this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【お花見】桜の下で待ち合わせ
<< もどる
1
…
19
20
21
22
23
…
63
つぎへ >>
スマートフォンを操作し、メールを作成する。汚いものを見るかのような眼差しで文字を打ち込む。
画面に映し出される文面を眺め、
大天使 天吏
は雷雲の色した瞳を瞬かせた。瞬きひとつ、瞳の奥に浮かんだ感情が沈んで消える。
一人住まいのマンションの窓の外へと視線を投げ捨てれば、シーサイドタウンの街並みが朝の白い光に浮かび上がっている。窓を閉め切っていても、春の朝に賑わい始める街の喧噪が耳に届いてきそうな気がした。
表情のない白い頬にほんの一瞬、不快げな色が浮かび、消える。
冷たい床を踏む裸足を見下ろし、スマホに映るメールを見下ろし、細い指先で送信ボタンを押す。メール送信画面を忌まわしいナニカを睥睨するが如き冷めた目で眺めて後、天吏は蝶の触覚じみて長い金色の睫毛をもたげた。メール画面を見下ろすのと変わらぬ冷めた瞳で見つめるのは、壁際に設置した姿見へ映りこむ己の姿。
(……駄目ね、今日は人間しく振る舞わないと)
心中で無感情に呟く。鏡に映る己に向け、少し前から練習し続けている『人間らしい微笑み』を浮かべる。
鏡の向こう、柔和な顔立ちの少女が微笑む。
(人間らしく、人間らしく)
己自身に呪いを掛けるように繰り返す。
(普通の人間らしく)
人間が、大嫌いだった。自然の一部でありながら自然を壊し続ける人間を、天吏は何よりも憎んだ。だからこそ、クローネに傾倒した。彼女のためならば、何よりも厭う人間の振りをすることなど大したことではない。そうすることで、普通の人間を装うことで、彼女のために動く自分の行動成功率があがるのならば、人間らしい心が芽生えている演技を続けることなど容易いもの。
(……無口だけど心優しい女性……)
己がそんな女であるのならば、桜が満開の土曜日はきっとこんな行動をとる。そう信じ、天吏は手元のスマホを見下ろす。
画面には、尊敬する父の元を離れた愚かな女の息子――天吏の弟である
新江 天懸
へのメール送信が完了したことを告げている。
枕元のスマホがメール着信を示して鳴動した。
「……んあ……」
白金色に染めた短髪をがしがしと掻く。カーテンに閉ざされて薄暗い枕元を手で探り、伏せたスマホを掴む。雷雲色した目を鬱陶し気に歪めつつ開き、スマホを操作してメール画面を覗き込んだ途端、天懸は寝起きの瞳を反射的に見開いた。
『もうすぐ寝子島高校入学ね天懸、一緒に食事でもどうかしら?』
差出人の名を画面に確かめた途端、目眩にも似て頭がくらくらした。
父に捨てられた母と共に家を出て後、本土の名門私立中学でありとあらゆる問題を起こした末に強制的に放り込まれた寝子島で出会ってしまった、姉の名がそこにある。
(姉ちゃん)
寝起きの冷たい頬に不快な血が上る。
両親の離婚は、母と姉の確執が原因だった。母に引き取られ、会えぬ期間を経てから再会した姉は、父の施した教育によって人間らしさを奪われていた。
(無下には……)
寝子島で再会してしまった後に姉から向けられた言葉や態度が頭を過る。
幼い頃、顔を合わせて笑い合った姉の顔が胸を掠める。
姉はもう、完全に『大天使』の人間になってしまっていた。それでも、弟は姉の顔を思い出す。最近は目を見て微笑んでくれるようになった。こうして、世間一般に言う『姉』らしいメールも送ってくる。
――たとえ、その底にあるナニカが今の天懸には読み取れないとしても。
(やっぱり、……できない)
姉からのメールを表示するスマホ画面を指先で叩く。一瞬暗くなった画面には、どうしようもなく複雑な表情をした十五らしからぬ大人びた少年の顔が写った。
了承の旨を記したメールを返信し、布団から起き上がる。カーテンも開けぬまま、身支度を整えて下宿先を出る。
姉から提示された待ち合わせ場所は、星ヶ丘にある小さな植物園『ねこの庭』。
(植物園……)
石でも呑んだように重くなる腹をひと撫でし、足を早める。旧市街から橋を渡ってシーサイドタウンへ、姉が通い、春からは自身も通うことになっている寝子島高校を横目に星ヶ丘の住宅地に入る。昼前ののんびりとした空気に包まれる住宅地を少し行けば、姉が指定した『ねこの庭』が見え始めた。
ローズマリーの生垣を背に立つ姉を見つけ、足早に駆け寄る。
「……」
姉ちゃん、と呼び掛けて口を噤む。植物群に向けられた姉の視線と表情の柔らかさは、元父親のそれとどうしても重なってしまう。
知らず俯いていた視線を無理やりに上げる。
「ま、桜でも見れば落ち着くか……」
姉の傍に立ち、会釈する。一見朗らかな、優し気な微笑みをその顔に浮かべて迎えてくれる姉と共、ローズマリーの生垣のトンネルをくぐる。レモンバームやニオイスミレが風に揺れる黄色い煉瓦の路を辿ったその先、いくつものテーブルに囲まれたひともとの桜の下へと辿りつく。
「きれいね」
春風に白い花びらを重ね、薄紅を震わせる桜の花を仰いで姉が優しく微笑む。
「ああ、……うん」
姉の視線を追いながら、ふと考える。
姉は桜を美しいと心から思っているのだろうか。そう考えてしまう。
カフェの店員に席に案内され、白いクロスの掛けられたテーブルにつく。供されたケーキとハーブティーのセットを、けれど小食な姉は半分も手をつけなかった。食べて、と差し出された皿と差し出した姉を見、天懸は少し笑う。
「どうしたの?」
「昔、こうやって姉ちゃんの残したものをよく貰った」
「……そうだったかしら」
姉はまるで小鳥のように小さく首を傾げてみせた。微笑み、つと視線を逸らしたかと思うと立ち上がる。言葉は通じているはずなのに、言葉の通じない鳥か何かと対峙している気分に襲われ、天懸は姉のくれたケーキを口に押し込む。
「天懸」
名を呼ばれて振り向けば、姉は見知らぬ男女と晴れやかな笑顔を交わしていた。滅多と見た覚えのない姉の大人びた笑顔に思わず息を呑む。
姉のしなやかな手が肩にかかる。反射的に身を固くする天懸に気づいているのかいないのか、姉は朗らかな声で丁寧に頭を下げた。
「今度寝子島高校に入学することになりました弟の天懸です」
天懸、と再度名を呼ばれる。
「こちら、これからお世話になる寝子島高校の桜栄理事長と黒崎教頭先生よ」
華やかな出で立ちの派手な女が軽い口調で笑い、整った顔つきのその癖ひどく印象の薄い男が穏やかに会釈するも、ふたりの言葉を天懸はほとんど聞いていなかった。それよりも、姉の笑顔ばかりが気になった。姉はどうして、こんな風に笑うのだろう。
「よろしくお願いします……ッス」
ともかくも頭を下げる。
(四月から……姉ちゃんと一緒の学校に通うんだよな)
今は、そればかりが頭を占める。
<< もどる
1
…
19
20
21
22
23
…
63
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【お花見】桜の下で待ち合わせ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!