたいのだろう。
今隣にいてくれるこのひとに告白するには、過去の秘密なんかよりそのことの方が相応しい秘密のように思えた。
「ヒミツかあ」
待てを命じられた名目上、なるべく壁際に押し付けていた身体を衛はほんの少しだけ由貴奈に寄り添わせる。本当はずっとこうしていたいけれど、夢なら夢で、そろそろ覚めなくてはならない頃合いなのかもしれない。たとえ夢でなくとも、今度はおひさまの下で、――
そこまで考えて、突然に思い至った。
「そうだ! 由貴奈さん、実は俺もっといっぱいいちゃいちゃしたいの黙ってました」
これが俺のヒミツです。どこか得意そうな声音で言う衛に、由貴奈は思わず笑みを零した。このひとは、一緒にいるといつでも嬉しい笑みを浮かべさせてくれる。
「それはうちも同じだよぉ、それじゃあこれからはもっといちゃいちゃしようねぇ」
くすぐったい言葉を口にしてから、衛にまだ言っていなかったことが思い浮かんだ。
「あっ、実はうち車持ってるんだよぉ」
「車? 由貴奈さん運転もできるんですかっ」
少し古い型の乗用車を自分で整備したり洗車したり。それだけでも楽しいは楽しかったが、車は運転してこそ、なのだろう。そう思い、免許も取得した。電車だけでなく、車ででも遠くまで行ければ、寝子島を飛び出すことももっと容易くなる。
「いやぁ、デートで車に乗ってもっと遠いところ行くのも悪くないかなーってさ」
本土でお泊りとかも、そのうちできるようになるかもしれない。
「すげー! じゃあもとに戻ったらいっぱいデートしましょうね」
ほら、と由貴奈はそっと付け足す。
「いちゃいちゃできるでしょ?」
隣の恋人の体温がまた上がった気が、した。
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
…
9
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
in the box
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年02月07日
参加申し込みの期限
2018年02月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年02月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!