this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
終わりのその向こうを
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
…
8
つぎへ >>
「うーん、」
『鬼』たちの襲撃が確実なものとなった途端に逃げ惑い始めた妖たちのひとりを捕まえ手早く事情を聞きだし、
壬生 由貴奈
は瞳を伏せる。
「つまりあの日暮って人が現ヒトバシラに代われば事態は収まるけど、あの巫女さんが死んじゃったら大変なことになっちゃう?」
石段の付近、『鬼』の咆哮が聞こえる。周囲の妖たちが怯えた悲鳴をあげる。
「ありがとね」
事情を聞きだすために掴んでいた妖の腕を解放し、由貴奈は黄昏の世界に深呼吸をした。
この、寂しく懐かしい茜の空。
(結構久しぶりだったのになぁ)
黄昏色に染め上げられた世界の気だるくも不思議に心地いい空気が案外好きだったことに思い至って、由貴奈は栗色に染めた髪を乱して首を横に振る。
今のこの張り詰めた空気は、いつものあの空気とは程遠かった。
(『らしくない』)
周囲に満ちる鬼気迫る叫び声も何もかも、少なくない思い出をくれた黄昏空の世界とは違っている。
逃げ惑う妖たちによって酒瓶が倒れる。酒肴の皿が割れて中身がぶちまけられる。転んだ誰かが泣き喚き、誰かが誰かに怒声を浴びせ、誰かが誰かに戦えと喚き散らす。
「『鬼』……」
周囲に満ちる悲鳴と怒声から襲撃者の目的と呼び名を聞き取り、悠月は凛々しい眉を顰めた。
「記憶を奪われ尽くせばわしらは滅する、あんたらもただでは済むまいて」
慌てた様子で立ち上がる一つ目翁に逃げろと言われ、悠月の白い眉間に刻まれた縦皺がますます深くなる。
(折角の神楽を)
のみならず、『鬼』は神楽の舞い手を殺め、この世界の全てを消そうとしているらしい。
(そんな無粋な真似させるわけがないだろう)
悲鳴があがる。
向けた視線の先、影のかたちした『鬼』に齧りつかれた人面持つ子犬。助けようと一歩踏み出す刹那の間に、子犬はその姿を消した。
あまりにも理不尽な存在の消滅に、息が詰まった。一方的に運命を決められることに対する怒りのような感情が腹の底に熱く渦巻いた。
「……ふざけるな」
知らず食いしばっていた唇から低い唸りが漏れる。
鳥居とは反対方向に逃げようとする妖の流れに逆らい、悠月は舞台の前へと歩を進める。その場に仁王立ちで陣取る。巫女を護るように巫女の傍で舞台に立つ白翼の少年を肩越しに一瞬見遣り、
――音もなく忍び寄って来て飛びかかろうとする薄っぺらな小鬼の影のかたちした『影鬼』を眼の端に捉えるなり、その薄い腕に己の腕を絡めた。影じみて薄いかたちのその癖、酷く強い鬼の力を逆に使い、素早く地に投げ落とす。地面に叩きつけられて、『影鬼』はほんの僅か動きを止めた。
舞台を背にし、己の位置と巫女と白翼の少年との距離を詰める。まるで女王を護る騎士のように片手を緩く広げ、己が身を盾とする。
「弱い奴は近くに寄れ」
よく通る少年の声で妖たちに呼びかけ、腹に黄昏の空気を満たす。
歌うは聖歌。
本来は神に捧げるその歌は、けれど悠月にとっては何よりも自由を想わせるもの。
自由を願い、騎士を思い描いて歌うことを引き金として発動させるは、己が周囲に半透明の障壁をつくりだすろっこん、『Holly Knight』。
罵声と悲鳴に溢れる場に響き始める、高く澄んだ歌声に惹かれた妖たちが悠月の足元に身を寄せる。
悠月に投げ飛ばされた『影鬼』が肩を怒らせ、己と悠月たちを阻む半透明の障壁に体当りする。牙を立てる。爪で引き裂こうとする。
「……ッ、……」
障壁が傷つくごと、悠月の身体に疲労という名の傷が重く圧し掛かる。息が切れる。喉が痛む。それでも、悠月は歌うことだけは止めない。護ることを諦めない。
澄み切った少年の歌声を耳にしながら、由貴奈は鳥居へと歩を進める。いつも身に着けているベルトポーチを指先に探りながら、冷静な瞳で周囲を見回す。混乱の中にあっても動じぬ人影を、妖たちを護ろうとする人々を見つけ、僅かな笑みを唇に刻む。
(……日暮さんは他の人に任せて)
ポーチに見つけた硬貨と工具を引き出し、掌に納める。別の指先に引き出したおやつ用の手作りクッキーは、ココアとバニラとストロベリー。三種類以上のクッキーを一度に口に放り込み、咀嚼する。
(ここで踏ん張ろうかねぇ)
上げる視線の先、鳥居からわらわらと逃げる妖たちを追うは、『走鬼』。
掌の中の硬貨と工具を宙に放る。ろっこんの力を帯びて、数枚の硬貨と数本の工具が由貴奈の身の周りに浮いた。
筵の上、立ち上がる力を失くして座り込む絡新婦に、大犬のかたちした『走鬼』が迫る。強靭な後肢で跳ね、牙を剥き出して飛びかかろうとする『走鬼』に向け、由貴奈の操る硬貨が空を裂いて飛ぶ。
固い金属に続けざまに打たれ、『走鬼』の身体が筵に転がった。犬の声で喚いて悶える『走鬼』の前、未だ座り込む絡新婦の傍に由貴奈は駆け寄る。
「立って、逃げて」
女妖の腕を取り立ち上がらせようとして、緩く拒まれた。
「これは罰かもしれないんだよ」
「罪も罰も知らないけどさ、死なないでよ」
低く囁く。女妖は打たれたように顔を上げた。小さく頷き、震える膝で立ち上がる。
「ごめんよ、ありがとうね」
短い言葉を残し、駆け去る。
硬貨に打ち据えられ、ドライバーの先端に刺されて転がっていた大犬の『鬼』が四肢を踏ん張り立つ。黒い毛と筋肉に覆われた身を震わせ、凶悪な光宿した双眸で周囲を見渡す。
誰かを探すような仕草を不審に思い、由貴奈が瞳に力を込めた瞬間、『走鬼』は身を翻した。
向かうは、灰色の髪した少年と栗色の髪した少年が護ろうとしている妖たちの一団。
女妖や子妖、一つ目翁を背に庇い、寝太郎とすばるは舞台の前から少しでも遠くへ離れるべく急ぐ。
「来るなら来ると電報でもうっといてほしいよね」
近づく『走鬼』を瞳の端に捉えつつ、すばるは軽口を吐く。舞台に立った白翼の少年の言葉によれば、『鬼』は舞台に立つ巫女カンナを殺めようとしているらしい。
「神木の巫女が死ねば、セカイは壊れる」
「そりゃ大変だ」
逃げる一つ目翁が呻くのに軽くひとつ頷き返し、眼鏡の奥の瞳を顰める。世界はともかく、
(人が死ぬのはよくない)
心に低く呟いて、素早く地面を見回す。確か酒肴の中に、
「あった」
豆とイワシを見つけ、すばるはどこまでも明るく笑む。イワシは食われて頭だけになっているけれど、それはそれで問題ない。
見つけた魔除けにもなる品を、ポケットから取り出したお守り袋に入れる。ヒイラギやユズリハは流石に見当たらないが、仕方がない。
由貴奈の操る硬貨に追い縋られ、狙い過たず打ち据えられ、『走鬼』が悲鳴をあげて再度地面に転がる。
「護るからねぇ」
緩い口調のその癖強さを帯びた声で告げ、由貴奈が『走鬼』と妖の一団の間に割って入った。その身の周りに鋭い速さで飛び交うは、ろっこんの力を纏うた硬貨や工具。
「ごめんなさい、お願いします!」
「まかせたよ」
一団の護りを由貴奈に任せ、寝太郎が舞台へと走り出した。急ごしらえのお守りを手に、すばるも後を追う。
舞台の前、『影鬼』の猛攻を己の体力を全て使って凌ぎ切り、多くの妖を護り切った悠月が疲弊しきった様子でその場に膝をついている。
「頑張ったね」
「当然だ」
すばるの気遣わしげな視線を短い言葉と強い視線で跳ね返し、悠月は口元を笑みに歪めた。息を吐き出し、震える膝を拳で殴りつけて立ち上がる。『影鬼』の興味が舞台に向いていないことを確かめて、それでも両足で地面を踏みしめ立つ。妖たちを、巫女を、襲い来る『鬼』たちから護るべく、身体を蝕む疲弊を無視して気力で歌い続けるために、護り続けるために、呼吸を整える。
同学年の少年の赤銅色の髪を一瞬見送り、寝太郎は地面より少し高い舞台へとよじ登ろうとして、
「っ、……」
混乱の最中、咄嗟に酒肴であったらしい飴の缶を掴んでいたことに気付いた。苦笑いを零してから、紫鶴に肩を抱かれるカンナのもとへと駆け寄る。カンナ、と神木の巫女が名乗った名を呼ぼうとして口ごもる。
――神は死んだ
思い出すのは、一つ目翁の言葉。
神が斃れ、そのために人柱が必要なこの世界で、神木の巫女が自ら名乗ったという、その名。
(神無、だとしたら)
もしもそうだとしたら、神木の巫女はどんな気持ちでそう名乗ったのだろう。
「カンナさん、これ持っていてくれるかな?」
逡巡する寝太郎を追い越し、すばるが手作りのお守りを神木の巫女に差し出す。
「鬼よけだよ。気休め」
修羅場の最中にあって、くすり、大らかに笑ってみせる。
「けっこうこういうのも大事なんだ」
言いつつ、ちらりと考える風をする。
「追いつめられたらえーいって当ててやってよ」
おどけた動作で実際に投げる振りをしてみせてから、パチリとウィンク。
「効果はなくとも少なくとも痛いはずさ」
すばるに言われるがまま、カンナは神楽錫を袴の帯に押し込み、手作りのお守りを受け取った。ありがとうと頭を下げ、お守りを手首にかける。力を得たように神楽鈴を再度手に取る。
「うん、神楽は続けていた方がいいかもしれない。ボクはこのセカイのことは知らないから、カンナさんの判断にまかせるよ」
柔らかく笑みかけたすばるの瞳が、
「巫女!」
寝太郎の悲鳴にも似た声に凍った。寝太郎の声と視線が示すは、舞台の背後、鳥居の天辺。
「ああ、居らはった」
黄昏の空と重なり連なる鳥居を背に、着物を纏った黒髪の少女。
体重を感じさせぬ身軽さで、先代ヒトバシラの意思に乗り移られた『隠鬼』の身が舞う。舞台に立つと同時、恐ろしい速さでカンナに迫る。その手には鋭い光放つ小刀。
「ッ!」
カンナの身を紫鶴が引き寄せる。紫鶴の前に寝太郎が飛び出す。咄嗟に突き出した手には、酒宴が混乱に陥る間際に手に取り、そのまま掴んだままだった飴の缶。
耳を貫く音たてて、小刀の一撃が缶を打つ。衝撃に缶が宙に舞う。半ば断たれた蓋が外れ、中身の色とりどりの飴玉が茜空に飛び散る。
「……いッ、……」
缶に守られて斬られはせずとも、鋼の刃の鋭い一撃に腕が痺れた。缶と共に跳ね上がった腕を下ろす間もなく、小刀を振りかぶる少女の『鬼』と眼が合うと同時、襲い来る痛みを恐れて目を瞑る。
(斬られる!)
けれど次の刹那に響いたのは鋼と鋼が打ち合う鋭い音。
「無事か、猫島」
掛けられた声に恐る恐る瞼を開けば、小刀の刃を間際で受け止める、刃を持たぬ剣が見えた。
「御剣君」
少女の姿に似ぬ怪力を渾身の力で弾き返し、
御剣 刀
は背後に守った寝太郎に肩越しにちらりと笑む。
舞台に立つ人々に心強い剣士の助力が加わったことを認め、すばるは大きく笑んだ。
「じゃ刀っち、彼女はまかせたよ」
ひらり手を振り、舞台を飛び降りる。
恐慌する妖たちが群れる舞台前の広場へと向かう友人の背に気遣わしげな一瞥を向けて後、刀は呼気を整える。ろっこんの力を使って己が身を加速させて石段を駆け下り、間一髪、寝太郎を『鬼』の凶刃から救うことは出来た。
「カンナ!」
紫鶴と寝太郎に守られ、呆然と『鬼』を見つめる神木の巫女に呼びかける。
「皆を安全な場所へ逃がすんだ、――ここより下界の町へ」
以前神木に見た『鬼』は四体だった。けれどこの異変を前にして、『鬼』がただ四体だけであると安心はしていられない。
纏うた着物の裾と黒髪を夕風に揺らし、角生えた少女のかたちした『隠鬼』は忌々しげな息を吐き出す。
小刀を構え直す『鬼』を油断なく見据えながら、刀はカンナへともう一度呼びかける。
「お前の臨む賑やかさはここにいる奴らから得られる、欠けさせちゃ駄目だ」
能面のような『鬼』の顔を見つめたまま、思うのは以前の邂逅時にカンナの見せた泣き笑いのような表情。あんな顔を、もう二度とさせたくなかった。
「……うん」
短く、巫女が返事を返した。
鈴の音が一際大きく響く。直後、舞台前の広場に音もなく朱の鳥居が立ち上がった。
己を守ってくれた紫鶴と寝太郎の手を優しく押しのけ、神木の巫女は舞台の上にひとり立った。凛と声を響かせる。
「鳥居を潜り町へ帰りなさい!」
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
…
8
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
終わりのその向こうを
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年05月11日
参加申し込みの期限
2016年05月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年05月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!