this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
夢の通い路の先で
1
2
3
4
5
…
13
つぎへ >>
窓を雨粒が流れて落ちる。
窓の外の旧市街を煙らせて激しく降る雨を眺める視線が、ふと止まった。
隣の家の屋根の上、黒猫が前足を揃えて座りこちらを見下ろしている。
(なんだろ)
雨に濡れることを厭うでもなく、静かに座ってただひたすらに見つめてくる様子に、何故だか胸が痛んで、
桜庭 円
は緋色の目を瞬かせる。視線が合っても決して逸らさぬ、黒い猫――
(懐かしい、感じ……?)
記憶を探り、薄い胸に視線を落とす。雨の中の黒猫から視線を逸らす。
アパートの自室は、モノクロ写真のように暗かった。電気をつけなくちゃ、と床に足を踏み出して、気づく。見慣れた自分の部屋の隅、茶トラの子猫がじっとうずくまっている。
「にゃーくん?」
名を呼んでも、にゃーくんは目を閉ざしたまま動こうともしない。
「雨だもんね、寒いかな?」
ベッドの上に畳んだ毛布を手に取る。肩に羽織った毛布の裾を床に引きずり、にゃーくんの隣、にゃーくんの真似をして床に寝そべる。大きな三角耳の小さな頭に手を伸ばす。
冷たかった。
指先に触れる子猫の体温に驚き、温めてあげようと繰り返し撫でる。
「にゃーくん……?」
いつもなら甘えて頭を擦りつけてくるか喉を鳴らしてくれるはずのにゃーくんは、けれど今日は様子がおかしかった。息が荒い。一度も目を開かない。
まるで何かに耐えているような子猫を思わず抱き上げて、
「っ、……」
抱き上げた腕の中、子猫はもがいた。円の腕に爪を立て、一瞬円が怯んだ隙に円の腕から飛び降りた。飛び降りて、よろける。足を引きずる子猫に、円は小さな悲鳴をあげた。
悲鳴と共に思い出す。
(小太郎……!)
咄嗟に窓の外を見遣った理由は、本人である円でさえも分からない。
窓の向こう、雨に濡れそぼる黒猫の姿はもうなかった。そのことに僅かな安堵を覚えながらも、円は実家で父母が飼っていた黒猫を思う。
小さい頃から一緒に育ってきた、大好きな小太郎。一緒に居るのが当たり前で、だからこそ一緒に居られるのは当たり前のことではないのだと教えてくれた猫。
小太郎も、あの時、足を引きずっていた。
目の前でうずくまるにゃーくんのように、まるで隠れるように部屋の隅にじっとひとりで蹲っていた。
――小太郎?
あの時は、大好きな猫が自分を避ける理由が分からず、遊んでくれないことが寂しいばかりだった。悲しいばかりだった。
あの時、小太郎は車にはねられた後だったのに。猫であるがゆえ、誰にも弱っているところを見せまいとしてひとりで戦っていたのに。
車に轢かれた際、肺が潰れたのだと。足を骨折したのだと。それを聞かされたのは、当たり前のようにいつも傍にいてくれた小太郎がいなくなってからだった。ひとならば悶え悲鳴をあげるような痛みに、小太郎はただの一声も漏らさず耐えていたのだと。結果、発見が遅れたのだと。
目の前では、にゃーくんが足を引きずっている。
「嫌だ、」
うずくまる姿は、小太郎が死ぬ間際に見せたその姿と同じだった。
「にゃーくん!」
いつの間にか肩から落ちていた毛布で子猫の小さな体を包み込む。腕と胸に抱きこむようにして家から土砂降りの外へと飛び出す。
(病院!)
にゃーくんが円のもとに来たときから世話になっている動物病院を目指し、駆けだす。一秒でも早くにゃーくんを治療してもらいたいのに、急がなくてはならないのに、――どうしてだろう、足がなかなか前に進まない。アスファルトの道を走っているはずなのに、まるで泥濘を踏んでいるかのように靴底が取られる。足が重い。
(せめて、近道……)
外に出てもモノクロ写真のように暗い雨の旧市街を辿る。歩き慣れた通りを外れ、たまにしか通らない細い裏道に踏み込んで、次の刹那。
足元に、地面がなかった。
「うわっ?!」
内臓が持ち上がるような浮遊感が体を掴む。掴んで地の底へと引き摺り落とす。
湿った風が耳元でけたたましく笑う。胸に毛布ごと抱いた子猫を風にさらわれそうになって、慌てて両腕で抱きしめる。この子は、どうあっても守らなくては。
(にゃーくん……!)
悲鳴に似て子猫の名を胸に叫んだその時、円は己を見下ろすナニカの視線をまた感じた。
もたげた目に捉えたのは、遥かな空に開いた大穴からこちらを見下ろす黒猫の、感情すら映さず静かに輝く双眸――
「――ッ!」
胸と背中、両方に衝撃を感じて瞼を開く。
瞼を開いて、円は今まで見ていたものが夢だと思い至った。
熱を帯びた瞼を幾度も上下させるうち、ベッドから落ちたことにも気づく。胸に飛び乗り飛び跳ねているのは、子猫のにゃーくん。
金色の瞳をくるりと丸めて不満げに鳴くにゃーくんは、足を引きずってもいない。至って元気ないつもの子猫の姿に、円は安堵する。一安心、と胸を撫で下ろした途端、無性ににゃーくんを抱きしめたくなった。
「にゃーくん! った?!」
我慢せずに抱きしめた瞬間、腕に思い切り爪を立てられ円は顔をしかめる。にゃーくんは悪びれもせず、むしろ逆にお怒りな声をあげた。
「あっ、うんご飯ね、了解」
猫と主の関係なんてそんなもの。円は窓の外にきらめく春の朝日に伸びをする。ついでにこんな夢を見たと母親に電話をしてみれば、
「えー……解せない!」
母は小太郎から思いっきり甘えられた夢を見たと電話口で声を弾ませた。
ごはんごはんと足元に絡みつくにゃーくんをあやしながら、円は情けない顔をする。
(なんか悪い事したっけ……)
にゃーん。にゃーくんが楽し気に鳴いた。
1
2
3
4
5
…
13
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
夢の通い路の先で
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月17日
参加申し込みの期限
2017年03月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!