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魔女の咬み痕 腫都タユタラ
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【クーラシン王宮】
自分の中で、刃が骨に触れる硬い音を
楢木 春彦
は聞いた。
「が、あ、あ、あああッ!!」
とっさに背後へ蹴りを繰り出す。鎖に括られ、闇の中を引きずられた経験の賜物か、身体が自然と反応した。
手応えはなかったが、黒い影は吹き飛ぶように距離を離す。
「痛ァッ……くそ、なんだよこいつら……!」
敵対者であることに疑いようもない。しかし奇怪な敵だった。影だけが人の形を作り、揺らめくように立っている。それも、幾つもの人影が。
足元に伸びる影の外には出られないのか、手にした黒い刃をゆらゆらと揺らしながら、彼らはまるで迷いに暮れているようだ。
春彦自身の影と、王宮の外から差し込む星明かりが落とす影とが繋がっていて、どうやらそれを伝い彼の背に回り込んだようだ……と春彦は当たりを付け、後ろへ飛び退いた。止む無く空気の足場からは外れてしまったが、床をも覆う脈打つ珊瑚は意外にもしっかりと硬く、歩みに問題は無さそうだ。
「! なんだ?」
その時、彼の背後から波紋のような光が広がった。
「あ……これは、私、何が……」
「サヤ!?」
異形との交信を試みる能力は、
一条 紗矢香
を始め、神秘大学に満ちる狂気を生き延びた者たちの一部が獲得したものだ。
そして広がる波紋に呼び覚まされるかのように、春彦の傷が痛んだ。内からこぼれ落ちる血流が導くかのように、彼の得た能力もまた発動し、同調した。
「お返しください! お返しください!」
「お返しください! 王よ! 我が王! 王よ!」
「お返しください! 王よ、お返しください! どうか!」
「ぐっ、なんだこれ……くそっ、サヤ……!」
激烈に増してゆく痛みに耐えながら呼ぶも、紗矢香の返答は無い。彼女は呑まれているように見えた。
目の前では光の波紋が何かの像を浮かび上がらせ、目まぐるしく動き始める。
「お返しください! どうか! どうか!」
「お返しください! 王よ! 我らが肉を!」
「マリーなる者、内には黒き謀を巡らせております! 企んでおります!」
「あれなるは必ずや、王の大いなる御威光損なわせし者!」
「お返しください! 我らが肉を、どうか!」
「……余は、誰ぞ?」
紗矢香は唇を噛んで己を保ちながら、現れたもう一つの像を見る。
「おかえしください……どうか、おうよ……っ、ダメよ。意識を持っていかれてはダメ……春彦っ。春彦は……?」
影たちをかしずかせているのは、まだ若く猛々しく見える青年だった。恐らくは王宮の主である、やんごとなき高貴の者であることが紗矢香にもひと目で分かった。
しかし、王はそうとは思えぬほどに下卑た笑みを口元に張り付かせ、家臣であるらしい影たちを嘲笑った。
「答えよ。余は誰ぞ?」
「偉大なる賢王クーラシン陛下! 我らがクーラシン陛下!」
「いかにも。なれば許されよう? 全てが!」
「まさしく! しかしながら、陛下!」
「恐れながら、陛下! 肉を! 我らが肉を!」
「力持たぬ王など虚仮威しに過ぎぬ。甘んじて民に侮られよと申すか? くだらぬ。我が王朝を、民を栄光浄土へ導くのは、絶対の王でなければならぬ」
紗矢香は気づいた。視界の端。春彦の変化に。
「は、春彦……しっかり、なさい……! おうよ、おかえしください……にくを、われらがにくを、春彦っ!」
彼の輪郭がぼやけ、黒い影へと変じようとしていることを。水底を惑う残響を拾い上げるがごとく、影たちと同調する彼は肉を失いつつあった。
喉から声を振り絞り、紗矢香は叫ぶ。ゆらゆらと惑い怯えたような、影たちへと。
「聞きなさい……レッドヒル・マリーは私たちにも、敵よ! 私たちは、託された! シモーヌ・デュボアに……あなたたちの敵じゃ、ない!」
「マリーはその担い手よ。余を真なる王へと昇華させると誓った。故に其方らはただ、祝えばよい。余の神化を」
「どうか! どうか! 王よ!」
「お返しください! どうか!」
「どうか! 我らの……」
「ただ、差し出せばよいのだ。其方らの知を。肉を。全てを我が魂へ供するのだ。常世の支配者たる、この賢王のためにな」
影たちに肉はなく、瞳もないが、紗矢香には彼らが自分へすがるような目を向けていることが確かに感じ取れた。
同時に、隙あらば春彦の、そして紗矢香の肉をも彼らが奪い取ろうとしていることもまた。
「われらの、おうよ、にくを……春彦っ!!」
「こっ、のォ!!」
異相に属する者との交信は恐らく、彼らと深く同調するが故に、正常な精神を破壊するだろう。春彦が力を振り絞り、紗矢香を抱き上げいずれの影とも繋がらない星明かりの中へ飛びこまねば、紗矢香という自我は波濤に押し流されるがごとく消失していただろう。
「は、春彦……大丈夫?」
「傷は、ちょっと、深いかも。けどなんとか、大丈夫……痛ってぇぇぇ!」
とっさに春彦が空気の足場を作り、二人はその上へとへたり込む。
手の届かない肉を前に、影たちは肩を落とし蠢くのみだった。
【プーラナーガラン寺院 永遠庭園】
朝鳥 さゆる
が擁するそれは、破滅願望というわけでもないのかもしれない。彼女はただただ、現実に疲弊し摩耗し切っているだけなのかもしれない。
結局のところ、死は生と地続きの『現象』に過ぎない。少しばかり状態が変わるだけだ。さゆるにとっては全てが悪夢であり、そこに終わりは訪れない。
だからこそ彼女には、躊躇いというものがなかった。
「朝鳥さん!! 前に出すぎ……!!」
いくらか落ち着きを取り戻した
白 真白
が、それでも蒼白な顔のまま叫ぶ。
バタフライナイフをねじこみ、抉る。海産物を捌く感覚に似ているだろうか。やみくもに群れへと踏み込み、目へ、こめかみへ、心臓へ、急所と思しき場所へ次々に刃を突き入れてはかき出すように手首を捻る。
不思議と、伸びてくる触手が彼女を捕らえることはない。狂気は水際において彼女の精神を極限まで研ぎ澄まし、全てを俯瞰するように見せていた。
「……? これは」
そして彼女の余裕が、人外との戦いのさなかにありながら、それを発見させた。
ナイフを横に振り抜き、白く透き通る喉を裂く。
「レッドヒル・マリー。その痕跡……というところかしら」
ああ……甘く疼く肉欲を感じるわ。
男の身で味わう快楽というものを試してみたくはあるけれど。いいえ、それより今はあの二人ね。
「うじゃうじゃいやがる、クソァ!! このっ、こっち来んなッ!!」
破壊されたマニ車の残骸を拾い上げ、
化神 小次郎
は異形を殴りつける。触手が肌を這うおぞましい感触が脳裏に蘇りかけるも、彼女はそれを飲み下すようにして記憶の奥へ押し戻す。
淡く灯る幻像が、目の前で人の姿を形作るのを目の当たりにしたのはその時だった。
「……!? なんだこりゃ?」
それは、マリーの残り香。さゆるの得た能力が再生する、レッドヒル・マリーと呼ばれた女の記憶と思考の残滓だった。
「私は、神への奉仕に身を捧げた女ですよ」
「だが、女だろう」
「それにあなたは、学究の徒であったのでは……?」
「ガラウルガレンはもはや無い。未知なる魔術の探求というお題目も、今じゃ虚ろに聞こえるね。そんなものより、今の俺は、君に興味があるのさ」
「……悪い方ですね、あなたは。ふふ」
奇妙な構図だ。人目を逃れるように寺院の裏手で抱き合う二人の若い男女を、レッドヒル・マリーは覗いているらしい。
「ここが本当に夢の中なら、都合の良い武器でも落ちていたらいいのに……!」
香月 良衣
はろっこんを発動して耐久力を増し、多くの異形を惹き付け矢面に立っている。仲間やジャック・マクマスターとの道行きが、こんな状況においても彼女に少しばかりの冷静さを与え、幻像の語る声へ耳を傾けさせた。
「マリー。あなたは何を考えていたの?」
弥三郎。リヒャルト。ランベール教授……男たちが私へとぶつけた感情の熱さを思い出す。
男と女の情愛というやつかしら。私には、魔術の深淵よりもよほど分からないものだわ。
「この街にとって、私のような者は異端なのでしょう? こんなところを見つかれば、あなたもただでは済まないでしょう」
「だろうね、だが構うもんか。愛に生き、愛に死ぬ! いいじゃないか。俺にも、君の神さまが言うそいつを教えて欲しいもんだね」
「勝手な方。でも……シンダールヤット。私は……」
「何も言わなくていいさ、ソフィア。君にも痛みがある。父上を失くした痛みが。そして俺にもね。今はただ、寄り添おう。それで十分さ」
……むず痒いわね。
ともかく興味があるのはあの男だけ、教会の修道女は後回し。あれはペマとお馬鹿な仲間たちに任せましょう。
あの男……偉大なるガラウルガレン、その最後の学徒。鬱陶しいデュボア学派の生き残り。そして学内には数少ない、タユタラの民だった。
私としたことが、ラモ・ダワを変える時、彼女の夢想域をもっと事細かに調べ上げておくのだった。
彼には、その代わりを務めてもらわなくてはね。
ああ。私の知的欲求が疼く。
そう、これは浅はかなクーラシン陛下のご意向とは関係がないのかもしれない。
それでも、確かめなければ。あれは一体、どこからやってきたのか?
発端は大学にあったのかしら? それとも……タユタラの街には、何かがある?
コーラリアンと名付けたあれらは一体、どこからやってきたの?
地面を滑りながらナイフを振り抜き白い足を千切り飛ばし、倒れ込む異形にのしかかり柔らかい頭蓋を引き裂いたところで、さゆるは気づいた。
ソフィア・マクマスターが、情報を吐き出し消えゆく幻像を横目に、虚空を見上げている。
「……分かるでしょう? 魔女は裁かれねばならない。あれが生み出した何もかもを、この世から排さねばならないのです」
「ああ。そう。そうでしょうね」
気だるげに言葉を返しながら、ナイフを突き込む。興味はないが、同意することはできた。かつてはさゆるにも、愛するに足る男がいたから。
さゆるも仲間たちも、ソフィアと同じように宙を見上げ、彼を見た。
男の羽織るローブから覗く両の手と足はヒレのように変化し、頭部には六本の触手が生え伸びている。まるで空を泳ぐ……そう。クリオネだ。
彼女らを見下ろす瞳に光は宿らず、もはや自分を認識しない男を見上げたソフィアの口元に走る傷痕が形作る微笑みには愛憎が入り交じり、凄絶な泣き笑いに見えた。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
前回シナリオ
魔女の咬み痕
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
ホラー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年09月13日
参加申し込みの期限
2017年09月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年09月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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