夢の通い路の先で｜リアクション

夢の通い路の先で

　サジタリオの街並みを見晴るかし、プリムローズ・ブライトは白い瞼を上下させる。
　無感情な瑠璃の瞳の奥、覗き込んでもそうと読めぬほどの感情の色を灯し、別の世界から星幽塔に至った少女はざわめく夜の城下町をそぞろ歩く。ここには、様々な世界から様々な人々が集まっている。
　――『星幽塔』。
(私は、……)
　人込みをすり抜けて歩きながら、少女は藍色の睫毛を伏せる。寝床に身を横たえて程なくして見た夢が、まだ瞼の裏に残っている気がした。
　生死さえ共にしてきた傭兵団の皆に無理を言い、独立するかたちでここに残った。
(私は、ここで)
　それほどまでに、この場所は素晴らしかった。この地に生きようと心を定めるほどに。
　夢の残滓を振り払い、少女は再び雑踏を歩き始める。