黒いスーツに身を包んで、
大天使 天吏はテレビ局を後にした。
天吏は、今やかなりの社会的影響力を持つ『平和への翼』というNGOの代表だ。
綿密かつ大胆な計画の末、天吏がネットの海に放ったある動画。
その動画の話題性もあって天吏のメディアへの露出はますます増えたし、
(あの邪魔な反モレイビー派組織――『ノアの箱舟』の信者も、随分こっちに流れ込んでくれたしね)
という具合で、天吏の手駒もまた、随分と増えた。
(『ノアの箱舟』の指導者が消えたタイミングも、私にとっては僥倖だったわ)
区域にはよるものの、復興の兆しに明るい色を纏う街並みの中、天吏は思う。
異能力者たるモレイビーを排する活動に力を入れていた『ノアの箱舟』の瓦解。
それはモレイビーに対する風当たりを弱くはしたけれど、しかし、風そのものが止んだわけではない。
今、この街に広がる日常は、仮初のものだ。
ちろちろと地面を這う、弱まることはあっても消し得ぬ炎の上に築かれた幻想の平和だ。
「――さあ、次はどう動こうかしら?」
くすりと微笑して、天吏は街の賑わいの中にその姿を消した。
表の顔も、裏の顔も。
目には見えぬ翼を、その背に幾らともなく揺らして。
お世話になっております、巴めろと申します。
このページを開いてくださってありがとうございます!
ヒーローズ! の世界、番外編です。
それぞれの戦いが続く日々の中の、束の間の日常を過ごしていただく内容です。
また、このシナリオでの皆様の行動が、ヒーローズ世界の明日を変えることもあるかもしれません。
今作からのご参加も勿論大歓迎でございますので、
お好みの設定盛り盛り、平行世界での日常をお楽しみくださいませ。
ガイドには、大天使 天吏さんにご登場いただきました。ありがとうございました!
なお、もしこのシナリオにご参加いただける場合ですが、
ガイドでの描写は一例ですのでご自由にアクションをかけてくださいませ。
以下、本シナリオの詳細な説明になります。
このシナリオの世界観
舞台は、ちょっぴりSF風なバトルもの少年漫画っぽいパラレルワールドです。
後にハイパー・ロッコーン大戦と呼ばれるようになった事件を契機に、
異能力者たるモレイビー達は、異能の力を持たない人々から『危険な異端者』として追われる身となりました。
しかし、 反モレイビー組織『ノアの箱舟』の壊滅を経て反モレイビー派の活動は下火になり、
現在は、どの勢力も大きな行動を起こしてはいない、比較的落ち着いた状態です。
☆用語集☆
○『ヒーローズ・プロジェクト』
長く続く現政府により設立された、非政府派異能力者対策組織。
後述のモレイビーを中心に多くのエージェントを擁しています。
反政府派や反モレイビー派との間の軋轢など、抱える問題は多いです。
○『アーク』
国をより良くする為、打倒現政府を掲げて『ヒーローズ・プロジェクト』と敵対する大規模な反政府組織。
政府側と同じく多くのエージェントを抱えていることに加え、
理想の実現の為には手段を選ばないことから、民間人からは『悪の組織』と見られることが多いです。
その本拠地は、未だ政府側にも把握されていない状態です。
○『ノアの箱舟』
ハイパー・ロッコーン大戦後に創立された反モレイビー派組織の一つでしたが、
指導者の島岡 雪乃が命を落としたことにより組織としては既に瓦解しました。
○モレイビー
生まれながらにして特殊能力・ロッコーンを備え持った特別な人間。
正義の為、家族の為、金の為、理想の為、己の居場所を守る為、
或いは幼い頃から戦う為だけに育てられたり純粋に戦闘狂だったり。
戦う理由は様々ながら、その多くは政府側・反政府側いずれかのエージェントです。
また、現実世界のもれいびとは一切関係はございませんので、
現実世界ではもれいびだけどこの世界では敢えて非能力者だったり、
現実世界とは全く異なる特殊能力を有していたり、
現実世界では普通の人間ながらこの世界ではモレイビーだったりと、
お好きな設定をPC様に付与してお楽しみいただけますと幸いでございます。
○ロッコーン
モレイビーが1人につき1つだけ備え持つ特殊能力。
現実世界のろっこんとは一切関係はございませんが、
能力に関するルール等は基本的にろっこんを参考にマスターが判断いたします。
このシナリオで認められたロッコーンが通常のろっこん審査でも認められるとは限りません。
ロッコーンには、戦闘特化型のものも存在する他、
民間人の前でも問題なく能力を発動することができます。
なお、あまりにチートと判断される能力は設定できず、調整の対象となります。
○ハイパー・ロッコーン
特殊なラムネ菓子を食べることで、一時的にロッコーンを進化させる超技術。
政府が開発しましたが、『アーク』や民間にも流通しています。
ロッコーンを可視化・具現化させ、交流したり戦わせたりする、
ロッコーンと一体化し、魔法少女やヒーロー、天使や悪魔等の姿に変身する……等々、
能力がどのように進化するかは基本的に自由となっております。
但し、あまりにもチートと判断される能力は調整の対象です。
このシナリオでできること
下記から属する勢力をどれかひとつを選んで、
必ず「キャラクターの行動」欄の冒頭に【A】【B】【C】と記入してください。
なお、本シナリオはパラレルワールドの皆様の日常を描くものですので、特別な目的はございません。
【A】『ヒーローズ・プロジェクト』所属
【B】『アーク』所属
【C】その他
所属勢力を選んだ上で、この世界でのPC様の設定・行動は基本的にご自由にどうぞ。
なお、幕間的な番外編である本シナリオにおいては、
GAを組んでいない場合は基本的に個別描写となりますが、
特定のNPCを巡るアクションを複数の方がご提出くださった場合などに、
複数のPC様の物語が絡み合う可能性はございます。ご了承ください。
・エージェントの身分を隠して市街地で買い物。フツウな時間を楽しむ
・元・『ノアの箱舟』所属で、再び『モレイビー狩り』を起こそうと奮闘する
・執拗な反モレイビー派から逃れようと街を行く民間人モレイビー
等々、お好みの設定・行動を盛り盛りしてくださいませ! 但し、
・『決して負けることのない最強無敵の』エージェント
・卓越した頭脳で敵の本拠地を『確定的に』見つけ出す(目的の為に尽力するのはOKです!)
のように、他の参加者様の設定を間接的に決定づけてしまう設定等はご遠慮ください。
問題があると判断した設定は、調整の対象となります。
なお、設定は可能な限り詳細にアクションにご記入いただくことをお勧めいたします。
性格や口調等も、現実世界とは全く別のものに設定していただくことが可能ですが、
こちらご希望の場合はその内容を必ずアクション内にご記入くださいませ。
なお、前回ご参加いただいた方も、全く別の役柄を演じていただくこともOKです。
登場NPCについて
○泉 竜次 博士
『ヒーローズ・プロジェクト』所属のモレイビー。
ハイパー・ロッコーン技術を完成させた天才技術者兼一流のエージェントです。
ロッコーンは『掌を広げ念じることで掌を中心に攻撃を跳ね返すバリアを張る』。
○南波 太陽
『ヒーローズ・プロジェクト』所属のモレイビーで、元・やり手のエージェント。
『ノアの箱舟』と通じた末、現在は記憶や人格の多くを失った状態で政府の息が掛かった病院に入院中。
ロッコーンは『移動したい先を視認し手を叩くことで瞬間移動ができる』。
○五十嵐 尚輝
『アーク』所属のモレイビーで研究者兼エージェント。
実験に全てを捧げる静かな狂科学者で、現在は『アーク』本拠地にて何らかの研究に没頭している様子。
ロッコーンは『危機を察知した時に小鳥型の爆弾を召喚できる』。
○高野 有紀
『アーク』所属のモレイビーでベテランのエージェント。
政府への憎しみと自分を拾ってくれた『アーク』への恩義の元に生きる戦士です。
ロッコーンは『己の手の甲にキスすることで身体能力を一時的に向上させる』。
皆様のアクション次第で、ここに名前があっても登場しないNPCが出てくることもございます。
また、このシナリオでは登場NPCと関係を結ぶこともできます。
生き別れの兄弟・戦友でライバル・恋人同士等々基本的に設定は自由ですが、
・『唯一無二の』親友
・『一番』弟子
等、他の方の設定に影響を及ぼしてしまう設定は採用いたしかねます。
なお、特定のNPCに恋人が二人、のような状況も起こり得ますので、
その点ご了承の上でNPCとの関係は設定してくださいませ。
また、このシナリオでの関係は現実世界での関係とは一切関わりがございません。
パラレルな世界での束の間の休息、お楽しみいただけましたら幸いでございます。
ご縁がありましたらよろしくお願いいたします!