this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【お花見】桜の下で待ち合わせ
<< もどる
1
…
12
13
14
15
16
…
63
つぎへ >>
家族と待ち合わせたのは寝子島駅。レトロな駅舎前に置かれた七福猫のモニュメントの前に立ち、
羽生 碧南
は桜色に彩られた駅や旧市街の街並みや、寝子島大橋まで続く寝子島街道を見渡す。
「うわー」
春の陽ざしを掌で遮り、百八十センチの長身を爪先立たせる。栗色の髪を春風に躍らせながら、髪と同じ色した瞳に映すのは、島中どこかしこをも華やかな薄紅色に彩る桜の花々。
桜花寮から駅までの道のりも、待ち合わせた家族と共に向かう予定の寝子島神社までの道のりも、そのほとんどが桜の色に染め上げられている。
「島中どこ行っても桜爆弾が炸裂したみたい……」
思わず呟くと、隣に立った姉と両親が揃ってくすりと笑った。可笑しかったかな、と碧南首を傾げれば、母が穏やかに微笑み返してくれた。
元気そうで良かった、と姉に背中を叩かれ、碧南はちょっぴり泣きそうになる。
去年、碧南が寝子島高校へ入学するその前に、隣家からのもらい火で自宅が全焼してしまった。結果、両親と姉は鎌倉にある父方の実家へ住むことになった。高校入学を決めていた碧南は致し方なく桜花寮に入寮。毎年恒例にしていた家族揃ってのお花見も出来ず、去年の春は寂しい気持ちをどうしようもなく抱えたまま、ひとりで桜を眺めたりもした。
(失くしたものも多かったけど)
家族揃って桜まつりの会場へ歩き始めながら、碧南は春の青空に顔を上げる。
生まれてから過ごてきた寝子島の実家、乙女ゲームに目覚めてから集め続けてきたコレクション、家族の写真や家具。高校入学後も家族で暮らすはずだった実家。火事で燃えてしまったものはあまりにも多い。
(……でも、様々なことを経験した)
桜花寮に入ったおかげで得たこともたくさんある。いろんな思い出もできた。
(悪いこともあればいいことだってある)
この島で得た経験のおかげで、今はそう思えるようになった。
「碧南、少し大きくなった?」
参道商店街を懐かしそうに眺めていた母がふと首を傾げた。
「えっ、また伸びたかな?」
高身長な肩越しに振り返る碧南に、母は笑う。きっと強くなったのね、と言われ、碧南は柔和な頬を薄紅に染めた。そうかなあ、と寝子島神社に続く石段を登る。
「お腹空いちゃったね」
照れ隠しに言いながら、半ばは本気で参道の左右に並ぶ屋台を眺める。屋台の屋根の上で満開な桜を綺麗だとも思うけれど、今はそれよりも屋台の食べ物のあれやこれやの方が気になった。
(だって背丈もあるし、バスケ部ではスモールフォワードだって任されるし)
食欲旺盛な自分をそんな風に言い訳しつつ、花より団子な女子高生は焼き鳥にイカ焼きにフランクフルト、焼きそばにおでん、あっちにふらふらこっちにふらふら、家族が居てくれる安心感もあって思うまま食べ物の屋台に片っ端から飛びついていく。かと思えば、
「あっ、射的しようよ、お姉ちゃん!」
景品にある最新乙女ゲームに惹かれて姉とふたりで射的に興じてみたりもする。
「ああ、外しちゃった……」
射的は姉妹揃って外しはしたけれど、久しぶりに家族と過ごせて、さびしがり屋の碧南はすっかり上機嫌。
(こんな時、乙女ゲームだと攻略対象にそういう姿を見られて……なんてシチュエーション、最高じゃない)
上機嫌ついでにそんな妄想を頭に広げ、くすりと笑う。
「羽生くん」
(そうそう、こんな風に)
「今日は、羽生くん」
「えっ、……あっ、先輩!」
高らかに羽ばたかせかけていた妄想の翼のすぐ傍に、ふわり、いつも通りの不思議なセンスの髪型で、いつも通りのふわりとした優しい笑みをたたえた
鷹取 洋二
が立った。
「えっ、あ、ええ、……先輩?」
あまりに唐突に出会ってしまった洋二に、思わず二度見する碧南に柔らかく笑み、洋二は案外如才ない態度で碧南の家族に穏やかな挨拶をする。
大人びた態度の先輩の横顔を見つめ、碧南は繰り返し瞬く。
(……先輩)
少し前までは、気の合う先輩だとばかり思っていた。ちょっぴり変わり者かもしれないけれど、面倒見のいい優しいひとだと。
「っ、先輩っ!」
両親と姉への挨拶を終え、それでは、と立ち去りかける先輩の背を思わず追いかけようとする。家族を置き去りにしてしまうことに気づいて立ち止まる碧南の背を、何か勘付いた姉がパシリと叩いた。たたらを踏んで振り返れば、姉は行け、とばかりに手を振っている。
姉に追われるまま、碧南は洋二を追う。
「先輩っ、あの、……あの、この前のお礼がしたいですっ……!」
あの春の日の美術室で、気づいてしまった。
(私、……私は、先輩に恋をしている)
不思議そうに振り返り、柔らかく微笑む洋二の顔にうっかり見惚れそうになって顔を俯ける。
「ええと、ええっと、……」
普段は流れるように出てくるおしゃべりも、肝心なときになると胸の高鳴りに押し込められて上手く言葉にならない。それでも、碧南は必死に洋二に話しかける。
「良かったら、一緒にお祭り回ってもらえませんか……っ!」
乙女ゲームの主人公なら、もっとうまく誘えたのかな。穏やかに笑って頷く洋二を見ながら、高鳴る胸のままにそんなことをちらり、思った。
手を繋いで石段を上る。
「本日は良いお天気で、とてもお花見日和ですね」
石段の左右に咲き乱れて花びらを振りまく桜を見上げ、
薄野 五月
は眼鏡越しの黒い眼をふわりと細めた。
「桜まつりは毎年行ってるアルが、今年もやっぱり楽しみアル!」
一段先に立って手を引く
畑中 華菜子
が頬にえくぼを刻む。お団子に結った黒髪の頭を揺らし、待ちきれないようにその場でぱたぱた跳ねる。
「今年も桜もとーっとも綺麗! 今年はどんな屋台があるのかなー」
桜を見上げながら跳ねる華菜子につられ、五月もその場でぴょんと跳ねた。ショートカットの髪と眼鏡をぴょんと揺らし、華菜子と同じ段に立つ。
旧市街の参道商店街のラーメン屋『猫島軒』のひとり娘である華菜子と、同じく参道商店街の蕎麦屋『すすきの』の長女である五月は幼馴染。
幼馴染同士顔を見合わせ、ラーメンと蕎麦、麺類を扱う店の娘たちは笑い合う。寝子島神社の桜まつりには、小さな頃から毎年のようにふたりで来たり別の幼馴染と来たりしていたけれど、何度来たってお花見は楽しい。お祭りとくればなおのこと。
石段の先の境内から春風に乗って流れてくるお好み焼きや焼きそばのソースの匂いにわたあめの甘い匂い、焼き鳥のタレの甘辛い匂いに焼きトウモロコシの焦がし醤油の匂い、いろんないい匂いに五月は鼻をひくつかせる。お祭り屋台の食べ物の匂いは、いつだって心が躍る。
今日はふたりで桜まつりをこころゆくまで楽しもう。
「わー!」
石段を登り切ったところで、華菜子は歓声を上げた。
「桜が満開! 屋台も満開! 人もいっぱい!」
「やあ、今年も盛況ですなー。桜も綺麗に咲いてますね」
鳥居の向こう、花びらを被った狛猫や屋台の屋根の上に咲き乱れる桜を見遣り、五月は顔中で笑う。これを見ると、
(春が来た、って感じがします)
「いい匂いがするアルー。どれも美味しそうアルー」
「今年も美味しそうな屋台がいっぱいですね、華菜子さん」
歩を進めるたびに漂ってくる違う匂いに惹かれ、たこ焼きに焼きそば、ジャガバターにわたあめリンゴ飴、あっちこっちにふらふらする華菜子の手を五月は握り直す。小さい頃から境内で遊んで育った寝子島神社は庭のようなものだけれど、桜まつりの今日は人が多い。
「全部食べたくなっちゃうアルヨー」
「あ、お花見団子がありますよ、華菜子さん!」
「まさに花よりお団子アルー」
「ふっふ、お団子です」
ふたり揃って弾む足取りでお団子屋の前に立つ。二串入りのひとパックだけ買ったお団子は、屋台巡りのために食べずに来たせいでぺこぺこなお腹を落ち着かせるために一串ずつの半分こ。
「三色に分かれていて可愛いですよね」
「お花見団子と言えばこれアル!」
赤白緑、柔らかな色合いのお花見団子の甘さを楽しんだ後は、焼き鳥にいなり寿司、フランクフルトにかき氷。食べ歩いてみたり、後のお楽しみに袋に取り置いたりしながら、ふたりは桜まつりを練り歩く。
「あ、今日はー! アルちゃん五月ちゃん、デートですかー?」
「おや、こずこずさんー。はーい、デートですー」
「今日はアルー!」
途中で出会った
屋敷野 梢
と手を振り合う。今日は友人たちと花見会なのだと梢は朗らかに笑った。
「九月ちゃんとも一緒ですー」
「妹がいつもお世話にー」
「いえいえ、こちらこそー」
ちょっぴり芝居がかった動作でお辞儀をし合い、手を振り合って別れた後に華菜子の心を射止めたのは、射的に輪投げ、ちょっと懐かしいような遊戯の屋台。
コルクの弾丸を銃身に詰めて放つ空気銃を構え、
「とあー!」
華菜子が狙うは五月が好きそうな寝子島神社限定三角ペナント。サンマさんとマンボウくんが寝子島を背景に行進する、どちらかと言えば微妙なセンスの三角ペナントに対応する的には、けれど華菜子が何発コルクの弾丸を放っても当たらなかった。
「ふっふ、次は私です」
眼鏡をキラリと春陽に光らせ、五月が狙うは中華帽子を被ったパンダのぬいぐるみ。慎重に狙いを定めて撃てば、ぱこん、と中華パンダはあっさり倒れた。
「わあっ!」
「……おお」
全身で跳ねる華菜子の隣、会心の一撃に自分で驚きつつ、五月は次の獲物に狙いを定める。何発かは外し、けれど最後の一発で華菜子が狙っていた三角ペナントを射止めた五月は、真顔のままその場でくるくる回って歓喜の舞を躍って見せた。
くるりと回り終えてから、五月は手にしていた小さなパンダのぬいぐるみを華菜子に進呈する。
勢い込んでふたり並んで投げた輪投げは、けれど揃って大外れ。外れ景品の飴玉を口に入れつつ、五月と華菜子は声を上げて笑い合う。友達と一緒に賑やかに遊べれば、何だって楽しかった。
「お花見するアルー」
「はい、お花見しましょう」
飴玉を口の中でコロコロと舐めながら、ふたりは座ってお花見できそうな場所を探す。
「うーん……」
「うむー……」
一際大きな桜の下には参道商店街有志連の巨大筵が敷かれ、小さいながらも枝ぶりの見事な桜の下には古書喫茶の出張所が設けられている。目を引く綺麗な桜の下は、大抵が先客で埋まってしまっている。
「……あっ!」
桜の境内をぐるぐると見回していた華菜子が不意に声をあげた。かと思うと、素早く駆け出す。
「ん、華菜子さん?」
追いかけた五月が見たのは、運よく空いていた桜の木の下に急いでレジャーシートを敷こうとする華菜子の姿。
「ふっふ。流石です、華菜子さん」
「いい場所が空いてて良かったアルヨ」
華菜子が敷いたシートを肩から下した鞄で抑え、五月は鞄の中からお弁当箱と水筒を取り出した。
「わ、桜の香り!」
蓋の中から現れた蕎麦に華菜子は目を瞠る。お弁当箱の蓋を手に、五月はちょっぴり得意げに笑って見せた。華菜子のこの顔を見られただけで、早起きして家族と一緒にお花見用にと桜葉の塩漬けを練り込んだ蕎麦を作った甲斐があるというもの。
「お花見用の桜切りです」
水筒に詰めてきたつゆを付属のカップに注ぎ、レジャーシートの上に並べる。食べ歩きながら買い込んだたこ焼きやお好み焼き、いなり寿司も並べてしまえば、お花見の準備はできあがり。
「お天気が良くてお花見日和アルナー」
並んで座り、並んで桜を見上げる。
「あ、これ美味しいアル」
一口どうぞアル、と華菜子が差し出した冷たくて白いたい焼きの中には、マンゴーとカスタードのクリーム入り。
ひらりはらり、桜の花びらが梢から零れて落ちる。
「風流アルナー」
「風流ですねー」
幼馴染と一緒に桜を眺めながら、五月はなんだか不思議な気分に駆られた。座っていると、目線の高さは小さな頃と同じくらい。あの頃見上げるばかりだった桜も、今は立ち上がれば手が届くほどに近くなる。
幼い頃並んで見上げた桜をこうして高校生になってからも並んで見られることが、とても嬉しかった。
「私達も大きくなったものですー。ふっふ」
「もうすぐ高校二年アル。お姉さんアルヨー」
笑みを零す五月を見、華菜子も笑う。
寝子島で一緒に育って、一緒に寝子高生になって、四月の新学期には一緒に高校二年生になる。そうなれば、新しい一年生も入学してくる。
(一年前、)
寝子高に入学する前は期待と不安でいっぱいだった。新しく入ってくる子たちも、今ちょうどそんな気持ちなのだろうか。
(私たちのときは先生と上級生が優しくしてくれたから)
だからすぐに高校に通うのが大好きになった。自分たちがしてもらったように、
(私たちもお姉さんとして優しくしたいアルナー)
そうして自分たちが寝子高の事を大好きになったように、新入生にも寝子高が大好きになってほしい。ひとりっ子な華菜子は『お姉さん』の単語にぎゅっと拳を握りしめる。
「来年もお花見したいですね、華菜子さん」
「もちろん! もちろんアル!」
『お姉さん』になった来年は、どんな気持ちでお花見をしているだろう。
一年先の未来へと思いを馳せながら、幼馴染のふたりは揃って桜を仰ぎ続ける。
<< もどる
1
…
12
13
14
15
16
…
63
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【お花見】桜の下で待ち合わせ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!