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【星幽塔】第三階層 鳥籠には少年の欠片
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「おー」
農地のほぼ真ん中に位置する窪地を眼鏡越しの灰の瞳に映し、
呉井 陽太
は金髪の頭をこくりと傾げる。つと伸ばした指先に示すのは、窪地から何本となく農地へと伸びる石造の水路。
「池から水路が引かれてたみたいだけど、」
「これが池?」
陽太の言葉を遮り、
握 利平
が鋭い瞳を歪める。
「コレ池だよなぁ?」
陽太の隣から池を覗き込み、
楢木 春彦
が難し気に栗色の頭を傾げる。
「水ドコいっちまった」
「水がねーじゃねーか」
同時に言い合う一学年下の春彦と利平を見遣り、陽太は渇き切った池の縁にしゃがみこむ
志波 武道
に視線を移す。伏せた横顔が、どこか辛そうに見えるのは、雲一つない青空から眩しく降り注ぐ光の加減のせいなのだろうか。
「武道君」
「はいはーい」
呼びかければいつも通りの明るい返事と笑顔が返ってはくる。それでも、ふと涸れた池へと戻した黒い瞳はひどく沈んで見えた。
「つかこの世界ドコもかしこも枯れまくってんな」
「んー、……」
貯水池を取り巻く畑を、育成途中で枯れ果てた作物を見回して春彦の言葉に、武道が小さく頷く。袖のない衣装から覗く筋肉質な腕の左側に着けた鮮やかな朱金色の腕輪が空の光をちらりと反射させた。
涸れた景色に堪えた様子を覗かせつつ、それを隠す武道の横顔にほんの僅か笑みかけてから、陽太は繊細そうな指先で一滴の水も失われた涸れた池の真ん中を示す。そこには、池に水が満ちていた頃は水没していたと思われる石の祠。
「今は止まってて、そのおかげで祠に入れるよぅって状態かー」
陽太の示す先を確かめてから、利平は少し考えて腕を組む。
「あの祠も怪しいけど、とりあえず池一周してくるっす」
「ハーイ、俺も俺も。一緒に行くよ!」
言うなり駆け出す利平を、武道が明るい声音で言いつつ追いかける。
「っと、じゃその間に」
軽いランニングの足取りで駆けて行く体育会系ふたりを眺めて後、もう一人の体育会系な春彦は左耳のピアスを二度撫でてろっこんを発動させた。池の縁から底まで続く、春彦にだけ見える空気の足場をひとつ、またひとつと作りながら、跳ねるように池の底へと降りて行く。
「おー、じゃあオレもー」
「気をつけろよー」
「はーい」
真剣な面持ちで振り返る春彦にへらりと笑って返し、陽太はポケットから自作の樹脂粘土細工を幾つか掌に取り出す。指先でつつけば、ろっこんの力を得た粘土の動物ひとつひとつが動き出した。陽太の意思を得て、粘土細工たちは陽太の掌から飛び降りる。
粘土細工が目印に立つ見えない足場をそっと足で踏んだ時、
「さて、祠だな」
「周りには特に気になるものはなかったな」
貯水池一周を終えた利平と武道が駆け足を緩めることなく戻って来た。
「お帰りー」
池の底にいた春彦が手を振る。身軽な足取りで祠の隣から足場を辿って池の縁近くまで戻り、一段一段を示しつつもう一度池の底へと下りてみせる。
「ココから行けるぜ」
「ここに足場があるからねぃ」
春彦の後に続きながら、陽太が粘土細工たちを使って教えてくれる見えない足場を辿り、利平と武道も池の底と下りた。
池の底、蔦と水を象った紋様の彫り込まれた祠の前に立つ。
「祠なら何か重要なものが祀られてそうだし、中に行ってみよ」
陽太の提案に、皆が頷いた。両開きの石扉の前に立ち、外側に向かって開いた石扉から中を窺う。
「暗いな。松明とか持ってりゃ……」
「オレ、携帯用の灯り持ってるよー」
祠内の暗闇にぼやく利平の背後で、陽太がサジタリオの町で買った携帯用の灯りを取り出す。
「呉井、火は持ってるか」
得意げに胸を張る陽太の隣、戦士の衣装と剣を身に着けた春彦が問う。首を傾げて後、肩を落とす陽太の肩を叩き、春彦は魔火の光が変化した大剣の柄に手をかけた。背に負った大剣を抜き放てば、不思議な形状持つ剣にふわりと炎が纏わりつく。
「コレも明かり代わりになるかな?」
陽太の携帯用の灯りに火を分けてやりつつ、春彦は炎纏わせた剣を祠内部へと差し込んだ。
「ここにあのガキ居んのかな」
「欠片? だっけか。どういう形で存在してるんだろうな」
春彦が示した光の道に、利平と武道が踏み込んだ。ひとが二三人並んで歩けるほどの石造りの通路には光の一筋もなく、ひんやりとした空気に満ちている。
携帯用の灯りを持った陽太が先を行くふたりと並び、そっと追い越す。通路の出口を照らし、光を透かして見た向こうには、どうやら広間があるらしかった。
陽太の持つ灯りと春彦の持つ炎の光を頼りに、通路の奥を窺う。
「ん?」
「なんか石の柱っぽいのがあるぜ」
陽太が首を傾げ、利平が瞳に力をこめる。
円形に広がる広間の央、ひとひとりほどの高さ胴回りを持つ石柱のようなものが、武骨な台座に押し込まれるようにして立っている。
「石柱だよねぃ」
「……あれが水をふさいでいるのか?」
陽太がかざす光の下、武道が石柱に近づく。近づいて、気づいた。
(そもそもこの石柱どうやって水ふさいだんだ)
水の噴出口らしい台座を間近に確かめようと顔を近づけて、
「ってナニカいる! 中に何かが!」
武道は咄嗟に跳び退った。伊達眼鏡の奥の栗色の瞳を瞠り、攻防一体の武器であるトンファーを装備した腕を構える。
曇り硝子のように僅かに透ける石柱の中、小さなものから大きなものまで、虫とも何とも判別つかぬナニカが確かにいる。
「なんかうようよしてるぞ?」
「変なモンじゃねぇだろうなぁ?」
利平と春彦がまるきり悪童の顔で興味津々、石柱に顔を近づける。恐れげもなく半透明の石柱の面に顔を近づけ、中に蠢くナニカが何なのか確かめようとする。
途端、ばん、と石柱の内側から小さな掌が幾つも叩きつけられた。同時に、たくさんの声がざわざわと石柱の中から響き始める。
「あ。そういえば」
石柱に浮き出た小さな掌に金髪を逆立てる勢いで声を失っていた陽太が、不意に声をあげた。
「おっ呉井さん、心当たりありっすか」
「もしや妖精さんがこの中にいたりして?」
利平に問われ、陽太は頷く。
サジタリオの酒場の噂には、たくさんの妖精たちが働いているのだと聞いた。それなのに、ここに来るまでただの一人としてその姿を見ていない。
例えば、彼らが何らかの不思議な力によって、ここに水と共に封じられているとすれば。
(中から出してから動かした方が良いかよく調べよー)
小さすぎる上に石柱内に反響して余計に聞き辛い声を、それでもきちんと聞き取ろうとする仲間たちを真っ直ぐに見つめながら、武道はいつ何時中のナニカが万一襲ってきたり、石柱の中から何の苦も無く抜け出すなり一目散に逃げだしたりする可能性を考える。
(警戒はしておこう)
不測の事態があればすぐさまろっこんを放ち、ナニカの動きを麻痺させて封じることができるよう、仲間を守ることが出来るよう、武道は警戒態勢をとる。
傍らで油断なく眼を光らせてくれる武道を確かめてから、陽太は石柱にそっと掌を触れさせてみる。
途端、ピシリ、と柱にひびが入った。
「え、うわわっ?」
触れた箇所とは別の、柱の天辺に走る亀裂に驚き、慌てて手を離す陽太に反して、石柱の中に封じられたナニカたちは歓喜の声をあげる。
『リアのひとりが助けられた』
先程よりも聞き取りやすくなった石柱の内側からの声に、陽太は驚いたことも忘れて耳を寄せる。ピシリ、また別の個所、今度は右上の辺りが割れた。
『またリアが助け出されたよ』
『封印が弱まる、僕らを閉じ込めたあの子の力が破かれていく』
『ここから出なきゃ。大地を、僕らの土地を潤さなくちゃ』
『作物たちを元気にしなきゃ』
「リア? リアってあのガキのことか?」
ナニカたちの声に耳を澄ませていた利平が石柱に顔を寄せる。
『そう、今は心身を分かたれし私たちの主、アクエリアスのリア』
「ここには居ないのか、そいつの欠片」
『此処には居ない』
利平の言葉に応じるナニカたちの言葉を聞きながら、春彦は炎を灯した剣を床に一度置く。彼らに警戒与えぬよう、できれば背の鞘に仕舞いたかったが、それをするにはここは暗すぎる。
「封印、って言ったよな? オマエらは何でこんな目に遭ってるんだ」
『リアを分けたあの子は、アステリズムの力持つあの子を封印の媒介とし、私達を、大地潤す水を六芒の央に閉ざした』
「……あの子?」
『リアを慕う妖精のひとり。リアを愛しく想うが故に、リアの愛を欲した可哀想な可愛い子。……けれど、一体誰があの子をあんな……』
春彦の言葉に応じる歌うようなナニカの声を耳にして、陽太は意を決する。柱の央を手の甲で軽く叩く。
「こんにちはー入ってますかー?」
『いっぱい入ってるよー』
『ここから出してー!』
春彦が掲げる炎の剣の光をゆらゆらと反射する半透明な石柱の内側から、大勢の声が溢れ出した。
「妖精さん?」
陽太が問いかけ、応じるようにまた新しい亀裂が走る。
『もうすぐもうすぐ! ねえ、柱を動かして! 僕らも中から頑張るから! そうすればきっと!』
歓喜まじりのナニカの声に、陽太たちは顔を見合わせる。
「動かした途端、水がドッパーン! キャー! 溺れちゃうー! ってなるかも」
真に迫る演技を陽太が見せつつ、周囲を囲む石壁と天井を塞ぐ頑強な一枚岩を見回す。石柱の下から水が噴出した場合、水はあっと言う間にこの広間を埋め尽くし、通路を通って外に流れ出すのだろうか。
「慎重にいこう」
『早く早く!』
急かすナニカたちに、武道が誰も彼もを安心させるような、太陽のように明るい笑顔を向ける。
「ハハハこう見えて皆強いんだぜぃ」
だから、と栗色の瞳にどこまでも真摯な光を灯す。
「必ず助けるよ……!」
「オマエらもちゃんと解放してやるから」
武道の傍ら、春彦が力強く頷く。
「俺達のコト信用してくれっと嬉しいぜ」
色鮮やかな若草のように微笑み、春彦はぐるりを見遣る。拾い上げた剣の光を掲げつつ、ピアスに触れてろっこんを発動させ、石柱の周囲に水が噴き出した時の逃走用の空気製の足場を作り始める。
年下の友人が作り出した見えない足場の目印にと、陽太がポケットに戻っていた粘土細工たちを手伝いに放つ。
「そことそこなー」
「はーい、ニャッタ君はそこねー、ドリー氏はそのちょこっと高いとこお願いですよぅ」
陽太のろっこんで動く人形たちを誘導して足場の目印となってもらい、春彦は石柱を動かすべく腕まくりをしたり準備運動をしたりしている利平と武道を見遣る。
「これ、アレっすよね」
「んー?」
「抜いたら水が出るパターンっすよね」
「だねー」
傍らで準備運動に余念のない武道を見遣り、利平は石天井に覆われて見えない空を仰ぐ。
「あー……よっしゃ先輩、先にどうぞっす」
不思議そうに眼鏡の奥の瞳を瞬かせる武道に、利平は祠の外へと続く通路を示す。
「動かしたら泳いで出るから、大丈夫っす! 漁師の息子が、溺れる訳ないじゃねーすか」
「だが断る」
先に行けとの利平の申し出を華麗に断り、武道は煌く星のひとつふたつは閃きそうないい笑顔をする。
「ダイジョーブ、俺も水泳部だし。いざとなったら春彦くんの足場もあるし」
ね、とあっけらかんと笑ってみせる先輩としばらく視線を交わして後、利平はこくり、頭を下げるように頷いた。武道が差し出した拳に拳をぶつけ、
「行こうか」
「っす!」
互いに鼓舞し合う肉体派な武道と利平の足元、陽太は携帯用の灯りを置く。
「もしも危険があるようならすぐ逃げてくれな」
「お願いしまっす」
石柱の移動を二人に任せ、春彦と陽太は通路を戻った。
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3人まで
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冒険
SF・ファンタジー
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定員
20人
参加キャラクター数
22人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月26日
参加申し込みの期限
2016年08月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年08月02日 11時00分
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