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家出日和な冬の日に
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祖父が詰めた野菜でいっぱいの段ボール箱を抱えて運び、愛用の『宮祀青果店』と銘打たれた自転車の荷台に慣れた手つきで結わえ付ける。
「行ってきまーす!」
店先でお客さんの相手をする祖母と、店の奥で野菜を並べる祖父に元気いっぱいの声を掛け、自転車に飛び乗る。
冬休みも終わりに近い今日も、
宮祀 智瑜
は祖父母が営む青果店の手伝いに忙しい。
白菜に人参大根、水菜に春菊。箱から覗く野菜に艶やかに黒い瞳を柔らかく笑ませる。まだまだ寒い日が続くこの頃は、冬野菜の配達の注文がよく入る。
(鍋する家庭が多いみたいかな)
頭の中に配達ルートを思い浮かべつつ、昼下がりの旧市街商店街を自転車で駆け抜ける。角のお婆さん家と、路地奥の祖父がよく行く居酒屋に品物を届けてしまえば、今日の配達はひと段落。
(うちも今日は鍋にしようかな)
忙しい祖母に代わって夕食の準備も担当している智瑜はそんなことを考えながら自転車に跨り帰路を辿る。
「……あれ?」
旧市街の路地の一本である真紅の山茶花の生垣の脇を通り過ぎようとして、智瑜は小さく首を傾げた。生垣の花の下、小さな女の子がひとり、うずくまって泣いている。
迷わず自転車を停め、女の子の傍らにしゃがみこむ。
「迷子かな?」
優しく話しかけて小さな背中を擦れば、女の子はしゃっくりあげて頷いた。
「お母さんと逸れちゃったの?」
重ねて問いかけた途端、その通りだったのか、女の子の泣き声が一際高くなる。
「一緒に探してあげる。大丈夫、私、この辺りのことはよく知ってますから」
ね、と笑いかけて、
――おじいちゃん、おばあちゃーん
あの日の自分を思いだした。夕暮れの小路をひとりで歩いて心細さに泣いた、九歳だったあの日。
今、目の前で泣いているこの子も、あの日の自分と同じような気持ちなのだろうか――
小さな花束を小さな手に握りしめて、幼い智瑜は店で忙しく立ち働く祖父母を見遣る。夕暮れ少し前の時間、亡くなった両親のかわりに智瑜を育ててくれている祖父母の店はとても忙しい。
だからふたりの邪魔にならないよう、店の近くの空き地で一人、花を摘んで遊んでいたのだけれど、
「おじいちゃん、おばあちゃん」
一生懸命作った野の花の束は、思っていたよりもずっとずっと綺麗な花束になった。それこそ、亡くなった両親に見せてあげたいくらいに。
小さな花束を小さな手に握りしめて、小さな智瑜は忙しげな祖父母にもう一度呼びかける。両親のお墓に連れて行って欲しかったのに、忙しいふたりは待っててと繰り返すばかり。
「……あのね、お花……」
忙しい祖父母を困らせたくなくて、でも、遠いから一人で行ってはいけないと言いきかされている両親のお墓のところに行きたくて。
肩を落として、思い至った。
(一人でも大丈夫)
だってもう九歳だ。
一度家に上がり、電話台の脇に置かれているメモ帳を一枚破り取る。二人とも忙しくて話を聞けないけれど、書置きを残していけば心配もかけずに出かけられる。
『ほかにいってくる』
「墓に行ってくる、……うん、これで大丈夫」
間違った文字を書きつけたことには気付かず、智瑜はにっこり笑う。
祖父母の手を煩わせないよう、困らせないよう、一人でお墓に行って一人で帰って来よう。両親のお墓には何度か祖父母と行ったことがある。道程はなんとなく憶えている。
(だから、大丈夫)
そう思っていた。
でもそう思っていられたのは、見知った道から通ったことのない細い路地に迷い込むまでだった。
誰かに聞こうにも、その日は生憎ひどく寒い日で外に出ている人影もなかった。運よく見かけた人影にも、人見知りをして近づくことが出来なかった。
夕暮れの道を、募る心細さに泣きながら、花束だけはしっかり握りしめたまま歩いた。歩けば歩くほど道に迷って、泣けば泣くほど宵闇ばかりが覆いかぶさって来た。不安で怖くて、もう一歩も歩けなくなった、その時。
「智瑜!」
祖父の声を背後に聞いた。
「おじいちゃん!」
「智瑜ちゃん!」
祖母の声も聞いた。振り返ると、祖父と祖母の姿が街灯の光の輪の中に見えた。
「おばあちゃーん!」
堪らず大声で泣き出してしまった。泣きながら祖父母の元に駆けて二人に抱きついて、そうしてもっと泣き喚いた。
聞けば、孫がかまってもらえずに家出したと思った二人は、知り合いの家に電話をかけたり交番を尋ねたりしたらしい。
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
二人に会えた安心感と申し訳なさに胸が詰まって、小さな智瑜は声が嗄れるまで泣き続けた。
(あの後、一緒に墓地まで行ってくれたんだよね)
両親の墓前に花を供え、手を繋いで家に帰った。
あの時のひとりの寂しさと、祖父母の姿を見た時の安心は今もよく覚えている。
だからこそ、女の子を助けてあげたかった。
抱きしめるように立ち上がらせ、手を繋ぐ。自転車の荷台に乗るか聞こうとした時、
「おかあさん!」
女の子が歓声をあげ、路地の向こうに立つ女性へと駆けだした。
振り返って手を振る女の子の笑顔に、智瑜は安堵の明るい笑顔を向ける。
さあ、家に帰ろう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年04月13日
参加申し込みの期限
2016年04月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年04月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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