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八ヶ淵埋蔵金探索記
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「八ヶ淵の埋蔵金……?」
焦げ茶色のたれ目をおっとりと瞬かせる
恵御納 夏朝
の隣で、
宮祀 智瑜
が元気よく挙手する。
「あっ、小さい頃お父さんから聞いたことがあります!」
そうかそうかと目を細め、スーパーはちがぶちの老店長は腰掛けたベンチの傍らに置いた段ボール箱からお弁当を取り出した。三割引き値段なお弁当を智瑜に売りつけ、同じ箱から取り出した割引お菓子を夏朝にも売りつける。ついでに偶然通りがかった
楡宮 遠海
にも口車も巧みに割引お弁当とおやつを押し付け、ほくほく顔でスーパーの店先に置かれた書籍ラックから無料タウン誌を取り出した。地図の頁を開き、エプロンのポケットから出した赤マジックで九夜山の一点にマル印を書きこむ。
宝の地図だと渡されたタウン誌を手に、遠海は黒い瞳を縁取る黒い睫毛を瞬かせる。
地図が読めないばかりに道に迷い、迷った挙句偶然通りがかったスーパーの店先で『宝の地図』を手に入れてしまった。
(おやつとお弁当つき……)
老店長に代金を渡しつつ、遠海はあまりについていけない展開に目を白黒させる。
「みんなで仲良く行っておいで」
ひらひらと手を振って店内に戻る老店長を見送って、少女三人は顔を見合わせた。
「えーと、……」
偶然も偶然に行き会った智瑜と遠海を見回し、夏朝は少し俯く。埋蔵金伝説も気になるは気になるけれど、
(八ヶ淵)
この島で八ヶ淵と言えば、夏朝が思い至るのはかつて『眠り猫城』とも呼ばれ、大昔に一夜のうちに消えてしまったあのお城。いつかも判らぬ春の一夜にだけ、三夜湖に現れる不思議のお城。
そのお城に、夏朝はこの春の桜が満開の夜に迷い込んでいる。そうして城内の人々の手により行われていた桜の宴に招かれ、正に夢幻のようなひとときを過ごした。
視線を上げれば、春爛漫の九夜山が春空を背負って佇んでいる。あの山に、あの幻のお城は今はもうない。お城に住む人々ごと、春の夜に消えてしまった。
目を伏せる。思うのは、大昔にお城が忽然と消えたその後のこと。
八ヶ淵の里に残っていた人は居たのだろうか。
城の消失から逃れ、里に戻った人は居たのだろうか。居たとすれば、その人たちはその後何処へ行ったのだろう。
(埋蔵金も気になるけど)
あの夜、『幻の八夜城』へ行った身としては、埋蔵金が隠されているという桜の樹の下は気になる。八ヶ淵の人々が関わっただろうそこには、一体何があるというのだろう。
「……僕も、探索してみたいな」
だから、と夏朝は言葉を繋ぐ。
「一緒に、行く……?」
待ち合わせは寝子島高校の前に一時間半後。
鎌倉から寝子島高校に通っているという遠海は、時間までお菓子を買い足したり高校を目指したりするらしい。
「お友達と宝さがしに!」
リュックサックにスーパーのお弁当とお菓子やペットボトルの水、地図や方位磁石や懐中電灯、探検に必要そうなものを詰め込んでいるところを母親代わりの祖母に見つかり、何処に行くのか聞かれた智瑜は元気いっぱいに答えた。
宝探し、と目を丸くした祖母は、ふと何かに思い当たったのか、智瑜の両親の仏壇に供える用だった花束を渡してくれた。持って行きなさい、と渡された花束を素直に受け取り、智瑜は満面の笑顔になる。
「行ってきます!」
埋蔵金よりも大切な宝物が見つかりそうな、そんな気がした。
春の町を跳ねるように駆け抜け、待ち合わせ場所にした寝子高の校門前に辿りつく。
「夏朝さん!」
「宮祀さん」
智瑜と負けず劣らずな大きなリュックサックを背負った夏朝が校門前で手を振る。
何処かで道に迷っていたらしい遠海ともどうにか合流を果たし、少女たちは一路天宵川の始まりを目指し九夜山登山に取り掛かった。
昼前の穏やかな春空の下、遠足じみて登山道を辿る。時々お弁当休憩やおやつタイムを入れながらも、太陽が少し傾く頃には『宝の地図』に記された場所へと到着することが出来た。
「いかにも、な感じね」
桜の大樹の根元に黒く口を開くウロを見つけ、遠海が大人し気な眉を寄せる。
「ここを抜ければ異世界へ行ける! って感じ……」
「確かにそんな感じですね」
明るい春空とは反対の真っ暗闇を恐る恐る覗き込む遠海の肩越し、智瑜が懐中電灯のスイッチを入れる。ウロの中は、光を呑みこんでしまうほどに暗い。
「……行ってみるよ」
丈夫そうな樹の根元にリュックから取り出したロープの端を結わえ付け、夏朝がウロの中へロープを投げ入れる。案外浅い位置にロープの端が着いたことに安堵しつつ、夏朝は先陣を切ってウロの中へと踏み入った。
「よし、私も行きます」
あんまり恐れげもなくロープを伝う智瑜を見送り、遠海は深呼吸する。暗闇に躊躇いはするけれど、
(えーい、ままよ!)
ここまで来て引き返すつもりもない。思い切って突入を敢行する。
ウロの底に安置された祠の裏に下へと続く梯子を見つけ、降りたその先に二股に分かれた道を見つける。どちらへ行こうかとせーので示せば、三人の指先が示したのは揃って左。暗闇に揺れるライトの中、少女たちはくすくすと笑みを交わした。
自然の洞穴らしくはあるものの、道の端をよくよく見れば燭台が備え付けれている。脇には閂の掛けられた扉と重々しい格子戸が並び立っている。
閂の扉の前に立ち、少女たちは頷きあう。力を合わせて閂を外し、扉を開く。ライトの光を走らせれば、
「ここは……お墓かな……」
辺りに注意深い視線を巡らせ、夏朝が囁く。見たところ、供えられた花束はまだ新しい。最近来た人が居るのだろう。
「墓地、だよね……」
遠海が息を震わせる。真っ暗な土の底に作られた墓から、ライトの光の届かぬ闇の中から、今にも蒼白い顔した幽霊が出てきそうな気がした。どきどきする胸を押さえ、内心の怯えをふたりに悟られぬように顔を引き締める。ゆっくりと部屋の中を見回し、例えば宝物の手がかりのひとつもないかを探してみる。
「沢山の人が亡くなってるんですね」
土饅頭の上に置かれた石を懐中電灯でひとつひとつ照らし、智瑜が呟く。ざっと数えて二三十ほど。それだけの人がこの地の底で眠ることを選んだということなのだろうか。
新聞で大切に包んできた花束を取り出す。祖母はきっと、ここを訪れたことがあるのだろう。だからここに墓地があることを知っていた。
一際大きな石が置かれた墓の前に膝をつく。卒塔婆がないのは朽ちたからだろうか。それとも、施主や戒名を知られたくない誰かが眠っているからだろうか。
(はちがぶちの店主さんがお参りに来てるのかな?)
先に供えられていた花束は、スーパーはちがぶちで売られている仏花に似ているように思えた。
墓石の前に設えられた花立にペットボトルの水を注ぎ、新しい花束を入れる。丁寧にお参りして後、沢山ある土饅頭のひとつひとつに手を合わせてゆく智瑜に倣い、夏朝と遠海も葬られた人々の冥福を祈りそっと手を合わせた。
元通りに扉を閉めて閂を通す。どこか静謐な気持ちで向かい合うのは次なる扉。
重々しい木造扉を前に、遠海はちょっぴり尻込みする。これを開けるのは少し骨が折れそうだ。
躊躇う遠海をよそに、夏朝と智瑜は頭を並べて格子の隙間から部屋の中を覗き込む。
「え……?」
「あれ?」
そうして同時に声をあげる。
「な、何? どうしたの?」
すわ幽霊かと後退る遠海に、智瑜と夏朝は首を傾げる。
「鎧が動いた……?」
「目が光った……?」
からかっているでもなく至って真剣な様子のふたりに、遠海は顔を青ざめさせる。
「え、えええ……」
悲鳴にも似た遠海の声に応じるように、奥に安置されていた甲冑のひとつがごとりと動いた。今にもこちらに向けて歩み出して来そうな怪しい動きに、遠海は全身を警戒させる。ほとんど壁に貼りつくようにして、それでも中を調べるべく暗闇へと視線を投げる。
「……あ、もしかして」
ふと、夏朝が柔らかな声を放った。
「え、待って待って、開けるの?」
「うん、開けてみよう」
焦る遠海にちらりと笑いかけ、智瑜と共に重たい扉を開く。
「動いてました、……よね?」
さして怯えるでもなく、智瑜は動いたように見えた甲冑に近づいた。光ったように見える面頬と兜の隙間をじっと見つめる。怖じぬ少女の動きに驚いたように、甲冑は今度こそごそごそと身もだえた。
「気のせい?」
「動いたよね? 動いてるよね?」
ぎくりと壁に貼りつく遠海の肩を軽く叩き、夏朝は智瑜とにらめっこじみて見つめ合う鎧へと近づく。鎧の傍にしゃがみこみ、小さく声を掛ける。
「ごめんね。でも、……大丈夫、怖くないよ」
そうしながら、リュックサックから猫のおやつを取り出し差し出す。
「僕等が入れるなら、他の生物も入れる」
夏朝の言葉に、智瑜と遠海は顔を見合わせ頷きあった。
「あ、そうですね」
「確かにそうね」
「怖がらせてごめんね……」
面頬と兜の隙間、キラリとふたつの光が光った。かと思えば、ぴょこり、毛むくじゃらの小さな前足が隙間に覗く。そろりと顔を出し、鎧の中からまろび出てきた鯖虎猫を、夏朝は優しく抱き留めた。
「可愛い猫さん!」
優しい手に撫でられ、猫用のおやつを貰い、夏朝の足元でにゃうにゃうと鳴く猫をしばらく眺めて後、遠海は安堵の瞳を部屋のあちこちへと向ける。
「まるで戦国時代ね」
「そうですね……」
遠海と一緒に部屋中を見て回りながら、智瑜は床に転がる錆びた槍や薙刀を拾い集めて一ヵ所に並べて置く。こうしておけば、次に来た人がうっかり踏んで痛い思いをしたりしないはず。
部屋を片付け、智瑜は居並ぶ甲冑たちに手を合わせる。この鎧を纏って戦った人たちは何処へ行ったのだろう。
(……隣のお墓に弔われてる?)
地の底で隠れるようにして眠る人々がせめて安らかであればいいと少女は祈る。
夏朝の膝にじゃれついていた猫がふと顔をもたげた。
「どうしたの……?」
猫をあやしながら手にしたスマートフォンのメモアプリに地下通路の様子を書き込んでいた夏朝に、猫は短い鳴き声を上げた。
尻尾をゆらり、案内するように格子戸の前に立つ。振り返り振り返り歩き始める猫を追い、少女たちは甲冑の安置された部屋を後にする。
格子戸を閉ざし、真っ暗闇な洞穴をふたつのライトの光と光る猫の瞳を頼りに抜けたその先には、思いがけず広い空間があった。
「わあ……」
智瑜はぐるりと懐中電灯の光を巡らせる。天井を支えているのは幾重にも絡みついた木の根なのだろうか。
「宝箱……葛籠があるわ」
夏朝が照らす電灯の光の輪の中、部屋の中央に置かれた古い葛籠を見つけ、遠海が小さな歓声をあげる。揃って近づき蓋を開けば、中にあったのは剣玉にいろはカルタに独楽、野球選手やサッカー選手の印刷されたカードに古いアニメに出てくるロボットの模型、年代も様々な玩具。
「たくさんありますね」
智瑜が葛籠の前にしゃがみこむ。何人もの、何世代もの子ども達が手にして遊んだのだろう玩具を大事にひとつひとつ手に取り、自分の周りに並べていく。少し前にも誰かが訪れ、玩具でめいっぱい遊んだような、そんな気がした。
重なり合う玩具を外に出して並べる。底に近づけば近づくほど、古いものが多いように思える。
着物も顔の塗装も煤けて汚れた古い人形を手に、智瑜は黒い睫毛を伏せた。
「小さい子も戦いに巻き込まれたのかな?」
人々が鎧兜を纏わなければならないような時代に、子どもたちはどうやって生きたのだろう。戦に巻き込まれ命を落としたりしたのかもしれない。何としても子どもたちを生き延びさせようとする大人たちの手によって隠れ家のような――例えばこんな地下の洞穴に逃れたのかもしれない。
地層のように重なる玩具を掘り進む。
行き当たった葛籠の底、組み紐でぐるぐる巻きにされた木箱を見つけた。玉手箱じみたそれをそっと開く。
納められていたのは、しみだらけの和紙。
「『眠り猫城』、かな?」
古い古い和紙に描かれた、猫が香箱を組んだようなかたちをしたお城を見、夏朝が目を細める。
「似てますね」
大人が幼い頃に見た景色を想い、堪らず描いたような感情がその古い絵には溢れていた。お城の傍には、小さなお姫君と殿様に奥方、それにたくさんの笑顔の人々が震えるような筆で描きこまれている。
和紙を汚すしみがまるで涙の跡のようにも見えて、夏朝は小さく息を吐いた。八ヶ淵のお城が寝子島から消える前に、ここに移り住んだ人々がきっと居たのだ。もしかすると、その中には八ヶ淵の血を継ぐ誰かも居たのかもしれない。
「スーパーのお爺ちゃんは八ヶ淵の末裔なのかな?」
「……うん、きっと」
頷く夏朝に、智瑜は淡く微笑んだ。だとすれば、あの墓石群に花を供えたのはやっぱりスーパーはちがぶちの老店長なのだろう。
また今度、あのお爺ちゃんに会いに行こう。そうして、日の当たるあのベンチに並んで座って、ここで見たことをお話しよう。
姫君と手を繋ぐ小さな小さな少年の絵を、夏朝は指先でそっと撫でる。文箱の片づけを智瑜に任せ、スマホを取り出す。通路の先には広間があったこと、真ん中に葛籠が置かれていたことを記そうとして、その手がふと止まる。
葛籠、と書き込もうとしたのに、メモアプリの予測変換に出てきたのは『九十九』の文字。
もしかすると用途が違うのかもしれなかったけれど、電波の通じないここでは調べようがない。
(……そっか)
九十九の文字を目にした途端、夏朝は妙に納得してしまった。
「此処にあるのは……『お宝』、なんだね」
本物の埋蔵金は別の隠し場所にきっとあるかもしれないけれど、ここにあるのはそれとは別の、『宝に等しい物』。古い玩具に鎧兜に武器――八ヶ淵に縁のある人々の、それからこうして縁を得てここに辿りついた自分たちのような人々の、大切な大切な『宝物』。
ここにはそれが、沢山眠っている。
(九十九といわず、沢山……)
とはいえこれは、あくまでも夏朝の個人的な解釈にすぎない。
(埋蔵金を誰かが見つける日も来るかも、ね?)
にゃあ、と猫が鳴いた。身軽に身を翻し、広間の先に続く通路へと進み始める。緩い坂道になっている通路は、どうやら外へと続いているらしい。
通路の先から差し込む僅かな光の欠片を見、遠海は目を細める。
外には春の森と、ずっと昔にそこにあった小さな集落の廃墟が広がっていた。草木で巧妙に隠された入り口は、そうと知っていなければ入り込むことは難しいだろう。
「また……来てみたいね」
猫と一緒に集落跡を辿り始める智瑜と遠海を見遣り、背後の洞穴の入り口を振り返り、夏朝は唇にそっと笑みを刻んだ。
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日常
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定員
15人
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15人
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2017年10月11日
参加申し込みの期限
2017年10月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年10月18日 11時00分
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