息を呑む、悲鳴に近い自分の声で目が覚めた。
暗闇に瞬きを繰り返す。一瞬前の世界が夢であることを確かめる。安堵の息を吐き出すと同時、知らぬうちに目尻に溜まっていた涙が耳に流れ込んだ。
被った毛布を退けて起き上がろうとして、指先が強張るほどにきつい拳を作っていたことに気づいた。軋む関節を無理やりに動かし、手をこじ開ける。冷たい汗に濡れた体にまとわりつく毛布を蹴飛ばして身を起こす。
瞼に留まる冷えた涙を手で擦る。
(夢だ)
閉じ込められた魔物のように暴れる心に繰り返し言い聞かせる。それでも跳ね続ける心臓に業を煮やし、掻き毟るように胸を掴む。
「ッ……」
食いしばった歯から堪えきれない悲鳴が吐息と共に漏れた。いっそのこと叫んでしまおうかと思い詰めて、それはどうにか思い留まる。
春のあけぼのはまだ遠い。
暗い窓の外をぼんやりと眺めていて、瞼に浮かんだただひとりの面差しに思わず溜息が落ちた。
(起きてるかな)
連絡を取ろうか取るまいか、迷う。声が聞きたくなったと言えば、顔が見たくなったと言えば、あの人は何と言うだろう。
笑うだろうか。
怒るだろうか。
(それとも、)
涙のあとがひりつく頬を掌で擦る。夢のあとがこびりつく脳内もどうにかできないかと頭を掻いてみる。
「あーあ、……」
笑おうとして失敗する。
「会いたいなあ」
だって、きっとあのひとなら、このどうしようもない怖さも一瞬で吹き飛ばしてくれる。そんな気がする。
――これは、悪夢にうなされたあとの春の宵のものがたり。
こんにちは。阿瀬 春と申します。
今回は、あなたが見た怖い夢や嫌な夢と、その夢を見て飛び起きたあとのお話をうかがいに参りました。
あなたがうなされた夢のお話をお聞かせください。それから、うなされて起きた後、どういう行動を取るかも。
起き出して台所でお茶飲んだりとか、思い切って誰かに連絡取ってみたりとか、もういっそのこと会いに行ってみたりとか(その場合はGAをお組みください)。
そのあたりのこと、よろしければお話に書かせてください。
今回は、GAを組まれない限り、基本的におひとりさまな物語となります。
ほしびとさんも増えて来られましたことですし、今回は、寝子島に住まう方のお話でも、星幽塔に住まう方のお話でも、どちらでも大丈夫です。
ほしびとさんでしたら、夢にかこつけてほしびととなられる前に住まわれていた世界のお話ももしかしたらお聞きできるかな、と思っております。
冒険者さんだったりしましたら、鬱憤を晴らしに魔物退治に出られちゃったり、いろんな種族のたまり場な酒場とかに繰り出したり、……星幽塔ならでは、な行動を取られたりするのでしょうか。
ほしびとも、ひとも、もれいびも。みなさまどうぞお気軽にどうぞー。
※ただ、『らっかみ!』は全年齢対象PBWです。あまりにも残酷だったり性的だったりなアクションの描写はいたしかねます。ご了承ください。
それでは、ご参加、春宵の月でも眺めながらお待ちしております。