this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【星幽塔】第三階層 鳥籠には少年の欠片
<< もどる
1
2
3
4
5
…
11
つぎへ >>
所々下れた窓さえも枯れた蔦に覆われ、邸の内部は窺い知れない。
枯れた草花が散らばる前庭を素早く駆け、
風雲児 轟
は麦藁色した髪の少年が引きずり込まれた邸の扉の前に立つ。
『ホープ・ストライク』と名付けた、闘士の光の宿った篭手に覆われた手を注意深く両開きの大扉に掛ける。視線を左右に向ければ、邸を最初の目的地とし同行してきた
桜庭 円
が、
時高 クレオ
が、
屋敷野 梢
が、それぞれに頷き眼差しを返して来る。
「ここには間違いなく敵がいる」
少年を引きずり込んだ無数の黒い腕を、ここに来た当初に目にしている。少年を捕らえる際、あの腕は音ひとつ立てなかった。不意打ちには重々気をつけねばなるまい。
「捕まったら厄介そーですね」
銀の胸甲に滑り落ちる三つ編みをマントの背に弾き、梢は夏草の瞳を僅かに顰める。片手に支えたクレイモアを両手に握り直し、扉へと眼差しを定める。
「行くぞ」
突入しようと錆びたドアノブを回そうとして、轟はヒーローマスクの内の眉を顰めた。
「……開かない」
「お任せくださーい」
言うなり、鎧に包まれた梢の小柄な身が一瞬にして小さな蝶へと変化した。乾いた風に薄翅を閃かせ虹色の鱗粉を撒き、梢は枯蔦の隙間、窓の小さな割れ目から邸内へと潜り込む。
砕けた窓の隙間から光が斑に流れ込むそこには、吹き抜けの階段と玄関ホールがあった。埃が舞うばかりのホールに、どこからか少年のすすり泣く声が聞こえる。
蝶の感覚に、今のところ捉えられるのはその声ばかり。少年を捉えた黒い腕とその持ち主の気配は認められない。
(それでは、まずは鍵をー)
ひらりと舞い、玄関口でひとの姿に戻る。内側から閉ざされた錠を開き、仲間を邸内に呼び込んでおいて、梢はまた蝶となった。開いた扉から流れ込んだ風と光を纏い、吹き抜けの階段から二階部分へと飛び上がる。
(……あー)
途端、目にしたのは、二階の廊下の床を音もなく徘徊する数本の黒い腕。どこまでも長い影のような薄い腕が床を駆け、蝶化した梢を叩き落とそうとばかり伸びあがる。
(おっとー)
ふわりゆらり、天井近くまで舞い上がりながら、梢はぐるりを見回す。ろっこんの力を惜しみなく使い、廊下の端に転がる本や花瓶、箒に棚、目についた調度品を蝶へと変えてゆく。見る間に飛び交い始める複数の蝶に翻弄され、黒い腕が敵を見失う。
舞い飛ぶ蝶たちに紛れ、梢は廊下を渡る。別の蝶に気を取られ、襲い掛かろうと伸びあがるその刹那、
梢は蝶からひとの姿へと戻る。両手にクレイモアを振り上げ、振り下ろす。黒い手を叩き切る。
音もなく指先を捩り縮んで消える黒い腕の断末魔を聞き咎めたかの如く、別の蝶を追っていた別の腕が梢に飛びかかるも、黒い指先に捕らえられるよりも先、梢は蝶の姿となっている。
「おー、やるねー」
「すごいわね」
梢の奮戦を見仰ぎつつ、円とクレオは玄関口から見える一階部分を素早く確かめる。
「どこかに少年が居るのよね」
「ボクも酒場で噂聞いたけど……男の子は妖精なのかな?」
少年のかけらを集め得てひとつとすれば、少年はどうなるのだろう。
クレオの言葉に頷きながら、円は夏草色に染めた髪を揺らし、緋色の瞳を細める。
スタート地点となっていたあの丘では、少年がひとつとなれば農場主の壮年男性となるのではないかという推論が出ていたけれど。
(髪と眼の色はおじさんと一緒)
例えば家族であったりするのだろうか。噂の中の登場人物は農場主と妖精たちだけだった。
噂にもならぬ家族がもしも居るとするならば。
あの少年は何者なのだろう。そうして、
(おじさんは何処に?)
「声が反響して居場所が定めにくいな」
周囲を警戒しながら少年の泣き声に耳を澄ませていた轟が低く呻く。泣き声が大きくなる方向を見つけられないとなれば、
「一階からシラミ潰しに探そう」
「そうしよっか」
轟の提案に円は頷く。何にしても、今は少年の保護が最優先。正体については少年の無事を確認してから面と向かって訊けばいい。
窓を枯蔦に塞がれているせいか、邸内に流れ込む光はそう多くない。
薄闇に眼を凝らしていて、腕を護るガントレットの存在に思い至った。魔火の紅い光が宿る防具は、炎を放つことができる。
「えーっと、」
片手を突きだし、掌に小さく揺らぐ炎をイメージする。眉間に皺を寄せ、星幽塔でのみ使える力を使いこなそうと念じるうち、
「よっと」
ふわり、掌の上に小さく弱い火が灯った。
「よし、出来……」
ぐるりを優しく照らす火の光に照らし出されて、音もなく立ち上がり覆い被さろうとしてくる黒い腕。
「危ない!」
クレオが悲鳴じみた声をあげると同時、右手を振り上げる。ぶわり、クレオの周囲に炎の弾が渦巻き生まれた。渦巻く炎の勢いに、円に襲い掛かろうとする黒い手の勢いが僅かに鈍る。
「うおぉお!」
その隙を逃さず、轟が『ホープ・ストライク』の拳を黒い手に叩き込んだ。深く踏み込まれ、全身の力を余さず打ち付けられ、影の尾を引いて黒い手が吹き飛ぶ。
「弱点とかないのかなー」
壁際に吹き飛ばされた黒い手の前、蝶が舞い降りる。舞い降りた瞬時に煌く刃構えた少女の姿となる。
「黒い手の主を力押しで倒す事ってできるんですかね?」
黒い手をクレイモアの切っ先で漆喰壁に縫い付け、梢は呟く。壁に刺さった剣先を引き抜けば、貫かれた黒い手は動く力を失くしたかのように床にくたくたと崩れ、瞬きの間に消えた。
「ありがと」
仲間を見回し、円は笑んだ。
扉を開く。
空っぽの部屋には、埃避けの布を被せられたテーブルと椅子、ベッドが置かれていた。日常の細々とした品々の置かれたそこはどうやら小間使いの部屋らしい。
「使ってた雇用者は居なさそうだね」
「倉庫にしてたのかしら」
それぞれの手に火を灯して部屋を改める円とクレオの背を護って周囲を警戒するは、クレイモアを手にした梢と戦衣纏うた轟。
梢のろっこんが作り出した蝶たちを囮に、できるだけ黒い手との戦闘を避け、四人は一階部分の探索を済ませる。食堂にも広間にも、黒い手が徘徊するばかり。どこから聞こえるのかも分からぬ少年のすすり泣きが聞こえるばかり。
蝶たちと黒い手の乱舞する階段を駆け上る。襲い掛かる黒い手を掻い潜り、飛び込んだ先は、
「……書斎?」
埃と本の匂いを暗がりに感じて呟く円の背後、最後に飛び込んできた梢が扉を閉ざす。クレオが炎灯した小さな掌を掲げ、窓すらない狭い室内の左右を埋める書棚を照らしだせば、暗がりに真っ先に浮かび上がって、書棚の下に無造作に立てかけられた家族の肖像画。
描かれているのは、麦藁色の髪と眼を持つ少年とその両親。
邸の前でよく似た笑顔を見せる三人は、底抜けにお人よしそうで、底抜けに幸せそうだった。少年に抱き上げられた黒猫さえ楽し気に笑っている。
扉が激しく叩かれる。ぎくりと肩を震わせるクレオの肩を梢が軽く叩いて笑う。
「ちょっとホラーですねー」
あっけらかんと言い放つ梢が手にするクレイモアを見遣り、円も強気に笑んだ。
「洋物ホラーだよね」
「少なくとも、殴れる!」
拳を固め、轟が扉を蹴り開ける。勢いよく飛び出すなり、手当たり次第に黒い手を殴りつける。轟の脇を音もなくすり抜けた黒い手を梢がクレイモアで叩き切る。
障害物となる調度品が全て蝶と変わった廊下に円が軽快なステップを踏み、掴みかかる黒い手を躱す。空気の流れに黒い手の動きを読み、ほとんど勘で掌を打ち込めば、大した手応えもなく黒い手が床に伸びた。
一部が抉り取られ黒煙すら吐く黒い手を、クレオが恐る恐る蹴る。炭化した指先が崩れ落ちるのに眉顰め、不思議そうに円を見遣る。
「家燃やすといけないからね」
ガントレットの手の平部分だけを高熱にしたのだと事もなげに笑って見せる女子高生の創意工夫に、クレオは目を丸くした。
「これ以上の探索は手を何とかしなきゃ」
際限なく湧き出るようにも見える黒い腕を見遣り、円は緋色の瞳を顰める。
かたちを崩して消えゆく黒い腕を見下ろし、クレオが首を捻った。少年の声はあちこちに反響し、元を辿るは難しい。ならば、
「腕の根元の方に行けばいいかな?」
言いつつ、家中を徘徊する幾本もの黒い手に視線を走らせる。
「あれは一体なんなのかしら」
音もなく這い寄ろうとする黒い手を警戒して、クレオは僅かに怯えた、けれど凛々しい瞳に力を籠める。
少年を閉じ込めたのはあの黒い手の持ち主の意思なのだろうか。
(それとも誰かが操って?)
轟に殴られ、梢に断たれ、円に焼き切られ、床を這う黒い手が蠢く。いくら撃破しても際限なく湧き出てくる黒い手に、梢が焦れる。
「大元を探します!」
言うなりふわり、蝶へと変化し、天井近くへ舞い上がる。本体を護るかのように他の蝶たちも飛び上がった。
床を這いずる黒い手とクレオが掌に灯す炎の光に廃墟じみた邸の内が紅く照らし出される。
揺れる炎の光と影に、くすり、誰かが嗤う。邸の奥から零れた嗤い声は哄笑に変わり、邸内に満ちていた少年のすすり泣きを圧して響き渡る。
波が引くように、黒い手が一斉に後退を始める。巻き込まれた数匹の蝶が床を引き摺られ、幻のような鱗粉を撒いて砕けた。一瞬元の調度品が砕けたかたちとなるも、けれどすぐに再び梢のろっこんの力を受け、今度は砕けた数だけのほとんど無数の蝶となる。
「何だ?!」
「一番奥の扉の前よ!」
轟が緊張の声を上げ、クレオが掌に灯した炎をかざして廊下の最奥を示す。
「あの子が後ろに居るわ!」
主寝室と思しき扉がいつの間にか開いている。哄笑するままに立つは、黒いヴェールを掛けた黒服の女。
「喪服……?」
円は眉を顰める。
咄嗟に思い浮かんだのは、書斎に見た家族の肖像画。けれど噂の中に農場を仕切っていたのは壮年の男ただ一人。家族の噂は聞かなかった。
(例えば、)
家族の誰かが死んで、家族の歯車が狂った?
(それとも、誰かが狂わせた?)
耳障りな高笑いには、どこか謀略的な印象さえ受ける。
円は眼差しを鋭くする。女を注視する。
女の背や影から伸びるようにも見える幾本もの黒い手を胴や腕に巻きつけられ、引き摺られるようにして少年が立ち竦んでいる。
「その子を解放しろ!」
泣き腫らした少年の顔を見るなり、少年を捕らえて嗤う女を見るなり、轟は声を張った。女は首を横に振る。そうしてまた悪意ある笑みを零し始める。
「目的は何だ」
女を見据え、問う。少年に酷いことをしているとは言え、
(もしかしたら歩み寄れる部分がなきにしもあらずかもだ!)
「アステリズム、……とかいうのが何か関係しているのかな」
女の哄笑に負けじとクレオも問いかける。気になることは多かった。黒い手は言葉も通じなさそうだったけれど、少なくとも言葉を喋るひとの姿した女とは意思疎通が可能かもしれない。
「ねえ、あなたは何者なの?」
轟の、クレオの問いかけに、黒衣の女は嗤う口を閉ざした。こくり、人形じみた仕草で首を九十度に傾げる。傾げて、戻す。またけたけたと嗤い始める。
「家族が死んでるのにやけに楽しそうだね」
喪服の女に向け、円は敢えて辛辣な言葉と表情を向けた。
「性格が見えそう」
くすり、嗤い返してさえ見せる。
(死んだのは夫かな?)
ヴェールの影に見える女の口元は、肖像画に見た母親のものによく似ている。
「その子を何故縛るの?」
円の視線が背後の少年に向いた途端、女の身を取り巻く黒い手が暴れ始めた。
「わたさない」
鞭のようにしなり捩れて数本合わさり、円を打つべく一直線に奔り寄せる黒い腕を、
「させるか!」
轟が星の力宿った篭手の両腕を防御のかたちに身体の前に構えて弾く。
「……ッ!」
女の身から振るわれたとは思えぬ怪力に殴られ、轟の深く落とした腰が浮く。轟の防御に阻まれ、鞭じみた黒い腕が天井近くに跳ね上がる。
よろけてたたらを踏み、けれどすぐさま体勢を立て直し、轟は床を蹴る。床を走る手を飛び越え、宙を駆ける手を身を捩って躱し、本体である女に近接する。床が鳴るほどに深く強く踏み込み、全力の拳を女の腹に叩き込もうとして、――女の身に鎧の如く素早く巻きついた黒い手に阻まれた。
拳を遮られ、もう一撃を見舞うべきか否か、轟の身に一瞬の迷いが生じる。その迷いの刹那に向け、女の身を護った腕が解ける。轟を捕らえようと伸びる。
「っと!」
闘衣に包まれた足を掴み取ろうとする黒い手から間一髪、轟は飛び退った。
(最優先は少年の確保だ)
それを忘れてはいない。
後退する轟を追い、黒い手がするすると伸びる。
「よいしょー」
その腕を、突如として宙から降ったクレイモアが断った。女が意味もなさぬ言葉で喚く。戦場に無数に舞う蝶の一匹からひとへと変わり、床に足を着けた梢が唇をちらりと笑ませた。逃さぬとばかり伸びてくる黒い腕を、構えた大剣で斬る。撥ね退ける。そうしながら、無数に舞う蝶たちの一部、女の頭上に飛ぶ蝶たちを元の調度品の欠片に戻す。
頭上から降り注ぐ花瓶や棚の破片に打たれ、女がよろめく。
惑う女の元、円が小柄な身を弾丸のように丸めて駆け寄る。包み込むように押し寄せる黒い手を恐ろしく熱帯びたガントレットで削り、切断し、女の目前に立つ。魔火の光に守られた細い腕を突き上げ、ヴェールから唯一覗く女の口に己が掌を押し付ける。
(手と、体内……)
星の力の炎が女の体内を這い巡る、そのイメージを瞬間的に脳裏に描く。
ガントレットから炎が噴き出した。女の唇を割って体内に入り込み、喪服に包まれたその身を内側から焼く。
女の全身に炎が広がろうとする間際、女の脇を小さな蝶がひらり、すり抜ける。すり抜けるなり、蝶はクレイモアを振り上げる梢の姿に戻る。
叩き切るのは少年をがんじがらめに、まるで鳥籠に押し込むように捕らえる数本の黒い腕。
「お願いしまーす!」
「おう!」
「きゃ……?!」
梢の意図を読み、轟がクレオを脇に抱えあげ床を蹴る。炎に焼かれ、呆然自失の態で立ち尽くす喪服の女の脇を駆け抜け、寝室の床にへたりこんで動けぬ少年をもう片腕に抱えあげる。
「助けに来たぜ!」
少年の返事も待たず、暗い寝室を過る。分厚いカーテンに覆われた窓を蹴り開ける。流れ込む光と乾いた風に真向から、躊躇いもなく飛び込む。
轟の白いマントが光のようにぶわりと大きく翻る。
「一時撤退だ!」
「ですよー」
「はーい!」
蝶の群れに押し包まれつつ燃える女の横を円が駆け抜ける。梢と合流し、轟が飛び降りた窓へと寄る。窓から身を乗り出すようにして見下ろせば、邸前の庭が見えた。枯れ果てた前庭の草木の繁みへ先に飛び降りた轟が、どこか傷めた様子もなくクレオと少年を芝生に下ろしている。
同じ繁みに飛び降りれば翅を得ずとも怪我をすることもなさそうだと判断し、円は宙に跳び出す。
「かえして」
全身に炎を巡らせながらも斃れる様子を見せぬ女の声を聞きながら、梢は蝶となる。伸びてくる黒い手を掻い潜り、空へと舞う。
<< もどる
1
2
3
4
5
…
11
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【星幽塔】第三階層 鳥籠には少年の欠片
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
22人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月26日
参加申し込みの期限
2016年08月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年08月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!