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夢の通い路の先で
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ひ、とも、う、ともつかぬ、息を呑み込む自分の悲鳴に叩き起こされた。夢の中で呑み込んだ悲鳴が胸に詰まり、
壬生 由貴奈
は黒い瞳を見開く。胸を掴み、仰向けの体を横にする。背中を丸め、足を曲げ、布団の中で丸くなる。
「っ、……ぅあ」
食いしばった歯の隙間から少しずつ、押し殺した悲鳴じみた息を漏らす。
重油のように胸を塞ぐ夢の破片を小さな悲鳴と共に吐き出してしまえば、気持ちはほんの少し、楽になった。せめても、息ができるほどには。
呼吸を繰り返す。ともすれば強張りそうになる手足から徐々に力を抜いてゆく。そうするうちに熱を帯びた頭が冷えてくる。
(最近は少なくなってきてたのにねぇ)
数年前までは、よくこんな風に目が覚めた。同じ悪夢を繰り返し繰り返し見て、その度に救えなかった両親や後輩を思い出しては己を責めた。
布団のあたたかな暗がりの中、己の胸を掻き毟らんばかりにきつく掴む自分の手を見下ろす。あの時の血が手指にこびり付いているように見えて、唇が苦く歪んだ。
(それだけに、余計に気分が悪くなるねぇ)
自分の手を見つめる。血糊など一飛沫もついてはいない。
過去の悪夢とは、もう既に折り合いをつけている。
(けど)
思い出すたび、夢に見るたび、心が千切れそうになる。
どうしようもなく疼き痛む心を持て余し、どうしたものかと息を吐く。ふと、枕元に置いた携帯電話が目に入った。
何気なく手に取って、そうしてしまってから、迷う。
(……連絡してもいいかな)
そう思ってしまったのは何故だろう。彼の顔が浮かんでしまったのは何故だろう。
(なんだか、仲のいい人に連絡して甘えてばっかり)
自分で自分を嘲笑う。自分は、こんなに弱い人間だっただろうか。
お守りのように携帯電話を胸に抱きしめる。うっかり甘えてその人に迷惑かけたくない。それに、彼が預けてくれた胸の痛くなるような優しく温かな想いに、自分はまだ答えを出せていない。
あの時の夢を久しぶりに見てしまったのは、自分の気持ちの在り方さえ分からなくなっている自分自身に対する罪悪感が因ではないだろうか。こんな状態で彼に会いたいだなんて、と己で己を縛りかけた途端、
――お話、しましょう
あの黄昏の海辺で、大切な友人が向けてくれた言葉とまなざしが脳裏をよぎった。
(……いいや)
迷惑だと思われるかもしれない、厭われるかもしれない恐怖を振り払い、由貴奈は携帯電話を操作する。
「えいっ」
思い切って発信ボタンを押してから、確信する。
(うーちゃんは、うちを迷惑なんて思わない)
「うわうわっ、うっぎゃあぁああっ?!」
跳ね起きた。
「あ?」
寝ぼけ眼を掌でごしごし擦る。閉ざしたカーテンの向こうの夜と、ベッドの下に蹴り飛ばした布団と、見慣れた自分の部屋をぐるぐると見回し、
卯木 衛
は寝癖のついた頭をがしがしと乱暴に掻いた。
「恐ろしい夢だったぜ……」
ひええ、と口元を押さえて呻く。
瓶牛乳にパック牛乳、禍々しいオーラと中身の牛乳をまき散らす呪いの牛乳たちが、さあ飲め今すぐ飲め残さず飲めと迫り来た挙句、にょんと細い手足を生やし大挙して襲い掛かってくる夢を見た。
(吐きそう)
夢の中、全身に浴びた牛乳の臭いがしないか思わず腕や手を嗅ぎつつ、のそりとベッドから降りる。大嫌いな牛乳の夢を忘れるためにも、何か別のものを口にしたかった。
部屋を出て、キッチンに向かう。電気もつけずに冷蔵庫を開けて、溜息ひとつ。気分転換に飲めそうなものは何にも入っていない。
「うーん」
壁の時計を見遣る。大分遅い時間ではあるけれど、コンビニなら開いている。
(ちょっくら買いに行くか!)
春の宵、ふらりとコンビニにまで買い物に出るのは、それだけでも充分に楽しい。嫌な夢の代償にしておつりがくるというもの。
そうと決まればと手早く着替え、最悪な夢を見た最悪な気分も忘れて家を出て自転車にまたがる。ひんやりとしながらもどこか生ぬるいような春の夜の風を頬に受けつつ、自転車をのんびりと漕いで行く途中、
「……んん?」
トレーナーのポケットで携帯電話が鳴った。道の端に自転車を止め、またがったままでポケットから携帯電話を取り出す。春宵の闇に眩しい画面を確かめた途端、衛は蒲公英色した瞳を瞠った。
(由貴奈さん?!)
発信者の名を目にすると同時、受話ボタンを勢いよく押す。出るのを一瞬でも躊躇って切られてしまうわけにはいかなかった。
「も、もしもし、由貴奈さんっ?」
上ずってしまいそうになる声を何とか落ち着かせる。どきどきと無暗に高鳴る胸を拳でごつごつと叩く。
『うーちゃん?』
好意を抱き、ホワイトデーに思い切って告白した大好きな先輩の声を耳にして、衛はピンクゴールドに透ける栗色の睫毛をしばたたかせた。
「どうかしましたか……?」
『うん、ちょっと話したくなって』
ふうわりとした、どこか眠たげな先輩の声を耳元に聞きながらも、衛の眉間に寄る皺が深くなる。いつも通りの声、いつも通りの普通の会話、そのはずなのに、
(……由貴奈さん、元気ない?)
『でも、どんなお話しようかねぇ』
「ちょっと……えーっと、十分だけ寝ないで待っててもらえませんか?」
『……ん? 待つくらいなら別にいいけど』
すぐかけ直します、と切った携帯電話をポケットに押し込み、衛は自転車のペダルを力いっぱいに踏み込んだ。頭にあるのはただひとつ、
(会いに行く!)
その思いだけ。だって好きな人の元気がない。
(ほっとけねえだろ!)
最寄りのコンビニに飛び込み、蜂蜜入りホットレモンのペットボトルを買う。携帯電話とは反対のポケットに熱いペットボトルを入れて自転車に飛び乗る。向かうは星ヶ丘、由貴奈の住むマンション『パルラ・フラーマ』。
高級住宅街の景観を壊さぬ程度に周囲の邸から頭ひとつ飛び出した五階建てマンションは、遠目に見てもそれと分かる。
幾度かお邪魔するうちきっかり頭に叩き込んだ由貴奈の家への近道を、衛は自転車でひた走る。
「っ、人生でっ、」
海風に煽られながら、星ヶ丘の坂道にペダルを重くさせられながら、
「一番、早いぞっ……!」
息を切らして目的地まで辿りつき、自転車を道端に置く。切れる息を整えながら監視カメラつきの出入り口に立つ。常時駐在の警備員の目を気にする余裕もなく、携帯電話を取り出して由貴奈の番号を着信履歴から再発信する。
『あ、おかえりー』
「えへへ、来ちゃいました」
『……って、うちに来たの?』
さりげなく笑って言いながらも、内心はとんでもなくどきどきしている。
(迷惑じゃねえか)
どきどきバクバク、破裂しそうな心臓に向け、衛はぼやく。
(でもなんか、こう、元気ないならほっとけないつーか)
勢いで来てしまったものの、実際に由貴奈のマンションの前に立つとうっかり逆に怖じそうになってしまう。
(でも、)
でも、自分は由貴奈の顔を見れば元気が出る。腹の底から力が湧く。ふわふわと足元が浮き立つような、明日も明後日も明々後日もずっとずーっとがんばろうと思えるような、そんな気持ちになれる。
『ちょっと待ってねぇ、今ロック外すから』
最上階の住人の操作を受けて、出入り口が音もなく開いた。
警備員に会釈してエレベーターに乗り込み、音もなく上昇し始める函の中でもう一度息を整える。しつこく跳ねる心臓を掌で抑えて宥める。
エレベーターを出て左手、一番奥。目をつぶっていても辿りつける、大好きなひとの家の前に立つ。インターホンを鳴らせば、ややあって玄関の扉が開いた。
戸惑うような、何を言えばいいのか分からないような、迷子のような顔を見せる由貴奈に、衛はポケットから小さなペットボトルを取り出して見せる。
この際、由貴奈が部屋着にカーディガン一枚羽織っただけの姿であることとか、寝乱れた髪のままであることとか、そういうことは見なかったことにしよう。
「ちゃんと手土産持ってきたんですよー」
深夜のマンションの廊下を気遣って声を潜め、赤面しそうになる顔を掌で擦って誤魔化し、へらっと笑ってみせれば、由貴奈は気が抜けたような、安心したような顔で笑い返してくれた。
「まだあったかいねぇ」
衛から手渡されたペットボトルを両手に包み、衛をリビングに通す。ちょっと眩しいような顔をする衛をソファに座らせ、お茶でも淹れようとキッチンに向かおうとして、
「由貴奈さん」
呼び止められた。振り返れば、衛は決然とした顔でソファの端に尻をずらし、空いた隣を片手でぱたぱたと叩いている。
「それ持って、こっち! こっち座ってください!」
そう言われてしまえば断る理由も見つからず、言われるままに衛の隣に腰を下ろす。座ったはいいものの何を話せばいいか分からず、とりあえず黙ってペットボトルの蓋を開ける。
「お土産ありがと」
「いえっ、どうぞ!」
「いただきまーす」
ふわりと温かくて甘い蜂蜜ホットレモンを口に含んで、起きてから今まで水分を採っていなかったことに気づいた。
喉が潤い、胃が温かくなって、由貴奈は柔らかな息をひとつ吐き出す。
「ちょっと嫌な夢見ちゃってねぇ……」
言った途端、甘かったはずの口内が一気に苦くなった。
それでも、彼に伝えなくてはならないと思ったのはどうしてだろう。
「……まぁ、大切な人が死ぬ夢、かな」
具体的に口にするには、その記憶はまだ生々しすぎた。
「『守られた』結果、何一つ『守れなかった』夢。二度と同じ事が起きないように、うちは、……」
口に出来る分だけを口にして、それでも瞳が思わず歪んだ。平静を保とうとして、出来なかった。苦しい息を吐き出すとともに俯けば、その視界に衛の手が映った。そっと伸びてきて、そっと手を包んでくれる熱を帯びた衛の手に、由貴奈は瞳を閉ざす。
「……ごめん。関係ない話だねぇ」
手を握る衛の手の力が一瞬とても強くなる。何か言いたげな衛を遮り、由貴奈はペットボトルをソファ前のテーブルに置いた。
「それより、ほらっ」
衛が先にしたように、自分の膝をぽんぽんと叩く。小動物のように目を丸くする衛の手を引き、半ば強引に自分の膝の上に衛を座らせる。
幼子のように衛を膝に乗せ、由貴奈は衛の胴に手を回し、ぎゅっと抱き着く。自分よりも高い位置になった衛の後頭部と肩を見上げ、背中に顔を埋める。
「ふふふー、うーちゃん小っちゃくて可愛いからぴったりだねぇ」
そうしてしまえば、泣き出しそうな顔を見られずに済む。柄にもなくドキドキしてしまっていることもきっと悟られずに済む。
「……安心する」
気が付けば膝の上に引き上げられ、背中に縋りつかれ、その上そんな言葉まで背中で呟かれ、衛は緊張に身を固くする。
(由貴奈さんにそんな顔させないくらい強くなりてえなってカッコつけたはずなんだけどなんで俺由貴奈さんの膝の上、……膝の上……すっげー解せねえ……)
けど、とうっかり緩みそうになる頬の内側を噛む。
(まあ、……うん)
胴に回された由貴奈の両手に両手を重ねる。心臓は最高速度で体中に鳴り響いていて、由貴奈が言うような落ち着く心音ではないはずだろうとは思うけれど、
(由貴奈さんがいいなら)
まあ、いっか。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月17日
参加申し込みの期限
2017年03月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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