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夢の通い路の先で
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柔らかな陽の中、緋や黄金に色づいた紅葉がひらひらと舞う。
雲一つなく穏やかに晴れ渡る空を仰ぎ、
三宅 葉月
は舞い踊る落ち葉を翡翠色した瞳に映す。
コートの裾を翻す秋風の冷たさに僅かの感情の動きも見せず、少女は乱れる長い黒髪を白い繊手で抑えた。白い頬に睫毛の影が落ちる。
見下ろせば、足元には見渡す限りの落葉の絨毯。
伸ばす視線の先にどこまでも伸びる並木の道を眺め、頭上を覆う梢をもう一度見上げる。未だ来ぬ待ち人を待ち侘び、ぐるりに視線を巡らせる。
華奢な肩を僅かに落とし、物憂げに瞳を伏せる。細い手首に巻いた腕時計を確かめれば、約束の時間からは十分以上が過ぎていた。
翡翠の瞳に不安の影が差す。
(急な仕事が入った……?)
それでも、遅れるときには必ず連絡をくれる人だった。
待ち人がきっと来ると信じて、葉月は唇を引き結ぶ。落葉の並木道に真っ直ぐな瞳を向ける。
珍しく遅れたことを詫びながら現れるだろうか。
連絡ができなかったことに対して申し訳なさそうな顔をするだろうか。
自分とよく似た目元に優しい皺を刻んで丁寧に頭を下げる祖父の姿を思い描いた途端、普段感情をほとんど映さぬ葉月の瞳に柔らかな笑みが滲んだ。
孫である己にも、自分の非を認めてきちんと謝ってくれるひとだった。
――葉月
深みのある声が好きだった。己の絵を見てくれるときの優しい横顔が好きだった。感心して頷くときの笑顔が好きだった。
最大の理解者であろうとしてくれたひと。
己の才能を愛してくれたひと。
普段はどこまでも穏やかな祖父が、けれど声を低くする場面を見たことがある。
――父が娘の才能を手折るなど……
芸術の才に恵まれた娘を許容できず、隙あらば娘の進もうとする道に立ちはだかろうとする葉月の父を、祖父は許さなかった。そうであるがゆえに、父の悪意から全身全霊で以て守ってくれた。
ひやりとした風がうなじに触れる。
コートの襟に手を掛けたとき、腕に掛けた鞄の中でスマートフォンの着信音が鳴った。
不吉な響きを伴っている、そう感じたのは予兆だったのだろうか。
そろりとスマホを取り出す。画面に記されていた通話相手は、祖父の秘書の名だった。己の予感に惑い、それでも無機質なコール音を五回聞いたところで明滅する画面をタップする。
「……はい」
小さく応答した途端、耳に飛び込んできたのは祖父入院の報せだった。
急に倒れ、現在は病院の集中治療室にいるということ。
意識不明であるいうこと。
後の言葉は聞こえなかった。
祖父が収容された病院の名を聞き、どうやってそこへ向かったのか、葉月はまるで覚えていない。
ただ、世界から音が消えた。
色彩が褪せた。頬に触れる風も陽の光も全てが非現実的に、世界が遠くなった。
例えば、半透明の膜を通して見ているような感覚がした。奥行きのない薄っぺらい世界に身を浸された感覚がした。
全身を撫でまわすような冷たい感触だけが理解できた。
目の前に横たわる祖父の頭部には白い布が掛けられている。
傍らに設けられた祭壇に灯る蝋燭の光がひどく目障りだった。眩しく揺らぎ、祖父の顔を隠す白布に陰影を描く。
病院に駆けつけたときにはもう、祖父はすでにこと切れていた。
祖父が、死んだ。
己にとって最大の理解者であり、その才能を愛してくれたひと。
己の才能を手折ろうとする父の悪意から守ってくれたひと。
肩を叩いて温和に微笑んでくれた。その才能の助けになればとイタリアやフランスや、――世界各地の美術館を連れて回ってくれた。
ふたりで、うつくしいものをたくさん見た。
これからも、たくさんの美しいものをふたりで見続けられると思っていた。己の描いた絵をたくさん見て欲しかった。美しいものをたくさん知る祖父にこそ、たくさん褒めて欲しかった。
けれど、もう、祖父はいない。
動かぬ祖父の遺体を前に、立ち尽くす。
ふと、思う。祖父のいないこの世界を、この色彩の褪せた世界を、
(私はまだ描けるの……?)
祖父が死んだその時に見た光景のように、色彩の失せた天井が見えた。
月影が揺らぐ天井をしばらく見つめる。海の底から見上げたときのよううに揺らぎぼやける視界が疎ましくて、瞳を閉ざす。そのまま、開けられなくなる。今瞼を開ければ、涙が溢れ出してしまう。
必死にとどめようとした涙はけれど止まらず、閉ざした瞼からあふれて零れた。
目尻からこめかみに零れて落ちる涙を流れるままにして、葉月は乱れそうになる呼吸を鎮める。
――祖父がいなくなって、二年が経つ。
それなのに、胸には未だ、二年の歳月を経ても癒えない喪失の痛みがある。
(それでも、)
胸を押さえ、葉月は涙の止まらぬ瞳を開く。月影の躍る天井を見つめる。
(……それでも、私は描く)
祖父のいない世界を。己の生きる、この世界を。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月17日
参加申し込みの期限
2017年03月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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