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伸ばした手が暗闇に呑まれた。
肘が真直ぐになるほども伸ばせぬうち、指先が冷たい壁のようなものに触れた。息が詰まると同時、幼い頃の記憶が蘇る。
――兄様! 兄様、ごめんなさい!
固く閉ざされた扉を拳が痛くなるまで何度も叩いた。暗闇に自分を閉じ込めた従兄弟に詫び続けた。
――ごめんなさい、ごめんなさい!
何が原因だったのかは覚えていない。真っ暗闇がただ怖かった、いつもは光に圧されて見えない怖いナニカが現れそうで。うずくまるのが精いっぱいの狭い空間でそのナニカにニタリと笑いかけられてしまいそうで。
「っ……」
壁を掌で叩く。咄嗟に唇から滑り出しそうになった従兄弟への詫びの言葉を噛み殺す。
手足の先から血の気が失せる。体温が消えて痺れる。急に覚えた寒さに体が震え始める。心臓が嫌な速さで脈打ち始める。
もう一度壁を叩こうとして、冷たくて固い壁ではないナニカに触れた。
「痛って?!」
途端、ナニカが大きな声をあげた。もぞもぞと動き、なんだここ、だの、暗っ! 狭っ! だの、にぎやかに喚き始める。
途端、恐怖に呑まれていた自身のプライドが凛と立ち上がった。震える息と身体を押し殺し整える。誰だ、と取り繕った声を放とうとして、気づいた。
手足を押し付け合ってしまうほど隣に居る誰かの声に聞き覚えがある。
「……トリ頭か」
タイラ・トラントゥール
は、問いではなく確認のために口にする。
同学年の
源 竜世
がすぐ傍らに居ると悟った次の瞬間には、頭を濁らせていた恐怖は霧散していた。だって、
(こいつに弱みは見せたくない)
「タイラ? タイラか! 何だろなここ? タイラは知ってるか?」
「知っているわけがないだろう」
ふたりきりで閉じ込められた狭い箱が何であるのかはさっぱり思い当たらなかったものの、箱から出る方法は知っている。
「ヒミツを話せば出られるんだよな」
どこか得意げに喋る竜世に無言で頷きつつ、タイラは不機嫌に眉を寄せた。秘密を話せば、何故だかは分からないがここから出られることは理解している。
(だが)
何を話せばいい?
「ヒミツとか何もねえけ……ど、」
落ち着きなくもぞもぞとどこかしらを動かしながら、竜世が口ごもる。
ただ、その言葉の濁し方が妙に引っかかった。根が単純なトリ頭は、隠し事に向いていない。
少し前、五年生の教室の前で交わした言葉を思い出す。あの時も、似たような声音で何かを隠していた。思わず声が尖る。
「何を隠している」
「マジで何もねえけ……ど、」
声が僅かに遠くなる。らしくなく俯いているらしいと思い至った途端、見えないと分かっていてタイラは顔を背けた。見えていれば、また前のように辛いような苦しいような、怒りを噛み殺しているような、いつものトリ頭らしくない顔をしているのだろうか。
「え……っと、そうだ! こないだスターライトナイトが人になってさ」
「そのバカ話なら前にも聞いた」
前に聞いたときよりもずっと、話したくない秘密を誤魔化すための嘘に聞こえた。
スマートフォンと連動した玩具『カプセルギア』のギアと呼ばれる小さな人形がひととなることなど、信じられるわけがない。
「それを信じると思っているのか」
つい吐き捨てるような口調になる。
「別に言いたくなければ言わなくていい」
言えぬようなことなら、信用している者に話せばいい。
(ボクでなく)
竜世は自分を信用していないと突き付けられた気がした。そんなことは大したことではないと、こちらも竜世を信頼していないのだから同じだと、以前のやり取りのときから思っていたはずなのに、
(……どうせ大した悩みなどない)
悔しいような、寂しいような気がするのはどうしてだろう。
(バカみたいに明るいこいつの秘密なんて単純なものだ)
黙り込むタイラがそのままどこかへ行ってしまいそうな気がして、竜世は慌てた。咄嗟にタイラの手を手探りに掴もうとする。
「言いたくねえっていうか」
触れた指先はすぐに振り払われた。知らず胸が詰まって、竜世は唇を引き結ぶ。話していないことはある。それはもしかしたら秘密と言えるようなことであるとも思う。言いたくないわけではないとも、思う。
(でも)
言いたくない。それ以外の言葉が浮かばない。
腹の底をじくじくと痛ませるものの正体は分かっている。
――かわいそうに
『秘密』を知る大人たちがたまに向けてくるあの顔を、まなざしを、タイラにされるのがどうしても嫌だった。
(でも、……)
このまま、タイラにそっぽを向かれ続けるのも嫌だ。
「何でもねえことだから何でもないカンジできけよ!」
腹のじくじくを振り払いたくて、竜世はことさらに声を張る。
うるさい、とタイラは呻こうとして、
「数年前、兄ちゃんがいなくなってさ」
しょぼくれて沈む竜世の声に言葉を失った。
「今もまだ……帰ってこねえの」
バカみたいに明るいと思っていた。悩みも秘密も大したことないのだと思い込んでいた。
「でも! でもな! オレ絶対見つけるし」
『何でもないこと』と言うその癖、竜世の抱える『秘密』は、『秘密』を話すその声はひどく必死だった。おそろしく真剣だった。
「あきらめるつもりなんてねえし」
沈みかける自分の声に気づいてか、竜世の声がわざとらしく明るくなる。明るく話そうとする。
「スターライトナイトくれたの兄ちゃんだし、願えば叶うから! 全然『かわいそう』なんかじゃねえんだ!」
だから、と続けようとする竜世の言葉にタイラは口ごもった理由を悟る。
決して認めてはいないけれど、竜世はタイラを『ライバル』と呼ぶ。
カプセルギアでバトルしたことが『ライバル』となるきっかけだった。
「ホント何でもないことなんだけど……」
『ライバル』に憐れまれるなど言語道断、御免だろう。慰めの言葉さえ、竜世はきっと必要としていない。
(ボクだってコイツに同情などされたくない)
「あーもう、何言いたいのかわかんなくなってきた」
むくれるような声をあげたきり、竜世は黙り込んだ。
意図せずとも隠すようなかたちになっていた『秘密』を打ち明けたからか、何だか力が抜けてしまった。できるだけタイラに触れないよう、壁に突っ張らせていた手足からも力が抜ける。狭い空間に任せてタイラにもたれかかる。
身体を預けてしまえば、タイラの体温を感じてしまえば、真っ暗闇はおかしなくらいに優しかった。手足と一緒に冷たく突っ張らせていた心の奥に、真っ暗とタイラの熱がじわじわとしみこんできてしまう。凍らせていた何かを溶かしてしまう。
「でも、でもさあ……」
気づけば、湿った声が零れてしまっていた。瞼が涙で熱くなってしまっていた。
何かを言おうとしたのか、耳元にタイラの息が触れた。たぶん文句を言おうとしたのに、こちらの涙の気配を気取らせてしまった。言葉を呑みこませてしまった。押しのけようとしていたタイラの手が、行き場を失ったように肩のあたりをさまよっている。
(かわいそうなんて思われたくないのに)
そう思うのに、タイラの掌の熱を背中に感じた途端、涙が零れてしまった。止まらなくなってしまった。
「やっぱ会いたいよ……」
誰にも隠していた気持ちが涙と一緒に落ちる。
「お前の兄なら似た者だろう」
「なんだそれ」
タイラの吐いた悪態に安堵する。ああやっぱり、タイラは『ライバル』でいてくれる。真直ぐに向かい合ってくれる。
目の前の温もりに顔を押し付ける。止まらない涙につられて溢れそうになる声は、それだけは意地で腹のうちに押し留める。それでも、暗闇の中にふたりきりの今だけは、寂しさを涙に代えさせてもらう。
「お前の……」
宥めるように竜世の背を軽く叩きつつ、いつものように言いかけてタイラはふと唇を閉ざした。竜世の家は、と言い直す。
「兄弟仲が良いのだろうな」
小さくしゃっくりあげる竜世の背に小さな息を零す。
彼に秘密を語らせるだけではここからは出られない。
(仕方ない)
自分のことも少しばかり話して、早くここから出てしまおう。
(自分だけ聞くのも不公平だ)
それに、普段と様子の違う竜世はどうにも調子が狂う。狭い場所に閉じ込められているせいか、常には邪魔なくらいに思える背中を小さく心細く感じてしまう自分も何だかちょっぴり腹立たしい。
震えていた背中がゆっくりと落ち着きを取り戻したところを見計らい、タイラは口を開いた。
「ボクにも兄のような従兄弟がいる。仲が良いとはいえないかもしれないが……」
黙したまま頷く竜世の仕草に言葉を継ぐ勇気を貰う。
「こういった場所に閉じ込められた事もある」
強張りそうになる頬に敢えて笑みを浮かべようとして失敗する。唇が引きつるだけに終わる。
己を閉ざす壁を幾度も幾度も叩いたときの拳の痛みを、痛みにも勝る恐怖を、今もはっきりと覚えている。あれ以来、どんな暗闇にも恐怖を覚えるようになってしまった。
「逆らってはいけないと物心付く頃には思い知らされたものだ」
閉ざされていく扉の向こうの従兄弟の顔が浮かんだ途端、眼前を真っ黒に塞ぐ闇に再び心臓が怯え始めた。知らず、竜世を抱く腕に力が入る。
己が闇に怯える原因と、その原因を作り出した人物のこと。弱味を曝すようで、今まで誰にも語って来なかった『秘密』。
「タイラは、」
肩にしがみつくようにしていた竜世がぐいと顔をあげる。両手で肩を掴まれ、額がぶつかるほどに近く覗き込まれる。聞こえた竜世の声は、どこまでも真直ぐだった。他人事のはずなのに、自分のことのように胸が潰れた声をしていた。
「それでいいのか……?」
「いいも悪いもない。ボクにとってはそれが当たり前の事だ」
応じた己の声は、どこまでも平坦だった。現況を諦念で以て受け入れる口調をしていた。
「……何か、何かやだから何とかしろ!」
本人が受け入れているのに他人であるはずの竜世が怒るのが不思議で、真直ぐに怒りを露わにできる竜世に何故だか腹が立った。
「なぜボクがお前の言う事をきかねばならない」
ほんの少し、羨ましかった。
「嫌なら放っておけばいいだろう」
羨望を隠して放った声は思ったよりも鋭く尖ったのに、
「違くて、いうこと聞かせたいわけじゃねえって」
竜世の声は屈託なく笑う。けど、と不満げに曇る声に、自分の気持ちを上手く言葉に出来ずに難しい表情をする竜世の顔が容易く思い浮かんだ。
「決めた」
タイラが当たり前っていうなら、と明るく真直ぐな声が笑みを含む。
「オレがお前をあきらめねえ!」
「……どうすると言うんだ」
「どう……ってのは後で考える!」
きっぱりと言い切って、竜世は問答無用の勢いでタイラの頭を胸に抱きしめた。とりあえずはタイラの目の前の暗闇を見えなくしてしまおう。
ぎゅっと、ぎゅーっと力強く抱きしめれば、昔の暗闇の記憶なんか、
(どっかいくだろ)
少なくとも、自分はそうだった。怖い思いをしたときは、母や兄がきつく抱きしめてくれた。心臓の音を聞かせてくれた。
さっきだってタイラがそうしてくれた。だから今度は自分の番。
腕の中で僅かにタイラがもがく。いつもみたいに悪態を吐かれるかと一瞬思ったけれど、タイラはすぐに身体から力を抜いた。何も言わず、もう一度竜世の背中に腕を回してきた。
「怖くなんかないぞ」
兄がいつか言ってくれた言葉を、竜世は囁く。
「オレがいるからな」
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年02月07日
参加申し込みの期限
2018年02月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年02月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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