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【お花見】しづ心なく花の散るらむ
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コンロから香ばしい匂いがただよい始めた。
最初は煙がもうもうと出ていたものの、今はそれもなくなっている。
火の勢いも安定し、炭火独特の柔らかい熱で肉や野菜の表面を撫でていた。
「うんうん、いい感じに焼けてきたなー?」
来島アカリはコンロをのぞいた。本当にいい感じだ。
串焼きの肉も。
トウモロコシも。
ピーマンも。
魚の頭まるごとも。
バナナと肉のあわせ焼きや茄子のマシュマロ包みも……?
ちょっと待て。
「そう兄ぃ……?」
アカリは強張った笑みを浮かべた。ピンポンとチャイムが鳴ったのでドアを開けたらそこにタコ型宇宙人がいた、とでもいいたげな笑みだった。
如月蘇芳も硬直気味だ。
「それは……」
やはり赤いクーラーボックス内に見たものは幻ではなかったようだ。
全部、渡辺美里愛のお手製なのは明らかだった。
すでに美里愛は食べるのを開始している。
「わーすごーい! おいしそー! いただきまーす!」
とても軽快に、良い意味で清濁合わせ呑むように。それはもうぱくぱくと。
一時停止ボタンが押された状態の男子ふたりをよそに、楠木ゆきのが甲斐甲斐しく皿を盛りつけてくれる。
「………蘇芳……食べて」
なおこれは、「怖いから食べて!」という押しつけのメッセージではなく、「蘇芳は気を付けて食べた方がいいよ」と気遣ってくれた言葉である。蘇芳はこういったものにあまり耐性がなさそうなので心配しているのだ。
しかし紳士な蘇芳は、これをポイと捨てたりわざとらしく落としたりはしない。
にっこりと笑うと、はいどうぞ、と蘇芳は危なげなものを美里愛に回して事なきを得た。
「スーくんありがとう!」
「ところでミリアちゃんが用意した串はいくつあるのかな?」
「えーっとねー!
たくさん!
」
「それは……豪勢な話だね」
そしてミリアは自分チョイスの大変なブツが乗りまくった皿を、今度はアカリに手渡している。
「おいしー! アーちゃん、お料理上手なんだねー! お返しにミリアのやつも食べて食べてー!」
「え……ミリア、これお前が作ったやつか……?」
ついにこの時が来た、とアカリは呻きだしそうになるもこらえて、
「い、いや、俺は焼かなきゃだし、今はいいから……」
と遠慮してみる。けれど美里愛に容赦という言葉はなかった。
「えー、なんで……? ミリアのたべてくれないの……?」
キラキラと星灯りを浮かべた瞳で告げるものだから、アカリは覚悟を決めたのである。
「う、うー……わかった。いただきます!」
「わーい! ありがとー! アーちゃんやさしーねー!」
アカリは驚いた。奇蹟ではないか。昏倒するかもと思いきや、なんとどの食材も、きちんと食べることができたし存外に美味であった。
「あれ、普通にうまいじゃん……」
「でしょー!?」
「うん、うまいよ。いい出来だ」
「わーい!」
美里愛は諸手を挙げて喜ぶのだ。もしかしたらこれはすべて、彼女のママが作ったものかもしれないが気にしていないらしい。
一方東条あんずは、蘇芳に渡された皿を見て半べその状態であった。
「えっおやさい? やだー! うちお肉だけで良いもん!!」
と抗弁するも、好き嫌いはいけないよとたしなめられてしまう。
「うう……じゃあ食べる……うええ……ぐすっ……なんかマシュマロが入ってて……苦くて甘くて意味分からない……」
ロシアンルーレットよろしく目を閉じて串を選んだものだから、いきなり強烈なのが当たってあんずは咳き込んでいた。
「くそー! おいしいお肉全部食べて、くちなおし(?)してやるぞ!!」
「じゃあこれどうぞー!」
すかさず美里愛がおかわりを入れてくれる。そう、美里愛特製の串だ。
「ミリアが作ってきたのか!? なんか見た目が独特だな!」
「うん、これ胃薬入りの串! ミリアのごはん食べた後にいっつもパパが飲むおくすりだよー!」
普通の人ならばここで食べるのを躊躇するだろうが、あいにくとあんずはフツウであっても普通ではない。
「バーベキューって串にお肉刺すだけだもんな! お薬の味はしなさそうだな!!」
と勢いよく食べてみたが……やっぱり味は、普通ではなかった。
悪い意味で
。
さっとあんずは血相を変えて、
「アカリもこれ食べろ! ミリアが作ったものだぞ!!」
とアカリに串をグイグイ押しつける。
「なんで俺!? ていうかまた俺なのか!!」
アカリは講義するも、そのときには、
「あ! 猫だ! にゃー!」
一声叫ぶとあんずは、調薬する猫のようなアクションで駆けだしていった。
「っておい、あんず! 俺に押し付けんじゃねぇ! おいこら! 逃げんな!」
胃薬、そして茄子とビーフのマシュマロ包みは、大変ストレンジな味であった。
ややあって、
「アカリ君取り分けてくれたの? ふふ、ありがとう」
蘇芳にアカリは皿を手渡していた。こちらには、危険な串は入っていない。それどころか、肉がそもそも入っていない。魚介類と野菜の串ばかりだ。
「あはは、俺が肉あまり好きじゃないって覚えてたんだね」
「まあ、他ならぬそう兄ぃのことだからな……」
「それは嬉しいね」
蘇芳はにっこりと笑った。まぶしいほどに。
「どういたしまして……」
彼の笑みに照れてしまって、アカリは視線を逸らすのである。
いつの間にか少し離れた場所で、恋人のように囁き合う蘇芳とアカリ……
と、この状況をある特殊なフィルターを通して見ている眼があった。
ゆきのの双眸だった。
アカリは、やさしいお兄さんに翻弄される受け……
んふふ。
蘇芳と桜、似合ってる。蘇芳はミステリアスだから、夜の桜の方が合うかもね。
夜桜の下で、アカリに優しく微笑みかける蘇芳に、ドキドキしちゃうのね……
ふふ……。
妄想の世界が、まるでもうひとつの現実、あるいは現実のネガフィルムのようにアカリの脳内で展開されるのである。
ところがこの妄想に、いつまでもゆきのが浸っていることはできなかった。
「あ! スワンだー!! ゆきの! 一緒に乗ろー!」
大きな声であんずが呼びかけてきたからだ。
「……ハッ。……あんず、何……? 今忙しい……」
しかしゆきのの『忙しさ』にあんずはお構いなしだ。ぐいぐいとスワンボートに彼女を引きずっていく。
「……え……あんず今度は何……? ボート……? 待って……今具合悪い…ちょっ……」
繰り返すがお構いなしなのである。いつの間にかゆきのは、あんずとともにスワンを漕ぐはめになっていた。
「わーい!! もっともっと漕いでスピードアップしよー!! おりゃー!!」
「……うぐっっ……!! アカリが、アカリと蘇芳の……美しい世界が遠く……!」
スワンボートは速度を増し続ける。どこまでもゆく。どこまでも。
「はー、疲れた……」
自分の肩をとんとんと叩きながらアカリは言った。
「ふう、子供から目が離せないからあまりお花見してる感覚はないね……」
蘇芳は笑った。結局、ずっと子どもたちのペースに巻き込まれっぱなしだ。あのスワンボートが戻ってきたら、またひと騒ぎもふた騒ぎもあることだろう。
「あはは、そうだね。ゆっくり桜見たりなんてできないもん」
「はい、これ」
蘇芳が取り出したのは缶ジュースだった。自分の分もある。
「そう兄ぃもお疲れ様、ありがと」
「ふふ、乾杯」
ふたつの缶が軽くぶつかり、小さな音を立てた。
そして美里愛は火のそばで、まだまだ衰えぬ食欲とともに串を満喫しているのだった。
「桜もすーっごく綺麗だし、バーベキューもおいしいし……みんなでお花見、たのしーねー!」
急旋回して戻ってくるスワンボートに向かって手を振る。
「来年はもーっとおいしいの作れるように、ミリア頑張るよー!」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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