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夢の通い路の先で
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宝石のように青い空に、綿菓子のような空砲が弾ける。
ぽん、ぽん、とのどかな音を残して、綿菓子の煙は穏やかな風に流れて消えた。
石畳の道を、
ティー・リンクス
は後ろ足で立って歩く。燕尾服の後ろから出た長く白いしっぽをふりふり、シルクハットの脇から覗く大きくて白い三角耳をぱたぱた、つやつやの白い毛皮に覆われた顔からぴょんと伸びる何本もの透明髭をぴょこぴょこ。
「離れないようにするにゃ」
石畳の道の左右に設けられた屋台からの匂いにぴっかぴかの鼻をひこつかせながらも振り向いて声を掛けるのは、燕尾服の後ろについて歩いて来ている子どもたち。己と同じ青と緑のオッドアイを好奇心に丸くした子どもたちは、今にも町の何処かに駆けて行ってしまいたそうな顔をしている。
「にゃ」
右手に上の仔、左手に下の仔。はぐれないように、子どもたちの肉球の手をしっかりと握る。
二足歩行の猫も四足歩行の猫も入り乱れての大騒ぎ。何と言っても今日は記念日のお祭り、いつもよりもずっと大勢の猫たちがこの町に集まっている。右には焼き魚の屋台、左には瓶詰またたび酒の露店。好奇心に駆られた子どもたちは見るものすべてに興味津々、いつふらふらと迷子になってしまうかもわからない。
何を記念してのお祭りだったかと考えかけて、やめる。周りの猫たちは楽しそうで、子どもたちも楽しそうだ。何のお祭りだったかはまた後で考えよう。
お祭り気分に浮かされて、ふわふわと透明髭をそよがせた途端、
「にゃ!」
右手と左手が同時に振りほどかれた。
「待つにゃ!」
慌てて声をあげるけれど、子どもたちは我慢できない歓声を上げながら、お祭りに湧く猫たちの中に飛び込んで紛れてしまう。小さな子猫ならではの身軽さで猫たちの間をすり抜け、駆け抜けて行ってしまう。
「にゃ、にゃにゃ」
追いつけずに慌てるうちに、周りはあっという間に猫だらけ。前に進むも困難なほどに道が混雑してくる。
「どこに行ったにゃ?」
子どもたちの名を呼んでも呼んでも、応える声はない。探しても探しても猫群れの中に子どもたちの姿は見つけられない。お祭り騒ぎの猫たちにもみくちゃにされるまま右往左往、周章狼狽、気づけば何処かも分からぬ路地に放り出されてしまった。
「にゃ」
青空の光も届かぬ路地を一歩進めば、そこはつい先ほどまであんなに溢れていた猫のひとりも居らぬだだっ広い草原。
足元にさわり、蒼い叢が触れた。
「にゃ!」
文字通り跳ね起きた途端、男性用ナイトキャップの天辺に縫いつけた毛玉にぽこんと頭を打たれた。
寝ぼけ眼を魚柄パジャマの裾で擦る。着込んだパジャマも、小さなベッドも、見慣れた自分の家のもの。
「夢……ですか……」
お祭りの日にはぐれた子どもたちの顔が瞼の裏にちらついて、思わず暗澹と呟く。あれは、星幽塔と呼ばれるこの地に来る前の夢。子どもたちとはぐれて、元住んでいた世界からもはぐれて、己はこんなところに迷い込んでしまった。
どうしたら帰られるのだろう。
子どもたちは元気にしているだろうか。
そう思い悩み、帰る方法を探して回ったのも、もう随分と前の話。結局、帰る方法は分からなかった。子どもたちにも会えなかった。
「僕の、子どもたち……」
帰還が叶わぬ長い年月のうちに、住んでいた町の様子も子どもたちの顔すらも、記憶がどこか曖昧になってしまっている。子どもたちはふたりだっただろうか。別にも連れてはいなかったか。そもそも、その子たちは自分の子だったか。ご近所の子どもたちだったりしないか。
長い年月を別離の中で生きる間に、元の世界での様々な記憶がぼんやりと薄れてしまっていることに愕然とする。
肉球の掌で悄然と顔を覆って後、ベッドから降りる。家にいる間はずっと着込んでいる魚柄パジャマから、燕尾服に。世界を違えても、どれだけの歳月を経ても、それだけは変えていない。
箪笥の上のシルクハットコレクションの中から最近のお気に入りを手に取る。
内ポケットから取り出した懐中時計を見れば、示されているのは真夜中の三時。懐中時計の裏側、星の形をした七色に煌く石をひと撫でして元にしまい込む。
こんな夜は『Barアストラル』に行こう。ビールと煮干しを頼んで店の隅に腰を据えよう。煮干しをちびちび齧りながらビールを飲み、朝日が昇るのを待とう。
いつでも賑やかなあの店に行けば、知った顔にも会えるかもしれない。
子どもたちを見失う悪夢を見たことも忘れられるかもしれない。
そんなことを考えながら家の扉を開ける。手にしたシルクハットをきちんと被れば、オッドアイの瞳を曇らせていた夢の欠片は跡形もなく消えた。少なくとも消えたように、その瞳には明るく穏やかな色が灯った。
猫族らしい軽やかな足取りで夜のサジタリオを歩き始めながら、ティーはまだ遠い朝日を見るように瞳を細める。
(元気にしていますか)
にゃあ、と小さな小さな溜息が夜に零れて落ちた。
「会いたいですね……」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月17日
参加申し込みの期限
2017年03月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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