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さまよいアルク 最終章~茜色に揺れる魔導帝国ローシルテ
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【綻び】
ファシナラ家の内装は、どちらかといえば瀟洒な街並みと比べて、どこか古式ゆかしい民族色を感じさせます。
落ち着いた空気に、旅人たちが身体を休めながら作戦会議をしていると、するりとスライド式の扉が開いて、
「ただいま。服、買ってきたよ」
外から戻ってきたのは、ふたりの女性。ひとりはファシナラの妻であるという妙齢の婦人で、もうひとりは、
「おー! 彰尋くん、似合うじゃナーイ☆」
手を叩いた
志波 武道
に、着飾って美しい少女がヴェールを脱いでみせると、現れたのはアルクを抱いた、なんと
鴻上 彰尋
!
「これも演技の一環ですよ。志波さん」
舞台役者だったという祖父の影響か、さらりと言ってのけた、演技達者な彰尋。彼と、それにファシナラの奥さんがあえて危険を冒し、外へと買いに出たのは、旅人たち全員分の、この国における標準的な服でした。奥さんの導きで、彰尋がアルクの翻訳を頼りに、巧みな会話。時には変装で、男女すらも演じ分けながら……それに彼には、演技に適したろっこんもありました。
荷物を下ろしつつ、彰尋は仲間たちに尋ねます。
「それで、相談は進んだかい?」
「ああ。アルクが戻ってきたから、ファシナラさんとも話が詰められるな。よし、みんな聞いてくれ……作戦はこうだ」
八神 修
が、テーブルへ広げた浮遊島の地図を見下ろしながらに、声を発します。
「まずは、島の北端に位置する軍港にたどりつき、そこで浮遊艇を一隻拝借する。もちろん危険を伴うだろうが、ファシナラさんによれば、これは皇帝の元へとたどりつくための、最低限の必須条件となる」
皇帝陛下が住まうのは、浮遊島のさらなる上空に浮かぶ、『天上宮殿』と呼ばれる場所。足ではとてもたどり着けそうにありません。
「そのための詳細は、また後ほど詰めるとして。宮殿へたどり着くことができたら、俺たちはファシナラさんと懇意の貴族や、その近親者……あるいは、彼が宮殿での下働きとして優秀な人材を紹介するという体を装い、入り込む。ファシナラさん、協力者とは連絡が取れそうですか?」
修はファシナラへ、宮殿内の行動を手引きし、引いては今後も惜しまず支援をしてくれるような、有力な協力者を紹介してくれるよう求めました。数は少ないながら、彼には志を近しくする幾人かに、心当たりがあるそうですけれど、
「それについては、向こうで偶然顔を合わせるのに期待するしかないね。僕がまだ宮廷魔導士だったなら、もっと楽な方法も取れただろうが……」
「そういえば、何でそのお仕事、やめちゃったのだ?」
ふと、尋ねた
後木 真央
の問いは何気ないもので、誰しもが思うところではあったでしょう。
ぴくり、と。ファシナラはひとつ、眉を跳ね上げ……瞳を惑わせて。
「……ああ。それは、ね。実は……半年前にね。僕らにとってはちょっと、辛い出来事があってね……」
がしゃん。カップが割れる、派手な音……その場の視線が一斉に降り注いだ先には、睫毛を伏せてどこか沈んだ様子の、ファシナラの奥さんの姿がありました。
「っ……ごめんなさいね? ちょっと、手が滑ってしまったの。待っていてね、すぐに片付けて、お茶をお出しするから……」
「……片づけは、俺がやろう」
毒島 林檎
が駆け寄り、割れたカップを片付け始めると、奥さんはか細くお礼を言って、お湯を沸かし始めます。
こっそりと。真央は林檎へ、片付けを手伝いながらに、
「やっぱり……『ニヴィエ』さんじゃ、無いのだ? この人って……」
尋ねました。
以前に旅人たちが出会ったという、とある夫婦……真央はその顔を知りません。けれどこうして旅に関わるようになってから、仲間たちに聞かされたその存在が、今では他人事のようには思えません。
林檎は小さくうなずいて、
『うん……違う人みたい。ニヴィエさん……無事に赤ちゃん、産めたのかなぁ……?』
心配そうに、ぽそり。つぶやきました。
綾辻 綾花
が取り出したのは、一枚の、茜色の円盤。ローシルティウム・ディスクと呼ばれるそれは、先に訪れた未来世界で、束の間ながらに大切な思い出を残してくれた、
友だち
から託されたものです。
ファシナラが茜色の粉末をさらさら、テーブルの上の銀皿へ落とし、そっと火を灯して、ディスクをそこへとかざしてみたなら。
「わぁ……! 猫ちゃん!」
浮かび上がるのは、茜色の映像。何匹もの子猫たちが、くんずほぐれつ……綾花には何とも、至高の光景です。
「初歩的な錬金術を、とは言ったものの。こんなものを覚えたところで、魔導の深淵には及びもつかないよ。錬金学はもう、時代錯誤な代物でね」
「いいえ、良いんです。何かの時に、役に立つかもしれませんから。ありがとうございます」
簡単な術を教えて欲しい、と頼んだ綾花と、何だかんだで楽しそうにレクチャーするファシナラ。
休憩がてらのそんなやり取りを眺めて、
屋敷野 梢
が問いかけました。
「ここで言う『錬金術』って、どーいうものなんです? 私たちのいたところでは、もーとっくに廃れてて、『科学』が一般的になってるんですよねー」
「ふむ? そうだね。『卑金属を金属へと錬成する、あるいはその過程において化学の礎ともなり、最終工程には万物融解液と賢者の石をもって生命の源たるエリクシールを抽出し、人を不老不死の高みへと導く』……なんて、大それたお題目を掲げていたのも、今は昔。最近じゃすっかり下火でね。十年前に、僕がローシルティウムの基礎を錬成したのが、最大のピークだったかな……」
「ちょ……ちょっと、待ってくれ!」
割って入ったのは、武道。とはいえ、何気なく語られた言葉は、旅人たち全員の注意を惹き付けるのに、十分な意味合いを持っていました。
「ファシナラさん、あなたが……ローシルティウムを、作ったのか?」
「ああ、まあ、そうとも言えるかな? 本来のローシルティウムは、ローシルテの国土に普遍的に存在する、魔導媒体としての適正が高いだけの、ありふれた鉱石のひとつだよ。僕がしたことは、そこにとある微生物を住まわせ、定着させることで特異な性質、つまりは『物質やエネルギーを効率良く記憶・再生させる』という、基礎的な特性を持たせただけ」
「……ツチボタル?」
「そう、それ、良く知ってるね。もっとも、そこから実用化にこぎつけたのは、別の魔導士だけど。とはいえあれから十年、今のローシルティウムの普及ぶりを見るなら、僕の功績はもっと評価されていても良いと思うんだがなぁ……」
ファシナラは首をひねるも、旅人たちの思いは、別のところにあったことでしょう。
ローシルテ。ローシルティウム。茜色の宝石は、その名が示す通りに、
この世界で生み出されたもの
であるようなのです。
「それにしては、錬金術ってのは、今は廃れてると言ったな。何でだ?」
床に転がったアルクとじゃれ合う金髪の少女をちらと見やりつつ、
夜海霧 楓
が尋ねます。
「この街は、そこそこ発展してるように見える。魔導、だったか? それに取って代わられたってことか」
「少し違うね。魔導の中には、今も錬金学の技術や思想が、確かに息づいている」
答えたファシナラは、ため息をひとつ。
「昔ながらの錬金学も。近代的な科学も、化学も。魔法や魔女術に呪術、機械工学や電子技術、占術、心霊術、医術、召喚術……『魔導』とはすなわち、この世に存在するありとあらゆる技術を、魔術の導きによってひとつに束ね、体系化するという試みを指す。錬金術は結局、その中のひとつにしか過ぎないというわけさ」
「……なるほどな。この国の連中が血気盛んに何と戦おうとしてるのか、理解したぜ」
つまらなさそうに、楓は言い捨てました。
「他国へ戦争を吹っかけては、そこにある珍しい技術をブン取って、自分のモノにしてきたわけだ。ま、俺らの世界まで侵略するってんでもなきゃ、勝手にやってくれりゃいいがな」
しばし、沈黙の後。
「……ローシルティウムって……何なんだ?」
林檎の問いは、ぽつりと、独白のように。
「あるところでは、照明装置。別のところでは映像を記憶したり、動力源になったり……星を、滅ぼしたり(『私たちがここまでに見てきたものは、何だったの……?』)
「ええ。私も、知りたいですね」
オーデン・ソル・キャドー
もまた、疑問を投げかけます。ファシナラへというより、誰ともなく。深く考察するように、
「有翼船。ファシナラ殿、宝石の侵食にさらされた森。滅びゆく星……アルクのくわえた赤い糸の先は、この世界で、若き皇帝の小指に結ばれる。全て、ただの気まぐれで繋がってきたわけでは無いのでしょう」
繋いだのは、白黒猫。そして首輪に取り付けられた、茜色の石。ローシルティウムです。
オーデンはファシナラへ、告げました。
「ファシナラ殿……私たちは、この世界の人間では無いのですよ。ローシルティウムを道しるべに、様々な世界を巡り、ここへとたどり着いたのです」
「……? どういうことだい……?」
旅人たちは、語って聞かせました。たどってきた道程の、全てを。
有翼船に乗って空を駆け巡り、空魚と戯れたことを。過酷な荒野を横切り、屍人と剣や銃火を交えながらも、夫婦を送り届けたこと。地下大樹林で不思議な動物たちと触れ合い、樹木人たちに滅びの真実を教えられたことを。遥かな未来世界で、機械の友だちとの間に芽生えた、あたたかな友情のことを。
その全てが、今。ローシルティウムによって、ひとつに繋がっているのです。
ファシナラはしばらく黙して、彼らの話へと聞き入っていました。
「……様々な、世界。か……」
隣には彼の奥さんが寄り添い、静かにじっと、耳を傾けています。旅人たちと夫の交わす言葉へと。
やがて全てを聞き終えると、彼は深く、深く息を吐き、
「ローシルティウム。その働きは、彼ら……
ツチボタル
たちの営みによるものだ。そう、君たちの語る、滅びとやらもまた……そうなのだろう。話を聞いた今、僕には、確信がある。ツチボタルはやがてこのローシルテをも侵食し、滅ぼすのだろうね。そんな予感はあった……あるいはそれも、当然の報いなのかもしれないが」
手のひらを、妻のそれと重ね合わせて。
「しかし、ね……君たち。決して、誤解はしないで欲しいんだ」
絞り出すように、彼は言いました。
「ツチボタルもまた、ローシルテが簒奪したとある国土に、いくらでも普遍的に生息するような、単なるちっぽけな微生物にすぎないんだよ。わずかながらの日光の波形を、情報としてその身に記憶し、必要に応じて再生、発光するだけ、ただそれだけの…………そんな彼らを、その生体メカニズムを高効率化するために好き放題に弄繰り回した結果、あんなにも攻撃的で、強烈な征服欲を抱く、極小の魔物へと変えてしまったのは……僕たちなんだ。僕たちの魔導が、滅びを生み出しているんだ」
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シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
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20人
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20人
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シナリオガイド公開日
2016年02月21日
参加申し込みの期限
2016年02月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月28日 11時00分
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