推理ゲーム『ねこじま人狼』｜リアクション

推理ゲーム『ねこじま人狼』

●出揃った主張

　武道はそれぞれを指差しながら確認した。

　　島民：志波武道、齋藤智照、九杜アメ、木次要、八神修、大天使天吏
　　占い師：サキリ・デイジーカッター、卯木衛、四方堂真矢
　　らっかみ：屋敷野梢
　　占い師によって人狼だと占われた者：八神修、齋藤智照、木次要

　九杜アメが愉快そうに笑った。
「ふぅん、面白い！　人狼だって言われたのが、もみあげくん、ぼーさん、眼鏡ちゃん。あ、占い師の中にも嘘つきさんがいるはずだから、ナイフ君、ヘアピン少年、ぱっつんちゃんも容疑者から外れないのか。オオカミとひっかき回し屋が多くて、大変だなぁ」
「アメさん、さっきからずいぶん余裕って感じだけど、まさか『人狼』じゃないですよネー？」
　武道が尋ねる。するとアメはルージュを引いた唇をにっこりと引いて微笑んだ。
「つい楽しくて笑ってしまったけど、私は『島民』だよ。正直者で人畜無害、人を食べたりもしない。正真正銘の島民だから、安心してくれて構わない」
　武道のまとめを聞いていた修が発言する。
「今回のルールは一夜限りなんだよな。となると、特に狼は目立たない方が良いな。ほら、一夜だと印象吊りも大きいからさ。とすると頭が良い奴は割を食う。例えば……志波さん。真っ先に島民だと表明した志波さんの意見は？」
「それは……俺のことを信頼してくれてるってことかな？　それともその逆？」
「一度の発言じゃなんともわからないので、揺さぶりをかけたいってとこです」
「なるほどね。じゃあ改めて主張するけど、俺は『島民』でーっす！　んでもって、まだ『人狼』はわからないけれど……最初の感触では、真矢さんは人狼ではなさそうかなって思った。狂人が偽で出たかもしれない後での占い師表明だったもんネ」
　真矢はそうよ、と頷き、語気を強める。
「怪盗が出てこなかったということは、怪盗は敵に回っている公算は強いわ！　私からの主張は以上……何か異議はあるかしら？」
　真矢の言葉に反対意見は特に出なかった。
「ということは、人狼２人、狂人１人、吊人１人、怪盗１人が嘘をついているってことか。うわー正直者スクナイじゃん！」
　武道が指折り確認する。
　修が皆に視線を向けると、智照は真矢を見ながら長い法衣の袖の中で数珠を繰って考え込んでいるようだった。要も目を伏せ思案げだ。
「目立たないようにすると言う意味では、大天使や齋藤さん、特に木次さんは発言が少ないな。ああ、大天使は話し合いが始まってからは随分喋ったか……齋藤さん、木次さん？」
「私は……こういうゲームは不慣れなので……何を言っていいかわからなくて」
　要が困ったように言えば、智照もまた困り顔で答える。
「私も先ほども言ったように『島民』という以外主張のしようがありませんからねぇ」
　すると、天吏が皆を見回し、このように提案した。
「ねえみんな？　まずは吊人を見極めて、それから人狼を探さない？　吊人はわざと吊られるために役職を騙っている可能性があると思う。私達島民勢力の優先順位は、吊人探し＞占いの内訳考察＞狼位置特定じゃないかしら」
「疑惑をかけられた人！」
　梢が強い調子で呼びかけ、人狼容疑者および占い師候補者を見遣る。
「何でも言える言葉でなく、推理で説得してみてはー？」
　なら……と要は眼鏡の奥から上目遣いに修を見た。
「八神さん、本当に『島民』ですか？　人狼と占われてるけど……？」
　修は要の目を見て諭すように答える。
「木次、君も同じ状況だということを忘れちゃいけない。そして俺は何度でも真実を言おう。たしかに『島民』だ。交換されていたらわからないのは同じだけれどね」
「いや、修くんは『人狼』だよ。修くんを吊ろう」
　衛が立ち上がって主張した。修が反論する。
「そういう君の方こそ怪しいという主張を、もう一度すればいいのかな？」
　
　アメは顎に手をあて楽しそうにそれぞれを見つめている。
「いいねー。三人の占い師がそれぞれ違う人物を『人狼』だと言っている……占い師のうち二人は嘘つきだ。ん？　三人とも嘘ってこともある？　『吊人』の可能性は？　『らっかみ』はおさげちゃん一人だから、推理から除外してもいいのかな？　……いやぁ、面白い！」

　ここでゲームマスターである戸影エムアが立ち上がった。
「そこまで。時間です。ここで一旦議論を切りましょう」

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推理ゲーム『ねこじま人狼』

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