＜寝子温泉よりSOS＞温泉が出なくなりました……｜リアクション

＜寝子温泉よりSOS＞温泉が出なくなりました……

「ひい、ふう、みい、よお、いつ……結構いるのだーモグモグ」
　冷却装置近くまで来た後木真央、御剣刀、大天使天吏の3人。放置された機材と草の影から、敵陣の様子を観察する。
「しかしお猿とは驚きだなあ。やっぱ人間に近いだけあって頭いいんだな。お、おかか」
「どうしてこんな悪いことをするのだーきっと何か理由があるのだモグモグ」
　真央と刀は戦の前の腹ごしらえと称しておむすびで栄養補給中だ。
「頭がいい上に力は人間の数倍以上。神魂の影響を受けていたらさらに強いわ」
　目を細めて猿たちを見る天吏。無表情だが内面には激しいものがあった。
（理由なんて決まりきっている。愚かな人間があんなところに人工物を建てるから。自然たちは怒っている）
　そしてその怒りを、武力で押さえようとする。人間とは本当に愚かだ。
　一気におむすびを飲み下し、刀。
「他の隊も向かって来ている。まずは俺たちでかき乱すぞ」
　木刀を取り出し、冷却装置へ迷いなく駆け出した。
「真央ちゃんも続くのだー」
　にゃにゃにゃがおー。両手を丸めて叫んだ真央、三毛猫のがおーを召喚。
「がおー、ここから猿がいなくなるまで猿たちを引っ掻きまくるのだー」
「がお〜」
　あくびと一緒に鳴くがおー。
「寒いけど頑張るのだー！」
「がお〜」
　刀に続き突撃するがおー。
「私も……大した攻撃はできないけど、何匹かを引きつけてみるわ」
「よろしくなのだー」
　真央と天吏も戦いの場へ。

　先陣を担った刀。
「お邪魔するぜ」
　冷却装置は一つの猿山。中央では何匹かの猿たちがくつろぎ、周りに見張り役の猿たちがいる。まずは見張り役を迅速に倒して形勢をこちらに傾かせたい。
「よっ」
　一気に間合いを詰める。
　猿たちも、一瞬だけ驚いた風を見せたが、すぐに戦闘態勢へ。
　猿の重たいパンチの軌道を刀で逸らし、攻撃を殺す。
「はっ」
　白い息とともに力を外へ。猿の開いた脇の下からすくいあげるような一刀。猿は己のいなされたパワーと刀のパワーによって、空中へ投げ出された。
　そこにすかさず、延髄へ素早く一撃。重力との合算で大ダメージ、猿の意識を飛ばす。
（体力勝負になったら勝ち目はねえ。急戦で一気に減らす）
　次の猿へと突っ込む刀だった。

　がおーと真央は連携して猿たちをかき乱す。
「こっちへ来るのだー」
　木の棒を振り回し気を引かせる。
「今なのだがおー」
　俊敏に襲い掛かるがおー。猿の顔に飛びついて引っ掻き、戦力を失わせる。
「とりゃとりゃ、なのだー」
　顔をふさがれて慌てる猿に木の棒を打ち付ける。
　が、そこにまた別の猿が。仲間を助けようと、顔にしがみつくがおーに向けてパンチを繰り出した。
「危ない！」
　咄嗟に間に入る天吏。クロスした腕に猿の強烈なパンチをもろに浴びる。
「きゃ」
　軽く数メートル吹き飛ばされる。
「だ、大丈夫なのだー！？」
「大丈夫か」
　刀が加勢し、天吏を殴った猿の意識を奪う。
「え、ええ……」
　朦朧とする頭を振りながら立ち上がる天吏。が、ふらつく。
「がおーを守ってくれてありがとうなのだ」
「怪我がなくてよかったわ」
「がおー感謝するのだ！」
「がおー」
　気がつけば暗転。状況を察知した猿たちがわらわらと集まってくる。
「く……さすがにあれだけの数をさばくのは無茶だな」
「一旦引くのだー？」
「逃げ切るのも骨が折れるなこりゃ」
　木刀を持ち直す刀。

　ピンチの様相を呈して来た3人の元に加勢。
「さあ一気に片づけますよー」
　屋敷野梢。
「こっちの数が増えりゃ相手の士気も落とせるしな」
　猿に蹴りを喰らわしながら如月庚。
「怪我は私に任せて！」
　花を携えた椿美咲紀が天吏へ駆け寄る。
「形勢逆転なのだー」
「作戦は変わらず、スピード勝負だ！」
　刀が猿たちへ突っ込み、庚、真央、がおーも攻める。
　猿たちが飛ばしてくる石や機材は梢が蝶に変え、投擲を無効化。
　猿たちの戦力を削ぎ、戦意を喪失させていった。

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