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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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「星ヶ丘植物園、『ねこの庭』……?」
旺盛に繁り、ところどころで薄紫の花を咲かせるローズマリーの生垣の間、半ば隠れた小さな看板を見つけて
三夜 深夜子
は足を止めた。
看板の脇、腰を屈めなくてはならないほどの小さな隙間が、どうやら植物園への入口らしい。覗き込めば、ハーブに埋もれるようにして黄色い煉瓦の路が奥へと続いている。
(……たまには植物見るのも良いわよね)
土曜日の今日は会社は休みのはずだった。のんびりしようと思っていたのに、朝早くに掛かって来た会社の先輩からの電話に叩き起こされた挙句、星ヶ丘への用事を頼まれてしまった。
断るに断れず、昨日の疲れがちょっぴり残る体を無理やり起こして出掛け、目当ての用事を滞りなく片付けて帰ろうとしたところで見つけた、秘密の花園じみた入り口。
「わあっ」
同じように通りがかり、深夜子と同じに秘密の入口を見つけた、時計の国のアリスのように出で立ちの黒髪の少女が楽し気な声をあげ、迷うことなく中に足を踏み入れる。
「あっ」
ローズマリーのアーチの半ばで足を止め、少女は振り返った。こんにちは、と朗らかに笑う。
「ええ、今日は」
厳格に見られがちな眼鏡の奥の黒い瞳を細め、深夜子は背丈ほどもあるローズマリーの生垣の前で背伸びをしてみる。晴れ渡った青空を背に、薄紅の花をいっぱいに咲かせる桜まで見えて、知らず笑みが深くなった。
(丁度お花見日和だし)
背伸びした踵を地面につけ、少女に続いて秘密の入口をくぐる。
深緑のアーチの先には、明るい庭園が広がっていた。スキップじみて駆けていく少女の背中を見送り、片隅に見える小さな温室らしい建物を横目に、足元から立ち上るカモミールやレモンバームの若葉の香を楽しみながらのんびりと黄色い煉瓦の路を辿る。
(写真って撮っても良いのかしらね……)
菫の青紫にミントの緑、タイムの花の白、春風にそよぐ植物たちを眺めつつ、路の途に置かれた小さなベンチで一休み。
(自然の中っていうのも、いいものよねー……)
思わぬ仕事で疲れた体も休まるというもの。
ハーブの香気が混ざった風を胸に吸い込み、大きく伸びをしてみる。気になるままに飛び込んでみて正解だった。
上げた視線の先には、入り際に見た温室が見えた。知らぬ間についつい一巡りしてしまったらしい。
(後は真ん中あたり見てから帰ろうかしら)
立ち上がろうとベンチについた手に、ひらひらふわり、桜の花びらが舞い落ちて触れる。
「……あら」
春陽の欠片のような花片を掌に、深夜子は微笑んだ。風に再び舞い上がる花びらを何となし追った視線の先、植物園のほぼ中央で花を咲かせる桜の樹が見える。
桜の周り、幾つも置かれた白いクロスのテーブルと、『ちいさなお茶会』と書かれた案内板を目にして、深夜子は瞬く。案内板の前に立っていた植物園の従業員らしい女性ににこやかにお辞儀され、思わず会釈を返す。テーブルには幾組かの先客の姿も見えた。先ほどの少女も、お茶会の席で出会った少し年上らしい女の子と楽し気に話をしている。
(……参加してみようかしら)
「綺麗だね」
一歩を踏み出した途端、背後に男性の柔らかな声音を聞いた。どきりとして振り向くと、そこには見事な赤毛の青年が立っている。髪と同じ緋色の睫毛に縁どられた鮮やかな碧の瞳は、美しい恋人を見つめるような甘い微笑みを湛え、ガーデンオベリスクに絡みついて真っ白な花を咲かせる木香薔薇を見つめている。
本当にほんのちょっぴりがっかりする深夜子の視線に気づき、青年は人好きのする穏やかな笑みを深夜子へと真っ直ぐに向けた。
「今日は。いい天気だね」
「えっ、あっ、……そうね。いいお花見日和ね」
青年に向けて挨拶をし、ゆっくりと微笑み返したその瞬間。
(
ジェレミア・ベルトーニ
)
文字列が頭に浮かんだ。欧州人らしい目の前の青年の雰囲気に合致するその名前に、深夜子は黒い目を丸くする。どうしてこの人の名前が分かったのだろう。
思わず浮かんだ氏名を口走りそうになって、唇を引き結ぶ。青年は不思議そうな顔を見せるも、すぐにまた微笑んだ。
「素晴らしい姿を見せてくれてありがとう」
青年は木香薔薇に優しい言葉を掛ける。綺麗なものを目にしたそのままの気持ちを何のてらいもなく植物に向ける彼は、きっと生来の植物好きなのだろう。
「一重の子も綺麗だけど、この八重の子も可愛いね。春の花の種類の多さは、とても賑やかで素敵だ」
愛しいものにするように優しい手で白い薔薇に触れさせ、青年は花いっぱいの植物園の真ん中でいかにも嬉しそうな笑顔になる。
きっと自宅の庭でもたくさんの花を咲かせているに違いない、と深夜子はひとり頷いた。それにしても、なんて絵になる光景だろう。
(帰ったら描いてみようかしら)
うっかりそんなことを思って見つめているうち、
「お嬢さん、お茶をご一緒しませんか」
花好きな青年からごく自然に手を差し伸ばされ、深夜子は目を白黒させた。それでもどうにか平静を保ち、差し出された下手をすれば自分よりも白い手に手を重ねる。
「お嬢さんなんて齢じゃないわ」
どきどきしながら、そのどきどきを隠してクールに言ってみるも、
「日本の男性は何故こんな可愛いお嬢さんを放っておくのか」
青年は至極大真面目に憤慨するばかり。
慣れた流麗な仕草でテーブルへとエスコートしてくれる青年の名をうっかり先に口にしてしまわないよう、深夜子は何食わぬ風を装って問う。
「……お名前を伺ってもいいかしら? 私は……
三夜 深夜子
よ」
寝子島の三夜湖の三夜に、深夜の子と書いて深夜子。指先でテーブルに漢字を描き、青年を見遣る。日本語は堪能なようだけれど、漢字は分かるだろうか。
「みやこさん。可愛らしい名前だね」
「パソコン等で漢字変換する時に少しややこしいのが難点ね」
一抹の照れもなくそんなことを言ってのける青年からも無事に名を聞き出す。聞けば、彼は星ヶ丘で獣医を営んでいるらしい。
「午後のお茶会な雰囲気がよいよね」
場慣れした雰囲気でハーブティーやサンドイッチを頼むジェレミアを前に、深夜子は背筋を正す。花は綺麗だし、目の前の男性も綺麗だ。ほんの少しどきどきはするけれど、それを表に出さないくらいには場数は踏んでいる。クリスマスにはマッチメイキング・パーティに顔を覗かせたりもしている。
(……別に出会いが欲しかったわけじゃないけど)
こそりと胸に呟き、深夜子はジェレミアに笑顔を向ける。それにしても、
(桜と赤毛の髪の美青年……)
ちょっとなにかのアニメや漫画のような光景かもしれない。家族には内緒にしているつもりの趣味を思いかけて、深夜子は首をそっと振った。店員にハーブティーとサンドイッチ、それから桜風味のシフォンケーキを頼む。
「ここの桜の木は何年ぐらいかな?」
深夜子の内心などいざ知らず、ジェレミアは注文をとる店員に人懐っこく話しかける。見たところ、まだまだ若い樹のように見て取れる。
(これから先何十年もここで寝子島の様子を見続けるのだろうね)
ねえ、とジェレミアは春風に薄紅をそよがせる桜に語り掛ける。
(ずっとずっと長生きして、これからも毎年皆を楽しませてくれるかな)
「あ」
眺める視線の先、桜の樹に身軽に登って行く白猫の姿を見つけた。
「みやこさん、猫がいるよ」
前の席に座る深夜子にそっと話しかける。
「あら、ほんと」
「和むよね」
くすりと微笑む深夜子に、ジェレミアは微笑み返す。よく笑う、可愛い女性だと思う。
桜の樹の枝に落ち着き、猫は桜の花群に尻尾を揺らしながら春陽にまどろみ始めた。その様子にジェレミアは碧の瞳をますます細める。
「いいね。とても穏やかでいい雰囲気だよね」
「ええ、そうね」
「こんな平凡だけれどゆったりとした日々が続くと良いよね」
春の陽射しと舞い散る花びらを仰ぎ、ふたりは穏やかな笑みを交わす。
桜を楽しみ、お茶を楽しみ、
「それじゃ、また……ね」
「今日はとても良い時間を過ごせたよ、ありがとう」
ふたりは桜の下で手を振り合った。もうしばらく植物を眺めていくと言うジェレミアと別れ、深夜子は黄色い煉瓦の路を秘密の出入り口向けて歩き始める。
(良い所だった)
素敵な思い出もできた。
爛漫の春の最中、深夜子は舞い散る桜の花びらにそっと願う。
(明日も楽しい日になりますように)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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