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【お花見】しづ心なく花の散るらむ
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随分と陽も長くなったものだ。一ヶ月も前ならとっくに暗くなっていた時間帯なのに、まだ明るい。
肌寒い日も続いたけれど、桜も咲いてもう春なのだと、はっきり認識できるようになった気がする。
市橋 誉
が桜川まで来たのに、特に理由らしい理由はなかった。強いて言えばなんとなく、桜に惹かれてといったところだ。
時間的にはもう夕方だ。日中の花見客は大半が帰宅の途についていて、レジャーシートを畳んでいる姿も散見された。
「誉くん!」
呼ばれて振り向くと、片手にバスケットを提げた雨寺凛の姿があった。
「今日はたくさん知り合いに会うな~」
「雨寺は花見?」
「うん。でももう帰るところ。惜しかったよー、誉くん! あと30分も早くくれば、私の特製弁当をご一緒できたのに♪」
「それは残念。またの機会とさせてもらうよ」
「誉くんも帰り道?」
「いや、今来たんだ。花を見てから帰るつもり」
「そうなんだ。じゃあまた! それにしても、ふー、楽しい一日だった!」
今日見た素敵な風景、もしかしたら曲に出来るかも……と言いながら凜は去っていった。
誉はそのまま川沿いを歩く。しばらくして、
「あれ……?」
見慣れた姿に足を止めた。
詠寛美だ。あの横顔は間違いない。
制服姿。ひとり川辺で、何をするでもなく立ち尽くしている。川の流れを見つめているのだろうか。それとも、対岸の桜を眺めているのだろうか。
綺麗だな、と誉は思った。
いつもなんだか不機嫌そうな寛美とも、ときおり見せる照れくさげな寛美とも違う。今の彼女はどことなくおぼろげで、やはりどことなく、寂しげな目をしていた。
いつまでも眺めていたいくらいだったが、放っておけないと思い誉は川辺へ降りた。
「詠も桜を観に来たのか?」
呼びかけると、寛美は我に返ったように、
「市橋か」
とだけ言って、ああもう夕方だとかなんとか、独り言してどこかへ行こうとする。
彼女をこのまま行かせてはいけない――何の根拠もないが誉はそんな気がした。
「待ってくれ。よかったら、船の上から桜を観てみないか?」
嫌なら……と言い加える必要はなかった。
「いいぜ」
あっさりと寛美が承諾したからだ。
「良かった。手漕ぎボートかスワンボート、どっちがいい?」
「手漕ぎのがいいな。ダチが乗ってるの見て、楽しそうだと思った」
このとき寛美が気がかりなことを口にした。
「ボート代、割り勘な」
こういうものはいつも、『相手に出させて当たり前』を全力で実施する彼女にしては奇妙すぎる発言だ。誉は、砂鉄がたっぷり詰まったビニール袋を手渡されたような胸騒ぎを覚えたが、あえて普段通りに言った。
「いいよ、俺が出すから」
「なんで?」
「誘ったのは俺だし」
寛美はそれ以上固執せず、ただ、「なら頼む」と言っただけだった。
誉がボートを漕ぎ出す。
夕陽に照らされる川面は静かだ。ちょうど昼花見組と夜桜組の合間なのだろう。他に人の姿は見あたらない。
そんな中、見上げる桜は格別だと誉は思うのだが、
「……」
寛美は黙って、水面を見つめているだけだった。
「なあ、詠。ちょっとオールを任せてもいいか?」
呼びかけると、うなずいて寛美は立った。座り場所を交換する。
「疲れたのか?」
「いや、あんまり綺麗だから……ピアノが弾きたくなった」
誉は鞄から、普段使いのスケッチブックとペンを取り出した。ブックに鍵盤を描く。『ろっこん』を発動する。
寛美はただ、誉のすることを見ていた。
ヴィヴァルディの『四季』から『春』、その第一楽章を誉は弾き始める。誰でも知っている超がつくほどの有名曲だ。しかし元々はヴァイオリン協奏曲、それゆえピアノ独奏にはセンスが求められるといっていい。誉はこれを楽しく、ディキシーランド・ジャズ風のアレンジまで混ぜてダンサンブルに弾ききった。
「すごいな」
寛美は素直にそう言って、拍手さえしてくれた。
「じゃあ」
と前置きして誉は言った。
「詠もちょっと叩いてみないか? 鍵盤」
「俺はいいよ」
「曲を弾く必要はない。思うままに鍵盤を触ってみてほしい」
「悪いな……嫌ってわけじゃないんだ。ただ、今日はそんな気分じゃない」
と言いながら寛美は、両膝を抱きかかえるようにしている。
やはり今日の彼女は変だ。誉は確信した。
いつもの寛美なら、なんだかんだ言って折れて、鍵盤に触れたことだろう。ところが今日は取り付く島がないというか、まるで張り合いが、ない。
「詠、何か、悩み事でもあるのか」
「何だよいきなり」
「わかるんだ。俺には」
「なんでだよ」
「それは」
誉にはわかっている。
それは寛美が、自分にとって特別な存在だからだ。
ずっとわかっていた。
けれどそのことを告げるのには抵抗があった。言葉にしたとたん、これまでの心地良い関係を失ってしまいそうで怖かったから。
だからすっと言えなかった。
でも今なら……言えそうな気がした。
「俺さ……詠のことが好きだ」
えっ、と言うように寛美が顔を上げるのがわかった。
「詠は俺にとって、特別な女の子なんだよな。だから、こうして一緒に過ごす時間がとても好きなんだ……。俺は……詠の特別になれないだろうか」
こんなときに告白するなんてフェアじゃない――それくらいわかっている。
けれど寛美が悩んでいるのなら、その悩みを分かち合いたかった。苦しんでいるならその苦しみをともに背負いたかった。それくらい、いつわりのない気持ちだった。
いきなり何言ってんだバカッ! というような返事を誉は一瞬想像した。そうしてそのまま、いつもの不機嫌で元気な寛美に戻ってくれるのならそれでもいい。
ところが彼女はしばらく黙ったのち、疲れたような表情で言ったのだった。
「市橋の気持ちは……正直、嬉しい」
寛美は空を見上げた。
「けどな俺、今はその気持ちに応えられる余裕がねえや。悪いが忘れてくれ」
「どういう……ことなんだ」
誉は我知らず腰を浮かせかけていた。
「言ったことなかったけど、実は俺、ある地方の『名家』ってやつの生まれなんだ。そのあたりじゃ誰でも名前を知ってるくらいの、な。そこの生活が嫌になったんで家出した。『詠(うたい)』って苗字も本名じゃねえ。母方の苗字だ」
それで、と寛美は続けた。
「……今朝、家から連絡があった。ここにいるってこと、父親に突き止められちまったみてえだ。これからどうなるかはわからない。だからうわついた気持ちじゃいられねえんだ。やってらんねー話だが俺、父親の決めている婚約者ってやつと結婚させられることになるかもしれねえ」
今どきそんな、と言いかけた誉を寛美は制する。
「あるんだよ、今どきでも。田舎ナメんなってやつだ」
はは、と自嘲気味に笑って、「そろそろ返してくれないか」と寛美は短く告げた。
太陽は沈みかけている。
誉は、返すべき言葉を見つけられないままだ。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
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定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
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