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終わりのその向こうを
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「君は、どうしたい?」
舞台の上、呆然自失の態で座り込む日暮の前、紫鶴が進み出て膝をつく。
時折迷い込むこの世界が好きだった。壊れて欲しくないと思った。けれどこの世界は、ヒトバシラに支えられての世界。世界と同じに気に入っている日暮は、そのヒトバシラだ。
一度世界を選んだ彼には、もう一度選び直す権利があるはず。本当は、夕だけでなくこの世界の皆の願いも聞いた上で選び直した方がいいとは思うけれど、今選ばなくてはならないのならば、
「君自身はどうしたい?」
「わしがヒトバシラならなセカイは崩れる。ここいらに住んどる者があんたらの世界にも零れ落ちてしまうかもしれへん。そないなったら、あんたらのとこは混乱するんと違うんか」
咬みつくように言われ、紫鶴はちらりと肩をすくめる。
「君がもしヒトバシラになるというなら、僕は君に会いに行くよ。でも、その為には君の気持ちをちゃんと伝えなくては」
静かな視線の先には、由貴奈と円に両の手を繋がれた夕が居る。
「それから、君も夕さんの気持ちを理解しなくちゃね」
思うのは、寝子島に移り住んでこの方、出会いっぱなしだった不思議な出来事。
「寝子島なら妖たちが増えてもきっと大丈夫さ、変な事にはもう慣れているからね」
「そうです!」
智瑜が明るい声で同意を示す。
「寝子島は不思議を受け入れてくれる場所です。だから、日暮さんも夕さんも、妖の皆も、みんな寝子島に来ればいいんです」
ね、と朗らかに笑い、智瑜はカンナの手を取る。
「もしもの時には私がヒトバシラになりますから。今は足掻きましょう、カンナちゃん」
「あがく、って……?」
「例えば、神木にヒトバシラの代わりの物を埋めたりして、身代わりにするんです」
大切な秘密を口にするように、智瑜は悪戯っぽく笑って見せた。
「私たち、神さまから与えられたろっこんって力を持ってるんです。ヒトバシラの心や命のかわりに、皆で少しずつその力を代わりの物に注げないかなって」
少なくとも、想いを籠めることは出来るはず。
舞台の人々を、鳥居を死守しきった人々を、智瑜は見渡す。
「協力してもらえませんか、」
言いかけた言葉を遮って、カンナの前にふらり、真央がよろめきでる。泣き腫らした眼を擦り、縋るようにカンナの肩を両手で掴む。
「……カンナ」
吸い込まれるように黒いカンナの瞳を見据え、
「次の人柱には私がなるから」
命を投げ出す。
(だって、)
世界が滅んでいいと言ってしまった己は、この世界にとって大罪人だろう。世界を護るために人柱を立て続けて来た神木の巫女にとって、己は憎むべき者に違いなかろう。
(だから、)
「……せめて二人がこれからずっと一緒にいられるようにして」
真央は神木の巫女に願う。
神木の巫女が死ねば、この世界は壊れるという。ならば、その神木の巫女の力を使えば、己を新たな人柱とするのは容易いことのはず。日暮と夕を人柱の重責から外すことも出来るはず。そうして、命が尽きるまで共に居させることも。
(でなきゃおかしいよ)
「真央」
思い詰めてカンナの肩を掴む真央の手に、温かな手と声が触れた。真央の申し出に顔を強張らせるカンナの肩から真央の手を引き剥がし、修は真央に柔らかく微笑みかける。
「一人が犠牲となるセカイは間違っている」
真央の手を握り、優しく言い聞かせる。死ぬな、と手をきつく握りしめる。
「誰もが望んでいるとも思えない」
俯く真央の手を掴んだまま、修は智瑜に笑いかけた。
「俺も彼女と同意見だ。少しずつ想いを奉納して、全員でセカイを支えよう。想いを受ける要が必要なら、人形や石柱でさ。試してからでも遅くない――今、試そう」
賛同を得て、智瑜は安堵の息を零した。もう一度、その場に居る全員に願い出る。
「皆の力を、貸してください……!」
智瑜の声に、舞台袖に疲労困憊して座り込んでいた悠月が手を挙げる。
「……いくらだって貸してやる」
悠月の足元に蹲り、悠月に守られ続けていた三毛の猫又や小さな妖たちが悠月にしがみついた。毛むくじゃらのナニカたちに全身で懐かれ、悠月は疲れ果てて熱さえ抱く身体から長い息を吐き出す。
悠月を皮切りに、舞台の周りに次々と協力者が名乗り出る景色をひと眺めして後、紫鶴は再び日暮に問う。今度はどこか笑みさえ含んで。
「君は、どうしたい?」
「どうって、……なあ」
日暮は頭を掻いた。うなじで結った黒髪が頼りなく揺れる。張り詰めていた糸が切れるように肩が落ちる。
座り込んで息を吐く日暮の黒髪を、ぐいと白い手が掴んだ。
「いッ、」
「ほんまもう、しょうない人やねえ」
「痛い痛い、痛いて、」
日暮の束ねた髪を掴み、夕は日暮の傍らにしゃがみこむ。
「……夕」
「うちの心は、昔も今も同しです」
たとえ、とほんの少し泣きそうに笑う。
「あんたとの記憶がどんだけ斑でも、昔のあんたの顔やくれた言葉が絶望的にぼやけとっても、うちは、……」
「……もう、ようわかったさけ」
少女の姿した恋人の泣き顔を誰からも隠すように己の懐に押し抱き、日暮は紫鶴にどこか吹っ切れた笑顔を向けた。
「ほんま、おおきに」
「言っただろう、僕はこの世界も君も気に入っていると」
日暮の笑顔にちらりと意地悪な微笑を浮かべ、すぐにふわり、緩める。どこまでも和らいだ微笑みは、けれどほんの一瞬だけ。
緩めた唇を引き結び、紫鶴は神木の巫女を、彼女を取り巻く周囲を見遣る。
修と智瑜の提案を受け、悠月の庇護下で町に戻らず残っていた日本人形じみたナニカがどこからか木箱を取り出した。無償で提供すると言う箱の中には、一体の人形。
「素裸は可哀想だわ」
『鬼』達との闘いから戻った蛇那伊が紅佩いた唇で悩ましげな吐息をつく。彼らが闘い続けていた『鬼』達は、夕が鎮まるとほぼ同時に動きを止めたという。
記士郎が困ったように周囲に呼びかければ、女妖のひとりが羽織を差し出した。高久が鷹揚な笑顔で礼を言い、人形に着せかけようとする。慣れぬ手つきを見かね、さゆるが無言のままに人形の身を羽織に包んだ。
『鬼』の血に塗れたまま、さゆるは人形の頬を両手に包む。そっと、祈るような口づけを人形の唇に送り、後は誰とも話さずにその場を離れる。
「あ、天動さん! また怪我して!」
「え、あ、えーと、……すみません」
人形に想いを籠めるべく舞台の下に降りて来た寝太郎に叱られ心配され、記士郎は申し訳なさそうに頭を下げた。
『鬼』と対峙し、獅子奮迅の戦いぶりを見せた男たちがどこか戸惑ったような視線交わしつつ、新たな人柱となる人形の肩に触れ、頭に触れ、それぞれの祈りや想いを籠める。
日暮と夕に対峙し、その心を救うために心を砕いた寝子島の人々もまた、人形にその心を籠めて触れる。
鳥居を潜らず逃げなかった、若しくは逃げそびれた妖たちもそれに倣う。
新たな、誰も犠牲にしない『ヒトバシラ』を造るための準備に湧く周囲の中、カンナだけが思いに沈むように睫毛を伏せている。
「カンナ」
進むも戻るも叶わず、その場にくずおれてしまいそうな神木の巫女の手を取ったのは、刀。
「お前、……」
前に寝子島で会ったとき、彼女とヒトバシラに関する話を少し交わした。
――次にヒトバシラを送るときは
そう言ったときの彼女は、泣くのを我慢して無理矢理に笑んでいるようだった。
「前回ヒトバシラを送ったとき辛かったか? それでも神木の巫女としてセカイとセカイに住む奴らのために頑張ったのか?」
「……辛いと思えるほど、幼くはないよ」
もしかするとセカイと同じほどに年を重ねている神木の巫女が無表情に言うのに、刀はまるで幼い少女にするようにカンナの頭を撫でる。
「今も頑張っているよな、お前は偉いよ」
手を繋がれ、頭を撫でられ、カンナはますます俯いた。震える肩を抱きしめ、刀は続けて語り掛ける。
「だけど、今回は我慢する必要ない、なにも気にせずお前の好きにしろ。それで悪い事が起きるなら全部俺が何とかしてやる」
くすり、笑う。
「俺だけじゃないな。俺たち、だ」
だから、ときつくカンナを抱きしめる。
「我儘言っていいよ」
神木の巫女としてではなく、ただのカンナとして、
「日暮や夕にやりたい事や言いたい事はないか? あるなら今が最初で最後の機会だ、後悔ないようにな」
小さな背中を励ますように叩き、カンナの瞳を覗き込む。
「俺は傍にいてくれた人がヒトバシラとしていなくなるなんて嫌だ」
刀の眼と眼が合って、カンナは固く瞼を閉ざし、開いた。それでもまだ見つめていてくれた刀に、カンナは小さく小さく、頷く。
刀の手を解き、日暮と夕の前に立つ。何か言おうとする日暮に首を振ってみせる。日暮のすぐ傍、日暮と真央が落ちて来て空けた板床の穴に向け、境界線を引くように差し伸ばした指先で空を切る。
瞬間、板床の穴から風が噴き出した。黄昏の世界とは違うにおい、潮の香含んだ風に、――寝子島の海のにおいに、寝子島の人々が顔を上げる。
「カンナ、……」
首を捻る日暮の額に触れ、日暮に抱かれた夕の額に触れ、ふたりの身を縛る呪いにも似たヒトバシラの責を解くなり、カンナは意外に素早い動きで日暮の後ろに回った。間髪入れず、躊躇なく日暮の背中を蹴飛ばす。
「ふたりで、いきなさい」
「な、ちょ、」
つんのめった日暮の背を更に突き飛ばし、
「また落ちるんかー?!」
寝子島と黄昏の世界を繋ぐ穴へと落とす。日暮の悲鳴と嬉しげな夕の笑い声は、すぐに聞こえなくなった。
満足げな息をひとつ吐くカンナの頭を、刀は撫でる。ご褒美とばかり渡されたおにぎりの包みを大事に袂に入れ、
「食べる前にもう一仕事するよ」
カンナは晴れ晴れと笑った。
寝子島の人々が、彼らに守られた住人たちが、それぞれの想いを籠め終えた人形を受け取り、カンナは神木に続く鳥居の石段を仰ぐ。
舞台の上から、神木の巫女はセカイを振り返った。セカイを救おうと奔走してくれた人々に深く頭を下げる。
神木にヒトバシラの代わりとなる人形を繋ぐ、この方法が上手くいくかどうかはまだ分からない。けれど万が一事が上手く運ばずとも、その時はもう一度、不可思議な縁を得た島の人々に助力を請おう。
「神無きセカイのカンナの名において、また道を開くよ」
ひらり、カンナは祈るように手を振った。
「さようなら。またね」
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
黄昏空の世界、お届けにあがりました。
表情に乏しい青年と帽子を深く被った少女が、寝子島のあちこちをもの珍しそうに楽しそうに歩いて回る姿が見られるのは、これよりもう少し後のこと、です。
黄昏空の世界のお話、これにてひと段落です。
……ええと、告白します。
正直、今回は後味悪い終わり方しか出来ないんじゃないかなと思っていました。具体的に言いますと日暮か夕が人柱になるとか。セカイが滅んで傷心の日暮とカンナが寝子島に紛れ込むとか。それで混乱した妖たちが寝子島で大暴れしたりの事件起こしてみたりとか。
そういう後日談と言いますか、そういうガイド作ろうかしらと思い詰めていたのですが、……たぶん、私が考え得るよりもずっといいハッピーエンドに収まったのではないでしょうか。
それもこれも、みなさまのアクションが良いように絡まって相乗効果をあげてくださいました結果だと思います。
ありがとうございます。
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
読んでくださいまして、ご参加くださいまして、本当にありがとうございました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年05月11日
参加申し込みの期限
2016年05月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年05月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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