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【星幽塔】第三階層 鳥籠には少年の欠片
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石畳の路の半ばで足を止める。
「すごい、ですね……」
「そうだな、御巫さん」
背後で
御巫 時子
が零した呟きに、
鴻上 彰尋
は肩越しに振り返って頷く。
左右の道を挟むのは、カラカラに枯れて項垂れる向日葵。
鮮やかな紅色衣装纏うた時子の背後には道の果てまでも続くかのような向日葵畑、向き直って前へと向けた視線の先の先までも埋めて向日葵畑。どこまでも続くかのように見える茶色く枯れた景色に、彰尋はそれでも注意深い視線を向け続ける。
「向日葵がいっぱいです」
道の少し先を飛び跳ねるように足取りで進んでいた
椿 美咲紀
が、制服の上に羽織った白い外套の裾をくるりと回して振り向いた。星幽塔で偶然同行することとなったクラスメイトの女子にも、彰尋は頷き返す。
「きっと綺麗だったでしょうね」
言いつつ、美咲紀は白翼を象った先端の片手杖をひらりと振る。白翼に巻き付く葉蔦のかたちした装飾が、魔風の光と同じ深緑の色して揺れた。
「ついふらふらっと来ちゃいましたが……枯れてても立派な向日葵ですね。小柄な人だと隠れちゃうよね」
美咲紀は自分の頭よりも高い位置にある向日葵の花に手を伸ばし、萎びた花びらに触れる。悼むように黒い瞳に睫毛の影を落とし、そのすぐ後には悲しみを振り払うようにその場で跳ねる。くるり、バトンを回すように片手杖を掌に回せば、先端の翼に一瞬深緑の光が閃き走った。
まるで風精が現れたかのように美咲紀の周囲に旋風が生まれ、美咲紀の動作に合わせて乾いた空へと舞い上がる。
向日葵畑の空を駆ける風たちが美咲紀たちの立つ場所へと届けるのは、
「……笑い声?」
美咲紀に倣い耳を澄ませていた彰尋が首を傾げる。屋敷の前に立っていた少年の悲しげなものとは正反対の楽しげな声ではあるが、
「少年の声、ですね」
風を操りながら、美咲紀が確信を得たように頷く。
(喜びとか……楽しみとか、そんな感じかな?)
でも、と彰尋は耳に神経を集中させる。
(一人で楽しそう……?)
美咲紀の魔法が拾い集めてくれる声は、一人きりのものなのだろうか。
「畑の中を走って、何かを追いかけてるのでしょうか……?」
時子が柔和な眉をひそめて呟き、
「獣の唸り声が混ざっているような……?」
美咲紀の言葉に、時子は息を呑む。
「まさか黒狼さんと追いかけっこ?」
「その可能性もあるだろう。捕まえるにしても用心しないとな」
耳を澄ませているうち、少年のものとは違う、幼い少女の声も聞いた気がして、彰尋は息を吐いた。
(もう一人いるかもだけど……)
となれば、最悪、狼に追い回されているのは二人ということになる。
「獣が来ると怖いのです」
美咲紀が片手杖をきつく握りしめる。その怖いものに追い回されているかもしれない少年たちは、どうしてあんなに楽しそうなのだろう。
(もしかして、獣の存在に気付いていない?)
迫る危険に気付かぬほどに、遊びに夢中になっているということなのだろうか。
美咲紀は片手杖を頭上に振り上げる。風を操り、声が聞こえる方角を見定め、
「あちらなのです!」
片手杖を振り下ろせば一陣の風が向日葵を掻き分け、僅かの間、葉群に道を作りだした。
美咲紀が作り出した道を瞳に捉え、彰尋は向日葵畑に飛び込む。
枯れて細い木のようになった向日葵を掻き分けながら、ふと思い出したのはいつも元気な弟達が駆けまわる後ろ姿。
片時もじっとしていない弟達を追い回し捕まえる日々が、
(……こんなところで役に立つなんてな)
向日葵の群生に視線を走らせる彰尋の頭上を、一羽の雀が小さな翼を広げて翔ける。
「音はこちらから聞こえますよー」
美咲紀が向日葵をそっと分けながら片手杖で示す方向へと、彰尋は急ぎ足に進み始める。
(追いかけっこ、ですね)
美咲紀と彰尋を眼下に捉え、ろっこんで雀の姿へと変化した時子は思う。
(私が鬼です)
少年が狼に追われていませんように、と願う。
チチ、と雀の鳴き声を零しつつ、時子は枯れた向日葵畑を飛ぶ。乾いた空を見晴らして、己以外に飛ぶ鳥の姿がないことを確かめる。見止められたのは、極く僅かな数の蜜蜂ばかり。その蜜蜂も、飛んでいるのは向日葵畑の上ではなく、少し離れた果樹園や野薔薇の咲く畑の辺り。
(鳥さんが飛んでたら)
ろっこんを使い、少年について話を聞くつもりだった。話を聞く相手を見つけられないのならば、己の力と、それから地上を行く二人の力で見つけるまで。
ありがたいことに美咲紀の操る風は、小さな雀の姿した己の耳にも少年の声を拾い上げて届け続けてくれている。
少年の声がする方向を確かめ、上空から向日葵が風ではないナニカに不自然に揺れる箇所を確かめる。
向日葵の揺れと少年の声は、向日葵畑の一角で繰り返し大きな円を描いている。少年の足取りをしばらく観察して後、時子は翼をはためかせた。
背の高い向日葵の間を縫うように飛び、枯れた花の上で翼を休める。彰尋と美咲紀を待ち構えてから、向日葵の群生の一点で待ち構えるかたちに先導し、ぴょんと向日葵の中に飛び込む。葉群を掠めて飛び、翼を広げて急制動を掛け、
チチ、と鳴いて止まったのは、駆けまわる少年の肩。
「わ、」
麦藁色の髪した少年が歓声をあげるのと、
「うわっ?!」
「きゃあ、捕まったのなのー!」
数歩分だけ離れた場所から彰尋の声と幼い少女の声が聞こえるのは、ほぼ同時。
「あれ? あれれ? あ、でも女の子の声もしてましたね」
「やっぱり君も居たのか、ステラ」
片手で向日葵を掻き分ける彰尋のもう片手に抱えられ、楽し気にキャッキャと笑う蜂蜜色した瞳の幼い少女を目にするなり、時子は少年の肩から飛び降り、ふわり、ひとの姿に戻った。
「こんにちわなのー!」
「ええ、今日は」
空色ワンピースの裾を揺らし、柔らかそうな腕を上げて元気よく挨拶するステラに、時子は穏やかに返事をする。
「友達?」
「ともだちなの!」
麦藁色の髪と眼の少年が問うのに力一杯頷くステラの傍、
「動かないでください!」
美咲紀が不意に鋭い声を上げ、片手杖を振り上げた。先端の翼に魔風の光が閃く。素早く振り下ろすと同時、渦巻く風が彰尋のマントを翻し、時子の黒髪をなびかせ勢いよく過ぎた。
淡い翠色さえ帯びた風の奔流が、数十本もの向日葵を押しのけ、――向日葵の根元に潜み飛びかかる機会を窺っていた狼の身を大地から引き剥がす。向日葵よりも高く突き上げ、突き落とす。地面に落ちた狼を唸る暴風で追い立て、少年やステラの傍に近づけぬよう追い払う。
「これで大丈夫です!」
元気よく皆に笑いかけながら、美咲紀は胸の内に安堵する。
(血を流さずに済みました、よね……?)
枯れているとは言え、大好きな植物の根に血を吸わせたくはなかった。それに、血の匂いが漂えば、他の狼を呼び寄せてしまうかもしれない。
「怪我はないですか?」
「しているなら治せるけど、……大丈夫かな」
美咲紀と彰尋が問いつつ、美咲紀がステラを、彰尋が少年の身を確かめる。二人に怪我ひとつないことを確かめてから、美咲紀はもしもの時のろっこん用に持っていた花を仕舞い、少年に向き合ってにっこり、人懐こい笑みを浮かべた。
「私達、あなたに頼まれてあなたを探していたの」
「君を待ってる君がいる」
きょとんとする少年の前に膝をつき、彰尋がその麦藁色の瞳を覗き込む。
「一緒に来て欲しいのだけれど、いいですかぁ?」
言いつつ、美咲紀が差し出した掌には、一粒のキャンディ。
「甘くておいしいですよ」
あなたもどうぞ、と小さな手に同じ飴を握らされ、ステラは顔中で笑った。
「遊び足りないならあとで俺と一緒に遊ぼうか」
「ふたりで追いかけっこをしていたのですか?」
なだめるように彰尋に言われ、柔らかな口調で時子に問われ、少年はこくりと大きく頷く。
「楽しくて楽しくて、ずっと遊んでいたかったけど。……そういうわけにもいかないね」
大人びた呟きを零してどこか寂しげな風情の少年の手を、時子は優しく握った。おんぶしましょうか、と笑みかけられもして、少年は慌てた様子で首を横に振る。
「屋敷まで、襲うモノが居たら私たちが護ります」
「うん、一緒に行こうな」
「行きましょうです!」
三人にそれぞれに声を掛けられ、少年はありがとうと頭を下げた。
乾いた風にそよぐ少年の髪を眺めながら、時子はちらりと願う。
(少年が一つになっても)
別たれていた時に、こうして手を繋いだ記憶は残っていて欲しい。
「じゃあ、こっちこっち」
少年が時子の手を引いた。道に沿って行くよりも、枯れた向日葵畑を渡り道を一本過ったその先の玉蜀黍畑を横切った方が屋敷へは近いらしい。
「ここも枯れてますね……」
背丈よりも高く空を伸ばして実をつけながらも立ち枯れた玉蜀黍畑を前に、哀しく眼を伏せる美咲紀の手をステラがそっと握る。
「ありがとです」
微笑む美咲紀ににっこりと笑みを返すステラのもう片方の手に、時子は握っていた少年の手をそっと託した。お願いしますと丁寧に頭を下げる時子に、ステラは任せてなの、と力強く請け負う。
「様子を見て来ます」
仲間に言うなり、時子は広がる玉蜀黍畑へと分け入った。
「少しだけ待っていてください」
「俺も――」
追いかけようとした彰尋が見たのは、枯れた玉蜀黍の群生から、ひらり空へと舞い上がる雀の姿。
雲一つなく晴れ渡る空から鳥の眼で見下ろしても、見えるのはどこまでも広がる枯野ばかり。
風が渡る灰茶色の玉蜀黍畑の半ば、ぽっかりと丸く開いた場所を見つけて空から窺えば、そこには薙ぎ倒した玉蜀黍を下敷きに伏せる黒い狼の姿。視線を進めた先には屋敷、戻せば石畳の道に待つ仲間たち。
(いけません)
そこは、少年とステラを連れた仲間が遠からず通る道の途。
(……露払いを)
小さな雀の翼を羽ばたかせ、時子は急降下する。落ちるように黒狼の目前へと降り立ち、地面に足をつけた瞬間、ひとの姿へと戻る。
ふわり、結うた黒髪が白いうなじに跳ねた。
不意を突かれて跳ね起きる黒狼に向け、
時子は手にした星の光の変化した扇子を開き、舞うように翻す。火の粉が弾け、鳥の形した炎が生まれた。熱を撒く炎の鳥の翼が枯れた玉蜀黍に触れぬように操り、一直線に黒狼へと放つ。
寝起きを炎の鳥に驚かされ、黒狼は戦意を抱く間もなく尻尾を巻いた。一目散に玉蜀黍畑から逃げ出す黒狼を追う格好で、時子は再び雀の姿となる。風にも似た速さで玉蜀黍を分けて逃げる黒狼を確かめ、その進路が仲間にぶつからないことを確かめる。
零れた安堵の息は、雀の鳴き声をしていた。
(黒狼さんの背後に誰かいるのでしょうか?)
見たところ、彼らは好き勝手に農場を荒らし回っているだけにも思える。
(それに、……)
地平まで広がる農場は、一部を除きどこもかしこも枯れ果てている。
枯れた畑を囲むのは、蜘蛛の巣のように縦横に広がる石造りの水路。けれどその水路は白く乾いて一筋の水も流れていない。
(原因は……?)
水路の元を探して空から涸れた水路を辿る。鳥の眼に見つけたのは、農場のほぼ央に見える大きな窪地、――否、
(貯水池……?)
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シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
22人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月26日
参加申し込みの期限
2016年08月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年08月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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