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八ヶ淵埋蔵金探索記
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軍手の手には拳銃型のガスガン、腰には警棒、肩からは頑丈そうな水筒、頭にはライト付きヘルメット。
ポニーテールに結い上げた髪を揺らし、今しも桜の大樹の根元にある虚へ飛び込もうとしている武装少女を目前に、
御剣 刀
は動きを止めた。
(情報の出どころを考えると桜庭あたりが自信満々で来そうだと思ってた、けど)
何気なく寝子島書房発刊の文庫本を手にしたのが運の尽き、と言えばいいのか。『幻の八夜城』に書かれていた『八ヶ淵埋蔵金』の記述を、正直なところ信じたわけではなかった。とは言え、寝子島書房の本は偶に、極々稀に、真実を書いていることもないわけではない。実際、『八夜城』は存在していた。
することもなくだらだらと春の休日を過ごしているより幾らかはましだろうと思い、リュックサックにおにぎりとおやつの団子とペットボトル入りの水を数本、懐中電灯に筆記用具にタオルを詰めて家を出、九夜山を登って、
(これか、と思ったら)
目当ての桜の大樹の元に辿りつき、見事な葉桜を見上げ、見下ろしたところで完全武装の少女の背中を見つけた。あまりにしっかりとした武装っぷりに驚いてから、刀は僅かに苦笑する。彼女ほどでないとは言え、己も刃引き刀を竹刀袋に入れて持っている。
少女の肩がぴくりと動く。振り返った少女の手には、記録のためなのかビデオカメラが構えられていた。
「……よう」
何となく片手を挙げて挨拶する、どうやら年上らしい男子の装備を確かめ、
新田 樹
は人懐っこく笑う。
「今日は! あなたも埋蔵金探しですか?」
中学生らしい少女から朗らかに笑いかけられ、刀はこくりと頷いた。
「とっても面白そうですよね!」
ここまで一人で来たらしい少女に手招きされ、刀は鮮やかな葉桜の大樹の根元に暗く開いた虚の前にしゃがみこんだ。大人ひとりが入り込めるほどの穴に手持ちの懐中電灯の光を投げかけ、覗き込む。
「入れそうですか?」
「ああ……お地蔵さんが祀られてる」
言うなり躊躇うこともなく身軽に虚へ飛び込む刀の様子に、樹はくすりと小さく笑んだ。手を貸そうとしてくれる刀を丁寧に断り、同じほど身軽に暗闇へ踏み入る。
ふたつの光に浮かび上がる地蔵の前、刀はおやつ用に持って来ていた団子の半分を供えて探索の無事を祈る。よし行くか、と立ち上がったところで、
「あ、刀くんだ」
頭上から掛けられた声に再び動きを止めた。見上げれば、光が流れ込むウロの入り口に見紛うはずのない夏草色の髪をした少女の顔が覗いている。
「桜庭」
そのうちここにも来るかもしれないと思っていた
桜庭 円
の姿を思いがけず今の今見て、刀は黒い目を瞠った。
「やっほー」
ひらひらと薄い手を振る円の後ろには、埋蔵金伝説を聞きつけたとはあまり思えない、大人しそうな雰囲気の少女がもうひとり。
「……こんなところに大きなウロが……」
艶やかな黒髪を揺らし、
青山 絢
は手にしたデジタルカメラのシャッターを切る。本当は、葉桜の美しさをカメラに収めるべく天宵川に沿って九夜山を登っていただけだった。
偶然見つけた桜を遠目に撮影し、近づこうとしたところで出会ったのが、『幻の八夜城』を読んで埋蔵金探しに訪れた夏草色の髪の少女。
『幻の八夜城』は、先日その八夜城に迷い込んで後に目を通していた。
そういえば埋蔵金伝説のことも書かれていたと思いだしながら、
――付近の人たちに聞き込みしてみたら、意外にメジャーな情報なんだよね
楽し気に喋る円の横顔をぼんやりと眺めていて、
――ほら、やっぱりあった! この島の大人達からは結構知られたポイントみたい
はしゃいだ様子で葉桜の大樹の根元を覗き込む円の小柄な背中越し、大きなウロを見た。倣って覗き込んでみれば、先客がふたり。
(……埋蔵金探索日和、なのかしら……)
九夜山登山用に用意した食料や懐中電灯入りのリュックサックを揺すり上げ、絢は小さな息を吐く。
まさか本当に埋蔵金があるとまでは思えないものの、
「絢ちゃん、ほらほら、行こう!」
円に張り切って呼ばれてしまえば、断る術は絢にはない。元気いっぱい飛び込む円に続き、恐る恐る、虚の中へと入りこむ。
「……マジか」
そろそろと尻で滑るようにウロの底へと足をつけた途端、先に調べていた刀が呆れたような驚いたような声をあげた。一角に安置された地蔵の祠の裏に、更に地下へと続く梯子があるらしい。
行くか、と気合いを入れて梯子を下り始める刀と、わくわくと続く樹の背を見遣りつつ、円は隠し切れない含み笑いを零す。
(千代ちゃん、殿様)
脳裏にあるのは、あの桜の夜に出会った八夜城の人々。あの不思議の城に関わった者として、八ヶ淵埋蔵金伝説は外せない。たとえ金銭的なものや価値のあるものが見つけられなかったとしても、
(楽しみー!)
観光気分が半分あるにはあるけれど、上手くすれば寝子島書房のレポートも書けるかもしれない。案内書代わりの『幻の八夜城』文庫本をポケットに、寝子島書房の実践読者は熱く拳を握りしめる。
ひょいひょいと梯子を下り、先に降りたふたりが掲げる電灯の光に自分が持ち込んだLEDライトの光も混ざりこませる。
「道が左右に分かれているのね」
「絢ちゃんはどっちに行く?」
最後に梯子を下りた絢がリュックから懐中電灯を引っ張り出すのをLEDライトで照らしてやりながら、円は問う。先行ふたりはどうやら人の手が入っていなさそうな、岩肌の目立つ洞窟じみた左の道を進むつもりらしい。
「え、……じゃあ」
何となく、という風に右を示す絢に、円は頷く。
「ボクもこっちにしよっと。じゃあね、刀くん、樹ちゃん」
「気をつけてな」
さらりと言い、ひらりと手を振る友人に手を振り返し、刀は洞窟じみた通路に懐中電灯の光を伸ばした。足音をなるべく立てないようにしながら慎重に進んでいく樹の、どこか場慣れして見える背中に内心目を瞠りつつ、後に続く。
天井や壁に貼りつく湿気のせいなのか、空気が冷たい。
「御剣さん」
潜めた声で呼ばれ、少女の視線とライトの先を追う。圧倒的な暗闇の中にあっていかにも頼りないライトの光に照らし出されたのは、閂の掛けられた木の扉。扉を支える黒鉄はいつの時代のものとも知れぬが、いかにも頑丈そうに見える。
「開けますか」
「開けてみよう」
好奇心のままに閂を外し、扉を開ける。中にはいくつもの土饅頭が盛られていた。
「……墓だよな」
まだ新しそうな花が供えられているのをライトの光に確かめ、刀は呟く。
「お墓ですね」
周囲をざっと確かめ、危険はないと判断したのか、樹が然程興味もなさそうに応じた。すぐにでも先に行きたそうな素振りを見せる樹を掌の仕草で押し留め、刀は扉近くの墓のひとつの前に膝を折った。半分残していた団子を供え、手を合わせる。よくよく見れば、一際大きな石のある土饅頭の前の花立てにはつい昨日供えられたかのような瑞々しい花が丁寧に活けられている。案外、訪れる人も多いのかもしれない。それもおそらくは定期的に。
「勝手に入っちゃったしこれくらいはしないと」
「私も合わせた方がいいですか」
柔らかな口調で問う樹に、刀は肩をすくめた。そっと頭を振る。
「ただの自己満足だ」
墓群に一礼し、元通りに扉と閂を閉める。
「じゃ、行きましょう」
先へ先へと進みたがる樹のこれは、好奇心なのだろうか。
暗闇を恐れず、むしろ楽しそうに進む少女の様子に刀は黒い瞳を細める。危険を楽しみたがっているようにも見えるのは、勘繰り過ぎなのだろうか。
「わお」
暗闇に樹のはしゃいだ声が零れる。何事かと見遣れば、少女はライトつきヘルメットを隣の部屋を塞ぐ格子戸に押し付け、内部を見ているらしい。
「格好良い鎧が揃ってるな~」
今までになく黒い瞳をきらきらと輝かせる樹の視線をなぞり、懐中電灯の光を格子戸の奥へと向ける。
「ああ、……鎧兜だな」
ずらりと居並ぶ鎧武者たちは、今にも立ち上がりそうにも見える。
わくわくと扉を開けたがる樹を制し、刀は格子戸に手を掛けた。
「御免!」
道場に出入りするかの如く、声を張って戸を開く。返る音も声もない。
見回せば、どこか几帳面なほどにまとめられ壁に立て並べられた槍や薙刀があった。
「全部錆びてます。使い物にはならなさそう」
使えそうな武器があればこっそり持ち帰るつもりだったのか、樹の声には微かな失望が滲んでいる。
「……駄目だからな」
「え? 何のことですか?」
先じて釘を刺せば、あながち嘘でもなさそうなきょとんとした純朴な表情と声が返ってきた。危険を求める明朗快活な少女の内心を量りかね、唇を引き結ぼうとして、
「……あれ?」
眉を顰める。空気の流れじみて、ナニカの気配がする。
さっきの墓か花束の関係者か、と思いかけて眉間の皺を深くする。これはひとの気配ではない。ひとではないとすれば、――
鎧の一着がごとりと動いた。面頬に隠れがちな眼窩部分がキラリと光る。
「御剣さん!」
刀目がけ倒れかかってくる鎧を見、樹は大きく後ろへ飛び退る。拳銃型のガスガンを構え引鉄を落とそうとしたその瞬間。
金属音が響き、鎧が大きく仰け反った。鎧の胴に散る火花と、刀がいつの間にか抜き放ち振りぬいた刃引き刀を目にして、樹は刀が鎧を恐ろしいほどの速さで切ったのだと思い至る。けれど刃引き刀では鎧を傷つけることはできても斬り通すことはできない。
ぶぶぶ、とどこか機械のような音をたて、鎧がぎこちない動きで体勢を立て直そうとする。
「おい……」
樹にではなく、鎧に向けて刀は怒鳴る。
「おい!」
部屋中に響き渡る怒声に呼応するように樹が甲冑の兜をガスガンで狙撃するも、兜を撃ち抜くには至らない。
「ッ……!」
刀は刃引き刀を捨てる。よろよろと近づいて来る鎧に向け、突進する。胴に肩からぶちかます。押し倒し組み伏せる。面頬に半ば隠された首を片手で押さえつけ、
「気に入らないんだよ」
低く低く、唸る。
託したい想いがあるのなら聞きたかった。誰かを守りたいのか、何かを討ちたいのか。それだけでも聞き届けたかった。
気に入らなかった。こんな暗いところで誰に顧みられることもなく、ただただ何かをしている誰かのいることが。
(八つ当たりだ)
自分で自分にそう思う。鎧武者を前にしながら、脳裏にあるのはいつか黄昏の町に逢った幼い姿の巫女のことばかり。きっと今も誰に顧みられることもなくセカイのために祈りを捧げ続けている彼女のことばかり。
(だが、……それでも、だ!)
彼女に届かなくとも、彼女と似た境遇にある誰かに手を伸ばすのが、
(俺のエゴだ)
自己満足で構わない。それで救われる誰かが居ても居なくても構わない。
「御剣さん!」
樹は刀が組み敷いた甲冑を意識に定める。そうして、己の身に宿ったろっこん『箱庭』を発動させる。
定めた対象物を瞬間移動させるろっこんは、刀が押さえつけた甲冑を壁際にまで一瞬のうちに剥ぎ取り弾き飛ばした。その内に固定されていた小さな機械だけを残して。
一見蜘蛛のようにも見えるその機械は、身を縛り付ける重石じみた鎧から解放され、ぶぶぶ、というプロペラ音を小さく響かせながら部屋から逃げ出す。
「あっ、こら!」
振り返った部屋の外に見たのは、暗闇をものともせず駆けて行く老翁の姿。ドローンの操縦機を片手に持ちながらもう片手をひらりと振る姿は、何処かのスーパーマーケットの老店主のようにも見えた。
「ああもう、……悪戯かよ」
「悪戯と言うか、何でしょうね」
止める間もなく駆け去った老人はとても楽しそうに見えた。まるで年若い友人と遊んでいるかのような無邪気さが見て取れた、ようにも樹には思える。
「……悪い」
「いえ」
投げ捨てた刃引き刀を拾い鞘に納めつつ、目を伏せ肩を落とす刀に、樹は屈託ない笑顔を浮かべた。
「次に行きましょう、御剣さん」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年10月11日
参加申し込みの期限
2017年10月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年10月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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