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家出日和な冬の日に
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常となっている寝子島神社での剣術の稽古の後の見回りを兼ねた散歩も、また最近の常。
シーサイドタウンに近い住宅地にまで差し掛かって、
御剣 刀
はのんびりと歩く足をふと止めた。
暮れなずむ冬空に輝き始める月の下、二人連れの影が道に伸びている。
何気なく影を辿った先には、中学生らしい金髪をひとつにまとめて結った少年と、高校生らしい柔らかな栗色の髪の長身の少年。
今日初めて顔を合わせたかのような微妙な距離感で宵闇の道を辿るふたりが、まるで家出少年な後輩と家出少年を諭す先輩に見えて、刀は黒い瞳を笑みに細める。
腕に座らせるように抱えた元『呪い人形』の『ルヴィア』が、硝子の瞳へ不思議そうに睫毛を伏せたように見えて、刀は今はもう動かぬ人形に柔らかく笑みかけた。
「月が綺麗だな、ルヴィア」
凍り付くほどに澄んだ空気のお陰か、空に浮かぶ月は街で見るよりも美しく輝いて見える。
「こんな月を見るのは久し振りだ……」
夜が早く訪れるせいか人気の少ない住宅地の路地から月の空を仰いでいて、思い出した。
(そうだ)
祖父の家から家出した時にも、冴え冴えとして凛と輝く月を一人で眺めた。
幼子を大事に抱えあげるように、刀は人形を揺すりあげる。
「聞いてくれるか、ルヴィア。俺の家出話」
悪戯っぽく、刀は笑う。
祖父から座敷に呼ばれて顔を覗かせた途端、刀は襖の前に立ち尽くした。
座敷に、祖父の家に居るはずのない両親が並んで座していた。
「そろそろ気が済んだだろう?」
己の顔を見るなり父が言い放った言葉に、刀は思わず拳を握る。
実家を出、祖父の家にまで来たのは、そうして祖父と共に鍛錬の日々を過ごして来たのは、生半可な気持ちからではなかった。
本気で剣術を極めようと思っていた。
それなのに、
「いい加減飽きただろう、帰ってきなさい」
「勉強も随分遅れてしまっているわ」
父も母も、己の決意がそんなものだと思っている。両親揃って迎えに来れば、軽々に吹き飛んでしまうほどのものだと思っている。
そのことが恐ろしく腹立たしかった。
分かってくれない両親の顔を見たくもなかった。座りなさいと言う両親の声から顔を背け、座敷から踵を返す。両親が居ると思えば、祖父と暮らすうちに慣れ親しんだ祖父の家にも居たくなかった。
祖父が用意してくれた自分の部屋に戻り、適当な手提げにお菓子とジュースを放り込んだ。部屋の壁に立てかけた木刀を手に、足音も高く玄関から家を飛び出した。
己のことを己よりも知った顔をする父が腹立たしくて、剣術よりも勉強を優先しろと口を酸っぱくして言う母が苛立たしくて、息が詰まりそうだった。噴き出す怒りを抑えようにも抑えられず、荒々しく、ほとんど小走りに歩を進めた。
周りが見え始めて、気づいた。
(ここどこだ)
祖父の家の近所ではなかった。そもそも家からもう見えず、ぐるりを囲むは鬱蒼と茂る森の木々。
見覚えのない山の中に入っていて、けれどまだ頭に渦巻く怒りに足を止める気にもなれなかった。大股に歩き続けた。
(ちょっとヤバい、か?)
そうは思った。それと同時、
(なんか冒険してるみたいだ)
そんな風にも思って、ついつい先に進んでしまった。
頭に昇った怒りの熱を冷まそうとするかのように、枯葉の匂いを含んだ北風が頬を撫でて過ぎる。踏み分けられた獣道を靴底に踏む度、湿った冬土の匂いが立つ。
風に躍る枯葉の音に紛れそうな流れる水の音を聞き、視線を巡らせる。
少し下方に小川を見つけ、樹木の枝を頼りに山肌を降りた。小川のほとりの乾いた石の上に腰と木刀を下ろし、無我夢中のうちに歩いて来て疲れた足を休める。
(腹が減った)
片手に掴んできた手提げから袋スナックと缶ジュースを取り出し、自分以外の誰の気配もしない川辺でおやつにする。腹を満たして少し休んで、脇に置いた木刀を手に取った。
両親に対する怒りをぶちまけるように素振りを繰り返す。
息が切れるまで、腕が上がらなくなるまで。
日が昇り切り、傾き始めるまで。僅かな休憩を挟みつつ素振りを繰り返すうちに、頭に昇っていた血は随分とひいた。
(……帰るものか)
それでも、戻る気はなかった。父も母も、どうせ今日は泊まっていくに決まっている。
険しい顔のまま、落ち葉の積もる川辺に寝転がる。
茜と群青が混ざり合う乾いた冬空に、白く輝く月が見えた。
「……とても綺麗だった」
小さく笑んで、刀はちらりと首を傾げる。あの後、不貞腐れたままの己を迎えに来てくれたのは、よく家に遊びに来ていた女の子だった。
――みーつけた
夜の森に響く明るい声も、月のように浮かび上がる白い顔もよく覚えているのに、
「……あれ?」
名前が思い出せない。それに、あの時の己の居場所なんて誰も知らないはずなのに、どうしてあの子はあんな山の中にまで迎えに来られたのだろう。
「不思議だ」
記憶の中の女の子は、あの夜見たときのまま、謎めいた笑みを浮かべている。
腕の中の人形もまた、どこかしら不可思議な笑みを滲ませているようにも見えて、月影のせいだろうかと刀は首を傾げた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年04月13日
参加申し込みの期限
2016年04月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年04月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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