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MFS! ~あるいは全ての表現者に捧ぐ、夜半過ぎのTVショウ
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「…………俺は、さ」
「正直に言って、俺は彼女が、いつかどこかで気付くものだと。そう思ってたんだよ。だって……そうだろう? 名前も知らない、顔も知らない、ラジオから聞こえるうさんくさい声だけを信じて、あの子は……」
「愚直に……愚鈍なまでに。信じたんだ。ただひたすらに、あの子は」
「そんなものにでも、縋るしかなかったのかもしれないがね。何せ、不器用なんだよ。ヘタクソなんだ、生きるのがさ。あの子が中学校に上がった頃の話はしたことがあったかい? 毎日毎日、学校から帰って来ちゃあラジオの前で泣いてね、俺は散々愚痴を聞いてやって、慰めて……」
「…………そのうち俺には、良く分からなくなっちまった。そんなのがあの子にとって、正しいことなのか。間違ってるのか。このままでいいのか、悪いのか」
「だって、なあ。友だちでもなく、先生でもなく……家族でもなく……ラジオから聞こえる、こんな声にだぜ?」
「だから……さ。任せることにするよ。君たちに。それがどんな形であれ、俺は……」
「……………………」
「いや。あー、うん。ま、なんだな、つまらないことを言ったなこりゃ。お前さんたちはただ、番組を楽しんでくれればそれでいいさ。気楽にね」
『可憐! 胡乱路秘子デビューライブ!』(1)
きらびやかなドレスに身を包んだ彼女は、機嫌良くふたりを出迎えました。
「あら、いらっしゃいませエメリヤノフさん、恵御納さん! もうすぐ出番なのですけれど、少し時間はありますから。さ、入って下さいな、んふふっ♪」
いつになく。ふたりのみならず、きっと誰も見たことがないくらいに、
胡乱路 秘子
は浮かれて、足取りは弾んで。ともすれば、これまでに彼女がかもし出してきた怪しげでミステリアスな雰囲気など、演ずるのもすっかり忘れて、どこかへ行ってしまいそうなほどに。
ふたりはちらと、一瞬目線を交わして、
「……邪魔するよ、胡乱路。その衣装、似合ってるよ」
ロベルト・エメリヤノフ
は微笑みながら、静かに。
「お邪魔します……」
恵御納 夏朝
は黒猫の
おはぎ
を腕に抱きながら、控え室へと足を踏み入れます。
いつかの
ゲーム
で見たような、どこかのテレビ局にでもありそうな、見た目には何の変哲もない控え室。少し手狭で、雑然としていて。テーブルの上にはお菓子に雑誌、テレビのリモコン。部屋の中は照明が絞られてやや薄暗く、壁掛けのスクリーンの中では、かたかたというかすかな音とともに、モノクロの無声映画が映し出されています。
夏朝は、白黒映像の中で賑やかに立ち回る俳優が、まさしく隣にいる彼に似ていることに気付いて、
「あれ? これ、ロベルト先輩じゃ」
「ああ、
あの時
の映画だね。あはは、僕って、こんな風に映ってたんだね」
「んふふ! 本番前で、わたくし、いつもより少し緊張してしまいまして……皆さんの楽しい映像を拝見して、リラックスしていたんです」
美少年の右ストレートが炸裂、派手に吹き飛ばされるロベルト。その後に出会った美しい兄弟との、賑やかで楽しく、和やかな触れ合い。
白黒映画の中よりも、いくぶん穏やかな笑みを浮かべて。ロベルトは、
「あの時の美少年たちは、素晴らしかったね。楽しかったよ。でも……僕は美少年と同じくらい、友だちのことだって、大切に思ってるんだよ」
「ともだち」
秘子がぱちくりと目をしばたかせて、そんな響きを反芻するのを、夏朝は見つめて。やがて、そっと目を伏せて。
「だから……言うよ。友だちだから」
確かに言うとおり、浮かれながらもどこか固くなっているらしい、そうして目前にした夢への期待感ですっかり舞い上がっているらしい、彼女へ。
ロベルトは真っ直ぐにその揺れる瞳を見据えて、きっぱりと。
告げました。
「胡乱路。今日のライブは、中止してくれないかな」
「……………………えっ?」
夏朝がリモコンを手にしてボタンを押すと、スクリーンへ現れる映像。
彼女にとっては馴染み深いはずの暗い部屋や、芝居がかって語る、あの男の姿
。
「胡乱路は、ジョニーさん……新出府 譲について、何か知っている? 彼から、何か聞いているかい」
「にいでっぷ、さん? ですか?」
「『MFS!』のプロデューサー。ディレクター。そう名乗ってるよ、彼は」
ロベルトの言葉に、少なからず、心当たりはあったのかもしれません。秘子はついと目を逸らして、
「……わたくし……プロデューサーさんのお名前、知らないんです。お顔も、拝見したことが。いつも……その。ラジオから聞こえる声で……わたくしは、その指示に従うばかりで、でもそれはいつだって正しくて、だからわたくしは今、ここまで来ることができて」
それでも彼女は、信じていたのでしょう。夢を叶える、彼女にとってあまりも遠い願いのために、そうするのは自然なことだったのでしょう。どんなに奇怪であっても、少なくとも、彼女にとっては。
「君のデビューは……僕らみんなのフツウを、壊してしまう」
ロベルトと夏朝が代わる代わる、彼女のデビュー・ライブが何を引き起こすのか、寝子島のフツウにどんな影響をもたらすのか。こんこんと、真摯に語って聞かせるのに、秘子は黙したまま、じっと耳を傾けていました。いつも絶やさない笑みを、かすかに陰らせながらに。
「ねえ、胡乱路。君の夢は本当に、今、急いで叶えなきゃいけないものかな?」
黙り込んでしまった秘子の傍らへそっと腰を下ろし、ロベルトは、あくまで静かに語りかけます。
当然にして、ロベルトは彼女の夢を壊してしまいたいわけではなく、むしろ真っ当な実現を願ってのことです。友だち。それは心よりの言葉であり、どこか自分と近しい絶望を心の深淵に抱く彼女を大切な存在として想っているのは、紛れもない事実なのです。
「確かに今日、デビューすることはできるかもしれない。でも今夜がダメになったら、何もかもおしまい? 僕は、そんなことはないと思う」
「……でも、わたくしは……わたくしには、きっと、それほどの才能は。分かるんです。これは、チャンスだって……だから、わたくしは」
ストーリーテラーとしての饒舌な語り口は鳴りを潜めて、ぽつりぽつり、言葉を漏らす秘子へ。ロベルトはうなずいて、
「僕も、絵の才能は全然ないけど……それでも先生や友だち、みんなのおかげで、ここまで頑張ってこれたんだ。ずいぶん上達したと思う……だから胡乱路だって、これからいくらでも伸びるよ。それに寝子島には、胡乱路の夢を助けて、支えてくれる人がいる。僕や恵御納だって、できる限り手伝うよ」
「うん。胡乱路先輩」
言葉少なな夏朝の想いもまた、ロベルトと同じ。彼女はフツウを守り、秘子も、それにあの新出府までも、同時に救おうとしているのです。
夏朝は少し眉を寄せて、黒猫の毛並みを何とはなしに撫でつけて、
「僕は……先輩に、みんなと一緒に生きてほしい」
「皆さん、と?」
「日の当たる場所で。フツウの中で……みんなと一緒に。そして僕は、先輩の歌を直に聞いて、心からの拍手を贈りたいんだ」
語りながらに夏朝は、気付きました。恐らくはロベルトも。いつも飄々と、現実味の無い存在であった彼女の表情に、どこかおぼつかない……やけに人間臭い、戸惑いの色が浮かび始めていることに。
常に絶やさない笑みはそのままに、どこか困ったように眉を下げて。
「でも……でも、わたくしは」
「ねえ、胡乱路」
す、とロベルトは優しく、彼女の肩へ手を添えて。
「胡乱路になら、きっとこれから、沢山のファンが出来るよ! サインを書く手が疲れるくらいにね。曖昧でフツウじゃない番組なんかじゃなくて、現実の寝子島で。必ず……だから、改めて言うよ。今日のライブは、中止にしてほしいんだ……胡乱路自身のためにも」
スクリーンには、モノクロ無声映画。どこかわびしいBGMと沈黙が、部屋中を埋め尽くして。
しばし彼女は、言葉を継げずにいました。膝を抱えて座り込み、じっとスクリーンを見つめて。口を開いては閉じ、何か言いかけては飲みこんで。
「わたくしは……」
ロベルトも夏朝も、彼女にとって抱く夢がどれほどに重いものであるのか、理解しているつもりです。幾度も番組を通じて、彼女との触れ合いを通じて、それを知ってきました。
そして秘子も、ふたりの思いをきっと、理解していたことでしょう。ともだち。その響きに餓えた彼女だからこそ、きっと。並みならぬ葛藤が、胸を支配していたことでしょう。
それでも。
「…………それでも……わたくしは」
前触れなく、す、と彼女は立ち上がると、
「……わたし、は……!」
「っ、胡乱路先輩!!」
「胡乱路……!!」
止める間も無く、部屋の外へ駆け出していきました。優しい彼らへ背を向けて、逃げるように。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
81人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月23日
参加申し込みの期限
2016年07月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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