this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
扉のその向こう
<< もどる
1
…
5
6
7
8
9
「お久しぶり」
「一緒に遊ぼうか」
「マドレーヌ、美味しいですよ? プレゼントです。一緒に食べましょう」
閉じこもっていた部屋から一歩出た途端、
桜庭 円
に頭を撫でられ、
八神 修
に微笑みかけられ、
椿 美咲紀
に菓子を手渡され、――先に扉の向こうから帰還し待ち受けていた皆からの思わぬ歓迎を受けて、座敷童の少女は目を白黒させた。
共に出て来た
獅子島 市子
に背中をそっと押され、座敷童は廊下に出る。
「今晩は」
修から優しく挨拶を受け、座敷童は一度背後を振り返った。市子を見、
壬生 由貴奈
を見、着物の腹をぎゅっと握る。一生懸命に口を開く。
「こんばんわ」
「君の名前は?」
「こん」
「こん、皆で遊ぼうか」
差し伸べた手にこんが触れてくるのを待ってから、修はこんの小さな体を両腕で抱き上げる。
「そぉら捕まえた」
高く掲げてから、ぎゅっと抱きしめる。
幼い姿した妖が、この家を訪ねる人々を驚かせる理由を知りたかった。その上で、気持ちを理解して絆を結びたかった。
高い高いをされて、座敷童は楽しげな笑顔を見せる。けれど修がこんを廊下の床へ下ろすのを待って夕が前に立った瞬間、泣き出しそうに顔を歪めた。
反射的に後退るこんの傍ら、
天動 記士郎
が膝をつく。大きな掌で背中を支えられ、その場に立ち尽くさざるを得なくなるこんに向け、
「今晩は」
記士郎は穏やかに笑んだ。
「夕さん暴力はダメだよ」
「みんな仲良く! ですよ」
難しい顔で言葉に迷う夕と怯えるこんの間、円と
宮祀 智瑜
が割って入る。
「はい、握手」
智瑜はこんの小さな手をそっと取る。強張った表情の夕の手をぎゅっと握る。双方に宥めるような笑みを向け、握手を促す。
緊張したように身を固くするこんと目線を合わせ、智瑜はどこまでも優しく微笑んだ。
「拗ねてたのは近くに居るのに声かけてもらえなくて寂しかったんですよね?」
今にも逃げ出したそうなこんの頭を、円はもう一度そっと撫でる。
「よく、お話覚えてたね。やっぱり怖い話好きなの?」
百物語の会の時に聞いた円の話を扉の向こうに再構築した座敷童は、元となった話の語り主を黒い瞳に映す。
「すき。お姉ちゃんの話も、とても怖かった」
「こんちゃん、ボクは桜庭円。座敷童になったりここに住んでる経緯を聞いていいかな?」
「まどか。……こんは、気付いたらここにいた。ここにいたから、ここに住んでる」
「なんで、逃げずにここに居たいの?」
「ずっとずーっと、住んでたから。こん、ここしか無い」
俯く座敷童の背中を、記士郎は慰めるように擦る。
「でも、ここをずっと廃屋にしておくわけにはいかないのは、分かりますよね?」
「だめ?」
黒い瞳で真っ直ぐに見られ、記士郎は虚を突かれたように僅かにたじろいた。少し、悩む。
「……廃屋のままだと、いつかここは取り壊されてしまうかもしれません。でも、住んでいる人が居れば、もうここは廃屋でなくなります。これから先もここに住みたいのでしたら、住んでいる人に家のことは任せるようにしてみませんか」
「でも、」
智瑜を介して握手しようとして、未だできずにいる夕を見上げ、こんは首を横に振る。こわいの、と唇を尖らせる。
「夕さんも怖いお姉さんってだけじゃないよ。好きな人の為に頑張ったり、皆の為にお仕事してた人なんだ」
こんと同じように唇を尖らせ眉を寄せる夕に笑いかけてから、円はこんに夕と日暮がこの家に行き着いた経緯を、ここより他に行き場がないことを説明する。
「二人はね、たくさんの不思議な事と寄り添ってたんだ」
「ふしぎ?」
円の言葉を聞いて、寝子島の人々に百物語をねだったこともある座敷童の瞳が不意に輝く。
「うん。夕お姉さんと、日暮お兄さんに不思議な話を聞いてみたら?」
こんがもたげた視線と、夕が見下ろした視線が合わさる。ふたりはしばらく睨みあうように見つめ合って後、どちらからともなく躊躇いがちな握手を交わした。
握手を交わし、ぎこちない笑みを交わす二人の背後、慌てた様子で階段を登る足音が響く。
「あの、これでも食べながら、ちゃんとお話――」
階段口から顔を覗かせた
猫島 寝太郎
から両手に持ったプリンを差し出され、こんと夕はもう一度顔を見合わせた。そうして、ふたり同時に声をあげて笑う。
「ごはん炊けたでー」
階段の下から日暮の呑気な声がする。
「何もあらへんけど、みんな食べて行きー」
「一緒に行こう」
修に誘われ、こんは頷いた。手を繋いで階段を一段一段降りて行くふたりに続き、冬の夕暮れに突如として不思議な出来事に巻き込まれた人々はそれぞれに穏やかな笑みを、困ったような苦笑いを交わしつつ、階下へと向かう。
奥の広間には、日暮が大わらわで用意した炊き立てご飯と大鍋入りの味噌汁、大皿に山盛りの魚や烏賊の一夜干しや漬物、酒の一升瓶が数本、ありったけの菓子を山盛りにした皿等が、幾つも繋げて広くした卓の上に広げられていた。
「好きによそってんか」
「こんちゃん、一緒におむすび作ろうね!」
智瑜が手伝いを申し出て、こんや夕と共にお茶を淹れたりおむすびを握る準備をしたり、賑やかに楽し気に台所と広間を行き来し始める。
「ご縁を結べますように、って」
塩むすびを手早く作っては大皿に並べて行く智瑜の手際にこんが目を丸くする。悪戦苦闘するこんにおにぎりの味見をさせつつ、
「こんちゃんを、どうしたいですか」
智瑜は日暮と夕に訊いた。
「どう、て」
「ここで三人で暮らします」
迷う日暮の背中で束ねた髪を引き、夕が迷うことなく断言する。
櫃に移した米で、自分と負けず劣らず器用におにぎりを幾つも作って行く日暮を見遣り、智瑜は瞳を柔らかく細めた。
「うちと一緒で賑やかで楽しそうです」
あの黄昏の世界でも、日暮は色んな仕事をこなしていた。裁縫は苦手のようだったが、
(日暮さん器用だから働き口多そう)
「夕さんと一緒にうちの青果店で働きませんか?」
帰りにお持ち帰り可ですと言えば、夕と日暮は顔を輝かせた。聞けば、今は様々な日雇い仕事で食い繋いでいるらしい。
「座敷童ってその家に幸せを運ぶんですよね」
山のように握ったおにぎりを前に、智瑜は大満足の顔で頷く。
座敷のあちこちでくつろいだり話を交わしたりしている人々を見回し、夕を見、日暮を見、
「私はこうして呼ばれて嬉しかったですよ」
最後に掌についた米粒に口をつけているこんを見、こんの手を取る。卓の上にあった冷たいおしぼりでこんの小さな両手を拭いてやり、その手を包み込むように両手で握る。
「今日からお友達です!」
「ともだち!」
わあい、とこんは無邪気な歓声を上げた。
「元気そうで何よりだ」
皿に山盛りのおにぎりをひとつ手に取り、
御剣 刀
が日暮と夕に声を掛ける。いただきますと言いつつ、おにぎりの山の前に腰を据える。
「今のあなた達を見たらカンナもきっと喜ぶ」
刀の言葉に、日暮と夕は柔らかな視線を交わし合った。
「うん、やったらええな」
祈るように頷く日暮の横顔を見ながら、刀は神無き黄昏の町で神木と共に在る巫女を思う。巫女と共にあの町に暮らす人外の妖たちを思う。
(あいつ元気にしてるかな……)
今度、お三夜祭りの夜に黄昏の町と繋がったこともある三夜湖の畔の廃遊園地から、空へと語り掛けてみよう。もし思いがあの町へと伝われば、日暮たちの様子を伝えることが出来れば、彼女たちもきっと嬉しいだろう。
(そういえば)
日暮たちがこちら側に来る原因となったあの騒動の際、あの場から逃げた妖たちは今どうしているのだろう。
無事に自分たちの住む黄昏の町に戻っているかもしれない。
戻り損ねてこちら側に迷い込んでいる者ももしかしたら居るかもしれない。
(探してみよう)
おにぎりを食べながら、刀は寝子島のあちらこちらを思い浮かべる。彼らが迷うとしたらどの辺りだろう。
もしもこちら側で困っていたら力になろう、刀は心に決める。
集まった人々におにぎりや椀によそった味噌汁を智瑜と一緒に振る舞う夕とこんを安堵の瞳に眺めて後、ふらりと立ち上がる日暮を、
「一息つかないか?」
卓の端でお茶を飲んでいた修が手招いた。招かれるまま隣に座す日暮の前、修は新しいお茶を淹れて置く。あの蔵の前の長椅子の上から盆のまま持って来ようとした冷茶と西瓜は、こちら側に戻った途端、幻のように消えてしまった。
「こんも」
呼ばれて駆けて来たこんは修と日暮の間にぺたりと座り、日暮用のお茶を両手で包んで飲み始める。
不可思議な縁を得たこんと日暮と共、修は色んな話をする。この家で見たものや聞いたものの話、蔵の中に詰まっていた本の話。
「あの本は?」
「こんが書いた。いろはにほへと。なかなかむずかしい」
「あれだけ勉強したんだ、きっとすぐに上手くなる」
教えようかと笑う修と大きく頷き返すこんとに笑みを向ける日暮の隣、
音羽 紫鶴
が和装の膝で端座する。背筋を伸ばし、人々が談笑する座敷を見渡して、最後に日暮の穏やかな横顔に行き着く。
「幸せそうだ」
静かに微笑んで見せれば、日暮はあまり表情を知らぬ顔で、それでも困ったような嬉しいような笑顔を滲ませた。
「君は料理上手なんだね」
「ま、必要に駆られてや」
「僕は何を作っても失敗するから羨ましいよ」
「そうなん? 何なと器用そうやけどなあ」
意外そうに首を捻る傍ら、からかうように笑む。
「他のことは大抵できるけどね」
「ほれ見ィ」
憮然としてお茶を啜ろうとしてそのお茶をこんに取られたことを思い出し、日暮は仕方なしに自分でお茶を淹れる。ついでに紫鶴の分も淹れて差し出す。
「こっちの生活も慣れてきた?」
「まあ、ぼちぼち」
初めて住んだ家で座敷童に出くわし、いかにも困惑気味な日暮を横目に、紫鶴はくすりとまた笑う。
ここは寝子島。これからも一筋縄では到底いかないだろう。
「まぁ、いらないのかもしれないけど」
そう前置きして紫鶴は続ける。
「君が困ってるなら、助けに来るよ」
「……おおきに」
紫鶴を見、座敷に笑い声を響かせる寝子島の人々を見、日暮は堪えきれぬような嬉しい笑みを零した。
「ほんま、おおきに」
<< もどる
1
…
5
6
7
8
9
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
(元)廃屋での一幕、お届けにあがりました。
みなさまのお力を頂きまして、引き籠もりの座敷童は無事外に出てくることができるようになりました。これからは日暮と夕と座敷童のこんの三人、この古民家で暮らして行くこととなりそうです。
最後になりましたが、このお話では、
『寝子島百物語』
で語られたお話をふたつ、元ネタとして使わせて頂いております。ありがとうございました!
こちらの話とはあまり関わりはありませんが、もしよろしければ読んでみてください。どちらのお話も、座敷童の想いが混ざった今回の話とはまた違った、ほの寒いような怖いお話です。
それから、こちらも最後になってしまいましてごめんなさい。岡野丸美さん、ガイドへのご登場ありがとうございました!
ご参加くださいまして、読んでくださいまして、ありがとうございました。またお会い出来ましてとても嬉しかった!
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。
ありがとうございました!
……前回の百物語を綴ったときは、夜中に子供の電池式の玩具が誤作動で鳴り響いたり、事故(超軽いものです)したりしましたが、今回は何事もなくて一安心でした。
イヤまあ、なにごとも気の持ちようですよね! ね!
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
扉のその向こう
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年08月18日
参加申し込みの期限
2016年08月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年08月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!