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寝子島高校
夢の通い路の先で
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伸ばした手は、叩き落された。
弟の頬を涙が伝っているのに、拭ってやることもできない。同じ日に生まれた、血の繋がった大事で大好きな弟なのに。もう一度差し伸べた手を怒声と共に払いのけられ、
汐月 ココノ
は瞬く。瞳を覆うほどに伸ばした色素の薄い金の髪が、視界の中で所在なげに震える。
顔だけではなくに怒りを滲ませて、弟が低く低く、唸るように告げる。
忌々しげに歪んだ唇から放たれた言葉の意味が、己に向けた紛うことなき拒絶であると気づいたのは、弟がその言葉を発してしばらく過ぎてから。
心臓が跳ねる、息が乱れる。まだ暗い部屋の天井を見つめたまま、額から滑り落ちる冷たい汗に、ココノは薄い金色の睫毛を瞬かせた。
「あれ……」
咄嗟に弟の名を呼ぼうとして、弟の気配が傍にないことに首を捻って、
「そっか、私……」
気づいた。弟も、父母も。もう同じ屋根の下にはいない。
父は仕事できっと今も何処かの外国の空の下、母と弟は本土の実家。寝子島のシーサイドタウンのアパートに暮らしているのは、自分ひとりきり。
四月からは、ひとり暮らしをしながらの寝子島高校に通う新生活が始まる。気持ちを新たに、少しくらい無理をしてでも、
(しっかりしなくては、……頑張らなくては)
耳の奥に残る自分のうめき声に小さな息を吐く。額に浮かぶ嫌な汗を夜着の袖で拭い、夢が夢であったことを確かめる。
(大事な家族に嫌われる夢なんて……)
透けるような金の髪が肩を滑り落ち胸元に落ちる。
視界のほとんどを覆う前髪の下、深紅の瞳を瞬かせ、ココノは立ち上がった。夢は夢。現実ではない。夢にどれだけ不安をあおられようとも、
(……前向きにならないと)
伏せていた瞳をあげた途端、お腹が小さく鳴った。
夢を見ていても、お腹は空く。それがほんの少しおかしくて、ココノは一人暮らしを始めたばかりの部屋でくすりと笑った。
空っぽのお腹を押さえ、ベッドから立ち上がる。
小さなキッチンの戸棚に置いた籐籠に盛った果物の中からひとつだけ、鮮やかなオレンジ色したみかんを手に取る。キッチンの灯りだけをつけてテーブルにつき、みかんの皮を剥く。
甘酸っぱいみかんを一房ずつ口に入れながら、ぼんやりと思うのは二卵性双生児である弟のこと。
――君たちは喜怒哀楽をふたりで二分しているのかもしれない
そう言ったのは誰だっただろう。
――お姉ちゃんは『喜』と『哀』、弟君は『楽』と『怒』
それが真実なのかは分からないけれど、それでも、ココノは確かに幼い頃から憤怒という感情が判らなかった。傍から見ればどれほど腹立たしいだろうと思うようなことがあっても、怒ることができない。悲しみばかりが先に立つ。
(恐らく弟はその反対)
涙を流す己の隣、烈火のごとく怒る弟の姿が瞼の裏に蘇る。
(どんなに悲しくても怒ってしまうのでしょう)
そういう双子なのだろう、とココノは思う。
――きっと二人で一人なんだね
先にそう言ったのは己だったか、弟だったか。それでもふたり、顔を見合わせて一緒に笑った。ふたりでひとり、そのことがとてもとても嬉しかった。
本当は、弟も寝子島高校に進学するはずだった。高校生になっても、父母のもとを離れても、ふたりで居られるなら寂しくないと思っていた。
それなのに、弟は土壇場で進学先を本土の高校に変えた。
本土に残る、そのことを伝えられたときは言うまでもなく少し寂しく思った。けれど、
(本人が決めた事ですから)
口に含んだみかんが酸っぱくて、ココノは唇を尖らせる。眉間に悲しく寄る皺をなだめるようにもうひとつ、みかんを口に入れる。
(引き止める権利はありません)
仕事で世界を飛び回る父の代わりに、弟は家に居てくれる。母の傍で母を支えてくれる。
(私の寂しさなんて……)
うっかり伏せがちになる金の睫毛を繰り返し瞬かせる。ぐい、と顔をあげる。
(私は私。ここで頑張らないと)
「だって私はお姉さん」
弟は弟で、両親は両親で、それぞれに頑張っている。ならば姉である自分も、離れていても家族を支えられるくらいに強くならなくては。ひとりでも大丈夫と家族のみんなに言えるようにならなくては。
――姉だからって気負いすぎ
本土に居た頃に弟から言われた言葉を思い出して思わず俯きそうになるけれど、そうは言っても、自分が姉であることには変わらない。それだから空回るのだとも言われたけれど、それでも。
(寂しい顔なんか見せたら、怒られます)
笑っていて、と。いつか、怒りながら言われたことがある。
だから笑っていよう。いつでも、どんなときでも。
「ごちそうさまでした」
自分ひとりしかいない静かな部屋で手を合わせて呟き、みかんの皮をくず籠に捨てる。まだまだ夜は長い。もう一度歯を磨いて、もう一度ベッドで横になろう。
そうして、明日を待とう。高校生活が始まるまでの短い春休みを楽しもう。
だいじょうぶ、と繰り返し胸に呟く。
寝子島で始まる一人暮らしの新生活、少し寂しいこともあるかもしれないけれど、きっと楽しいこともたくさん待っている。
(明日は、何をしましょうか)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月17日
参加申し込みの期限
2017年03月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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