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【星幽塔】第五階層 福音の王国と揺れる天秤
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【醸造所の光と闇】
聖水酒醸造所は、広い敷地に精緻なレリーフを刻まれた真っ白な壁に囲まれ、神殿と見紛うばかりの美しい石造りの建物が寝そべる、何とも清潔そうな場所だった。醸造所、という職人的でともすれば雑多なイメージを抱く言葉からはどこか遠い、神聖で侵すことが躊躇われるような高潔な印象を受ける。
馬車はそんな醸造所の、主たる大きな建物の入り口脇に車輪を止めた。荷物を下ろすには何か煩雑な手続きがあるらしく、馬車から降りた聖騎士は入り口で警備をしている別の騎士と何事か、書類を手にしきりに言葉を交わしている。一見して内部への侵入路は他に無く、建物には窓や扉が不自然なほど少ないように見えた。
「ちっくしょー。あの聖騎士、邪魔だなぁ……!」
本日二度目の、
卯木 衛
の苦々しいセリフだ。聖騎士たちは入り口扉の前に陣取り、どこかへ行ってしまうような気配は見られない。かといってぐずぐずとしていれば、今にも手続きは終わり、彼らは荷物である大瓶を下ろしにやってきてしまうだろう。
雀に変じ、チチチ? と鳴いた
御巫 時子
を肩に乗せて、今度は
ロベルト・エメリヤノフ
が歯噛みする。
「マズイね、このままじゃ見つかっちゃうよ……」
「ふむ。では、ここは楓子の出番のようだな?」
ずずい、と彼らへ顔を寄せ、自信たっぷりにそう言ったのは、
千歳飴 楓子
だった。
「……楓くん? 何する気なんだ?」
親友とも呼べる衛が心配そうに尋ねるも、楓子は彼を制して、
「楓子に任せるといい。楓子が警備の目を引きつけるから、その隙にでも忍び込んでくれ。では」
二の句を継がせず、楓子はひらりと手を翻す。両の手の中指にはめた二対の指輪たちがにわかにきらめきを放つと、巻き起こる魔風が敷地内を駆け抜けざわつかせ、聖騎士たちの注意を引く。その隙に、しゅぱんと勢い良く馬車を飛び出した彼女は、
「ああ、聖騎士様……どうか、どうかお助けくださいませ……!」
しおらしくシナを作りながら、警備の目の中へと躍り出た。
「な、誰だ君は……? ここは立ち入り禁止区域だ、勝手に入ってきてはいけない!」
「まぁ、そうだったのですか? 申し訳ありません、つい夢中で……あの、逃げた子猫を探していて、迷い込んでしまいましたの。朝からずうっと、探しているんです……おかげで何も口にしていなくて、足はふらふら、目まいもして……ああっ!」
などとよろけたフリ、聖騎士に抱き止められた楓子の演技力は、これがなかなかに秀逸と言えた。憂い顔の頬には赤みが差し、瞳は泣き濡れたように潤んでいる。加えて彼女が身に着けているのは星幽塔仕様と言うべきか、きらびやかな金刺繍を施し、ひらりとたなびくケープや腰布が優美に揺れ、そしてへそ出しに二の腕やふともももまぶしい、身軽で露出の高い冒険者の装いだ。相手は聖騎士たちとはいえ、効果はてきめんであった。
「だ、大丈夫かね? かわいそうに、お腹が減っているのかね」
「では、何か食べ物を持ってきてあげようか」
と、聖騎士のひとりが建物の中へ向かおうとするのを、
「……いいえ! 少しの間こうしていれば、めまいは収まりますから……」
楓子は慌てて呼び止めた。抱きついた鎧の肩口の向こうに、今まさに扉からそろり、そろりと侵入しようとする、仲間たちの姿が見えたためだ。
「そ、そうかね? では、聖水酒はどうだい?」
「ああ……それでしたら。遠慮なくいただきますわ」
にわかに好待遇を受けながら、しかし楓子は不意に、首を傾げる。
(……そういえば、ここからどうするか、考えていなかった。まぁ、あとで誰かが迎えにきてくれるだろう……たぶん)
とはいえ、今は仲間のため、演技を続けるのみだ。聖騎士の差し出した小瓶の中身で揺れるエメラルドグリーンへ、楓子は睫毛を揺らし、弱々しく口をつけた。
(うん。美味い)
扉をくぐると、醸造所の内部には外観の美しさ、清潔さなど及びもつかないような、汚れておざなりな内装が目に付いた。エントランスから、廊下を奥へいくらか進んだあたりで汚れはますますひどくなり、実際に聖水酒が作られている作業場はどんなことになっているのやら、想像もつかない。
「まるで、ハリボテだね……よっ、と」
ロベルトが魔土の光で放った石礫がかつんと音を立て、巡回の聖騎士が気を取られた隙を突き、彼らはするりと脇を通り抜けて先へ進む。
「ほおう。鮮やかなもんだねぇ、ロベルトはん」
まるでそう思っているようには見えない顔で言ったのは、聖竜の座から街へ戻ってきたところの、
骨削 瓢
だった。彼はどうやら別のルートから侵入してきたようで、先ほどは鉢合わせて大いに驚いた。
外から見た建物には、入り口扉のほか、人の通れないような小さな通気口と艶やかな白い壁しか見当たらず、ロベルトは首を捻ったが、それもそのはず。
「骨削ほどじゃないよ。無茶したなぁ、壁に穴を開けるなんて……すぐに忍び込んだことがバレちゃうじゃないか」
「なぁに、その前にトンズラかませば問題ありゃせんよぃ」
瓢はなんと、第一階層、サジタリオ城下を走る下水道におけるモンスターの討伐クエストにて
持ち帰った
、スライムの溶解液を使って壁に穴を開け、まんまと潜り込んだのだと言う。取り繕った外面に反して、壁は内部の様相には相応な安普請であったようで、案外と簡単に入り込むことができたのだと、彼はしたり顔で語った。
おまけに彼は、少なくとも一人の聖騎士を襲って意識を奪い、それを放置している。
「忍び込むついでに、癒しの力の過剰回復について実験してみたんだけどねぇ。肉体が腐って破裂するか、膨張して異形にでもなってくれりゃ面白かったが、何も起こらんとはつまらんよぃ」
「それは良く分かんねーけど……っつーことは、あんまりのんびりしてらんねーってことだな! 先進もうぜー」
衛の言うとおり、瓢の手段は強引でかつ繕うつもりもなく、遠からず発覚してしまうだろう。彼らは急ぎ、どうやら目的地へ続くらしい階段を下りて、地下へと向かう。
慎重に歩きがてら、ついでに手短に情報交換を行う。今は人の姿に戻っている時子が瓢へ、
「では……聖竜の座には、何もいなかったんですね……?」
「お探しの聖なるドラゴンなんてもんは、影も形も無かったよぃ。スカルドラゴンにゃ出くわしたがねぇ」
時子は聖竜の座にも興味を持ち、時間が許すなら調査のため足を運ぼうかと考えていたが、その必要は無さそうだ。
もっとも彼女や、衛やロベルトにも、この時点で瓢がとうに結界を破壊してしまっているなどという事実までは、知る由もない。
「そうですか……聖竜は、どこへ行ってしまったんでしょう……? いえ、やっぱり、スカルドラゴンそのものが……」
「っと! ドアがあるなー」
思案に暮れる時子をよそに、衛は行く手に立ち塞がる、いかにも堅牢そうな鋼鉄の扉をひとつ眺めると。
「鍵開けなら、俺に任せろー!!」
するり、前髪から取り外したのは、並んだ二本のヘアピンのうちの一本。何の変哲もないが、衛のトレードマークとも言えるそれには今や、盗人の光が宿っている。
「これをこう、鍵穴に差し込んで……こうやって、こう……どうだ!」
かちゃり。衛は見事な手並みで、さして苦労するでもなく、あっという間に扉を解錠してしまった。ロベルトは小さく、拍手のジェスチャー。
「おー、すごいね卯木!」
「へへっ! お……ここが、聖水酒を作ってるところかー?」
扉を開くと、幸い人影はなく。薄暗い地下室には所狭しと、先ほど馬車の荷台で見た、あの大瓶がいくつも並べられていた。
作業台の上に、封をされた瓶、既に開いた空っぽの瓶。また別の作業台に積まれている瓶にはラベル付けがされていて、こちらが完成した聖水酒であるらしい。
「……これが、聖水酒の原材料……なんでしょうか?」
ある机の上には、中身を残したまま開けっ放しの瓶と……その隣に、何らかの作業の途中だったのだろうか? 透明のフラスコのような容器へ移された、原料らしき無色透明の液体があった。時子が首を傾げる。
「聖水酒は、聖なる森の朝露から作られる……のでしたよね?」
「……明らかに、朝露なんかじゃねーよな。これ」
衛が容器を傾けてみると、透明の液体も追随して揺れるが、それにはとろりとして粘度があり、よくよく見れば淡く白い燐光を内に含み、ほのかに発光しているようだ。樹々の葉に溜まった霜や水滴をすくい上げたものには、とても見えない。
ことり。瓢が唐突に、懐から取り出した何かを、容器の隣へ置いた。ロベルトが訝しげに、
「骨削、それは?」
「くっくっ。何を隠そう、こいつぁね……とれたてほやほや! さっき頂戴してきたばっかりの、スカルドラゴンの粘液でござぁい」
小瓶の中には真っ黒で、まるで底なしの闇のような粘り気のある液体が、こぽり、と泡を立てている。
瓢はそれらをしばし見比べた後、意味ありげに表情を歪めながら、その場の誰もが思い浮かべていただろう答えを、簡潔に述べた。
「似てるねぇ?」
「つまり……そういうことだよな。やっぱり。聖水酒ってのは、聖竜の何か……血だか何だか知らねーけど、そういうモンから作られてて」
「スカルドラゴンは、聖竜と関係がある。多分……成れの果て。そういうことなんだろうね」
衛やロベルトは、もしこの醸造所に聖竜が囚われ、非道な手段で聖水酒が作られているのなら、あらゆる手段を講じて竜を解放してやろうと考えていた。が、ここにはそんな、哀れな竜の姿など無い。手に入れたのは、森をうろめく魔物についての望まぬ確信と、やるせない無力感だ。
「……! 皆さん!」
声を潜めて、時子が警告の響きを発する。
振り向いた彼らの、視線の先。うず高く積まれた無数の大瓶の頂点。そいつはいつの間にか、そこへ佇んでいた。
「っ、君……
ゴンちゃん!!
」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら。二本の角を揺らしながら。衛と時子、他でもないふたりがそう呼び名をつけた、あの謎の生物のヴィジョンが、彼らを嗤っていた。
「ゴンちゃん、あなたは……あなたの目的は、なんなのですか……?」
「君は、俺たちの敵なのか……? なぁ!」
時子と衛の問いに返答は無く、代わりに、ずるり。ずるずる。並ぶ大瓶の隙間から、作業台の下から、壁から、黒い影たちが現れては襲いかかる。
黒影たちの行動は確かに、あからさまなほどに敵対的だ。しかし、それでもふたりがあの生物へ、あえて敵かと問いかけたのには理由がある。
影とともに現れ、あるいは影を生み出しているようにも見えながら……生物自身は、冒険者たちがオーブへと触れようとするのを、本気で拒んではいないように思えたのだ。あるいは、
「もしかしたら、なーんにも考えてねーのかもしんねーけど……な!」
衛はひょいと黒犬の牙をかわし、時子は再び雀へ姿を変えて天井へ逃れる。瓢は、
「おっとっと、こいつは面倒なことになりそうだねぇ。あっしは一足先に、お暇させていただくよぃ~」
さっさと踵を返し、一人部屋を飛び出して行ってしまった。
ロベルトは屈み込み、両手を床へと添えて星の力を発揮すると、土の壁を生み出して黒犬の突進をガードする……が、衝撃に弾かれた黒犬は積み上がる大瓶の真っ只中へとまともに突っ込み、派手な音を立ててがらがらと崩れ、砕けた破片は飛び散り、床へ透明な粘性の液体が広がってゆく。
「……! ここで戦うのはマズイ! 聖騎士が気付いてやってくる前に、急いで逃げよう!」
言うなりロベルトは、土壁を背にろっこんを自身へと発動させ、小柄な少年へと変身。軽量化を図ると、それを衛がひょいと抱え上げ、つま先でととんと床を蹴る。跳ね回りながらに影たちの攻撃を避け、彼らは部屋の外へと飛び出すと、小さな雀が先導するのに続いて地下を駆け抜け、地上へ向かった。
二本角の生物は変わらず、ニヤニヤ。言葉も無く、楽しそうに笑みを浮かべるばかりだった。
黒影のみならず、巡回の聖騎士にもまた発見され追い回されたものの、彼らが重装備の甲冑姿であることが幸いした。どうにか醸造所の敷地を脱出し、適当な物陰に身を潜めた彼らは、荒く安堵の息を吐いた。
「はぁ、はぁ、助かった………………あ」
「ひぃ、ふぅ……ど、どうしたの卯木?」
何かに気付いたような衛に、ロベルトはあどけない美少年姿のまま尋ねる。
「……楓くん。回収してこねーと……」
「……あっ。忘れてた……」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
バトル
ゲーム
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年09月25日
参加申し込みの期限
2016年10月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年10月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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