ヒーローズ！～終わりの始まり、始まりの終わり～｜リアクション

ヒーローズ！～終わりの始まり、始まりの終わり～

　――再び、廃遊園地にて

　野菜原ユウを連れた風雲児轟が去っていった方角を、屋敷野梢は呆然として見遣っていた。
　辺りを包む暗がりには、力と力がぶつかり合う音が、もう長いこと響き続けている。
　それと、抑揚のない狂気混じりの声に、戦闘に昂る喜色に塗れた笑い声。
「……殺す……殺す、殺す……！」
「っははは！　良いぞ！　もっと！　もっとだ！」
　篠原翠響と、尾鎌蛇那伊。
　正義の名を冠した暴力の中毒者と、戦いの中に生を見い出す、混じりけのない戦闘狂。
　翠響が振るうナイフは、音速で、もう何度となく蛇那伊の身体を覇気ごと深く抉っている。
　そうして蛇那伊もまた、翠響に渾身の一打を数限りなく撃ち込んでいた。
　蛇那伊の持つ治癒能力は既に戦いの激しさに追い付かず、翠響もまた、気力だけで立っている状態。
　それでもなお、２人は周囲から見れば不毛と言える戦いを決して止めようとはしなかった。
　梢の唇を、知らず、細い息が震わせる。
「……この国は、一体どこへ向かうんでしょうか」
　殆ど瀕死の状態だったが、万が一、ユウが生き延び、轟と本当に結束したら。
　それに、《魔女の遺産》の《器》とそれを動かす装置は、どうなっただろう。
「ふん、下らん」
　翠響の攻撃を既にして血塗れの腕に受け止めながら、蛇那伊が言った。
「国がどうなろうが、この命果てるまで戦い続けるのみ。それ以外に何がある？」
「……戦い、続ける……」
　戯れに手渡された彼の持論を、繰り返す。
　ユウと刺し違えるつもりでここまで連れてきた、梢の命。
　けれどそれは今も、幸か不幸か、梢の手のひらの中にあった。
　――命果てるまで。
　梢は、いつの間にか明け始めている、淡い紫色の空を見上げた。
（……私に、自由意志などなかった）
　けれど、駒にすぎなかった『屋敷野梢』も、きっとこの国を愛している。

　――争いの絶えない世界を、今日もまた、朝の光が雪いでいく。

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あとがき

担当マスター：巴めろ
ファンレターはマスターページから！

お世話になっております、ゲームマスターの巴めろです。
まずは、ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました！

ヒーローズ！　世界の物語、これにて完結でございます。
ご縁を頂いた皆様には、本当に感謝ばかりです。

有り難くも物語は一応の決着を迎えましたが、
この世界そのものの、そしてこの世界のＰＣ様それぞれの戦いはまだまだ続いていくかと存じます。
お預かりしたアクションのパワーを最大限表現できるよう力を尽くしましたので、
リアクション、お楽しみいただけますようにと、あとは心より願うばかりです。

なお、この世界での出来事は、これまで同様、現実のＰＣ様の預かり知らないものとしても、
ひとつの『夢』としてＰＣ様の心の片隅に残していただいてもＯＫです。
どうぞ、お心のままにと存じます。

重ねてになりますが、ご参加くださった皆様に心からの感謝を。
この度も本当にありがとうございました！

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