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【お花見】桜の下で待ち合わせ
【お花見】桜の下で待ち合わせ【回想】
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寝子島神社に至る石段の登り口に咲く桜を仰いで立つ年下の友人の姿を見つけ、
呉井 陽太
はひらりと手を振った。細い瞳を一層細くして笑む。
「今日はー、……んー、もう今晩はかなぁ?」
「よっ」
茜の色を纏い始めた頭上の桜から、目前に立った年上の友人へとオリーブグリーンの瞳を移し、
楢木 春彦
は明るく笑う。
「んじゃま、花見な!」
陽太を花見に誘い出すまでは、先日彼と立てた計画通り。とはいえ、ここまでくれば、
(計画成功、……って具合に上手くいけばいーんだけどな)
並んで石段を登り始める陽太を横目に見遣る。夜桜見物に繰り出した花見客の多さに気をとられ、陽太はこちらの視線には気づいていない。
「すごい人出だねぇ」
「あ、ああ、そうだな」
何故だか少し困ったような声音で、それでものんびりと喋る何も知らない陽太に頷き返したところで、不意に陽太が振り向いた。不思議そうな視線を浴びせてくる友人に、計画の破綻を恐れて春彦は思わず声を尖らせる。
「何だよ」
ここに至って彼との計画を潰すわけにはいかない。何と言っても、彼には頼りにされている。信頼には応えたい。
「ん? んー、……」
おっとりとしているようで思慮深いというか案外狡猾というか、侮れないところのある陽太は首を捻る。探りを入れてくるような仕草に、春彦はムッと眉を寄せた。
「花見前にちっと寄り道すっから」
ぶっきらぼうに言い放ち、友人が万一にも逃げないよう、友人の手首をがっしり掴む。
一緒に計画を立てた彼は大丈夫だろうけれど、
「こっちな」
(問題はコイツだよな……)
「えー?」
友人を強引に連行したのは、石段を登り切って参道を突っ切った先の拝殿の裏手。桜の咲き乱れる参道沿いとは違って人気も灯りも少ないそこで待ち構えていた金糸の髪の少年を目にするなり、陽太は大人しく引きずられていた足をぴたりと止めた。
茜の光と静かに散るばかりの桜の花びらを浴び、陽太と仲違い中の弟、
呉井 弦月
は真っ直ぐに兄を見据える。
思いもしない場所で弟と相対し、兄は目に見えてうろたえた。細い目を丸くして固まる陽太が咄嗟に踵を返したりしないよう、春彦は一際きつく友人の手を掴む。流石に土壇場で逃げるようなことはしないだろうが、何しろこの兄弟は随分と長く互いの気持ちをきちんと話し合えていなかった。
(すれ違わず話せるかだよなぁ……)
けれど、ひな祭りに寝子島神社に来たとき、陽太は確かに言っていた。流し雛に書きこもうとしていた切実な願い事を、春彦は覚えている。
盛大にすれ違いはしていても兄弟の願いが同じだということも、ふたりの間に立った春彦は知っている。
「待たせたな、弦月」
陽太の手を離さぬまま、春彦は石畳に立つ弦月に声を掛ける。そうすることで陽太を牽制する。
「いえ、大丈夫です」
少しだけ緊張した声音で首を横に振る弟を見、手を離してくれぬ年下の友人を見、陽太は混乱気味の頭をどうにか働かせる。
「え?」
それでも、口から出てきたのは素っ頓狂な声ばかり。
「いつから二人とも知り合いになったのん?」
言ってから、ようやく何となく状況を理解する。春彦が弟と知り合っていたことなんて聞いていなかったけれど、もちろん弟は話してもくれなかったけれど、ふたりはどこかしらで出会ったのだろう。
春彦は、自分が弟との関係に悩んでいることを知っていた。だからこそ、何らかの縁を得た弦月との仲を取り持とうと考えてくれたのだろう。年下の友人の情の厚さを、陽太はよく知っている。
この年下の友人は、困っている人間に躊躇いもなく助けの手を伸ばして、何でもないことのように屈託なく笑って見せる。
(だとしたら)
陽太は己の手を掴む春彦の手を見下ろす。
(ちゃんとゆづきと話した方がいいな)
よし、と腹をくくる。春彦の肩を叩いて逃げないことを示し、手を離してもらう。一歩前に出、桜の散る石畳の路の上で弟と向き合う。
「……あのさ……っ、ゆづき……!」
弟の名を呼ぶ。雪雲の色した瞳で一心に見上げてくる弟の視線を受け止める。こんなに真っ直ぐ目を合わせたのはいつぶりだろう。
弟が口を開くよりも先、兄は掛けた眼鏡も落ちんばかりの勢いで頭を下げた。
「いつも心配かけたり大切な話するのが遅くなってごめん。特に将来の事については、なかなか相談できなくて本当にごめん!」
「ちょ、……」
ずっとずっと胸にとどめ続けてきた思いは、一度声にすると一気に溢れた。
「ゆづきはオレが将来ピアニストになると思ってくれてたから一緒に演奏してくれたり頑張ってくれてたのに、」
「僕からっ、……」
弟が泣きだしそうに顔を歪めたことも気づかず、陽太は頭を下げ続ける。
「オレはピアニストじゃない道に目を向けて……それで、」
「待てったら……!」
訥々と詫びの言葉を続けようとする兄を懸命に放った言葉でやっと遮り、弟は自分の言葉に出なさに地団太を踏んだ。兄はいつだって先走る。そのくせこちらを振り返って気遣う。それが一番腹立たしい。気遣ってほしくなんてないのに。足枷になんてなりたくないのに。
「……ッ!」
胸に膨れ上がるもどかしさが腹立たしさに入れ替わる。どうしようもなくなって、兄の脛を蹴る。
「……って、うぉっ!?」
「……って、ゆづきぃ……!?」
傍で様子を見ていた春彦と蹴られた兄の驚いた声を受けて、弦月は我に返った。しまった、と蹴った足と兄を見る。捨て台詞のひとつも残して走り去りたい気持ちに駆られるものの、
「弦月! ちっと落ち着けって」
春彦が間に入ってくれた。肩を抱きすくめられる。
「……な?」
なだめるように背中をぱたぱたと叩かれ、弦月はその場に踏みとどまった。身を挺するように暴走を止めてくれる春彦の勇気を少しでも分けてもらいたくて、春彦の胸元の服を掴む。
「今日は話し合いで、喧嘩しに来たんじゃねぇだろ?」
春彦の言葉を近くに聞きながら深呼吸をする。知らず強張っていた肩から力を抜けば、
「楢木さん、すみません」
春彦に対する詫びの言葉は容易く声に出来た。
「このバカが一気にまくしたてて謝ってくるものだから、つい……」
だって謝りたかった。ずっと意固地になっていたことも、刺々しい態度をとってしまっていたことも、兄を困らせていたことも。全部謝りたかった。
「なんで先に謝るんだ」
「いや、オレがゆづきを傷付けたんだし……」
零れた言葉にきちんと答える兄を、春彦の肩越しにキッと睨み付ける。そうしてからもう一度息を吐く。
「もう足が出ないように気をつけます」
「ん」
頭を撫でて離れてくれる春彦に丁寧に頭を下げ、弦月は再度兄と対峙した。
「……おい、陽太」
うっかり怒気を孕んでしまう声音をなんとか押さえつける。
「ゆづき、あのさ、」
「ちょっと謝るのをやめて黙って聞け」
「あ、はい。ちょっと黙ります」
向き合う兄弟から一歩離れ、春彦は唇を笑ませる。弦月が再び激昂して陽太を蹴ろうとするなら足を掛けてでも止めるつもりでいたけれど、
(もう平気そうかな……)
ふたりの間に流れる空気は、顔を合わせた頃よりずっと落ち着いている。これなら、仲立ちをせずとも話を進められるだろう。
「っと」
ぶわりと押し寄せた桜の風に目を細め、思わず笑う。込み入った話はあまり聞かないように、今はふたりの傍を離れよう。近くの屋台で軽い食べ物や飲み物を買って来るうちに、話はきっとまとまっているだろう。
「……っ、」
桜の花びらを抱き込んだ夕風が駆け抜けるのを待って、弦月は真正面から兄を見つめる。今まで気まずかった分、兄の眼を見て話しづらくはあったけれど、こればかりはきちんとしなくてはならない。
「……確かに僕は、」
ともすれば睨みがちになってしまう目を幾度も瞬かせ、弦月はこれまで抱え込んできた思いを言葉にする。
「陽太がピアニスト以外の道を選ぼうとしているのに気付いた時、とてもショックだったよ」
言った途端、申し訳なさそうな顔になる兄に唇を尖らせる。何も言うな、と唇に人差し指を立てて黙らせ、続ける。
「だけどそれ以上に、ずっと僕に気を遣っていたことの方がショックだったし、腹が立ったんだ……」
先ほどの兄の言葉が蘇る。遅くなってごめん、そう謝ってくれはしたけれど、
「本当に、そういう大事な話は早く言えバカ……」
うっかり罵声を浴びせてしまってぎくりとする。謝ろうとしていたはずなのに、どうして喧嘩腰になってしまうのだろう。
慌てて別の言葉を口にしようとして見た兄は、けれど心底安堵した柔らかな笑みを浮かべていた。
「そっか……ゆづきはオレのことを嫌いになったわけじゃないのか」
「いや、別に嫌いになってないよ」
それだけは確かだった。間違いなく、紛うことなく、
「嫌いになんてなるもんか」
「なら、よかった」
春風に零れ落ちる花びらのようにふわふわと笑う兄の笑顔に、弦月は救われた気持ちになる。
「将来のことも陽太は目指したい方に入った方がいいと思うし、僕の方こそ意地になって、ずっと突き放して、」
溜め込み濁らせ続けてきた気持ちを吐き出して軽くなった心は、思っていたよりもずっとあっさりと、
「ごめん……」
ずっと言いたかった言葉を兄に届けることが出来た。
気まぐれな風がくるくると躍る。風とともに桜が舞う。祭の喧噪を連れて、ふたりの様子を遠目に確かめていた春彦が絶妙な折に戻ってくる。
「――よう」
「あ……!」
「お、春彦君」
振り返ったふたりの顔から互いに対するわだかまりが消えていることを見て取り、春彦は自分のことのように嬉しい笑みを滲ませる。
「んじゃコレ、俺からの奢り!」
兄弟に差し出すのは、ペットボトル入りのジュース。手近のベンチに同じく買ってきたたこ焼きやベビーカステラを置き、晴れ晴れとした顔のふたりを見遣る。
「兄弟の仲直り祝いってな」
「ありがとうございます」
「ありがとー」
春彦は悪戯じみた顔でボトルを掲げて見せた。
「乾杯でもすっか?」
ひょいと持ち上げたボトルに弦月が遠慮がちに合わせ、陽太が笑いながら軽くぶつけてくる。
「家帰ってからもちゃんと親睦深めとけよ」
「はい、ありがとうございます」
「はーい」
春彦の笑いながらの忠告に揃って頷いた後は、改めての花見。穏やかな春の夕風に落とされた桜の花びらを肩に受けながら、春彦はこの花見の計画を立てたときに仕込んだネタの種明かしをする。
「呉井、前やったぬいぐるみ飾ってっか?」
思わずむせる弦月を不思議そうに見、陽太はこくりと頷く。
「この間春彦君がくれたのだよねぃ」
「アレ、弦月が取ったんだぜ」
猫だかパンダだかも分からない、珍妙なかたちしたぬいぐるみ。
(違うのが欲しかったんだけど)
花見の計画を立てる前に春彦とふたりで遊んだゲームセンターでのできごとを思い出し、弦月は目を伏せる。可愛くもないぬいぐるみを友人から贈られ、その後、仲直りした弟が一度手にしたものだと教えられた兄はどんな顔をするのだろうと、悪戯を企んだ春彦と一緒に笑い合ったけれど。
「弟からの贈り物なんだから大切にしろよ?」
陽太の困り顔を期待した春彦がひとの悪い笑顔を向けるも、
「アレってゆづきが取ったのかぁ。カワイイから大切に飾ってるよぅ」
当の本人は心底嬉しそうな顔で笑うばかり。
「……そういえば陽太はキモカワ系とか平気だったな」
「呉井はアレ可愛かったのか……」
悪戯の失敗を知って、弦月と春彦は顔を見合わせる。
「しくじったな」
「陽太のセンスは時々よく分かりません……」
神妙な顔する年下の友人と弟に、陽太は心外な顔をしてみせた。
「えー、カワイイのにねぃ」
きよとんとした顔でベビーカステラをもぐもぐ食べつつ、ふと陽太は思い至った。
「そーいえば春彦君ってゆづきのことを名前呼びなんだねぃ」
「ん? あぁ二人とも呉井呼びはどっち呼んでんのかわかんねぇだろ? 呉井弟じゃ味気ねぇしさ」
炭酸入りのスポーツ飲料をあおりつつ、今度は春彦はきょとんとする番。その隣では弦月がどこか得意そうな顔をしている。
それがなんだか悔しくて、陽太は唇を尖らせた。
「なんだよ?」
目を瞬かせるばかりの春彦に、陽太は自分自身を指で指し示す。
「陽太」
「へ?」
「よ・う・た。はい、りぴーとーぅ」
友人に名を呼ばせようとしながら、陽太は嬉しくなってくすりと笑う。
(そうだ)
弦月と出会ったときから、春彦はこうして三人で笑い合うことを願っていたのだ。
(そうだよねぃ)
それがたまらなく嬉しかった。
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シルバーシナリオ(150)
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3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
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