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夢の通い路の先で
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赤錆びた空が見えた。
血色に染め上げられる防波堤に視線を落とす。堤防から落ちそうなほどはみ出した己の靴先のその下、赤い波が打ち寄せる小さな砂浜に、――うち伏して、夫婦とその子どもふたり。
見覚えのある死体に眉を顰める。そうしてから、唇が苦い笑みに歪んだ。
寄せる波に服を濡らし、みすぼらしく蠢くその家族は、
(……)
父母と呼ぶも弟妹と呼ぶも忌まわしい、それでも血縁上はそう呼ばざるを得ない人々。最早互いに何と呼べばいいのか分からぬ、血の繋がった他人。
睥睨する視界の中で、男が背広の肩を震わせた。がくり、人ならぬ動きで頭をもたげる。
幼い頃は父と呼んだものの変わり果てた姿に、
後木 真央
は奥歯を噛み締めた。
青白い肌、悪意に爛々とぬめる眼、爛れて腐り落ちそうな唇、骨の覗く腕。男の動きにつられるように同じ動作でこちらを向いた母も弟妹も、屍人の様相をしていた。
幽鬼の群れだと、思った。
風が哭くような声を破れた喉から漏らし、弟が何か言う。海水に濡れた体を砂や藻で汚しながら、幽鬼の群れが近づいてくる。
死者が動く。己に縋ろうと、己を屍人にしようと這いずり寄ってくる。
――それとも、餌食にしようと?
背丈ほどの堤防をよじ登り、弟が近づいてくる。
幼い頃はかわいいと思った弟の頬を躊躇なく殴った。拳に感じた水袋を打つような感覚に怖気を振るいながら、幼い頃に握りしめて良い姉になろうと誓った弟の手を叩きのける。
ああ、ああ、と呻き声を零しながら、妹を抱えた母が堤防の壁に爪を立てる。靴先に触れそうになる母の指先を無造作に蹴飛ばして、堤防の上をよろよろと近づいてくる父の姿に気づいた。無言のまま、容赦の欠片もなく蹴り倒し堤防から落とす。砂の上に落ちてもがく父を一瞬見下ろして後、真央は反対側に飛び降りた。
赤錆の空の下をひとりで走る。
逃げなくては、と思った。
(でも、何処へ?)
切れる息に鉄錆の臭いが混ざる。靴底に得体の知れぬ赤い液体が粘りつく。走っているのに、力の限り走っているはずなのに、景色が変わらない。
どこまでも続く赤錆の空の下、ぽつりぽつり、人のかたちしたものが倒れている。血泥に塗れ青白い顔して倒れるそのひとりに、祖母の姿を見つけ、慌てて駆け寄る。膝をつき手を伸ばす。抱き起そうとした瞬間、ギロリ、死体が黄色く澱んだ眼を剥いた。
「ッ!」
悲鳴さえも声にならない。尻をついた格好で後退り、恐怖なのか何なのかも分からぬ涙が滲む目もそのまま、どうにか立ち上がる。また、逃げる。
血臭の風に煽られてぶらぶらと体を揺らしていたのは叔父だった。
伸ばして来た手から、いつか体を支えて抱きしめてくれた手からも後退る。踵を返し、背を向ける。
駆けだそうとして、誰かの胸にぶつかった。咄嗟に見上げた視線の先には、両親に拒絶されたときに肩を抱いてくれた祖父が血塗れで立っていた。
笑えば皺の中に隠れる眼をうつろに見開き、祖父が皺深い手を伸ばしてくる。
日に焼けて節くれだった、働き者の漁師な祖父の手が、己の首にかけられる――
「ッぅああぁぁああ! うああああ!」
跳ね起きる。身の内に暴れまわる心臓と恐怖に耐えられず、
「いやあぁあああぁっっ!」
叫ぶ。息が尽きるまで叫んで、それでもまだ怖くて、けれどもう悲鳴にもできなくて、酸素が途絶えて痛む胸を抱えるように背中を丸める。息が切れても叫び続けたくて、できなかった。げほげほとむせる。
(私は、今確かに、)
毛布を掴んでいた指を持ち上げる。目覚めてもなお、掌に残っている。夢の中、己は確かに祖父の胸を突き飛ばそうとした。
夢を夢だと己に言い聞かせながら、暗闇の中に己の掌を見つめる。
弟妹のことはいい。両親のことも別にいい。あの四人は、敵だ。そんなことはもう、今更ただの再確認にしかすぎない。
家族であったものを無感情に倒しながら、まあそんなものだろうと夢の中で納得さえしていた。それは起きた今でも変わらない。
(でも家族は)
今、家族と呼ぶ祖父母も叔父も、己は助けようとしなかった。誰も助けようとせずに逃げ出した。
(家族なのに)
助けてもらえるのは家族しかいないのに。助けてもらえたのは家族しかいなかったのに。
夢なのに助けられなかった、そう思うと同時、夢だから、とも思う。
(あれが私の素か)
己で己を突き放すように息を吐き出す。
あの夜、――川を下って海まで走ったあの夜、海に落ちてしまいそうな己を助けて欲しくて家族に電話した。そうして応じてくれた家族に心の底から安堵した。
(生き汚い)
そのことすら、今はそう吐き捨てたくなる。何かあれば家族を頼るくせに、生き延びるためにはその家族すら見捨てようとする。生き汚く足掻こうとする。
(汚い醜い)
これで家族に頼ろうなんて、助けてもらおうだなんて、
(おこがましい)
息をすることも嫌になって途方に暮れる。
どうすればいいのか分からず、枕元に転がるスマホを手に取る。
何気なく電源を入れて、ほとんど無意識のうちに呼び出すのは祖父母の家の電話番号。
窓の向こう、白み始める空を見透かす。この時間、あの家の家族はみんな起きて、日の出とともに漁にでるための準備に忙しい。
――忙しい時間に馬鹿言ってるな
電話を掛けた途端にそう叱られ電話を切られるのは目に見えていた。
――何かあったのか
数日後、何となく心配になった叔父が掛けてくる電話の内容さえも予想がついた。
(絶対そうだ)
分かっているからこそ、スマホを投げだす。
(分かっている)
学費を出してもらって、愛して貰って、それでも。
(私は逃げる)
受けた恩を返せぬまま、後悔すると分かっていても、それでも家族の手を振り払って逃げ出す。
「……ああ」
悲鳴の残り滓のような息が漏れた。布団に倒れこむ。逃げることしか知らない己のあまりの情けなさを自覚して、それでもどうしようも出来ずに布団を被る。
今はもう、丸くなって眼を閉じてしまうしか、出来ない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月17日
参加申し込みの期限
2017年03月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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