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家出日和な冬の日に
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疲れたように揺れる車窓から、冬陽を鈍く揺らめかせて冬の海が見える。
寝子島大橋の下に広がる冬の海の色に、
神代 千早
は眼鏡に覆われた瞳を伏せた。昼下がりの時間帯のせいか、空きがちな寝子電のボックス席から視線を移せば、通路を挟んだ向こうのボックス席にひとり腰掛けた黒髪の女性が今しも小さく重く息を吐いた瞬間。
まるで逃亡者のような疲れた表情した女性から反射的に目を逸らす。
自分も似たような表情をしているのかもしれないとふと思って、髪ゴムでまとめた黒髪を揺らして緩く首を横に振る。
心を曇らせる己の感情が何なのか、己でさえも解せなかった。
(いつものように大晦日ぎりぎりまで寮にいた方が良かったかな)
そもそも、人恋しいような気持ちになったのが気のせいだったのかもしれない。
先日、突如として巻き込まれた神魂の影響による事象を思い出す。
自分以外に誰一人としていない世界で、胸を満たした圧倒的な孤独の色を、元の世界に戻ってしばらくは夢中になってキャンバスに描き込んだ『アローン ザ ワールド』を思う。
胸に満ちた孤独は、いつも通りの騒がしい猫鳴館の日常に居るうちに薄れて消えたと思っていたのに、そうではなかったのだろうか。
例年よりも少し早く、島外にある実家に里帰りをした。
大歓迎で迎えてくれた母親に、もしかしたら知らず少し甘えてしまったのかもしれない。いつだって自分を過保護すぎるくらいに気にかける母が、己の抱く僅かな寂しさに気付かないわけがなかった。
――少し遠いけど、学校には電車で通えばいいじゃない
繰り返し繰り返し、最後の方には泣き声混じりの説得を始められてしまった。
(辟易……)
というのは少し違う。
(そうだな……)
「僕は、困ったのか」
己の感情がことりと腑に落ちて、千早は思わず呟いた。
困った末に、逃げるように島へと戻ってきた。
実家を遠く離れた学校に通わせてもらっている。寮暮らしをさせてもらっている。好きにさせて貰っている自覚はある。
母の泣き顔と父の困り顔が脳裏に過って、千早は思わず固く瞼を閉ざす。泣かせたり困らせたりしたい訳ではない。甘やかされていることも、過剰なのを別にすれば、本当は嫌だとは思っていない。
帰郷のために用意して、結局使わずに帰って来た旅行鞄の中、メールの着信音が控えめに鳴る。何回目とも知れぬメールを、けれど確かめる気にもなれなかった。
(……少し、怒った顔をしてしまったかもしれない)
そう思って、今ももしかしたらそんな顔をしているかもしれないと思って、千早は長い髪に隠れがちな眉間を押し揉んだ。
シーサイドタウン駅を出る。住宅地に入ってしまえば、駅前の賑わいは嘘のようになくなった。
旅行鞄を手に黙々と歩く。猫鳴館に戻って、何をしようか。
画架に立てかけたままのキャンバスに色を重ねようか。それともあれはあのままで完成とするべきだろうか。
母親の泣き顔を孤独の色に塗り替えようとしながら歩いていて、
「え?」
ふわり、目の前を柔らかな薄紅が舞って過ぎた。
知らず俯いていた瞳を跳ね上げる。視界を過った薄紅色を風下に辿るも、冬の路地があるばかり。ならばと風上に視線向けて、朽ちかけの壁に囲まれた廃屋にぶつかった。
錆びた門扉に掛けられた『売家』の看板と、看板を隠すほどに茂って枯れた薄や萩や、大量の白骨のような雑草。
シーサイドタウンの住宅地の一角、忘れ去られたような日本家屋は、時折通りがかる度に目にはしていた。春の頃、ぼうぼうと伸び放題に萌える草木の隙間から、
(確かに、見た気はする……)
視界を埋めるほどに咲き誇る薄紅を。
けれど今は冬。花の咲く時期にはない。
それでも無性に気になって、錆びた門扉を潜る。覆い被さる枯れ枝を避け、立て付けの悪そうな古い格子戸にそっと手をかける。
「お邪魔します……」
泥に汚れたサンダルの転がる三和土に靴を揃えて脱ぎ、薄暗い廊下に視線を伸ばした瞬間、廊下の奥に位置する急な登り階段にちょこんと鎮座する首のもげた布人形を見てしまった。
「ッ……?!」
一瞬総毛だつも何とか息を整え、廃墟に足を踏み入れる。家屋と春に見た薄紅の位置関係を頭に描きつつ廊下を奥に進み、薄く開いた襖の前に立つ。
隙間から闇ばかりが覗く襖を引き開けるには少しばかり勇気が要った。それでも深呼吸をひとつふたつ繰り返し、思い切って襖を引く。
広い畳の間の央に、こちらに背を向けて座す女がひとり。
すすり泣く声に聞き覚えがあった。
心臓が跳ね上がると共に襖を閉ざそうとして思いとどまる。こんなところに、母親が居るわけがなかった。眼鏡の位置を正し、動じぬ風で歩みを進める。脇を過ぎようとして、真に迫る泣き声に胸を掴まれた。
「……ごめん」
ぽつり、本人には言えなかった言葉を零し、息を吐く。締め切られた雨戸に手を掛け、一気に引き開ける。
ぶわり、春の香帯びた風が暗い座敷へと一気に雪崩れ込んだ。風に押し流されてぶつかり合い、舞い踊り、幾千もの薄紅の花びらが、瞠る目に飛び込んでくる。
雨戸の向こう、先ほど路傍から見たものは、
(やっぱり)
風に揺れ、降るように舞う、
「桜」
庭中に根を巡らせ、庭の空を埋め尽して、枝垂桜の古木が今を盛りと咲き誇っている。
(こんな綺麗なもの……)
今一緒に見たいと思う人を振り返るも、桜の舞う座敷に母の姿はない。
どうしても見せたいと思って、頬に力を籠める。
(そう思う相手を悲しませてどうするんだろう)
旅行鞄の中、携帯電話が鳴動している。
手に取り、メールを読む。返事を打とうとしてやめる。
(ここから出たら)
電話をしよう。
そうしてあの人の声を聞いて、自分の言葉でちゃんと謝ろう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年04月13日
参加申し込みの期限
2016年04月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年04月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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