this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【お花見】桜の下で待ち合わせ
<< もどる
1
…
21
22
23
24
25
…
63
つぎへ >>
スケッチブックの入った手提げを両手で持ち、
天宮城 因
は桜色した瞳をぱちぱちと瞬かせる。スカートのレースを春風にひらひらと揺らし、スキップまじりの軽い足取りで黄色い煉瓦を辿る。
毛先になるにつれ金から桃に色を変える華やかな巻き髪をぴょこんと跳ねさせ、原色の花を鮮やかに咲かせるチューリップを白い指先に突いてはくすりと笑い、鈴蘭の傍にしゃがみこんでは楽し気に眺め、
(……人多いし、うっせーし……)
春休みの課題である花のスケッチを片付けるために星ヶ丘の植物園を選んだのは失敗だったか、と内心で舌打ちする。
笑みを消さぬ瞳で、植物園の一角に設けられたお茶会の席を見遣る。観桜イベントが催しているとは思ってもいなかった。
(はぁ……)
心の中で溜息を吐く。いくら桜が綺麗でも、
「パパがいないとつまらないですっ」
あどけない少女じみて、因は桜色のリップで色づかせた唇を尖らせてみる。
因が少女として装う原動力である養父は、土曜日の今日も仕事で忙しい。
(早く帰ろ)
長い睫毛を伏せ、不貞腐れた顔を長い髪で隠した、そのとき。
「最近よく会うな、因氏。いやぁ奇遇奇遇」
最近よく聞く声を背後に聞いた。
「わぁ、楓子さんこんにちはっ」
一瞬で表情と声を切り替え、因は立ち上がって振り返る。ニーソックスとスカートの隙間から華奢な白い足を際どく見せつつ、背後に立つ
千歳飴 楓子
に駆け寄る。
「どうしたんですかぁ?」
「案外早く用事が済んでな」
明日の花見用に買い出した品々の入った手提げを手に、楓子は水色の瞳を眠たそうに瞬かせる。楽し気に腕を絡めてくる因を見下ろし、ちらりと首を傾げる。
「これから楓子はそこのオシャンなカッフェーで花を見ながらティータイムと洒落込むつもりだが」
眠たげな表情を動かしもせず、楓子は植物園の敷地内にある温室カフェを指し示す。
「一緒にどうだ?」
「ティータイム! すっごくオシャレですねっ、ぜひ因もご一緒させて下さいっ」
弾んだ声で歓声を上げて抱きついてくる因の華奢な肩を、楓子は抱き返してぱたぱたと叩く。と、はしゃぐ因の視線がふとよそを向いた。友人のほんの一瞬の沈黙を、けれど楓子のスマホゲームで鍛えた反射神経は見逃さない。
「あ。蘇芳氏」
因が視線に捉えてすぐに見なかったことにした
如月 蘇芳
を見つけ、楓子はひらりと手を振る。
桜やローズゼラニューム、春の花々を堪能していた蘇芳は、楓子の声に珊瑚色した瞳を上げた。
「あれ、楓子ちゃん」
隣にくっつく因には言葉も視線も向けず、朗らかに微笑む。
「そういえば三人で花見をしようと言っていたな」
「……すおーさん、こんにちはぁ?」
「……ああ、花見。花見ね」
楓子の言葉に反応し、因が不貞腐れた顔を向けてくる。それは綺麗に無視して、蘇芳は頷いた。先だって三人で映画を見た折、確かに約束をした。
(……都合が合えば、って言ったのにね)
うまくかわすつもりでいたのに、桜が満開な今日に出会ってしまうとは思ってもいなかった。
(今のうちに綺麗な桜を堪能しておくつもりだったのに)
日曜日はお花見という名の子守りを任されている。となれば満足に花も見れまいと判断し、近所の植物園の桜を見に来たというのに。
「暇か? 暇そうだな。じゃあ付き合ってくれ」
楓子にそう迫られてしまえば、
「因君がいるのが本当に嫌だけど、楓子ちゃんとの約束だから仕方ないね。ぜひ付き合わせてくれるかな?」
蘇芳はそう答えるしかない。
「そんなぁ、因に遠慮なんてしなくていいんですよぉ? それともとうとう本当にデートしてくれるオンナノコがいなくなっちゃったんですかぁ?」
可愛い顔と声で蘇芳にだけ毒を吐く因は華麗に無視を決め込み、蘇芳は温室カフェへと足を向けた。
「わーすごーい、とっても綺麗ですねぇ」
「へえ、なかなか良い雰囲気だね」
硝子戸を潜りジャスミンのアーチに迎えられた途端、因と蘇芳は同時に声をあげた。同じようにちらりと視線を送り合い、同じようにそっぽを向き合う。
「近所にこんなところがあるなんて知らなかったな」
出入り口の脇を見遣れば、紅茶缶や観葉植物を飾った作りつけの棚を背にする小さなカウンターがあった。その奥に立つ中年女性と目が合い、蘇芳は瞬く。
(『Dorothy』の……)
以前、勉強の息抜きにと深夜に訪うた星ヶ丘の隠れ家カフェの店主の姿を見、あちこちに備え付けられたかたちもばらばらのテーブルのメニューにある温室カフェの名を見、思わず小さく微笑む。
(『Oz』、ね)
経営者が同じなのだろうと見当をつけ、少女たちと共に石橋の架けられた蓮池の傍のテーブルにつく。
「良い雰囲気だな」
因に引きずられるようにして柔らかなソファに身を沈めた楓子が呟いた。
「お茶会とは心が躍る」
真顔で言いながらも、心の中では踊りに躍っている。オシャンなカッフェーで友人たちとお茶会をするなんて、きっと誰しも心が躍らずにはいられまい。
「何を頼もうかな……」
「お水でいいんじゃないですかぁ?」
向かいの一人がけの椅子に掛けた蘇芳は然程楽しくもなさそうな顔でメニューを眺めているが、同じようにメニューを見る因もいつも通りのテンションではあるが、きっと二人とも内心ではわくわくしているに違いない。
マイペースに決め込んで、
「ハーブティーとシフォンケーキをいただこうか」
マイペースに注文する。
「そうだな、今日はローズヒップティーにしようかな。それと、ハーブクッキーも」
「うーん……」
ふたりの注文を聞いてから、因は可愛く首を傾げて見せる。
「じゃあ因は、カモミールのミルクティーとサンドイッチでお願いしまーす」
ふたりと被らないものを選ぶ気遣いを見せつつ、本当のところはさりげなく苦手な甘いものを回避する。猫被りはお手の物、上手に苦手なものを避けるのもお手の物。
「ふふ、なんだか因、お姫様になった気分ですっ」
「お姫様、ね」
「すおーさんはお姫様に仕える奴隷にしてあげますぅ」
それなのに、蘇芳に対しては毒のある言葉ばかりを吐きつけてしまうのは何故だろう。
毒々しい言葉の応酬をいつも通りに始める蘇芳と因をのんびりと眺め、楓子は荷物を下ろして一息吐く。蓮池の向こう岸に咲く極楽鳥花の色やジャスミンの甘い香を一通り楽しんで後、おもむろに取り出したるはスマートフォン。重篤なスマホゲーム中毒者な楓子が起動させるのは、もちろんスマホゲーム。流石に音は出さないまでも、激しい動きで画面をタップし始める。
「って、楓子ちゃん何してるの……?」
「NYAAMO」
ちらりと見えた画面に色彩も鮮やかに光る鍵盤を見、蘇芳は小さく眉を寄せる。
「あ、そう、……音ゲーね……」
「リズムゲーム……前に因が楓子さんに教えて頂いたのとはまた違うゲームなんですねぇ」
「あれはニャンドリ」
雰囲気が壊れていくなあ、と蘇芳に苦笑いされても、楓子は一向に構わない。
そうするうちに注文の品が届き、楓子はゲームの手を一旦止めた。ほとんど救われた心持ちで、因と蘇芳もそれぞれのカップを手に取る。
爽やかな香りのミントティーと、柑橘ジャムが掛けられた生クリームつきのふわふわシフォンケーキ。
「うむ。美味しい」
ひとくち飲んだミントティーにはこっそりと取り出したコインを投げ込む。楓子の指先から離れた途端、コインは黄金色の蜂蜜に変わった。甘くなったミントティーを改めて口に含み、楓子は二人を見遣る。
「こうしてゆっくりと過ごすのも良いものだな」
スモークサーモンとチーズのサンドイッチを齧りながら因がこくりと頷き、瞳と同じ色したローズヒップティーに口をつけながら蘇芳が微笑む。
お茶を楽しむ二人を微笑ましく眺めて後、楓子は再びスマホを手に取った。
「ああ、楓子の事は気にしないで二人でじっくり会話をして仲を睦んでくれ」
真顔でゲームに勤しみつつ、楓子はふたりに水を向ける。仲を睦むには相性の悪すぎる二人は険しい顔を見合わせた。
「楓子は適当にうんとかすんとか相槌打つから」
「会話も何も……」
蘇芳は珊瑚色の瞳に本心の見えない笑みを浮かべる。
(そもそも因君と仲を睦みたいと微塵にも思ってないんだけどなあ……)
横目に見遣った因が拗ねた唇を開こうとするのを、
「あ、無理して会話しようとしなくていいよ」
蘇芳は先んじて封じる。
「これ以上雰囲気ぶち壊さないでね? 折角良い気分なのに君の声を聞くと気分が萎えるから」
「うん、うん」
「こんなか弱い因をいじめるなんてすおーさんひどーいっ」
「すん、うんうん」
「そんなこと言いつつ律儀に話しかけてくるなんて、」
「あっミスった」
「すおーさん因のこと好きなんですかぁ? こわーいっ」
「うん、うん」
相槌のような合いの手のような、案外絶妙なタイミングの楓子の適当な相槌を脇に、因と蘇芳は笑顔で睨み合う。
「すおーさんのツンデレなんて誰の得にもならないんですよぉ?」
「あっはは、誰が誰を好きだって? 因君を好きになるくらいなら死んだ方がマシだよ?」
「そんなぁ、すおーさんひどいですっ」
蘇芳にいつも通りの温和な笑顔でいつも通りの暴言を吐かれ、因はショックを受けた風に胸の前で両手を拳にする。
「因だってすおーさんに好かれるなんて……前世でどんなことしたらそんな事態に恵まれるのか……」
ちなみに『そんな事態』の前には『あまりに非道な』が入る。
「信じられないですっ」
嘆き悲しむ因を冷めた目で眺め、蘇芳は優雅な仕草でカップを傾ける。そうして一言。
「うん、おいしい。こういう雰囲気の中で飲む紅茶は一段とおいしいね」
「嫌味ですぅ、とんでもない嫌味ですぅっ」
ふたりの険悪な会話なんて耳に届いていないのか、届いていても猫がじゃれあっているようにしか聞こえていないのか、楓子はひたすらにスマホゲームに興じる。合間にハーブティーを飲み、シフォンケーキを口に入れてその柔らかさと甘酸っぱい柑橘ジャム入りクリームの爽やかさに頬を緩める。ついでに窓の向こうに見える桜を眺める。
(美味しいお茶に美味しいケーキ、綺麗な桜に良い友人)
充実した時間に満足してスマホを仕舞う頃には、昼下がりの陽射しは随分と傾いていた。
「いやあ、楽しかった」
大きく伸びをする楓子の隣、ぴょこんと因が立ち上がる。
「今日はありがとうございましたぁ」
にこにこ顔で楓子に向けてだけ、頭を下げる。
「こういう洋風なお花見、初めてでとっても楽しかったですっ」
「良いお店に出会えてよかったな」
ごちそうさま、と軽く目を伏せ、蘇芳はアンティークな椅子とテーブルに飾られたカフェ内を見回す。
(花見の約束を強引にされた時は気分が乗らなかったけど、)
「たまにはこういうのもいいかもしれないね」
まあ、と因を一瞥する。
「因君さえいなければ最高だったんだけど」
「それはこっちの台詞ですぅ」
「あ、ごめんごめん、独り言だから気にしないでね?」
テーブル越しに睨み合う二人を煽るでもなく止めるでもなくおっとりと眺め、楓子は次の計画をさらりと口にする。
「今度会った時はショッピングでもしよう。楓子服が買いたい」
「ええ、また遊びに行きましょ、楓子さんっ」
初めから蘇芳は居なかったことにして、因は楓子に抱き着く。
「蘇芳氏も」
因を抱き返しながらの楓子の誘いに、蘇芳は小さく息を吐いた。
「……まあ、都合が合えば、ね」
<< もどる
1
…
21
22
23
24
25
…
63
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【お花見】桜の下で待ち合わせ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!