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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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最後に顔を合わせたのは、ホワイトデーのあの日。
あの日、出会うはずのなかった時と場所で偶然にも行き会って以来、
深倉 理紗子
とは顔を合わせていない。連絡さえ取っていない。
――きょ、今日は休みでここに来たの!
あの日、彼女に吐いた嘘が頭の中で今も巡っている。
あの時の己はどんなにか醜い顔をしていただろう。一番に大切な親友と目も合わせられず、一番嘘をつきたくない相手に嘘をついた。それだけでも許しがたいというのに、
(私は)
その嘘が嘘であると彼女に悟られなかったはずだと信じて安堵している。
――あ。そう、だったんだ……
あの日、己の嘘に対して彼女は小さく頷いた。目を合わせもしなかったくせに、それだけは確認した。
(醜い)
低く呻いて、
深林 真瞭
はテーブルに突っ伏す。長く艶やかな髪がテーブルに乱れるのも構わず、卓に投げ出した腕に額を押し付ける。
嘘を吐いてまでも、彼女にここに――自宅のある東京ではなく、寝子島にあるマンションに逃げ込んでいることを知られたくなかった。
それは所属する交響楽団の派閥争いに端を発するものではあった。最早修復も不可能なまでにねじれた楽団内の関係は、その才能ゆえにコンサートマスターさえ務めるに至った真瞭の心を残酷なまでに蝕み、だからこそ真瞭は東京で仕事や練習をこなしつつも、逃げるように家出をするように寝子島の星ヶ丘に用意したマンションにほぼ毎日帰って来ていた。
今日も、最終列車に乗って逃げるようにこの島に帰って来た。真瞭はカーテンも閉めないままの窓の外の深夜を見つめる。
この島は、何故だか帰って来たくなる。
一番の親友が暮らしているからだろうか。ねこ電で寝子島大橋を渡って本土から帰ってくる度、安堵にも似たあたたかな気持ちが胸を満たす。
(……でも)
どうしてこの島に帰っていることを知られたくないのだろう。東京で一途に夢を追い続けているのだと、頑張り続けているのだと、大好きな彼女に信じていて欲しいからか。彼女からの憧れの眼差しが欲しいか。
(違う、……)
思いついた理由があまりにも醜悪に心に重くのしかかって、真瞭は黒い眼を伏せる。
胸を詰まらせる思いに息さえ詰まって苦しくなる。思わず深い溜息を吐けば、テーブルに投げ出していたスマートフォンが目についた。何気なく手を伸ばし、画面を立ち上げる。通話履歴を呼び出しても、画面に並ぶのは仕事関連の名前ばかり。
忙しさにかまけて、一番話をしたいはずの親友に連絡もとっていない。
(違う)
真瞭は己の欺瞞を断ずる。忙しさに忙殺されるふりをして、連絡しなかった。
(ウソがばれているのが、怖いのよ)
親友は聡い。そうして人の心の機微に恐ろしく敏感だ。あの時吐いた嘘など、もしかすると容易く見破っているのかもしれない。そう思うと怖かった。
嘘を吐いた己を、彼女はどう思っているのだろう。
(でも、……でも)
それでも、声が聞きたかった。楽団内での汚泥にも似た権力争いに、心が恐ろしくささくれだっている。
――まーちゃん
彼女の声が聞きたい。
夜が覗くカーテンの隙間を閉ざす余力もなく、ベッドに倒れ込む。
(疲れた)
昨晩と同じ台詞を呟き、
(まーちゃん……)
昨晩と同じ人物を思う。
寝子島総合病院で勤務医として勤めるがために多忙な日常に埋没しながらも、遅い時間に帰宅して倒れるように眠りに入る僅かな間に、どうしても思い出してしまう。
(なんであんなところにいたのかな……?)
ホワイトデーのあの日、東京にいるはずの親友はどうしてあんな場所でヴァイオリンを奏でていたのだろう。
(まーちゃん)
有名交響楽団に所属する彼女は今、東京に暮らし忙しい日々を過ごしているはずだった。少なくとも、そうであると聞いていた。
(まーちゃんは、自分の仕事を放りだすような無責任な子じゃないよね……?)
そう信じたかった。それなのに、彼女はどうしてあの日あんなところにいたのだろう。どうしてあんな嘘を吐いたのだろう。
ただただ、訳が分からなかった。
休みでここに来たと言っていた彼女の顔を思い出す。そっと視線を外し、悪戯を見つかった子どものような哀しい顔をしていた。嘘を吐くのが下手な彼女は、嘘を吐くとき絶対に視線を合わせない。嘘を吐くことを嫌悪する顔をする。
そうまでして、どうして嘘を吐いたのだろう。
(なぜ……なぜ……)
疑問符ばかりが巡り、胸を軋ませる。
彼女に嘘を吐かせてしまったことが苦しかった。
(でも、どうして)
思い悩めば悩むほど、心が痛んだ。冷たくひび割れた。身体は疲れ切って睡眠を求めているはずなのに、目ばかりが冴えて行く。
ぼんやりとカーテンの隙間に見える、窓の外の桜を眺める。この土日には桜も満開なる予報だと言うのに、その土日は久々の休みだというのに、心は全く浮き立たない。
仰向けになり、眠れぬ瞼に腕を乗せる。眠ることもできず、かと言って起き上がる気力もなく、ぼんやりと時間が過ぎるままに過ごすうち、不意に枕元に置いたスマートフォンが鳴動した。ぎくりと体が震える。メロディが示す電話相手は、仕事場ではなく、今の今まで心を悩ませていた真瞭。
普段ならば飛びつくように即座に出る電話に、今は出たくなかった。理由も分からぬままにスマホを手に取り、画面に映し出される親友の名を見つめる。鳴動を繰り返す携帯電話を投げ出すかどうか迷いに迷った挙句、
「……まーちゃん?」
結局出た電話口に久しぶりの親友の声を聞いた。
――今度の土曜日、神社の近くで待ってる
寝子島神社に至る石段の前の満開の桜の木の下に向かいながら、理紗子は先日聞いた親友の声を思い出す。
(いつもなら)
声を聞けば嬉しくなった。呼び出されれば弾む心のままに準備をして待ち合わせ場所に急いだ。それなのに、今日はどうしようもなく心が重い。
知らず視線を俯ける。ひらり、靴先に薄紅の花びらが滑り落ちてきた。花を散らせる風を追い、顔を上げる。
「……りさちん」
桜の木の下、親友が立っていた。
長い黒髪を春風になびかせて立つ彼女は、線が細いくせにひどく存在感がある。コンサートマスターとして様々な大舞台を経験してきたゆえだろうか。
なにものにも怖じることのないかの如く凛と伸ばした背は、ずっと憧れだった。そんな彼女と話すことがとても楽しかった。嬉しかった。
それなのに、
「まーちゃん……」
今は、心は沈むばかり。当たり障りのない挨拶を交わし、桜を見上げてありきたりな感想を述べあった後は、いつもと違ってもう会話が続かない。春めいた陽気とは裏腹、暗い沈黙を壁のように間に挟み、ふたりは花見客に賑わう昼下がりの参道を歩く。
「あら、深倉さん」
気まずい沈黙を破ったのは、理紗子でも真瞭でもなかった。
拝殿にほど近い一際大きな桜の木の下、参道商店街有志連が催している花見宴の席の端に座していた老婆に華やいだ声を掛けられ、理紗子は行き場なく伏せていた翡翠の瞳をもたげた。
「女将さん。今日は」
七輪を前に焼き鳥を焼く店員の隣に座り、穏やかに手を振る行きつけの焼き鳥屋の女将を目にして、理紗子は淡く微笑む。
「今日は。お友達?」
傍らに立つ真瞭に向かう女将の視線に、理紗子は頷く。
「深林真瞭さん、……」
東京の交響楽団に所属している旨を口にしかけて、やめる。
「私の友達です。……りさちん、こちら、私がよく行く焼き鳥屋さんの女将さんと息子さんの黒河さん」
「深林と申します」
「あらあら、ご丁寧にどうも。折角だし、食べてお行きなさいな。ほら、席も空いてるわよ。お酒もあるわよ」
女将に半ば強引に勧められるまま、ふたりは宴会の端の席に腰を下ろす。若い女性ふたり連れの前には、焼き鳥屋の店員や商店街の面々によってあっという間に焼き鳥やイカ焼きやコップ酒が並べられた。
恐縮する理紗子に、真瞭はカップ酒を持たせる。コツリ、と縁を合わせ、互いに気まずい気持ちのまま乾杯する。
「おいしいね、この焼き鳥」
できるだけ明るく言ってみるものの、理紗子のどこか悲し気な曖昧な笑みは変わらない。
「そうだね」
それでも返事をしてくれることに、真瞭は無理やりにでも安堵しようとする。自身のその浅はかさに嫌悪を覚えながら、
「ねえ、りさちん……」
先日のことを言いかけて、今は何を言ってもつまらない言い訳になってしまう気がして、これ以上理紗子を傷つけたくなくて、口をつぐむ。
だから真瞭は気づかない。その己の横顔を見つめ、理紗子が唇を噛んだことを。
穏やかな花の下、ふたりはただ黙って冷たい酒を喉に流し込み続ける。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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