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【お花見】しづ心なく花の散るらむ
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「やっほぉ、今日は来てくれてありがとねぇ若菜ちゃん」
待ち合わせ場所にしていた桜の下で、
壬生 由貴奈
は大きく手を振った。
「私の方こそ、今日は誘ってくれて有難うございます!」
十文字 若菜
は駆け寄って、両脚を揃えてしっかりとお辞儀する。
「どうしたの? そんなにかしこまっちゃって」
「いえあの由貴奈さんから……」
照れくさいが言ってしまおう、若菜は心を決めていた。
「声をかけてもらえたのが嬉しくて! 身に余る光栄、って感じですか」
「そんな大袈裟な」
由貴奈にも照れが伝播したようで、彼女は頭の後ろをかきながら言った。
「これまで、のんびりした場所でお話しする機会はなかったもんねぇ、今日くらいはゆっくりしていこー」
「ええ、私も、由貴奈さんとお話したいとずっと思ってました」
そのときちょうど、チャーターしていた屋形船が入ってきたのである。
「ささ、屋形船に乗っちゃおー! 続きは川の上で!」
「はいっ!」
ゆっくりと下るは屋形船。
川に身を任せるように、ひたすら静かに流れゆく。
「こうして桜眺めながらのんびりできるっていうのはいいことだよねぇ」
春の匂いを運んでくる風に、由貴奈は目を細めていたが、
「はい、そうですね」
と、妙にかしこまった若菜を見て小首をかしげた。
借りてきた猫というか面接の順番をまつ就活生というか、とにかく、きっちり背筋を伸ばした姿勢のまま、ぴたり合わせた膝の上に両手を置いてかしこまっているのである。
緊張してる……のかな。
よく考えてみればお互い、事件現場で顔を合わせた経験があるばかりなのである。最初の興奮がおさまれば、よく知らない先輩の前でかしこまってしまうのも無理はない。
そこで由貴奈は、硬くならないよう言葉を選びながら、それでいてごく自然に聞こえるように話しかけた。
「そういやこれまで若菜ちゃんとは、豪華な客船で物騒な探し物したり、ループする世界でバトルしたり……修羅場でしか会ってない気がするー」
口にしてみるとなかなか特殊な出会いを繰り返してきたのだと改めて思って、由貴奈はつい苦笑していた。
「若菜ちゃん頼もしいけど、そういう場所ばっかりっていうのは素直に喜べないというか、ねぇ?」
本当に、と若菜は手を打つ。
「そういえばそうですね! この間は大変お世話になりました!」
反射的に返してきた若菜の『大変お世話になりました!』は、きっと社交辞令ではない。それはわかったのだが、どうもまだ彼女からは硬さが抜けていないようだ。恐縮させるのが目的ではないので、掘りごたつから腰を少し滑らせ、由貴奈は彼女との距離をほんのりと詰めて、
「もっと言うなら、ああいう状況以外でも会いたかったな」
「はい、それは私も……です」
悪い反応ではない、と思ったので、由貴奈は先に重めの話はすませておくことに決めた。
「若菜ちゃんのこと結構心配してたんだよぉ、ループ世界のとき操られた若菜ちゃんを皆で助けたけど……いろいろ無茶したし、ね」
喉元過ぎれば、とは言うが、思い出してみるとやっぱり、危ない橋を渡っていたことは間違いない。
「ループの世界の事は、心配かけてしまって本当に申し訳ないです……」
若菜は身を屈めたが、そのまま消沈したりはしなかった。思ったことはちゃんと伝えて、わかってもらいたかった。
「でもそう言って心配してもらえるのは、なんだか不謹慎だけど少し嬉しいです。あのときは、私は操られるって選択をして……皆にすごく迷惑を掛けてしまったけど……でもあのとき、あの選択をしたのはみんなを信じていたからです」
なんだかひどく喉が渇いていた。でも、途中でやめたくなくて若菜は続けた。
「彼が約束を守ってくれることを、皆が来てくれることを、そして助けてくれることを、私は」
一拍おいたのは、自分の気持ちに嘘がないことを確かめたかったから。
間違いない。本心だ。だから若菜は、落ち着いてこう締めくくったのだった。
「……信じてました。心配すごくかけてしまって申し訳ないけど、信じた通りに由貴奈さん達が助けてくれて、すごく嬉しかったです。あのときは、本当にありがとうございました」
「気にしないで。こちらこそ、信じてくれてありがとう」
可愛いな、と由貴奈は素直に思う。若菜が自分を頼ってくれたこと、今も、頼りに思っているであろうこと、それが理解できた。
「身体が痛むとか心が痛むとか、大丈夫?」
大丈夫です、と若菜は言った。
「心は痛むけど、一緒に支えてくれる人がいるから。由貴奈さんもいるから……痛い気持ちをたくさん与えてしまってごめんなさい」
「あやまることなんてないよぉ。当然のことしただけだから……これからも、うちでよければ、いくらでも支えたげるよぉ」
「どうもありがとうございます……重ね重ね……」
おっと、と由貴奈は自分の顎に手をやる。いささか場が湿ってきたかもしれない。
「……はい、じゃあ」
由貴奈はパンパンと手を叩く。そうして、
「暗い話はおわり。お花見にしましょー。クッキー持ってきたからどーぞぉ」
持参の包みを解いて、化粧箱に入れてきた手作りクッキーを披露したのだ。
「焼きたてだから味は保証するよぉ」
菓子にはいくつか効果がある。そのひとつは、場を明るくすること。
「有難うございます!」
期待通りだ。若菜は目を輝かせている。笑みを誘うチョコレートの匂いがしていた。
「わぁ、色んな種類があるんですね!」
「茶とプレーンとココア……あと桜風味。好きなの食べてねぇ」
さっそく手を伸ばした若菜の、表情は華やいでいた。
「さくさくして美味しい! 桜を見ながらまったりクッキーっていうのもすごく良いですね」
「そういうことぉ」
由貴奈は微笑む。屋形船は、ちょうど桜がよく見える位置で止まった。
「若菜ちゃん、もう3年生だよね。あと1年、大切にねぇ」
由貴奈にとってはもう高校生活は終わってしまったが、若菜にはまだまだこれから、クライマックスとなる1年間が待っている。そう思うと、なんだか眩しい。
「勉強とか恋愛とか……そういえば若菜ちゃんって付き合ってる人いるの? うちそういうの気になるなぁ、どーなのどーなの?」
うりうり、とさらに距離を詰めて問うのである。船の上の恋バナ、それもまた一興というものだ。
唐突に訊かれ、えっ、と戸惑ったものの、若菜は頬を染めつつうなずいていた。
「います……だ、大好きな人です!!」
なぜだか大慌てで余計な(?)一言まで添えていたのは、若菜なりの誠実さの表れだろう。
「ふふふ、その人が大好きっていうのは伝わったよぉ」
「はは……恥ずかしい、です」
ますます顔は真っ赤だ。ああなんだかやってしまった、という気持ち!
しかしこのままでは終わらないし終われないというものだ。
青春だねぇ、となにやら満足気な由貴奈に対し、次は若菜が問う番だった。
「それで、由貴奈さんのほうはどうなんですか? いらっしゃるんですか?」
気にならないはずがない。今度は若菜のほうが、由貴奈ににじり寄っている。
すると由貴奈は、かわすように、あるいは受け流すようにこう答えたのである。
「うちは……そうだねぇ、じきにわかるよぉ」
と。
屋形船がまた動き始めた。
ふたたび流れゆく。
川に身を任せるように、ひたすら静かに。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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