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頬に冷たい雨粒が触れたと思って、本格的に降り出すまではあっと言う間だった。
「わ、」
気付かぬうちに夜空を覆い尽した雨雲を見上げ、傍らの川面を叩く雨を見遣り、
御剣 刀
は小さく声を上げる。片腕に座らせるように抱えていた黒髪の人形を両腕に抱え直し、出来るだけ濡れぬよう庇いつつ、慌てて目前の橋の下に避難する。
「通り雨か?」
黒髪を伝い額を伝う雨粒を掌で払い、橋桁を叩く雨音に耳を澄ませ黒い瞳をもたげる。
(さっきまでそんな気配全然なかったのに)
間が悪い。真っ暗な空に零れる雨を見上げれば、知らずそんな呟きが漏れた。
抱え込んでいた人形を片腕に乗せ直し、艶やかな黒髪や白い頬に指先で触れる。神魂の影響を受けて命宿したように動いた人形は、けれど今はもうその長い睫毛の先さえ動かさない。それでも、刀は未だ人形に心が宿っていると、いつか傷ついた心が癒えた暁には以前のように動くようになると、そう信じている。
信じるがゆえに、朝な夕に人形を、ルヴィアを抱えあちこちを散歩する。
「ルヴィアは濡れなかったか?」
ルヴィアに話しかけながら、しばらくここで様子を見ることを決めて、改めて周囲を見回せば、冷たいコンクリートの橋脚を彩る色彩豊かな絵が視界を覆った。
普段あまり人目に触れぬ場所に描かれるのは益体もない落書きばかりだと思っていた刀の目に、けれどその絵はとても優しく映った。
(アリス、だよな)
カラフルな色彩と迷いのないタッチは、同学年の絵描きの女子が描く絵とよく似ている気がした。もしかすると本当に彼女が描いたのかもしれないと思いながら、刀は頬を緩める。
(なんかホッとする絵だな)
ルヴィアもそんな風に思ってくれるといい、そんなこともぼんやりと思うまま、サンマさんやマンボウ君までシャボン玉の空を泳ぐ、遊び心に溢れた絵を眺めているうち、
「ん……?」
雨の音が消えていることに気付いた。
雨が止んだのかと橋の下から空を確かめようとして、
「……あれ?」
刀は眉を寄せる。
雨音どころか、周囲から一切の音が消えている。
夜とは言え橋の上を走っていた車の音も、遠くに聞こえていた電車の音も。
人の気配が一切絶えた橋の下、咄嗟に思い浮かんだのは、過去に迷い込んだ黄昏空の下のセカイと、その神無き世界で生きようとする巫女。
「カンナ?」
巫女の名を口にしてから、そうではなさそうだと首を横に振る。黄昏の町を漂う不思議な空気感は今は感じられない。
(なら、神魂か?)
人気のない夜に目を凝らす。耳を澄ませ、神経を研ぎ澄ます。
北風が夜空を渡って行く音しか聞こえない世界をしばらく見つめて後、とりあえずは特に危険があるわけではなさそうだと判断する。
とは言え、誰も居ない世界に居続けるつもりはない。
(どうしたものか)
橋の下に流れ込んだ風がルヴィアの黒髪を揺らす。顎をくすぐるルヴィアの髪の感覚に、刀は僅かに笑んだ。
「ちょっと困ったな、ルヴィア」
せめてルヴィアが怖がらないよう、優しい声音で話しかける。ぐるりを見遣れば、橋脚には元の世界で見たものと同じ、扉を潜り別の世界へ迷い込もうとしている少女の絵。
少女が今しも潜ろうとしている扉に、元の世界では見なかった紙片を見つけ、近づく。それは、先にこちら側へと迷い込み、そうして先に元の世界へと戻った誰かが、
(……旅鴉)
コンクリートの橋脚に絵を描き込んだ
旅鴉 月詠
がこちら側に残していったメモ。
同学年の少女の痕跡を確かに認め、何もせずとも時間が経てば元の世界に戻れる旨を読み取り、刀は小さく安堵の息を吐いた。
ルヴィアと己以外には誰も存在していなさそうな世界の中、刀は北風の空を仰ぐ。白い息を吐き、橋の下から空の下へと出る。夜の散歩をしていた元の世界と同じように、のんびりと誰もいない世界を歩く。
(静かだ……)
己の腕に座り、微塵も動かぬルヴィアの事を色々とと考えてしまうのはそのせいだろうか。
彼女は日々を楽しめているのだろうか。
己は彼女に報いられているのたろうか。
どれだけ共に時間を過ごしても、どれだけ話しかけても、彼女からの応えはない。だからこそ悩んでしまう。
彼女に笑って欲しかった。どんなかたちであろうと応答が欲しかった。
己の望みを、望むがゆえの悩みを、けれど口に出せば彼女を傷つけてしまう気がして口には出せず、刀はただ黙して夜を歩く。
吐き出す息に視界が滲む。風に流れて星空に紛れる己の息を何気なく追いかけて、――ふと。
優しいまなざしにも似たナニカを感じた、気がした。
それは一瞬の気の迷いかも知れず、誰も居ない世界に流れる空気のせいかも知れず、
(それとも)
腕の中で身じろぎもしないルヴィアの硝子の瞳を見下ろし、刀はそっと息を零す。
(俺がお前の家族になろうって思ったんだ)
だから引き取った。
「暗くしていたら心配させちゃうよな、ごめん」
微笑んで上げた視線の先、先ほど離れた橋が見えた。当てもなく歩くうち、いつの間にか戻ってきていたらしい。
橋の下、月詠が描いた絵の前に立てば、ふわり、世界に様々の音が戻った。
車の音、電車の音、橋を渡る誰かの足音と話声。己以外の誰かの立てる音や気配を感じながら、刀はルヴィアを抱きしめる。
「家に帰ろう、ルヴィア」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年09月29日
参加申し込みの期限
2016年10月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年10月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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