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扉が開いた。
穏やかな春風と花の香を引き連れ、年若い女性客が店内にローヒールの靴を踏み入れてくる。
裸眼の瞳が少し疲れたように瞬きを繰り返す。もしかすると初めて眼鏡を求めに来られたのかもしれないと思い、浅葱眼鏡店二代目店主である
浅葱 あやめ
はカウンター内でそっと深呼吸をした。
「……いらっしゃいませ」
外の光が届かぬカウンターの奥から小さく頭を下げて、少し悔いる。億劫そうに見えてしまったかもしれない。けれどカウンターの外に出てもう一度挨拶をし直すのも奇異に思われてしまう。
春の香とともに入店してきたスーツ姿の女性客のその背後、溢れる春の光の眩しさにあやめは檜皮色の瞳を細めた。そうしてからまた後悔する。眉間に皺が寄ってしまっただろうか、女性客を威圧するような表情になってしまっただろうか。
こちらにわざわざ小さく会釈を返し、店内に並ぶ眼鏡フレームを見回す女性客の様子を伺う。カウンター内で作業をしながら、客に気づかれないようそっと、密かに。
こちらを気にせずゆっくりと選べるよう配慮しているつもりではあるのだけれど、
(怖がられてなければいい、けれど……)
祖父譲りの強面に加え、その祖父曰く己は『陰気過ぎる』らしい。ひっそりと大人しくしているつもりが、うっそりじっとり陰に籠っているように見えるらしい。ちっとは愛想よくしろと叱られるものの、鏡で己の笑顔を見たところで、どう贔屓目に見ても強面を強調するものにしか思えなかった。
どうしたものかと目を伏せかけたところで、こちらを見遣る客の視線に気づいた。眼鏡と薄墨色の髪に隠れがちな瞳をもたげる。
「……本日は、何をお探しでしょうか……」
静かに声をかけてみる。
これを、と陳列した眼鏡フレームのひとつを示す女性客に頷いてみせる。そうしながら、不躾にならぬよう素早く顔を確かめる。
輪郭、眉、目の形、そのそれぞれの配置と表情の作り方。ひとりとして同じもののないそのひとの顔を決して殺さず引き立てられるような眼鏡はどのような形だろう。
(眼鏡は『顔の一部』になるのだから……)
呪文のように心中に呟く。
今目の前に立つこの方が、『見られたい自分』『なりたい自分』に近づけるよう、少しでも手助けがしたい。
「どうぞ、お試しください……」
眼鏡の蔓を開き、客の手に乗せる。カウンターの鏡を引き寄せ、客へと向ける。
「……如何ですか」
客が眼鏡をかけた自分の顔をためつすがめつする様子を一緒になって見つめる。
(……もう少し、ほんの少し、リムの上部のカーブが上がっていたら)
きりっとした彼女の顔立ちがより引き立つ。
口添えしようとして止める。それは確かにそうではあるのだろうけれど、
(柔和にかわいらしさを、求められているのかもしれないし)
言葉に悩むうち、彼女は大きく頷いた。これにします、と微笑む彼女に、異論のひとつもなく頷き返す。こちらの考えは二の次、お客さまが気に入ったというのがなにより一番。
(……接客というものは難しい)
視力測定機器の前のスツールに女性客を案内しながら、気づかれぬよう目を伏せる。
未だこんな調子で、祖父から受け継いだこの店を潰さずにやって行けるだろうか。
悩みは奥底に押し込み、お客のために視力測定をどこまでも慎重に行う。眼鏡は何より『その人の目を助ける』という役割をしっかりこなしてこその道具。
(その目を助けるために、より綺麗な世界を視るために)
現代人は目を酷使する傾向にある。レンズの選択やフレームの調整によってその人の目を支えることができるのは、眼鏡の利点に違いない。
それが出来るのが、眼鏡士である己の仕事。
レンズ入れ替え可能な検査用眼鏡を掛けてもらいながら、着脱の際の眼球の挙動も注視する。斜位があれば、どうしても焦点が合わせ辛くなる。それを解消しようとするために眼精疲労や肩凝りなどの弊害が発生しやすくなる。
「……すみません、目が疲れやすいなどの……悩みをお持ちでしたら……精密な目の検査をすることで、改善することができる場合が……あります」
どうしてわかるの、と目を瞠る女性客に、対人関係を苦手とする眼鏡士は思わず俯いた。
よろしければ如何でしょうか、と遠慮がちに提案する。
眼鏡の受け渡し日時を伝え、会計を済ませる。
「……ありがとうございました」
頭を下げれば、こちらこそ、と女性客は微笑んでくれた。
入ってきたときよりも明るい瞳で店の外へと出て行く客を見送り、小さな安堵と不安まじりの息を吐く。
(お役に立てただろうか)
吐き出した息を吸い込んで、眼鏡の視線を店の外へとあげる。春の光に満ちる道には、いくつもの鉢植えが並んでいた。そう言えば、旧市街商店街老人会の面々が、冬の頃に並べていたか。
鉢から零れんばかりにして咲く濃紫の花々を目にして、ふと、彼女が連れてきた春の香の正体に思い至った。
(菫……)
店内に残る春の匂いを胸に満たし、あやめは再びカウンター内での作業に戻る。眼鏡士としての仕事を黙々とこなしながら、ほんの少し、その蒼白い頬を和ませる。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年10月31日
参加申し込みの期限
2017年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年11月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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