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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
かくて世界は浮遊する
２．虚空の果てで救援を叫ぶ少女（寝子島上空１５００メートル～？？？メートル）
時間が経てば経つほどに九夜山は浮いていく。高く、高く。
そんな九夜山よりも遥か高みに彼女はいた。
「気持ちいいなー♪」
浮遊状態を楽しんでいるのはパーカーとジーンズに身を包んだ雨寺 凛。黒髪のロングヘアーもふわふわと自由に浮いている。
無重力における慣性を利用して彼女は近くの浮遊物を思いっきり蹴りつけて高度を上げていく。
「まるで鳥だねー！ もっと高く飛べば寝子島が一望できるかも！」
見上げれば青。見下ろせば九夜山の緑、その遥か下方には寝子島の一部と海の藍。それは絶景だった。
「せっかくだから記念に撮っておこうっと」
彼女は携帯を取り出して撮影をする。その間も彼女の高度は上がっていく。高い場所ほど空気が薄くなる以上、空気抵抗も小さくなる。それはつまり慣性が減衰しにくいということである。
まるで空に墜ちていくように彼女の高度上昇は止まらない。もちろん速度は徐々に下がっているのだが、ブレーキをかけるような浮遊物が高空には存在していなかった。
「あ、寒くなってきた！？」
思わず身を震わせる凛。そして体に異変を覚える。
「なんか頭が痛くなってきたような……というかちょっと息が……ゼー、ハー」
高度上昇に伴う気温の低下と酸素不足による不調が彼女を襲う。
（止まること考えてなかったー！）
必死にもがいて下に降りようとする凛だが、上昇速度を低下させるだけで精一杯だった。
（うう、無理だ、降りれない……私このまま宇宙まで行っちゃうのかなぁ……）
浮かれていた時とは一転して空で溺死するような気分に陥る凛。
ガクン、と体に一瞬重力を感じたかと思うと、壁に当たったかのようにして凛の体は空中で静止した。
「え、あれ？」
とはいえ、高空の中で唯一人である。
「助かった……とは言えないよね？」
宇宙に行くことは免れたが、凛の置かれた状況は改善はされていない。思考の末、１つの可能性が彼女の頭をよぎる。
「これ、このまま効果が切れたら地面に向かってまっさかさまなのかな……！？ それはそれで死んじゃう！ 宇宙の藻屑にならなくても地面でペチャンコになっちゃうよー！」
ひとしきりわめいた後、凛は精一杯息を吸いこむ。
ロックのシャウト直前のように思いっきり肺に空気を入れ、胸を膨らませ、お腹に力を入れる。
全身全霊を振り絞るように息を……吐く！
「誰か、助けてー！！」
彼女の叫び声は大空に響いた。そして、肺の空気を出し切り、凛は酸欠で気絶する。
「凛ちゃん、だいじょぶ？」
と、明るくも心配そうな声で凛は意識を取り戻す。
「あえ……ブドーセンパイ……？」
ブドーセンパイこと志波 武道が凛と平行になるような姿勢、つまり海難救助をする要領で保護したようだった。
背泳ぎの要領で高空から少しずつ武道は高度を下げていく。水泳部である武道にとって空中を泳ぐことは水中とまったく一緒とは言えなくとも、大きな違和感を覚えるほどではなかったようだった。
それでも武道の顔や体からは汗が滴っているのは、それなり以上の体力を使っているらしかった。彼の着用している伊達眼鏡にも汗が落ちる。
「ゆっくり深呼吸してね。凛ちゃんたぶん酸欠で高山病みたいことになってるから」
気遣うように武道は言う。
「……すぅぅぅ……はぁぁぁ……」
素直に深呼吸をしながら凛は「どうして？」といった雰囲気の瞳を武道に向ける。
武道はその質問に答える為に、泳ぐのを一時的に停止する。そして、部室棟から持ってきたと思しきサッカーボールを鞄から取り出し、空気を抜くことで推力を確保する。
「いやー、空中から偵察しようと思ったら凛ちゃんの大声が聞こえてさー。声の方へ向かったら空中で溺れてる凛ちゃんが見つかったってわけ」
軽い口調が特徴的な武道だったが、真面目な雰囲気もその声色からは伺えた。さらに言葉を続ける。
「もうちょっと、水みたいに空気も抵抗が大きければなー。高度上がるごとに手ごたえがなくてなくて泳ぐのきついのなんのって、まるで雲を掴む感じ？」
と、冗談めかして武道は笑った。
「……ありがとうございます」
なんとか呼吸を整えて凛はお礼を述べる。
「無茶しちゃ駄目だからねー？ さって弟のフツウの為にも解決に向けて頑張りますかぁ！」
武道は空中でくるりと姿勢を回転させる。
そして、九夜山を一望するように見下ろしながら携帯を取り出した。
時間が経てば経つほどに九夜山は浮いていく。高く、高く。
そんな九夜山よりも遥か高みに彼女はいた。
「気持ちいいなー♪」
浮遊状態を楽しんでいるのはパーカーとジーンズに身を包んだ雨寺 凛。黒髪のロングヘアーもふわふわと自由に浮いている。
無重力における慣性を利用して彼女は近くの浮遊物を思いっきり蹴りつけて高度を上げていく。
「まるで鳥だねー！ もっと高く飛べば寝子島が一望できるかも！」
見上げれば青。見下ろせば九夜山の緑、その遥か下方には寝子島の一部と海の藍。それは絶景だった。
「せっかくだから記念に撮っておこうっと」
彼女は携帯を取り出して撮影をする。その間も彼女の高度は上がっていく。高い場所ほど空気が薄くなる以上、空気抵抗も小さくなる。それはつまり慣性が減衰しにくいということである。
まるで空に墜ちていくように彼女の高度上昇は止まらない。もちろん速度は徐々に下がっているのだが、ブレーキをかけるような浮遊物が高空には存在していなかった。
「あ、寒くなってきた！？」
思わず身を震わせる凛。そして体に異変を覚える。
「なんか頭が痛くなってきたような……というかちょっと息が……ゼー、ハー」
高度上昇に伴う気温の低下と酸素不足による不調が彼女を襲う。
（止まること考えてなかったー！）
必死にもがいて下に降りようとする凛だが、上昇速度を低下させるだけで精一杯だった。
（うう、無理だ、降りれない……私このまま宇宙まで行っちゃうのかなぁ……）
浮かれていた時とは一転して空で溺死するような気分に陥る凛。
ガクン、と体に一瞬重力を感じたかと思うと、壁に当たったかのようにして凛の体は空中で静止した。
「え、あれ？」
とはいえ、高空の中で唯一人である。
「助かった……とは言えないよね？」
宇宙に行くことは免れたが、凛の置かれた状況は改善はされていない。思考の末、１つの可能性が彼女の頭をよぎる。
「これ、このまま効果が切れたら地面に向かってまっさかさまなのかな……！？ それはそれで死んじゃう！ 宇宙の藻屑にならなくても地面でペチャンコになっちゃうよー！」
ひとしきりわめいた後、凛は精一杯息を吸いこむ。
ロックのシャウト直前のように思いっきり肺に空気を入れ、胸を膨らませ、お腹に力を入れる。
全身全霊を振り絞るように息を……吐く！
「誰か、助けてー！！」
彼女の叫び声は大空に響いた。そして、肺の空気を出し切り、凛は酸欠で気絶する。
「凛ちゃん、だいじょぶ？」
と、明るくも心配そうな声で凛は意識を取り戻す。
「あえ……ブドーセンパイ……？」
ブドーセンパイこと志波 武道が凛と平行になるような姿勢、つまり海難救助をする要領で保護したようだった。
背泳ぎの要領で高空から少しずつ武道は高度を下げていく。水泳部である武道にとって空中を泳ぐことは水中とまったく一緒とは言えなくとも、大きな違和感を覚えるほどではなかったようだった。
それでも武道の顔や体からは汗が滴っているのは、それなり以上の体力を使っているらしかった。彼の着用している伊達眼鏡にも汗が落ちる。
「ゆっくり深呼吸してね。凛ちゃんたぶん酸欠で高山病みたいことになってるから」
気遣うように武道は言う。
「……すぅぅぅ……はぁぁぁ……」
素直に深呼吸をしながら凛は「どうして？」といった雰囲気の瞳を武道に向ける。
武道はその質問に答える為に、泳ぐのを一時的に停止する。そして、部室棟から持ってきたと思しきサッカーボールを鞄から取り出し、空気を抜くことで推力を確保する。
「いやー、空中から偵察しようと思ったら凛ちゃんの大声が聞こえてさー。声の方へ向かったら空中で溺れてる凛ちゃんが見つかったってわけ」
軽い口調が特徴的な武道だったが、真面目な雰囲気もその声色からは伺えた。さらに言葉を続ける。
「もうちょっと、水みたいに空気も抵抗が大きければなー。高度上がるごとに手ごたえがなくてなくて泳ぐのきついのなんのって、まるで雲を掴む感じ？」
と、冗談めかして武道は笑った。
「……ありがとうございます」
なんとか呼吸を整えて凛はお礼を述べる。
「無茶しちゃ駄目だからねー？ さって弟のフツウの為にも解決に向けて頑張りますかぁ！」
武道は空中でくるりと姿勢を回転させる。
そして、九夜山を一望するように見下ろしながら携帯を取り出した。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年05月24日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年05月31日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年05月31日 11時00分
