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八ヶ淵埋蔵金探索記
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沓脱石の傍らに三色菫が咲いている。
「うーん」
縁側に置いた座布団にぺたりと座って春の日差しを浴びながら、
猫島 寝太郎
がかじるはスーパーはちがぶちの老店長からあれよあれよという間に買わされてしまった三割引きお弁当のふりかけおにぎり。
(宝探しに出掛けるならやっぱり土曜日とかかなあ)
朝のテレビの週間天気予報では、確か次の土曜日はお出かけ日和の晴天だった。
秋刀魚の甘辛煮をもちもちふかふかの生地で包んださんま饅頭をもぐもぐしつつ、のどかな春空を見上げる。思い浮かんだのは、旧市街で雑貨屋を営む十歳年上のお兄さんな友達、
天動 記士郎
ののほほんふんわりとした笑顔。
「うん」
折角だし、とひとつ頷く。天動さんを誘ってみよう。
思いついたのをいいことに、早速立ち上がる。居間に置かれた家の電話を手に取り、天動商店へ繋ぐ。
「……あ、もしもし天動さん?」
『こんにちは~、猫島です』
「はい、こんにちは」
猫グッズやアルパカグッズに囲まれたレジ台の上の固定電話を取るなり聞こえてきた年下の友人の穏やかな声に、記士郎はのんびりと笑った。
開け放った扉と窓から春の日差しが流れ込む店内に、客の姿はない。
古本や昔流行った玩具や健康器具の並ぶ自分の店を眺めつつ、記士郎は電話口の寝太郎の話す『八ヶ淵埋蔵金伝説』に耳を傾ける。
『それで、はちがぶちの店長さんに宝の地図を貰ったんです』
「それはまた、面白い話を聞いてきましたね」
海辺にあるスーパーはちがぶちには、時々買い出しに行く。喫煙所で一服する際、老店長に出会うことも少なからずあったけれど、埋蔵金についての話は聞いたことがなかった。
(まあ、おいそれと話せることでもありませんよね)
桜の頃に迷い込んだ八ヶ淵氏の八夜城にしろ、この寝子島にはまだまだ不思議な伝説が多く存在しそうだ。
寝太郎からもちかけられた『宝探し』に喜んで同行する旨を伝える。とは言え、記士郎が気になるのは埋蔵金よりも大昔に突然消え、時折千年桜と共に三夜湖上に姿を現す彼の城のこと。あの桜の日に奇跡のように邂逅し得た人々は、今も彼の城と共に何処とも知れぬ場所を彷徨っているのだろうか。
寝子島のこの家に元々住んでいた祖父の皺深い横顔が脳裏を過る。祖父もまた、かつて八夜城に迷い込んだことがあると話してくれたことがある。けれど、
(じいちゃんの話には埋蔵金のことはなかった)
ただ、お城の宴会が楽しかったと。それだけを目を細めて語ってくれた。
土曜日に会う約束を交わし、電話を切る。ふと、小さな息が零れた。
「遠い昔に何が起きたのでしょうね」
おおよそのことは、あの桜の夜に千代姫から聞かされている。それでも、彼らのことを知りたかった。
まだ、パズルのピースが欠けている。そんな気がする。
土曜日の昼下がり、記士郎が猫島寝具店の前まで軽自動車で迎えに来てくれた。
「あ、さんま饅頭」
後部座席に放り込まれたレジ袋から覗くスーパーはちがぶち製品を見つけ、寝太郎は笑う。
「昨日買い出しのついでに買ってみたんです」
「おやつにいいですよ~。自分も時々買い物に行ったりしますけど、スーパーはちがぶちの『はちがぶち』って『八ヶ淵』の事だったんですねぇ」
こどもの頃からずっと、あの古いスーパーの『はちがぶち』はこども向けアニメに出てきそうなぶち模様の蜂なのだとばかり思いこんでいた。
しみじみと呟きながら助手席に乗り込む。はちがぶちの老店長が赤マルをつけ『ここに宝物』と書き込んでくれたタウン誌の地図を取り出し、ここです、と運転席の記士郎に示す。
「父に埋蔵金の話をしたら、もうすごい食いつきで」
「ああ、お好きらしいですね」
「地図を見せたら、これを持って行けって」
鞄から取り出したのは、着物の端切れを縫い合わせた綺麗なお手玉ふたつ。意味を問うても応えてはくれず、ただ楽し気に笑うばかりだった父を思い、寝太郎は首を捻った。
一緒になって首を捻りながら、記士郎はエンジンを掛ける。
動き出す車内で、前を見据えて運転する記士郎の横顔を寝太郎はこそりと窺う。運転する人の横顔はどうしてこうも大人らしく見えるのだろう。
(自分も)
運転をするようになればこんな横顔ができるようになるのだろうか。
星ヶ丘教会の近くまでは車で行こうと提案する記士郎に頷きつつ、うずうずと質問するのは車の免許の取り方。難しいものではない、と答える横顔にまた大人の余裕を感じて感心したりするうちに、星ヶ丘教会にほど近いコインパーキングに辿りつく。おやつのさんま饅頭と地図を手に、天宵川に沿って春の九夜山を登り始める。
春風と涼しい木陰に和み、地図にも載らぬ山道に咲く山吹の黄色や菫の濃紺に目を奪われ歩くうち、気づけば宝の地図に記された桜の大樹のもとへと辿りついていた。
「ここですね」
「ここ、だと思います……」
息も切らさぬ記士郎の隣、僅かに上がる息を整えながら寝太郎は大雑把にも大雑把過ぎる地図に目を落とす。見仰げば、薄紅を綺麗に落として今はもうすっかり青々とした大木が目前にある。
「これも大きな桜ですねぇ」
砂利と木の根に覆われた足元に気を付けて注意深く歩みを進めようとする記士郎のあとに続こうとしたところで、ひらり、頬を冷たいような温かいような薄紅が掠めて舞った――気がした。
薄墨色の髪を揺らし、寝太郎は再び視線を上げる。
頭上に広がっているのは、薄紅のひとひらさえ残さず翡翠に染まった葉桜。
「……?」
「寝太郎さん」
記士郎が示す葉桜の根元を見れば、宝の在処にはもってこいな風にぽかりと開く真っ暗な虚。
「どうにか通れそうです」
身長百八十近い記士郎がまず体を押し込む。記士郎の手を借りて虚の中に入り、寝太郎は暗闇に視線を巡らせた。
「子供のとき、九夜山をあちこち探検したことがありますが……今思うと、穴ぐらとかよく落ちませんでしたね……」
底に立ってみれば、入り口である虚は見上げるほどに高い位置にあった。幼い頃の己の無謀と幸運を思い知りつつ、記士郎は持参したペンライトをつける。照らし出される地蔵に持って来たさんま饅頭を供え、ふたり揃って手を合わせる。
「ちょこっとだけ探検させてください」
お参りしてから、傍らの少年を見遣る。何かあったときには、保護者としてこの子をきちんと守ろう。己にそんなに強い力があるとは思えないけれど、それでも力の限りは。
(まあ、ですが……)
森の中、静かに佇む桜の大樹の胎内に危険があるようには感じられなかった。
「少しだけ、お邪魔します」
記士郎の視線には気づかず、寝太郎は合わせた手を解く。地蔵の祠の後ろを覗き込めば、父から聞いた通りに更に下へと続く梯子があった。ただし、父から聞いた情報はここまで。梯子の下に何があるのかまではいくら聞いても楽しそうに笑うばかりで、これも教えてはもらえなかった。
少しだけ軋む梯子を恐る恐る降り、上よりも更に暗い闇にペンライトの光を走らせる。暗闇の先から微かに流れ来る風は、この先の何処かが外に続いているからだろうか。
「右と、左……」
「左からかなあ」
闇に眼を凝らして記士郎が呟き、寝太郎が何気なく応じる。反対する理由もなく、記士郎はこくりと頷いた。湿気と土の匂いを帯びた僅かな風を頬に感じながら、岩肌がむき出しとなっている左の通路を辿り始める。
閂が掛けられた扉を敢えて開けようとはせず、その隣にある重々しい格子戸の奥へと光を向ける。
「うわぁ」
光に照らし出された物々しい甲冑群に、寝太郎が小さな声を漏らす。
「開けてみましょう」
ペンライトを寝太郎に渡し、記士郎は格子戸に手を掛けた。ささくれ古びた格子戸を壊さぬよう、慎重に動かす。戸が開かれても、甲冑はその場に静かに佇むばかり。
特に危険は感じられず、寝太郎はそっと部屋に踏み込んだ。足元には錆びついた槍や刀、よくよく見れば壁にも幾つもの武器が立てかけられている。
「この寝子島で、激しい戦争でもあったのでしょうか」
床に転がる槍を拾い、他と同じように壁に立てかけながら記士郎は目を細めた。長く放置されていたにしては、どの甲冑も綺麗に蜘蛛の巣や埃が払われている。いつかに探検に入った子どもたちが綺麗に整えて行ったのか。
ここは、今は寝子島の子どもたちが大切にしている秘密基地のようなものなのだろうか――はちがぶちの老店長が場所を教えてくれたり、寝太郎の父が知っていたりしているということは、おそらくは、子どもたちが代々受け継いでいるような。
幾着か安置されている甲冑のひとつひとつを改める。致命傷に至るような損傷は見当たらないものの、いくつもの小さな傷は見受けられた。この鎧を纏い、誰かを、何かを守るために戦った過去の誰かに供えるため、記士郎は鞄の中から酒の小瓶とお猪口を取り出した。
「お城を守ってくれた方たちなのでしょうね」
お酒を供え手を合わせる記士郎に倣いながら、寝太郎は古い鎧をじっと観察する。
「ん?」
面頬の奥、キラリと何かが光った。目を凝らし、兜の奥を覗き込んで、
「……えっ」
ぐらり、鎧が傾いだ。
「わっ、わあっ!?」
「おっと」
頭を抱えてしゃがみこむ寝太郎を片手に庇い、記士郎はもう片手に甲冑を支える。傾いた兜の隙間からポロリと落ちたのは、青いおはじき。ペンライトの光を反射していたらしいそれを手に取って、寝太郎は瞬いた。
「ん……?」
平たいおはじきに、蜘蛛の糸じみた細い糸が巻き付けられている。鎧の中まで続く糸を切らぬようそうっと手繰る。出てきたのはくるくると丸められた小さな紙。
「天動さん、これ……」
出てきた紙片を記士郎に手渡す。鎧を元に戻し、記士郎はペンライトを咥えて紙片を開いた。墨で書かれた文字に目を通してから、もう一度甲冑に手を合わせる。
くるり、元のように紙片を丸め、おはじきと糸を面頬の奥に潜ませる。
「八夜城に、子どもは姫君しか居ませんでした」
紙片を読んだ記士郎の言葉に、寝太郎は目を瞠った。そういえば、あの城にいた子どもはあの小さな姫君ひとりきり。
「護衛の武者が数人と、城に立て籠もった人々の子どもたち、……彼らが此処に隠れ住み、やがて外に出て隠れ里を形成し暮らし始めたそうです」
ただひとり、と記士郎は眉を顰める。
「ただひとりだけ、外には出ず此処に暮らし続けた子どもが居たそうです。外に出ることを拒み続けた子ども、いつか姉上が迎えに来てくれるまで待つのだと言い続けた子ども。おそらくは、八ヶ淵の血を継ぐ男の子」
格子戸を閉め、暗い通路を辿る。
くすり、記士郎は栗色の瞳を微笑ませる。
「店長さんの文字でした」
八ヶ淵氏の裏の歴史を書き記した文字は、寝太郎の持つ『宝の地図』に書かれた老店長の文字と同じ筆跡だった。
「こんな暗いところに、ずっとですか」
寝太郎の声が沈む。記士郎は慌てて首を横に振った。
「いいえ」
通路の果てには大きな広間があった。その央には、蓋が閉ざされた大きな葛籠。開けば中には、様々な年代の様々な玩具が詰まっている。
「元服を迎える頃、彼は此処から外へと出たそうです。里で妻を得て、子どもを大勢育てたと。この地下の何処かに、彼のお墓があるそうです」
「……今も、お姉さんを待っているのかなぁ」
父から渡されたお手玉を取り出し、葛籠に納める。お手玉を渡されたときは不思議だったけれど、ここに至って葛籠の中を見た途端に納得した。これはここにいれるべきものなのだと。
「それは、……どうでしょう。だとしてもきっと、『彼』の子ども時代の想いの欠片のようなもの、なのかもしれません」
広間の先にある、おそらくは外に続く細い坂道は登らず、来た道を戻る。地蔵に手を合わせて虚から出れば、外の森は僅かに茜がかった光に満たされていた。
金色の光に照らし出された葉桜がまるで満開の桜の幻にも見えて、寝太郎は息を吐く。
「天動さん」
記士郎の袖を引く。同じ樹を同じように見ているのかもしれない年上の友人は、桜樹のもとに和紙に包んだ干菓子を捧げながら柔らかく笑った。
「帰りましょう、寝太郎さん」
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。八ヶ淵埋蔵金探索記、お届けにあがりました。
少年たちの冒険、少女たちの想い、新聞部の活動に少年と青年の歴史散歩、いろんな探索場面をほんとに楽しく楽しく描かせて頂きました!
楽しい思い出になったらいいな、八ヶ淵の人々をちょっぴり知っていただけたり思い出していただけたらいいな、そんな風に思いながら書かせていただきましたが、如何でしたでしょうか。
あなたをあなたらしく描けておりましたでしょうか。
ご参加くださいまして、読んでくださいましてありがとうございました!
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
そうして、またいつかの機会にお会いできましたら嬉しいです。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年10月11日
参加申し込みの期限
2017年10月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年10月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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