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「暑っ……!」
扉を潜るなり全身を包んだ夏の空気に、
八神 修
は眼を瞠った。
「ここは常に夏なのかな?」
修よりも少し先を歩いていた
椿 美咲紀
が結い上げた黒髪を揺らして振り返り、悪戯っぽく笑う。
「不思議な光景です」
「そうだな」
頷き、修は竹林に囲まれた夏の花咲く庭を見回す。遠く響く轟音に空を仰げば大輪の花火、合間の静寂を縫って草叢に鳴く虫の声。
「懐かしい感じの風景だな」
蔵の前に置かれた長椅子やその上の盆の西瓜と冷茶を懐かしさに和めた瞳に映す。
「懐かしい、です?」
「小さい頃はアパートだったし、こういう庭の、……」
懐かしさに和む心のまま、美咲紀に話したことのない出生を口走りかけて、修は唇を引き結んだ。不思議そうに覗き込んでくる美咲紀に柔らかく微笑み返し、
「いや、うちの庭とは趣が違うよな」
首を横に振り、周囲に視線を巡らせて話を誤魔化す。花火の色に彩られる夜の庭に、座敷童らしい影は見つけられない。
(うっかりした)
幼い頃に八神家に引き取られたことは出来る限り伏せることにしている。子どもの頃から家と家の繋がりもある友人の美咲紀に、いらぬ心配を掛けたくはなかった。
「楽しそうな雰囲気ですよね」
花火の空を見上げ、蔵の前に咲き乱れる夏の花々を嬉しそうに眺め、美咲紀は跳ねる足取りでそう広くはない庭を回る。
この景色を創り上げた座敷童は、夏に楽しい思い出があるのだろうか。
(それとも楽しかった夏休みよ永遠に、とか)
そう思ってから、それは自分のことだとくすりと笑う。夏休みは終わって欲しくなかった。終わっていない宿題を見つけて頭を抱えたりもした。
(鳴いているのはエンマコオロギでしょうか)
夏の終わりの風景ばかりが浮かぶのはどうしてだろうと思い、耳に響く虫の声の種類に思い至った。この虫の声を、夏の終わりの夜によく聞いていた。
もしもお盆の頃であるのなら、ご先祖様達が帰ってきている可能性もあるのだろうか。
少なくとも、この場の季節がお盆の頃であるのならば。
ここを作り出した座敷童がそう考えるのならば。
(長期休みイコール夏休み、の図式が出来上がってきたのはここ百年余りの事ですよね)
蔵の百年を越えるだろう古さから鑑みて、
(夏イコール楽しい、なのかな?)
座敷童は、いつかの思い出の景色を再現しているのだろうか。
「うーん……」
ポニーテールをひょこひょこ揺らし、美咲紀は思案を続ける。
己の言葉を気にする余裕のなさそうな美咲紀の様子に安堵半分、修は自戒しつつ改めてぐるりを見回す。そうして視界の端、長椅子に腰掛けて空を仰ぐ柔らかな雰囲気の女性を捉えた。
修はそっと息を吐き出すように頬を緩める。
この島では、時折こういう事象が起こる。
(会いたかった)
話しかければ、女性は――亡母は、きっと生前のように話をしてくれるだろう。けれど、今は。
「こんにちは、蔵に入らせてもらっていいですか」
人見知りしない美咲紀が、彼女を修の実母とも知らずいつものように明るい声音で挨拶をする。母も何を語ることもなくおっとりと美咲紀に頷き返す。
「今、座敷童を探しているんです」
(俺は元気にやってますよ)
母を母とは呼ばず、言外にそれだけを伝え、修は蔵に入る美咲紀の後に続いた。
(後で)
後で、母の傍らにあった西瓜と冷茶を盆ごと持ち帰らせてもらおうと思う。扉の外に出ても、こちら側の物品は同じに存在するのか、それが気になった。ここは、現実に存在する場所なのだろうか。
ランプの光が揺れる蔵の最奥、文机の前に立っていた智瑜が、入って来たふたりにふわりと笑いかける。その胸に一冊の本が抱えられているのを眼にして、美咲紀は人懐っこく智瑜へと近づいた。
挨拶を交わし、智瑜の抱える書物を示す。
「ここの本の事を教えて貰ってもいいですか」
問いながら、美咲紀は文机の上に呑みかけのお酒を見つける。これほど大量の書籍があるのならば、ここを管理する司書のようなナニカが居るのかもしれない。
(今は見当たりませんね……)
「私もついさっき来ただけなのですが」
智瑜が言い、本を開いて見せる。古びた書物の頁を埋める子どもの落書きのような拙い文字を眼にして、美咲紀は不思議そうに瞬いた。
「他の本も同じだな」
蔵の中に積み上げられた本の一冊を手に捲り、修が首を捻る。
「こんなに沢山本があるんです、ここのいわれを記した物とか」
「……見る限り、なさそうだ」
手当たり次第に本を開き凄まじい勢いで目を通しながら、修が首を横に振る。
「どれもこれも、いろは歌か落書きばかりだな」
記述内容からどの位前の蔵書からあると読み取れさえすれば、蔵の古さの目安になるか解るだろうと考えていた美咲紀は小さく肩を落とす。
座敷童の姿も見えない。
「別の扉の向こうに居るのでしょうか……」
古びた書物に書かれた子どもの手習いを眺め、智瑜はくすり、微笑んだ。
「寂しくて悪戯とかしているかもなの」
美咲紀は空っぽの蔵を見遣る。自分で創り上げたこの夏の庭で、座敷童はひとりで遊んでいたのだろうか。山のような紙束に落書きしたり文字を書いたりしていたのだろうか。
「友達になりたいです」
「ああ、……そうだな」
いろは歌ばかりが書き連ねられた本を本の山に戻し、修はそっと頷く。
「独りは辛いからな」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年08月18日
参加申し込みの期限
2016年08月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年08月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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