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年末年始のオーケストラ需要は高い。
深林 真瞭
が所属する国内外でも有名な交響楽団となれば、年末年始のスケジュールは一日も空きがない。
その年末年始のコンサートラッシュもようやくひと段落して、東京の空港に降り立ったのが今朝方のこと。
東京には普段生活している家がある。
けれど真瞭が荷物を抱えて飛び乗ったのは、東京の家ではなく、寝子島へと向かう列車だった。
寝子島大橋を渡る列車の窓から、昼下がりの陽ざしを揺らめかせる長閑な冬の海をぼんやりと眺める。
逃亡者か亡命者の気分だった。
心が酷くささくれているばかりか、溜まりに溜まった膿がその傷口からじくじくと滲み出ている。そんな嫌な感覚が続いている。
気持ちを塞ぎ込ませる因は、所属する交響楽団周辺に渦巻く権力闘争。
去年の秋の理事長の急死に端を発する後任人事を巡る内紛は、年を跨いでも収束するどころか苛烈さを増していた。泥沼化する権力争いは、ただただ良い演奏をしたいばかりの真瞭にとっては迷惑でしかない。
それでも、コンサートマスターでもあり第一ヴァイオリンでもある真瞭は火の粉を一番に被りやすい立ち位置にある。
(帰りたく、ないな……)
小春日和のぬくもりが差し込む、客の少ない寝子電のボックス席に真瞭は吐息を零す。
車内アナウンスが寝子島駅への到着間近なことを告げる。
揃えた膝の上に置いた掌には、セカンドハウスとして使っているマンションのある星ヶ丘駅までの切符。
けれど今日は、そこへ帰る気にもなれなかった。
あの家には、一度半ば強引に呼び込み住まわせた親友の気配がまだ色濃く残っている。帰ってしまえば、今はもう寝子島総合病院での勤務にも自宅アパートにも戻った親友に電話を掛けてしまうに違いない。
平気な振りを装っても、繊細なあの子はきっとこの心の膿に気付いてしまう。あの子の優しさにうっかり油断して膿を吐き出したくはなかった。傷つけたくなかった。
憂鬱が心を膿ませるこんな日は、おひとり様で居たい。
寝子島駅に列車が停まって、真瞭は反射的に席を立った。反対側のボックス席に座っていた長い黒髪に眼鏡を掛けた青年がつられたように立ち上がる。
青年が手にした旅行鞄が目に入って、冬休みの学生旅行かしらと少し羨ましくなった。それにしては浮かない顔をしていたけれど。
列車を降り、改札を潜る。どこか懐かしいような雰囲気の漂う旧市街の街並みを前に、どこへ行こうか思案していて、駅舎の壁に貼られた寝子温泉のポスターが目に入った。
参道商店街を通って、寝子島神社に参って、登山道入口駅からケーブルカーに乗って砂掛谷駅で降りて、少し歩けば寝子温泉。明るい絵柄で描かれたルートと温泉は、疲弊した心をふわりと暖かくしてくれた。
この時期ならば、飛び込みで入ってもどこかしらの宿は空いているだろう。そう思ってしまえば、大人しく家に帰る気は欠片もなくなった。
(うんそうしよう。思い立ったら即行動!)
家出を決めれば、心はもっと軽くなった。気持ちのまま、足取りも軽くなった。
(家出娘ね)
家出娘にしては嬉しそうに足取り軽やかに、長い黒髪を風に揺らして歩き始める。
(……って齢か)
自分で自分に茶々を入れて、真瞭はかたちの良い唇を仄かに笑ませた。
正月の繁忙期を数日過ぎた温泉街は、漂う湯煙さえものんびりとしているように感じられた。
時折流れ来る温かな湯気や温泉独特のにおいや、旅館や土産物屋の雰囲気を楽しみつつ、湯治客もそう多くはない温泉街を歩く。ふと目に留まった小さな温泉宿に飛び込めば、快い歓迎を受けた。
緋毛氈が敷かれ、等間隔に行燈の並ぶ廊下を案内され、格子戸の入り口を潜る。正面の窓に広がる温泉街脇の川や九夜山の水墨画のような景色に思わず息を吐けば、案内の仲居は控えめに笑んだ。
もてなしの茶と茶菓子を風景と共に楽しみ、おひとり様な家出娘は部屋の隅に用意されていた浴衣に着替える。糊のきいた浴衣に袖を通せば、思わず小さな笑みが零れた。
温泉に来たからには内風呂よりも大浴場、大浴場よりも露天風呂。
緋毛氈と灯篭の廊下を渡り、鯉の跳ねる池のある中庭に通された渡り廊下を過ぎて、宿自慢の露天風呂へと向かう。
藤筵の敷かれた清潔な脱衣所に人気はなかった。洗い布一枚を手に入った誰も居ない大浴場で気兼ねなく身体を清め、長い髪をまとめる。
世間を渡り歩くうちに身体にこびりついた疲れと汚れが、石鹸の泡と温かな湯に包まれ洗い流されて行く気がした。
化粧も世俗の垢も落とし、少しすっきりとした気分で露天風呂へ出る。真白な湯気がもうもうと上がる、檜皮屋根に檜湯舟の露天風呂にも人影はなかった。
(おひとり様を満喫、ね)
真っ青に晴れた真昼の空の下、湯舟に身を沈めて瞳を閉ざす。温かな湯と浮遊感に、心の中に溜まりに溜まった毒や疲労がとろとろと溶ける。ついでに自分の身さえも心地よさにとろとろと溶ける。
「ああ……」
毒を抜くように息を吐く。このまま、何時間でも温泉に浸かっていたかった。いっそのこと、
(お湯になっちゃいたい……)
温泉の温度と同じ温度になった息を、温かくなった胸から吐き出す。
何もかも、忘れていたかった。せめてこうして温泉につかっている間だけでも――
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年04月13日
参加申し込みの期限
2016年04月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年04月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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