this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【お花見】桜の下で待ち合わせ
<< もどる
1
…
18
19
20
21
22
…
63
つぎへ >>
降り積もった桜で薄紅に染まった石段を登る足取りが軽い。
「えへへー!」
堪らず笑みをこぼしながら、
薄野 九月
は元気いっぱい、寝子島神社へ続く石段を駆けのぼる。いつも観光客で賑わう寝子島神社ではあるけれど、桜まつりの今日は更に華やかで、屋台もたくさん出ていて騒がしい。
お祭りの喧噪にあてられて、九月はますます笑顔になる。かててくわえて、今日は寝子島の所謂もれいび集会所『Leidenschaft』の先輩たちとのお花見。わくわくしないわけがない。
あまりにも楽しみで、昨日は早くに床に就いた。そのせいで今朝は目覚めが早かった。同じく友達との花見が楽しみで早起きしてしまった家族と一緒に、だからお花見用の蕎麦まで作って持ってきてしまった。桜の葉の塩漬けを練り込んだ蕎麦は、口に含めばふんわり桜のいい香りがする。
桜の風味も感じられる蕎麦湯の入った水筒を肩から下げて、九月は鳥居の前に立つ。あちらでもこちらでも、待ち合わせらしいひとたちが楽しそうに笑い合っている。
約束の時間まではまだ早い。待ち合わせ場所に行くよりも先、九月は跳ねる足取りで屋台の並ぶ参道を辿り始める。ちょっとだけ、屋台を覗いてみよう。
焼きそば焼き鳥、いなり寿司にこんぺいとう。わたあめに烏賊焼き、から揚げ。
「うーんうーん、美味しそうだなー美味しそうだなー」
心の声を漏らしてしまう九月の脇を、屋台の食べ物がたくさん入った袋を両手に提げて、華やかなお嬢様のような格好をした女の子が颯爽と過ぎていく。
「ちょっとくらい……」
ひとりでは食べきれないほどの食べ物をひとりで抱え、まだまだあちこち買い込む気満々でうろつく
巫部 紫苑
のたわわな胸に視線をさらわれがちになりつつ、九月はぶんぶんと首を横に振る。
(いやいやいや、空腹は最高のスパイスっていうし、)
「がまんだよ、わたし!」
「ん、よく言った。蕎麦妹」
仁王立ちして言い放った頭をぽふりと叩かれ、振り返ってみれば立っていたのはLeidenschaftのリーダーである
如月 庚
。
「らぎらぎ先輩!」
「早いな」
わあわあと賑やかに騒ぎ立てながら手を振って小犬のように跳ねまわる九月を落ち着いた眼差しで見遣り、庚は頬を引っ掻く。一応、花見の発起人でもありリーダーということにもなっている手前、時間よりも少し早めに集合場所である拝殿前の桜の下に向かっていた。
「行きましょう、らぎらぎ先輩!」
「人とぶつかって転ぶなよ」
蕎麦が入っているらしい袋を後生大事に抱えて駆けだす後輩の背を追い、庚は歩き始める。
(それにしても見事なもんだ……)
小柄な背を見失わないようにしながら、頭上の桜を仰ぐ。そういえば、寝子高に入学したときも、
(ちょうどこんな感じで桜が満開だったな……)
「なーに感慨に浸ってるんですかー」
背中をばしんと勢いよく叩かれて、けれど庚は振り返りもせずひらひらと手を振る。
「うっせ」
振り返らずとも、後ろに立ったのが同じ組織の副リーダーであり相棒である
屋敷野 梢
であることは分かっている。
(もうちょい感慨に耽っていたかったが)
「やけに硬くて高い牛肉の串とか、やけに高いイカ焼きとか、お祭りの醍醐味ですよねー」
三つ編みの髪をぱたぱたと揺らして先に立つ梢までが揃ってしまえば、ゆっくり感慨に耽る暇はない。
「あっ、新田先輩!」
待ち合わせ場所にほど近い桜の木の下で九月の声がしている。今回の花見メンバーの最後のひとり、
新田 亮
とも無事に合流できたらしい。
「んだよ、皆早ぇな」
「だってお花見ですもんねー」
いつも通りあっけらかんと笑う梢に無愛想な顔を向け、庚は息を吐く。
「やれやれ……始めるか」
「またまたー、リーダーも楽しみにしてたくせにー」
「うっせ」
桜の下、集まった面々をぐるりと見回す。とりあえずは食べるものの調達かと思っていたが、案外皆、何かしら持ってきてはいるらしい。
「蕎麦妹は蕎麦か」
「桜切りです。もちろん蕎麦湯もありますよー!」
「新田は、……何か飲み物か」
「甘酒だ」
「屋しき……あー別にいーやお前は」
「はい、私は類稀なる女子力を発揮して、お弁当持ってきました」
梢に背中をはたかれながら、庚は自分が提げてきた包みを見下ろす。かく言う自分も、自作のから揚げを持ってきている。
(一にも二にもからあげだ。からあげは全てにおいての基本だからな)
猫鳴館に暮らしていることもあり、意外と調理スキルの高い不良少年は心中に確固たる持論を展開しつつ、周囲の屋台もついでに見回す。
「……ん」
「あっ、おねえちゃーん! おねえちゃーんっ!」
側に立っていた蕎麦妹が嬉しそうな声を上げた。たこ焼き屋の行列に並ぶ九月の姉の
薄野 五月
とその友人の
畑中 華菜子
の姿を見つけ、庚は軽く手を上げる。
「はーい、奇遇ですねー、またお会いしましたー。そうだ、量はたくさん持ってきてないので、買い食いもしちゃいましょー!」
九月と一緒に気軽に近寄って行った梢は、ふたりと少し話しをして後、熱々のたこ焼きを一パック手に戻って来た。
「はい、リーダー、あーんっ」
「わ、こずこず先輩、大胆っ」
一番に熱々のたこ焼きを庚の口に放り込んで地獄を味わわせようとする梢をたこ焼きも冷えそうな醒めた目で見遣り、庚は色んな場所で色んな宴が繰り広げられる桜の下、仲間が座ることの出来るスペースを目敏く見つけてレジャーシートを敷く。
「手伝います」
「おう」
梢からたこ焼き地獄に突き落とされて悶絶する亮に、しっかり用意していた緊急用の冷たいサイダーのペットボトルを渡して後、九月がぱたぱたと駆け寄ってきてシートの端に荷物を置いて重石にする。皆の料理を広げて取り分け、もちろん桜切りも手早く配り、九月は一番下の後輩らしくてきぱきと働く。
(うちの店でお手伝いしてる時みたいな気分になってきましたねー)
えへへ、と笑えば、リーダーのたこ焼き地獄誘致に二度目の失敗をした梢が、九月の肩をつんつんと突いて笑った。
「このこのっ、働き者ー。たけのこの煮物はどうです? つくしの佃煮も筑前煮も、うどとかタラの芽の天ぷらとかもありますよー、もちろんおにぎりも!」
「わあっ、こずこず先輩すごい! 豪華です!」
「バイト先の知識などを生かしたドイツ料理もありますよー! アイスバインにシュパーゲルです」
「しゅぱー……?」
「要は豚脛肉の煮込みとホワイトアスパラですねー。はいどうぞー」
働き者の後輩にいちばんにご馳走を取り分けつつ、梢はむむむと眉間に皺を寄せた。気づけばすっかり花より団子になってしまっている。
「ままま、一杯」
「……おう」
隣では亮が庚にお猪口を手渡し、酒瓶入りの液体を注いでいる。ちなみに亮が持って来た人数分の桜餅は九月の手によって各自の皿に配布済み。
「新田先輩、まさかっ、お酒ですか?」
「いや、甘酒。ノンアルコール」
慄く九月ににたりと人の悪い笑みを向け、亮は九月と梢の手にもお猪口を乗せる。
「大人の気分、だ。気分だけな」
自分のお猪口には手酌で甘酒を注いで、亮はリーダーである庚に目配せする。
「そんじゃあまぁ、てめぇら。飲みモン持ったか? じゃあ、とりあえず……乾ぱ――」
「何か気の効いたことくらい言ってくださいよリーダー」
お猪口を掲げかけた絶妙なタイミングで梢からの茶々を受け、庚は顔を歪める。
「バッカお前、俺にそんな社交辞令求めんな」
「えー」
唇を尖らせる梢に促され、九月が遠慮がちに見上げてくる。亮が面白いものを期待する目を向けてくる。
「…………しょーがねぇな」
頼りにされれば断り切れない、実はいいひとな不良少年は難しい顔で考える。
「……とりあえず、新年度に、ライデンシャフトに乾杯」
「乾杯ですー!」
「お疲れー」
「えー、ありきたりすぎですー」
梢の不満には耳を塞ぎ、庚は甘酒を飲み干す。おつまみにはまず自作のから揚げ。そう、何と言ってもから揚げ。我ながらよく出来た。
(うん、うめぇ……)
桜風味の蕎麦も、どちらかと言えば本当に酒のつまみになりそうな弁当も、桜餅も。屋台で買ってきたたこ焼きやイカ焼きも。どれもこれも、桜の下で仲間と食べれば元の倍はきっと美味しい。
「いやー、温度も上がっていいですよねー。蝶もとんでますよー、春ですねー」
機嫌よくお喋りに興じる梢が甘酒に酔った振りしてこっそりろっこんを使ったりしていないか視線の端で捉えつつ、庚は仲間たちの持って来た料理に舌鼓を打つ。
「希望の季節ですよー、なんか春って生き物たちが頑張って冬耐えたんだなーって感じで、ほっこりしますよね」
春風にひらひらと躍る桜の花びらと戯れるように、紋白蝶がひらひらと舞う。蝶を視線で追い、地面に落ちた花びらを指先に拾い、梢はオリーブグリーンの瞳を淡く細めた。
春が来る。地中から虫が這い出し、温かな空気に花が零れるように咲き乱れる春が、仕切り直しにはもってこいな新しい季節が来る。
「まさに希望の季節ですねー」
掌に乗せた桜の花びらが風にさらわれ空に舞う。吹き寄せた風に桜吹雪が踊り、周囲の花見客から歓声が上がった。
「桜見ながら温泉につかりたいなー」
手にした桜がどこに行ったのかもうさっぱり分からなくなりながら、梢はぼんやりと呟く。
「桜見ながら入れる露天とかあるみたいですけど、葉が芽吹いてくると毛虫とか降ってきそうで。どーしてるんですかね?」
可愛らしく首を傾げて問いかけられ、亮は大まじめに首を捻る。
「やっぱ人工的なブツでなんとかしてるんですかねー」
「……殺虫剤とかか?」
「誰かコネないんですか?」
答えたところを被せ気味に重ねられ、身を乗り出すように問いかけられ、亮は身を引く。
「ない」
「超高級和風ホテルを経営してる人とかとー」
亮のすげない返事にも関わらず、梢の妄想は尽きるところを知らない。
「お部屋に温泉がついててー、」
挙句にはポッと頬を桜色に染めて偶然隣に座っていた庚を熱く見つめてみたりする。
「えっと……私先入ってますね……?」
「うわ、……わー……」
堂に入った熱演振りに、蕎麦をすすりながら面白そうに眺めていたお子様九月がカアッと頬を赤く染めた。九月の様子を艶っぽい流し目で見遣り、梢はふと夢から醒めるように表情を変えた。
「……とか。きゃーこわーい、如月くんのけだものー」
心底楽し気に笑う梢に縋りつかれ、つられた九月がこずこず先輩を抱きしめる。梢を庇うような仕草を見せる九月に、梢の一人芝居に巻き込まれた上に気づけばけだもの呼ばわりされていた庚は呆れ気味の溜息を吐いた。ここは黙ってから揚げを齧っているに限る。
「さて、和んできた所でゲームでもやらないか?」
宴会が宴会らしくなってきたところで、亮が取り出したのはトランプカード。
「ゲームはジジ抜き」
言いつつ、とても悪い顔をする。
「負けた奴は花見の間、コイツを被ってもらうぞ」
トランプの隣に、屋台のくじ引きで当てた後ずっと隠し持っていたハゲカツラを置く。
「まあいいですけどー、こういうのは大体リーダーが負けるって相場が決まってますしー」
「負けねぇよ」
副リーダーとリーダーが漫才をしている間に適当な一枚を抜き出してどれがハズレのジジなのか分からないように隠し、
「これは見事なつるつるカツラですね」
後輩がカツラをつついている間にカードを配る。
「そういや蕎麦妹、お前進学先ってどーなってんだ?」
「わたしも先輩達やおねーちゃんと同じ寝子島高校に通います」
配られたカードの中からペアになるものを抜き出して円の真ん中に捨てる。
「九月ちゃん、後輩になるんですね。楽しみですー」
「はい、わたしも楽しみです!」
数枚残ったトランプをしばらく眺めて、九月は隣に座る梢や左右に座る庚や亮を見遣る。
参道商店街に蕎麦屋を出していることもあって、寝子島神社のお花見は毎年家族や友達と顔を覗かせてはいるけれど、
(今年はいつも以上に賑やかで楽しいな)
堪えきれない楽しい笑みを浮かべながら、九月は先輩のみんなと順番を決めるジャンケンをする。
「そーだ、食べ終わったら遊びに行きましょーよ! もちろんカツラは被ったままです!」
亮以上に悪い笑顔を浮かべた梢が一番手の時計回りにジジ抜き大会が開催される。
「マジか」
「大マジですー」
ぎくりと顔を引きつらせる亮の手にあるトランプの枚数が一番多い。ぐるぐると順番にトランプを引き、梢や九月がペアになったカードを次々と捨てて行く毎、亮の顔色はだんだんと悪くなっていった。
最後は亮と庚の一騎打ちとなるも、最後の最後に残った一枚のカードを持っていたのはゲームを言い出した亮。
「策士策に溺れるって奴か……ツイてないな」
「これもまた宿命ですー。大人しく受け入れて笑われてください」
溜息を吐きつつ大人しくハゲカツラを被る亮の肩を叩き、慰めているのかいないのかよく分からない台詞を吐く梢を横目に、庚は頭上の桜を見上げる。
(ここ一年)
賑やかさの只中にあって、ふと思うのは今日までに起こったさまざまな出来事。
(本当にいろいろな事があった……)
楽しいことも嬉しいことも、悔しいことも悲しいことも。その事々に関わるうちに、気付けば背負うものが増えていた。
けれどそれはきっと、己にとって望むところな重さなのだろう。
「ほら行きますよー、リーダー。大したものがもらえない射撃とか、当たらないくじ引きとか、面白い出店があるはずです!」
「らぎらぎ先輩、行きましょう!」
「行こうぜ、如月」
賑やかな副リーダーと後輩と、腹をくくった顔でカツラを被る仲間とに視線を戻し、庚は立ち上がる。
「おう」
(……まったく)
くすり、笑みがこぼれた。
(今年度も退屈しない年になりそうだ)
<< もどる
1
…
18
19
20
21
22
…
63
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【お花見】桜の下で待ち合わせ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!