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【星幽塔】第三階層 鳥籠には少年の欠片
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思うのは、丘陵から見下ろしたこの階層の景色。
天に向けて今を盛りと伸びる向日葵畑があった。あちらの畑には伸び始めの小麦が、こちらの畑には刈り入れ間際に実った小麦が育っていた。石畳の農道に沿うて歩けば、大豆も玉蜀黍も馬鈴薯も、そのどれもが旺盛に伸びる途中で無残に枯れている。
狼に踏み荒らされるのか、倒れて半ばから腐ろうとしている見慣れぬ植物の脇で、
大天使 天吏
は足を止めた。
(……この階層、時空が狂っているのかしら)
石畳に沿うて伸ばした視線の先、枯れた景色の中にあって鮮やかな翠の葉を茂らせ白い花を咲かせる野薔薇の繁みがある。枯れた景色の中にあって、あの野薔薇の一角と果樹園だけが生き残っていた。
視線を反転させれば、見えるのは立ち枯れた向日葵の群生。
(それとも)
ここには作物の生育を操る力を持つナニカが存在しているのか。
(そもそも、ここは『星幽塔』だわ)
手にした金色六分儀をちらりと見下ろす。星の光が変化した、星の力を宿す道具。ろっこんとは違う、また別の力をこの身に纏わせる、不思議の力。
己の住む世界とは違う法則が働いているとしても不思議ではない。
例えば、屋敷に見た少年がそういう存在であるのかもしれない。
六分儀から視線をもたげる。考えながら歩くうち、いつか目前には白い野薔薇の群生が広がっている。
指を伸ばし、白い花弁に触れる。漂う甘い香りに誘われるのか、ささやかな羽音を立てた蜜蜂がそこここに飛び交っていた。
蜜蜂たちを驚かせぬようにしながら、上着から小さなナイフを取り出す。野薔薇を一輪採取し、ハンカチに包んでポケットにしまう。サジタリオの街に戻ったら、どの季節の薔薇なのか検証してみよう。
身長よりも高く茂る野薔薇の向こうに見えるものがないかと道の端に立って爪先立って、ふと、首筋の毛が逆立つような感覚を感じた。振り返るよりも先、野薔薇の茎を掴みナイフを閃かせる。切り取った棘だらけの一枝を振り向きざまに投げる。爪先に落ちる棘だらけの枝に、天吏の背後に忍び寄ろうとしていた黒い狼の足が惑うた。
その隙を突き、天吏は野薔薇の繁みへと踵を返す。身が傷つくのも構わず潜り込もうとしたその時、狼よりもずっと重たい足音が背後に迫るのを耳にした。
振り返った天吏が見たのは、両手斧を構える大柄な少年。けれど少年は狼に刃を向けず、斧の側面を盾のように使い、飛びかかる狼の攻撃を受け止めた。そのまま両足を踏ん張り、裂帛の気合と共に狼を道の向こうの枯れた小麦畑へと弾き飛ばす。
「野薔薇の中へ!」
天吏に声を掛けながら、斧使いの少年も野薔薇の繁みへと駆け寄る。顎のしゃくれた強面に反してどこか優しい手つきでそっと野薔薇を押しのけ、自分の身が棘に引っかかれるのも構わず天吏の分の道を作る。
重なり茂る野薔薇を押しのけて少し進んだ先には、野薔薇が空を椀のように覆い隠す広場があった。
翠の帳に覆われ野薔薇が白い星のように咲く広場の真ん中には、茨に閉ざされ仰臥する麦藁色の髪した少年。ぼんやりと野薔薇を眺めていた麦藁色の瞳を瞬かせ、少年は突然の闖入者に淡い笑みを向けた。
「蜜蜂たちが果樹園を護る力を分けてくれて、野薔薇と僕を護っていてくれたんだけど、……それはとても喜ばしいことなんだけど、」
起き上がり、伸びをする。
「ひとが来たということは、他の僕のところにも他のひとが行っているということだよね。お願いだ、僕を僕のところに連れて行って」
「元より、そのつもりだ」
少年の言葉に、
鮫ノ口 礼二郎
は大きく頷く。枯れ果てた世界の中にあって、果樹園の他にもう一か所、野薔薇が活き活きと生えている此処が気になって訪れたのが功を奏した。
(果樹園の少年が、果樹園に近い場所に封じられた自分自身を護っていたということか)
繁る野薔薇が狼たちから少年を護り、星の力を得た自分たちへのいい目印となったは僥倖というべきなのだろう。
少年に手を差し出す礼二郎を一瞥し、立ち上がろうとする少年を一瞥し、天吏は怜悧な瞳を瞬かせる。少年を囲い閉ざしていた野薔薇を見遣り、もう一度、少なくともこの地の管理人のひとりである少年を見る。
「さっき、勝手に野ばらを刈ってしまったわ」
ごめんなさい、と金の髪を揺らして頭を下げる少女に、少年はふわりと笑んだ。
「いいよ。綺麗に咲いているでしょう」
「ええ、そうね」
ねえ、と天吏は少年から目を離さず問う。
「ここにはずっと一人、貴方しかいなかったのかしら」
先に屋敷裏の井戸周りを調べたときから、気になっていた。ここは、ひと一人で管理するには広大に過ぎる。
「ずっと前には親が居たけど、もう随分前に死んでしまったよ。でも今も、ひとりじゃない。親の代から助けてくれていた大勢の妖精たちが居てくれている」
少年がついと伸ばした指先に、頭上の野薔薇に蜜を集めていた蜜蜂の一匹が下りて来た。少年の指先でしばらく透明翅を震わせ、また蜜と花粉集めの仕事に戻る。
「小さなこの子たちはあの子の手から逃れ得たみたいだけど、他の子はどうなったんだろう」
ともかく、と少年は礼二郎と天吏を見つめる。
「屋敷に行きたい。あそこに僕の核となる僕が居る。……僕を、此処を、こんなにしたあの子が居る」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
22人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月26日
参加申し込みの期限
2016年08月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年08月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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